概要
2017年3月から公開され、物語は前作「霹靂天命之仙魔鏖鋒」に続く第二部である。
作品名は歴代最長であり、通常は「斬魔錄」と短く略称される。
また、全60話の作品は「霹靂狂刀」以来である。
タイトルの「斬魔錄」は作中の九天玄尊が使用する技の名称。
一切登場していない作品の一つで、作中の会話シーンのみ彼の名前を確認できる。
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あらすじ
地冥の計画で災害に襲われ続ける中原武林。
彼の陰謀を阻止せんと天跡たちは動き出す。
天地人玄黃三乘の関係に変化が生じ、闘争はさらに激しさを増していく。
鬼麒主と君奉天も戦局に加わり、局面は混沌の渦に巻き込む。
天地人三乘の起源である「雲海仙門」。
かつて創始者の九天玄尊は何者かに殺され、彼の死は謎のままであった。
三人の闘争につれ、仙門の中に潜む秘密は徐々に明らかにされていく。
島が邪気に汚染されていく中、彼らは公孫月を救出すべく船で示流島に乗り込む。
危険に包まれた示流島、迫りくる謎の邪気「厄禍」に立ち向かい、新たな戦いが始まる。
主な登場人物
天跡(てんせき)
天地人三乘の一人、またの名は「神毓逍遙」。
飄々とした性格の仙人で、地冥と敵対している。本作の主役の一人。
人覺(じんかく)
天地人三乘の一人、またの名は「非常君」。
人之最である寄曇說を補佐する役目である。
鬼麒主となんらかの関係を持つようだが……。
地冥(ちめい)
天地人三乘の一人、またの名は「無神論」。
あらゆる災害を間接的に引き起こし、武林を破滅に導こうとしている。
容貌は天跡と瓜二つで、前作の黒幕その一。
君奉天(くんほうてん)
天跡の弟弟子。生真面目な性格で、儒門で法儒の職に就いている。
死んだはずの鬼麒主の正体を突き止めるため動き出す。
鬼麒主(ききしゅ)
元幽界軍師、策を用いて天跡と地冥たちを排除しようとしている。
本物の鬼麒主はすでに殺され、現在の鬼麒主は明らかに偽者である。その正体とは……。
前作の黒幕その二。
雲渡山の高僧、本作の主役の一人。
寄曇說の天命が果たしたのち、再び人間界に戻った。
三先天の道教先天。後半から登場。
道武王谷の内乱に介入し、劍非道らに協力する。
雲海仙門
(うんかいせんもん)
仙人たちが共に修行する組織、天跡たち天地人三乘の出身地。
多くの伝説と謎が秘められている。
九天玄尊(きゅうてんげんそん)
雲海仙門の創始者。天跡たちの師匠で、天地人三乘を指名した張本人。
かつて多くの伝説を残した。何者かによって殺され、真相は謎のままであった。
雲徽子(うんきし)
現在の雲海仙門の指導者、玄尊の死の真相を調べる。
兄弟子の天跡によくいじられる。ギャグシーンあり。
德風古道
(とくふうこどう)
儒教の組織、武林の災害を防ぐために動き出す。
本作から各分派の人物が次々登場する。
玉離經(ぎょくりけい)
德風古道の主事、フランクな性格で人望がある。
本物の鬼麒主と何らかの関わりがあるらしく、自分の出身に疑問を抱く。
雲忘歸(うんぼうき)
德風古道の司衛。瀟洒でマイペースな性格。
邃無端(すいむたん)
德風古道のメンバー。單鋒劍の使い手。一話で操られ墨傾池を殺してしまう。
その行為を深く悔いを感じ、兄弟の劍咫尺と共に命夫子に師事する。
御鈞衡(ぎょきんこう)
德風古道の文輔。慕靈風に憧れ、武芸を精進し成長していく。
命夫子(めいふし)
昊正五道の劍儒尊駕。「劍顛」の二つ名を持つ老人で、剣魂の使い手。
劍咫尺と邃無端を弟子入りさせ、剣術を教える。
