霹靂天機
ぴりてんき
2023年7月に公開され、物語は前作「霹靂玄蒙紀」に続く。「霹靂布袋戲」シリーズの主人公である素還真が化身も含め、一切登場していない。
第1編・裂界編
(第1章~第6章)
現在から二年前、天跡は太曦神照との戦いを経て、苦境から異空間の裂界(れつかい)に流されてしまう。裂界に入った直後、裂界の大王子・往世閻摩が率いる軍勢に圧倒され、一度は絶体絶命な危機に陥る。苦境に戻るべく、天跡は裂界の冒険を始まった。
それから一年後の苦境にて、正道の支えである天跡が不在の隙を突き、魔神の太曦神照が動き出す。南武林を中心に領地を展開し、南境の統治者となった。太曦神照は領内で暴政を敷き、反対者を次々と粛清していく。正道の武侠たちは反抗軍を結成して、太曦神照と戦っていた。
天跡の失踪から二年が経った今、地冥が太曦神照と対抗すべく、裏で行動し始めた。時を同じくして、謎の占星術師・解璇璣が現れ、太曦神照の陣営に近づく……。
第2編・魔熵編
(第7章~第14章)
天跡が苦境に帰還した後、太曦神照と再戦する。戦いの最中、天変地異が起こり、封印された魔熵(ましょう)こと太穹魔神が解き放たれた。太穹魔神は破壊の限りを尽くして、苦境にさらなる脅威をもたらす。
この状況を見て、天跡と太曦神照は一時停戦し、太穹魔神を倒すことに専念した。太曦神照は、暴政で荒れた世論の回復を狙い、自ら太穹魔神と立ち向かう。長らく隠居してきた仙人・道軒眉が天跡を協力するため、正式に登場する。天跡が属する玉門世家と、地冥の十七特工隊も加え、多くの人々が太穹魔神と戦う。
第3編・西崦編
(第15章~第21章)
正道の人々の努力により、太穹魔神は再び封印された。しかし喜ぶのも束の間、裂界の軍勢が領地ごと苦境に進出し、侵略を開始。裂界の大王子・往世閻摩は、太曦神照と結託して、天跡と道軒眉に攻撃を仕掛けた。戦争の中、裂界の当主・八龍天が目覚め、苦境で覇を唱える。
裂界の軍勢は、天跡と道軒眉の身内を人質に攫い、苦境に属しない黄昏の大地・西崦(せいえん)に移した。ここは太曦神照がかつて隠居の際に修行した場所とされ、裂界や道軒眉にとって、因縁の地でもあった。西崦の表面化につれ、それぞれの過去と、太曦神照の秘密が徐々に明らかになっていく。
第4編・阿迦塔編
(第22章~第25章)
新月陀羅と太曦神照の共謀により、天跡と道軒眉が窮地に陥って、玉門世家に大きな危機が迫る。玉門世家の当主を代理する玉千尋は、皆の力を合わせ、新月陀羅の陰謀を暴く。落ちぶれた天跡を見て、喜ぶ太曦神照は、さらなる恐ろしい計画を企む。それを阻止しようと、解璇璣が密かに動き出す。
一方、裂界の八龍天は、とある悪夢に苛まれた。それは裂界の一族が全滅され、しまいに八龍天自身が、自分の息子である伐樓那を殺す夢だった。裂界の黒歴史である、人造人間の阿迦塔(アジャータ)と深く関わっており、危惧された。悪夢を現実にさせまいと決めた八龍天は、極北の地へ赴き、奇人の離人公子に助けを求めるが……。
主役
飄々とした仙人。玉門世家の出身。
裂界の冒険を経て苦境に戻り、太曦神照と対抗する。
本作の主人公その一。
多重の身分と名前を持つ黒魔術師。
本作の主人公その二。
解璇璣(かいせんき)
謎の占星術師。褐色肌と金髪が特徴。
魔始に乗っ取られた地冥と自称し、太曦神照に接近するが……。
道軒眉(どうけんび)
羽扇を振るう仙人。天跡の従兄に当たる。
正道の一員として、天跡たちと共に戦う。
太曦神照(たいぎしんしょう)
異境から来た魔神。南武林を統治し、信者を増やしつつ、領地拡張を図る。
本作最大の敵。
裂界
(れつかい)
異空間・陰陽裂界にある地域の一つ。裂族の領地。
陰界と陽界の狭間にあり、土地はかなり狭い。
往世閻摩(おうせいえんま)
裂界の大王子。次期当主に見込められる。
自律性が高く、自分に厳しい真面目な性格。太曦神照に恋心を抱いている。
後半から苦境の進出する。
伐樓那(ヴァルナ)
八龍天の末っ子。往世閻摩の弟で、兄弟の仲が悪い。
