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  忍  

概要

ケンガンオメガ」の登場人物で、裏格闘技団体『煉獄』が抱えるA級闘士の一人。

本名はアルバート・リー。出身はシンガポール。マジシャンであり、壊し屋であり、煉獄A級闘士であり、自称忍者という奇妙な背景を持つ男。

合理的なものを好む傾向にあり、マジシャンであれば種や仕掛けが必ず存在する点を好ましく思い、壊し屋に関しては特技を生かすことができ、尚且つ殺しよりもリスクが低い点を好ましく思っている。どちらも根底には合理的かどうか、という判断基準が存在しており、裏格闘技に関しても壊し屋としての仕事の三倍以上の報酬が見込めることに加え、体重制を導入していたことから安全と稼ぎの両立ができていたことから合理的と判断し、スカウトを受けた結果ミドル級のチャンピオンになっている。

しかしロマンチストな側面があり、心の奥底では合理性を跳び越えたものへの憧れがあったのか、仕合前の時間つぶしとして入った映画館にてとある忍者映画と出会った結果、忍者に見事なほどに沼に嵌る。見事な即堕ちでした。

それ以降、忍者刀、手裏剣、巻物等の忍者グッズは勿論、漫画や部屋に至るまで忍者尽くしの生活となった。

そして忍者への憧れはただの憧れで留まらず、マジシャンとして、壊し屋として、これまで培った経験を活かした隼流忍法を確立させる。

当時中国の裏格闘技団体『英雄故事』に所属していた彼だが、その噂を聞きつけた豊田出光が自らスカウトに赴き交渉を経た結果、日本であれば本物の忍者に会えるとして煉獄への移籍を決断する。

活躍

初登場は3巻。豊田と共に二徳と幽崎の仕合観戦に赴く。仕合後、幽崎が成り代わりである可能性を抱いた豊田に、彼の経歴について探るよう依頼される。

次の登場は6巻。対抗戦に参加するメンバーと共に登場。対抗戦開始後は第二仕合から出場。理人と対決する。

序盤はミスディレクションを用い仕合を有利に運ぶが、黒木が師匠でもあった事から多用が仇となりすぐにタネを見破られてしまったものの、今度は攻撃のタイミングをずらす忍法肩透かしとミスディレクションを織り交ぜ、一方的に理人を攻め続ける。

しかし反撃の一手として、あえて顎以外の部位を完全にガードして顎への攻撃を誘導した理人に対し、理人に対する慢心と格下だと判断した故かそのまま顎を狙うという愚策を犯してしまう。結果、レイザーズエッジによるカウンターを受け、大胸筋が破裂。凄まじい出血を負い、一撃で戦況が変えられてしまう。出血により闘えるタイムリミットは約5分となる。

その後も一進一退の攻防を繰り広げるが、何度も蹴りを入れたことで以前より足にしみ込ませていた毒が理人の身体に浸透し、肉体の自由を僅かながら奪うことに成功する。

毒の効果が現れたことで勝ちを確信したが、あまりにも出血が多いためか精細さを欠いた動きとなり、再びレイザーズエッジを受けてしまう。隙を縫い、理人の首に蹴りを打ち込んだことでダウンを取ったが、負傷が増えようとたった数カウントで立ち上がる理人のあまりの非合理さに怯え、焦りを隠しきれずミスディレクションを仕掛けたところ、指を潰され、次点の技も潰され地面に引き倒されるが、止めを刺されかけた瞬間に理人の脚を払い、毒の効果も相まって寝技に持ち込むことに成功。

更なる毒を打ちこみ続けることで理人の意識は混濁。首を絞め続け、理人が意識を失ったことで僅かな差により薄氷ながらも勝利を得た。

理人に対し、仕合当初は格下と見下していたが理人の道理では到底割り切れない非合理な底知れなさを目の当たりにした事で、忍者に次ぐ第二の衝撃と言う賛辞と共に今のままでは彼に2度目の勝利は不可能と察した彼は、命を捨てでも合理の外へ踏み出し己の殻を打ち破るべく満身創痍の身で黒木に挑む不合理で立ち向かう。

その意気を組んだ黒木は闘うことを選び、結果は当然の如く、首への手刀で一蹴されたものの、黒木は命を懸けて挑むに値しないと共に若い身で死に急ぐなと再起可能な様に慈悲をもって倒されており、黒木から「生き急ぐな若人よ、強くなれ」と激励された。

その後は医務室で理人と共に治療を受けており、黒木を師と勝手に呼んでいる。仕合では勝ちはしたものの勝った理人よりも遥かに重傷であったことから、第九仕合で阿古谷清秋ニコラ・レ・バンナの両者が暴走した時には止めに行くことは出来なかった。

使用武術

壊し屋をやっていただけに、部位鍛錬によって鍛え上げられた異様な四肢の爪と指による破壊することに特化した手足が特徴で、それを下記の忍術で活かして細かく傷付けて翻弄してダメージを与えていく。かつて忍法を習得する前に一緒に仕事をしたことがあるムテバ・ギゼンガ曰く「自身の知る壊し屋の中ではトップ3に入る」と壊し屋としての技量も高い。

怪指

部位鍛錬によって鍛えられた四肢の指と爪。掠めただけで皮膚を裂き、皮膚に突き刺さる威力を持つが理人からは皮膚に刺さる程度で黒木の魔槍には遠く及ばないと断言されている。

隼流忍法

マジシャンとして、壊し屋として培った技術の複合。試合前の派手な演出やパフォーマンス、自身の動作で相手の注意を逸らし、攻撃に繋げるミスディレクションや攻撃のタイミングを僅かにずらし強制的に「虚」を突く忍法肩透かしなど、これまでの経験を活かして作り上げた技術による独自の忍法となっている。

