防人(勇者であるシリーズ)
さきもり
『結城友奈の章』での出来事を踏まえ、勇者の適性がありながら勇者に選ばれなかった候補生達が集められ防人となった。
このような経緯があるからか、比較的品行方正な傾向にある勇者達と違って、我が強めな性格を持つ者が多い傾向にある。また、当初は実戦の恐怖で動けなくなったり泣き喚いたりしてしまう者も多く、勇者がいかに勇気ある少女なのか(あるいは、あまりにも年齢不相応な悲壮な覚悟を決めているか)を相対的に浮き彫りにする存在でもある。
その主任務はバーテックスの討伐ではなく、四国を覆う結界外の世界の調査、そして神代の国造りの儀式を再現し神樹の種を植えて世界を蘇らせる反抗作戦(アニメでは「トヨアシハラ作戦」と名付けられている)の実施であり、大赦お抱えの秘密工作部隊という側面が強い。勇者システムの量産化を知っていた乃木園子でさえ、その存在を知らなかった。
彼女達は、普段は香川県宇多津町にあるゴールドタワーを拠点としている。このタワーは大赦によって「特別指定施設」として改装され、教室や防人達の個室が設置されており、周囲の遊戯施設も訓練場へと造り変えられている。更に、書き下ろし小説「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」では、現実世界にまで襲来したバーテックスの大軍を前に、タワーの各部を展開させてトーチカのように用いる事で防衛網を展開し、バーテックスを迎撃した。
作中では32人の防人が登場。大赦側は当初から犠牲が出る事を想定して運用していたが、実際には4人が最初の御役目の後に自らリタイアして入れ替わっただけで戦闘での犠牲は一切出さなかった(この事から、防人の御役目は完全な強制ではなく、辞めようと思えば自ら辞められる権利は持たされている事がわかる)。
上述したように任務が任務な事もあって、大赦からは軽視されがちであった。神世紀300年12月26日には神官から勇者への昇格の手続きが行われている事が伝えられるが、芽吹には「防人の士気を上げ、大赦への信頼を上げるための方便ではないか」と疑われた。
天の神が襲来した際の動向は「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」にて描かれている。『結城友奈は勇者であるA』では「直接戦闘ではないが勇者達とは別の場所でがんばっていた」と三好夏凜の口から語られていたが、実際は別の場所でこそあったが思いっきり直接戦闘していた。
『勇者の章』最終話に現れた無数の名も無き勇者は、そのシルエットから防人なのではないかという考察もある。
全てが終わった後も組織自体は存続したようで(恐らく、先んじて本土探索に赴いた友奈ら元讃州中学勇者部の後方支援部隊に改組されたと考えられる)、4年後が描かれた『大満開の章』エピローグでは四国の外へ向かう準備に勤しんでいた。
変身手段こそ勇者システムと同じだが纏う装束は「戦衣(いくさぎぬ)」と呼ばれる共通の物。モチーフはナズナで、勇者装束と比べると無骨でどこどなく鎧のような印象を与え、肌の露出は頭部付近以外全く無い。
集団戦を前提とした装備を持ち、銃剣付きライフルを持った攻撃役の銃剣型、巨大な盾を持った防御役の護盾型に分けられる。指揮官型は基本的には銃剣型がベースだが火力と防御力が若干高く、ヘルメットには2本のアンテナらしき物が付いている。
護盾型がファランクスのように防御陣形を組みながら、銃剣型が攻撃を行うのが基本戦術。
全員が実力順にナンバリングされており、最上位の8人が指揮官を務める(他は銃剣隊が16人、護盾隊が8人。指揮官1人につき銃剣型2人と護盾型1人を従えて1つの班を構成するようだ)。