天跡を救い、苦境の進出を臨む。
八龍天(はちりゅうてん)
裂界を統治している当主。
後半から目覚め、苦境で覇を唱える。
新月陀羅(しんげつだら)
裂界の武将である重臣。新月族の出身。
仮面をかぶっており、その裏で何かを企んでいる。
悉毘幽(しつびゆう)
裂界の科学者。青いリザードマン。
天跡を助け、裂界からの脱出に協力した。
阿迦塔(アジャータ)
悉毘幽が開発した、高度な知能を持つ人造人間。終盤の阿迦塔編に登場。
かつて裂界の戦いで利用され、戦後は八龍天に破棄されたはずだった。
その存在は裂界の黒歴史とされる。
日曜皇城
(にちようこうじょう)
太曦神照が南武林に構えた居城。本作の敵対勢力。
各勢力を配下に入れ、版図を拡げながら、領内で暴政を敷く。
邱霍蛉葉(きゅうかくれいよう)
異空間から来た、葉口月人の権力者。狡猾な性格。
帰郷するため、太曦神照の臣下につく。
滅羅血后(めつらけっこう)
魔羅血界の権力者。太曦神照に臣従して、反対勢力の討伐に参戦する。
識滄海(しきそうかい)
魔羅血界の賢人。頭脳担当であり、各勢力の征伐に献策した。
太曦神照に接近する解璇璣に不審を感じる。
墨雲濤(ぼくうんとう)
魔羅血界の剣士。滅羅血后たちと共に、反対勢力の討伐に参戦する。
過去に崩獸との関わりから、道軒眉に復讐を仕掛ける。
霜爵雪納瑞(そうしゃくシュナウザー)
軍医の老人。犬と西洋人を混ざったような口調で話す。
瑠璃王爵(るりおうしゃく)
古域王朝の王爵。解璇璣の任務に関わる際は、積極的に行動するが……。
十七特工隊
(じゅうしちとっこうたい)
地冥が太曦神照と対抗ため、結成した団体。本作の味方勢力。
小瑟斯(しょうセス)
十七特工隊の隊長。人並み外れた知力を持つ子供。
笑流霞(しょうりゅうか)
魔族の情報屋。特工隊の情報集めと、小瑟斯の世話係を務める。
風月主人(ふうげつしゅじん)
南域で有名な占い師。地冥に治療され、正気に戻った。
小瑟斯の指導役を務める。
舒龍琴心(じょりゅうきんしん)
靖玄者である少年剣士。地冥の厳しい鍛錬を受けたあと、特工隊の一員となる。
以前の因縁から、風月主人のことを快く思わない。
兔爵士(としゃくし)
西洋貴族の衣装を着こなす、ウサギの中年。
地冥の付き人だったが、特工隊の一員となる。
玉門世家
(ぎょくもんせいか)
武林の名門。天跡の出身地で、代々商売を幅広く営む裕福な一族。
本作の味方勢力。
玉書衡(ぎょくしょこう)
玉門世家の当主。穏やかな商人であり、天跡の従弟に当たる。
円滑な社交術をもって、表では中立を保ち、玉門世家を存続させた。
玉微瑕(ぎょくびか)
正義感が強い少年剣士。玉書衡の養子。
天跡の熱狂的なファン。
玉千尋(ぎょくせんじん)
隠居中の女儒士。玉書衡の妹で、儒教訛りな口調で話す。
後半から登場。
末天樓(まつてんろう)
玉書衡の家来。黒髪の剣士。
玉微瑕の剣術師範を務め、時には玉微瑕の抜け出しを手伝う。
西崦
(せいえん)
かつて太曦神照が隠居した地域。
白晝之夜(はくちゅうのや)
西崦伝説の刀使い。寡黙な性格。
後半から苦境に進出し、渡逢舟に気に掛ける。
夜柔女禍(やじゅうじょか)
妖艶な女暗殺者。蜘蛛の糸と毒を使いこなす。
裂界の下に働き、後半から往世閻摩と共に苦境に進出。
瀛女醫(えいじょい)
太曦神照の首席弟子である占い師。後半から登場。
正道
渡逢舟(とほうしゅう)
金髪の少年剣士。道軒眉の弟子。
正道の一員として、各地で敵と戦う。
紅塵雪、生命練習生
天跡と親しい武侠たち。太曦神照に敵対する反抗軍として、必死に戦うが……。
巧天工、冰無漪
有名な女鍛冶師と厲族の剣士。
失踪した紅塵雪を探すため、太曦神照の領地で奔走する。
金蛾人(きんがじん)、哥庫嘍契(グイコローチ)
秦假仙の弟分たち。仕事を探しに、太曦神照の領地に踏み入れる。
德風古道の劍儒。剣道を極めるため、玉千尋の元へ訪れる。
後半から登場。
その他
太穹魔神(たいきゅうましん)
窈窈之冥の中に封印された魔神。おぞましい顔つきが特徴。