その土台は初見殺しに近く、ミスディレクションは初見ならまだしも何度も見ると慣れが生じてしまい見破られやすくなり、肩透かしは過度に使用すればある程度の猛者を相手した場合には逆手に取られてしまう他、隼自身の攻撃力も理人曰く皮膚に刺さる程度の威力であり速攻で勝負を決められないといった欠点も存在する。しかし、相手が見抜けなければ何度でも引っ掛かるので、決して慣れれば何とかなるような類とは言い切れず、洞察力が優れている実力者であればある程引っかかりやすくなり、ミスディレクションと肩透かしを複合して使う事で更に効果を増すので、決して油断ならない。

また、相手の背中を使って何度も蹴りを入れるなどの対処が困難な空中殺法で叩き落されるまで一度も地に足を着けずに攻撃を続けており、パワーは体格以上の物を持ちヘビー級に匹敵する攻撃力を持つので、仕合では飽くまで理人が隼の予想よりも遙かに驚異的なタフネスで終始攻撃を受けても動けていただけで、その破壊に適した足と爪で後頭部を抉る攻撃を打ち込むなど、忍法の技巧自体は高水準に値する。

忍法毒持ツ復讐者(トキシックアベンジャー)

本人曰く「忍法ミスディレクション、忍法肩透かしが破られた場合の最終手段」であり、隼にとって最後の切り札的存在。毒物を満たした壺に拳足を漬け込む『薬効』による長年の鍛錬によって作られた、『毒手』。毒で侵した者に「急に体が重くなる」「力が抜けていく」などの体調不良を発生させ、最終的には短期的な記憶の混濁すら引き起こす。隼は両足の親指だけに『薬効』による鍛錬で毒を施している。

隼の『毒手』の毒性自体は極めて弱く皮膚接触では無毒であり、肉体に何度も打ち込む事で血中に入り込み初めて、僅かに効果を発揮する程度。その為試合序盤から使える物で無く毒の効果が身体に周るのは自然と試合の終盤から。体重が100kg超えの理人に対しては序盤から何度も蹴り技で毒を打ち込み、更に蹴り技を連続して撃ち込んだ事で漸く毒の効果が身体に周った。

毒性の弱さと足の親指のみを毒化したことが合わさって、相手には逆に毒の症状を分かりにくくしており、毒手だと知らなければ症状を受けた本人ですら毒だと気づくことは出来ず、試合が終わるまで自身が毒に侵されていることを理人に悟らせなかった。また毒性がかなり弱いため、毒を受けても試合後にある程度の時間が経てば毒の影響は無くなって行動可能になる。

隼の賛否について

カーロス・メデルに引き続き、賛否の分かれる仕合となった。

魅力は十分あったのだが、終盤で使用した毒に対する感想を中心に賛否が分かれている模様。忍者である以上、毒を使うのでは?と予想していた読者も多かったが、その手のキャラクターとしては「メディスンマン」蕪木浩二、「解剖魔」英はじめという存在が既にいたことが足枷となってしまった。

蕪木の場合は仕合前から「そういうキャラクター」として描写されており、英の場合は毒の発現が仕合後、つまり仕合そのものに影響を与えることがなかったが、隼の場合はどちらにも寄り切れていなかったことが問題となった。

拳願会が蕪木の毒や英の骨剣を反則行為として咎めなかった理由には「拳願会の発足理由」「商人としての恥」などが深く関わっており、反則を行うに当たって相応の説得力が存在したものの、煉獄の場合はそのような背景はなく、煉獄ルールでは反則行為が発覚すれば仕合が中断されるというルールになっている。

仕合は結果的に毒が決まり手となってしまい、隼自身も紙一重と言っていたように毒無しなら理人が勝利を収めていた可能性も高く、毒の存在が隼の実力にも影響を与えてしまっている。

しかし、彼の努力自体は否定できない。毒手は完成までの相応の苦痛を伴うものであり、その努力自体は否定できない。また毒の効果も極めて弱い微々たるものであり、幾度も撃ち込まなければ効果を発揮しないなど、そもそもの実力がなければ意味のないものとなってはいる。

そのうえ、毒の使用も見方を変えればバレないために即効性を落とす代わりに気付かれにくい工夫として見れば、その点では蕪木より遙かに巧妙である。毒手だと真っ先に見破った氷室も蕪木のように毒を塗るのでは無く、薬効による鍛錬によって身体に毒を染み込ませたのなら、試合前の身体検査程度ではまず見つかる事は無いと断言していた。また煉獄ルール環境では毒手はあくまでも鍛錬の賜物という扱いらしく、扱いは合法らしい。(煉獄では仕合での殺人を禁じているので、隼が使っている毒の毒性の低さも加味してであるだろうが)

加えて本人も自身の戦術について思うところがあるのか、次に理人と立ち会えば確実に自分が敗北するとも語っており、それを避ける為には「殻」を破らなければならないと自覚もしている。

非常に扱いの難しい毒の存在。これの描写に問題があったからこそ、この賛否が生まれた可能性は否めない。

そして当然ながら、隼の戦法について肯定的な意見があるということを忘れてはならない。

キャラクターへの意見は兎も角、彼を応援する読者への非難、感性の否定などは決して行わないよう気をつけていただきたい。

余談

作者曰く「「羅亡」とは造語で、隼の名前と組み合わせると鳥取県にある会社名の綴り」だが、Google先生で「らぼうはやぶさ・鳥取」と検索すると隼labと引っかかる。元ネタはここである可能性が高い。

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