使用可能人数を増やす必要から、能力を勇者装束よりデチューンしているため精霊も伴っておらず性能は大きく劣るが、それでも西暦時代の勇者システム並みの能力は持たされている。また、灼熱の環境である「壁の外」での活動を前提としているため、耐火・耐熱性能に関しては正式な勇者のそれを上回り、戦車すら噛み砕く星屑の牙にもある程度耐えられるだけでなく、溶岩の上を徒歩で移動できるほど(単行本に書かれた特別対談で「溶岩の上をズブズブと歩いている」とタカヒロがコメントしている)。さらに「壁の外」で変身が解けるのは生死に直結するからか、勇者と違って戦闘中に変身が解ける事は全くなかった。
なお、任務の都合上樹海に入る事はなかったため、勇者と同じく樹海に入れるのかどうかは不明である。
『花結いのきらめき』では最新の勇者システムに機能が統一されたため樹海でも戦闘を行えるようになり、精霊も存在するなど能力が格段に強化されたおかげでバーテックスの完全撃破が可能となり、更に「満開」に相当する「強化装束」も登場し、各人に順次実装されていった。
アニメ版
『大満開の章』では装備に多くのアレンジが加えられている。
原作では目元が完全に見えない仮面のような物であった顔のバイザーは、半透明なゴーグル状になっている(カットによっては原作通り目元が見えなくなるため、サンバイザーのような物と思われる)。
銃剣もより重厚感あるデザインとなり、レバーアクション式の実弾銃である事が判明(芽吹は銃剣二刀流を披露した際スピンコックをしていた)。刃は折り畳み式となって刀身も長くなった。しかも伸縮して蛇腹剣にもなり、星屑の体に巻き付けて切り刻むというえげつない戦法が披露されている。
護盾はデザインこそ変わっていないが、盾型のバリアを複数展開する能力が追加されている。
他にも、防人番号のフォントなど、細かい部分にも違いが見られる。
なお、勇者と違って変身シーンはなく、勇者システムとの関係も特に触れられなかった。
新たに、勇者にはない浮遊能力も得ており、短時間なら飛行も可能。
その際、原作では単なる装飾だった首元の水晶が、二期の勇者達の満開ゲージのように機能し、ゲージがひとつ消えると飛行限界となる(勇者でさえ満開で初めて使用可能になる能力なので、制限がつくのも不思議ではない)。
バーテックス界の移動手段として御神木を使用した船も登場し、これに搭乗し飛行しながら移動するようになった。1班につき1隻が割り当てられ「結界外特殊機動調査船団」を構成する。船自体に攻撃能力はないが、国土亜耶の祝詞によって防護壁が張られており、防御陣形を組めばある程度バーテックスの攻撃を防ぐ事が可能。また、「大神ノ足」というワープ能力のような機能もあり、防人全員で祝詞を唱えて使用する緊急脱出手段として用いられる。
なお、この船に使用されている御神木は、一部ファンの間で「かつて諏訪を結界で守っていた御柱と関係があるのでは?」と考察されている。
「落花枝に返らず、破鏡再び照らさず」に相当する第10話では、原作と異なり樹海に入って戦闘を行っており、ゴールドタワーの千景砲も樹海の中で発射している(結果、ゴールドタワーは大きく損壊してしまった)。また、数名の防人達が戦意喪失した途端消滅したが、彼女達のその後の消息は描かれていない(ただし、死んだとは明言されていない事と、小説版の趣旨を鑑みるに、「単に樹海から追い出されただけ」という可能性が高い)。
船の使用に関して原作ファンからは、「原作のように徒歩では絵的に映えない」という肯定的な意見もあれば、「防人の耐久性が活かされない」という否定的な意見もあり、賛否両論となっている(装束については、「万が一に備えて着るサバイバルスーツのような物」と考えればそれほど違和感はないが)。
()内は番号を示す。
原作の小説では、主要キャラ以外の防人がモブ的な扱いで、誰がどの台詞を話しているのかが書かれていなかったが、『花結いのきらめき』の楠芽吹の章では、「防人番号〇番の少女」と表示されるため、判別できるようになった。
- 楠芽吹(01)
指揮官型防人で防人全体の隊長。
- 防人番号2番の少女(02)
指揮官型防人で、芽吹が指揮が取れない状態などでは他の防人達のまとめ役をやっている。
自分達が生きてこられたのは芽吹のおかげだと伝えたり、芽吹達のお見舞いに来た防人達をまとめたり、退院祝いのパーティで乾杯の音頭をあげたりしていた。