封印が解除され、苦境に災いをもたらす。
斐斐(ひひ)
三足金烏の子供である、人型の黒いひな鳥。後半から登場。
その身には、大きな秘密が隠されている。
碧如斯(へきじょし)
道軒眉の恋人だった女性。目つきが天跡と似ている。故人。
かつて西崦の地で、道軒眉を助けるために冒険するが、謎の死を遂げる。
離人公子(りじんこうし)
極北の地で拠点を構える奇人。終盤の阿迦塔編に登場。
悪夢に苛まれた八龍天を助ける。
過去作に登場した仙人たち。本作の開始時点で、全員が故人となった。
主に回想シーンなどで登場する。
南域で伝説を残した仙人。「霹靂靖玄錄」シリーズのキーパーソン。
九天玄尊(きゅうてんげんそん)
「霹靂天命之仙魔鏖鋒」シリーズに登場した仙人の組織・雲海仙門の創始者。
「霹靂天命之仙魔鏖鋒」シリーズの主要人物の一人。
香六牙(こうろくげ)
湯問夢澤の校長だった仙人。「霹靂朝靈闕」の主要人物の一人。
裂族(れつぞく)
裂界に領地を構える部族。火神である呼盧(フル)を信奉して、聖火を祀る。
武技を繰り出す際に、「休(ヒュー)」の掛け声を放つことが特徴。裂族の戦士は阿裂索(アレッソ)と呼ばれ、職業は戦闘向けの勇士と、士気を鼓舞する護法の二種類がある。勇士は顔に、青いペイントを縦に施している。対して護法は顔に、赤いペイントを横に施している。
本作から二年前に、太曦神照に負けた天跡が裂界に迷い込み、裂族との交戦を強いられた。
太曦寰界(たいぎかんかい)
南武林を中心に展開された結界。支配者は太曦神照。
太曦寰界に包まれた南武林は、外の世界と隔絶され、内部と外の行き来は阻まれた。それから一年間、太曦神照は寰界内部で闘争を繰り広げ、南境の統治者となった。本作開始時点で、太曦寰界は解除されたが、領内は変わらず暴政が続いている。
窈窈之冥(ようようのめい)
「霹靂天命之仙魔鏖鋒」に初出の地名。
武林の出来事を予言する、太穹・十三卜(たいきゅう・じゅうさんぼく)が発生する神秘な地域。数々の予言が現れ、すべて予言通りに的中した。「天機」が秘めているとされ、天跡と地冥など、今まで多くの人々が訪れてきた。
太曦寰界の解除と共に、寰界の力がこの地に流れ込み、封印された太穹魔神を呼び覚ました。
熵(しょう)
窈窈之冥の中に潜むエネルギー。熵能(しょうのう)とも呼ばれる。
太穹・十三卜が予言を行う際、「天機」を無理やり解読すると、大量に発生する。負の力による影響で、魔熵(ましょう)こと太穹魔神が生まれた。魔熵は破壊性が強く、滅ぼすのは困難である。そのため、昔は劍謫仙・九天玄尊・香六牙によって、窈窈之冥に封印された。
モチーフは熱力学の用語「エントロピー」。時間経過とともに、増やし続ける乱雑さの度合いを表す。
崩獸(ほうじゅう)
かつて西崦の地で危害をもたらした生物。道軒眉によって討伐された。
崩獸の死後、角は八龍天に回収され、伐樓那の武器「崩角雙治(ほうかくそうち)」に作り変えた。墨雲濤は昔に、小猼(しょうはく)という名の崩獸に救われた恩があるが、小猼は何者かに殺された。そのため、墨雲濤は崩獸を討伐した道軒眉を敵視して、復讐を仕掛けた。
十絕斷天闕(じゅうぜつだんてんけつ)
西崦の中で、三大危険な地の一つとして知られる地域。
中には様々な猛獣が生息しており、多くの仕掛けを秘めている。その奥地には、人を救える物があるという言い伝えがある。大切な身内を救うため、かつて八龍天と碧如斯が訪れることがあった。碧如斯はこの地で冒険した際に、謎の死を遂げる。
玉冰瑩(ぎょくひょうえい)
遥か昔の玉門世家に属した女性。
「災星」の宿命を持っており、将来は世界を乱すことが恐れられていた。本人はまともな正道になろうと努力したが、結果は世間に認められず、当時の玉門世家から追放された。現在の太曦神照は、天跡を新たな「災星」に仕立てようと執着している。その挙動は、玉冰瑩と深い関わりがあるらしく……。
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