阿頼耶識
13
あらやしき
阿頼耶識とは大乗仏教の用語である。
- 唯識思想における八識(五感をはじめとする認識)の一つ。サンスクリットではālaya-vijñāna (आलयविज्ञ)の名で呼ばれる。
- 『機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ』に登場するテクノロジー→阿頼耶識システム
- 『グランブルーファンタジー』に登場するアビリティ。→レイ(グラブル)
唯識にいう八識の第八識で、人間存在の根本にある識である。五感と思考による認識を支える枠組みにあたる。
輪廻転生を超えて生涯に行った経験・善業・悪業などを"種子(しゅうじ)"として蓄積し、来世でもそれを元に個我を形成して全ての心的活動の拠り所となる識。
唯識論では、自己と自己を取り巻く自然界の全存在は自己の根底の心である阿頼耶識が知らしめたもの、変現したもの、とする。
阿頼耶識が蔵する、一切の現象を起こさせる可能性または能力を"種子(しゅうじ)"という。種子から一切諸法の万物が生起し、その顕現した現象は直ちに阿頼耶識に影響を及ぼし、新たな種子となる。
つまり唯識論によれば、我々の見ている世界の全てはこの"種子"により発生しているとされ、それらの"種子"を永遠に蓄え続けるために阿頼耶(アラヤ=蔵)の識、すなわち「蔵の識」と呼ばれている。
『大方広仏華厳経』『大乗入楞伽経』などの大乗経典において言及され、様々な注釈書、論書でも言及された。
唯識論で説かれている八つの感覚(認識)は以下のようになっている。
- 眼識:視覚による認識。
- 耳識:聴覚による認識。
- 鼻識:嗅覚による認識。
- 舌識:味覚による認識。
- 身識:触覚をはじめとする身体感覚。
- 意識:意識、精神活動による感覚。
- 末那識:意識同様に精神活動としての識だが生きている限り睡眠時にも永続するため、上記の6識とは異なり無意識に属する。「自己」に執着し「自我」を思い続ける識であり、煩悩・我執を生じさせるために因縁識とも呼ばれる。
- 阿頼耶識:上記の識からくる経験・善業・悪業を輪廻を超えて「蔵」のように蓄積し続け、やがて蓄積された"種子"を用いて上記の識に働きかけ、対象世界の万物の現象を発生させる識。
眼識、耳識、鼻識、舌識、身識においてはただの情報であった認識は、意識と末那識によって汚染され、汚染された認識は絶えず阿頼耶識の"種子"に注ぎ込まれ煩悩を生む。その煩悩は逆流するように意識と末那識に影響を与え、五感を通した貪りを生むという負の連鎖が生まれている。
そのため阿頼耶識は常に煩悩が生じる"迷いの世界"を生み出してしまっているが、その根源となる意識、末那識の我執・煩悩を滅すること。
すなわち、『悟り』を開いた者はこの阿頼耶識が凡夫とは異なるものに変容し、世界をありのままに観ることが出来るのだという。
コメント
コメントが未記入です
pixivに投稿されたイラスト
すべて見るpixivに投稿された小説
すべて見る- イサリビ《百景》
うつつを映す
鉄血のオルフェンズ二次創作小説です。本編準拠の隙間話です。 CGS時代。ツイッターでフォローしている方が呟かれた「オルガの悪夢とはどんなものだろう」という問いから発したショートショートです。 鉄血本編は、オルガの見ている夢から始まるのですが、目覚めのハッとした表情からして、幸せな夢というわけではなさそうです。 三日月の背中の阿頼耶識は、オルガの目指すものを実現させるためには不可欠なものではありましたが、オルガは罪悪感と後ろめたさを同時に感じていたのかもしれません。 ヒゲが一本一本増えていく度に、オルガの悪夢も深くなっていったとするならば、彼の悪夢の終わりはどこにあるのでしょう。(初出:2020年11月22日(ミカオルイベント「俺とイツカの愛烈伝2」)発行『イサリビ《百景》2』)2,081文字pixiv小説作品