天の神が襲来した際は、指揮下の3人の防人と共にゴールドタワー地上1階で地下にいる、大地のエネルギーを送る回路となっている国土亜耶を守るため、地下に侵入しようとする星屑と交戦していた。
アニメでは10、24、31番が指揮下である事が確認された。
- 防人番号5番の少女(05)
指揮官型防人で、その中でも最年少の少女。
『花結いのきらめき』の楠芽吹の章4話では、訓練で芽吹が打ち倒した指揮官型防人であった事が判明する。芽吹の「自分達の身は自分達で守らないといけない」といった事に対し、「そのためにもっと強くなって、生きられるようにしないといけないと思った」とスコーピオン・バーテックス戦闘後に伝えた。
天の神が襲来した際は、指揮下の3人の防人と共に展望台に侵入してきた星屑と交戦していた。
- 山伏しずく(09)
銃剣隊防人。
- 防人番号10番の少女(10)
護盾隊の防人。アニメでは防人番号2番の指揮下となっていた。
- 防人番号15番の少女(15)
18番の少女と仲が良く、共に行動している事が多い。
勇者候補者グループの『ハズレ組』であり、芽吹に三好夏凜の事について尋ねた事があり、「刃物が通らないほど硬い体で、生身で岩を砕いたり、音より速く走れる」と人外じみた想像をしていた。またスコーピオン・バーテックスとどうやって戦ったのか尋ねたり、芽吹を勇者みたいだと褒めていた18番の少女に同意していた。
- 防人番号18番の少女(声:伊勢未紗希)(18)
15番の少女と仲が良く、共に行動している事が多い。語尾に「にゃー」と付く事があり、主要キャラ以外の防人がモブ的な扱いだった中では、特徴的で判別しやすいキャラとなっている。
勇者候補者グループの『ハズレ組』であり、芽吹に三好夏凜の事について尋ねた事があり、「全身が光るほどのカリスマオーラの持ち主」と人外じみた想像をしていた。スコーピオン・バーテックスとの戦いでは怖くて少し漏らしてしまったらしい。またスコーピオンと戦った芽吹を勇者みたいだと褒めていた。
- 弥勒夕海子(20)
銃剣隊防人。
- 防人番号22番の少女(22)
芽吹達のお見舞いの場面では「見舞いに来ている暇があったら、訓練しなさい」と一蹴した芽吹に「厳しい訓練がないと、なんだか物足りないから早く退院してほしい」と返している。
- 防人番号24番の少女(24)
銃剣隊防人。『花結いのきらめき』の楠芽吹の章5話で、スコーピオン・バーテックスの攻撃で護盾隊の陣形が崩された際に悲鳴を上げていた(そのため彼女も護盾隊と思われていたが、アニメでは銃剣隊防人となっており、単に一瞬で護盾隊を突破したスコーピオン・バーテックスに恐怖しただけだったのか、アニメ版にあたって設定が変更されたのか、はたまた単なる設定のミスなのかは不明)。芽吹達のお見舞いの場面では4人にそれぞれお見舞いの品を持ってきている。
アニメでは防人番号2番の指揮下となっていた。
- 防人番号27番の少女(27)
芽吹達のお見舞いの場面では「見舞いに来ている暇があったら、訓練しなさい」と一蹴した芽吹に「わが隊の誇るべき隊長らしい言葉」と返している。
アニメにも顔出しで登場している。
- 防人番号30番の少女(30)
護盾隊の防人。『花結いのきらめき』の楠芽吹の章5話でスコーピオン・バーテックスの攻撃を防ごうとするも吹き飛ばされる。スコーピオン・バーテックス戦闘後は「訓練に厳しいし大変だけど、そのおかげで生きていられる」と伝える。
雀とは護盾隊同士で番号が近いため親しく、お見舞いの場面ではみかんが食べ過ぎてないかと気軽に話しかけていた。6話でも芽吹の特訓の愚痴を聞かされており、勝手に防人隊底辺層仲間に入れられている。
- 防人番号31番の少女(31)
銃剣隊防人。アニメでは防人番号2番の指揮下となっていた。
- 加賀城雀(32)
護盾隊の防人。
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