映霜清(えいそうせい)
昊正五道の鳳儒尊駕。術法に長じる女性で、玉離經の記憶を呼び覚ます。
敬天懷(けいてんかい)
分派「仁宇明聖」の主。德風古道の創始者の末裔で、儒門の剣術奥義「天衣無縫」を極めている。
庭三帖(ていさんちょう)
分派「一筆春秋」の主。人覺の友人である。過去の因縁で兄・命夫子のことを恨んでいる。
慕靈風(ぼれいふう)
分派「奕德熙天」の主。德風古道の創始者・制天命の末裔である。
映霜清と何らかの関係があるようだが……。
俠儒無蹤(きょうじゅむしょう)
昊正五道の侠儒尊駕。後半から登場。
剣術を得手とする侠客で、琴をたしなむ。本作では本名が明かされていない。
皇儒無上(こうじゅむじょう)
昊正五道の最上階に鎮座する皇儒尊駕。後半から登場。
かつて九天玄尊とともに修行してきた大先輩。
地冥勢力
地冥に属する部下たち。物語前半の敵対勢力。
軒戎元爭(けんじゅうげんそう)
圓公子の息子。表は盛世歸圓の盟主を演じ、裏では殷墟帝少として活動。
武林に復讐するため、災害を起こすが……。
小丑傀一(しょうちゅうかいいち)
闇域
(あんいき)
槍界の天子臺の正体。苦境三界の隙間にあり、幽界と敵対している。
事実上は地冥の旗下の組織である。
闇影(あんえい)
闇域の主。地冥の力で「闇」と「影」の二人を一人に合体した闇の復讐者。
「影」は精霊天下の亡き領主・寒武紀だったことが判明。
「闇」の正体は天邪眾と関係があるらしいが……。
無人榜(むじんぼう)
天子臺の管理者。術法の使い手。家族はかつて鋒魔と関わりを持つ。
実は地冥の信者である。
無限恨(むげんこん)
妹の命を奪った幽界に復讐するため、地繭無限が覚醒した姿。
開眼すると未来をも予見できる。
孤星淚(こせいるい)
槍中弒神の二つ名を持つ槍使い。言葉が話せない。
闇影の一部は父・寒武紀であることから、彼のそばに仕える。
紫燁疾邪(しようしつじゃ)
邪天子が地冥の力によって蘇生され、若返った姿。掴み所の無い性格。
体の負担が厳しくなる一方、劍瑯琊に惚れるが……。
幽界
(ゆうかい)
異次元にある魔族たちが住む世界。
劍瑯琊(けんろうや)
劍上缺の娘、強気な女剣士。オッドアイが特徴で、武器は血劍と血鞭。
父の死の真相を追究すべく、武林各地に奔走する。
劍上缺(けんじょうけつ)
故人。「鋒魔」の二つ名を持つ幽界の剣豪。理性を失い殺戮を繰り返したのち、謎の死を遂げる。
禍天韙(かてんい)
劍上缺の義弟にして鬼族の剣豪。樂尋遠に救われ、しばらく彼のもとで行動する。
姪・劍琅琊のことを大切にしている。
原始魔君(げんしまくん)
幽界の魔君。闇域に負けたため、無限恨の要求に応えて一時引退。
九嬰(きゅうえい)
幽界の聖母。闇域に負けたため一時引退。
示流島
(じりゅうとう)
神州の外海に存在する島。東瀛の植民地。四つの州に分けられる。
北方から邪気の汚染(邪染)がはびこり、住民たちを苦しませた。
北域一の刀客。妻を救うべく、娘と劍隨風とともに示流島に乗り込む。ギャグシーンあり。
劍隨風(けんずいふう)
蝴蝶君の相棒。天然ボケな剣客。その正体は地冥の息子・離凡だった。
地冥の作風に不満を抱き、蝴蝶君とともに示流島に入る。ギャグシーンあり。
古小月(こしょうげつ)
蝴蝶君の娘。聡明な少女。父とともに示流島に上陸する。
聖苗の血統を持つことが原因で、命が狙われる。
秋山笑英(あきやましょうえい)
示流島の君相。文武両道で、島内の政治や邪染問題に献策する。
西川龍鳴(にしかわりゅうめい)
示流島一の剣豪。西州部を統治する西鳴侯。秋山に不満を抱いている。
御天者(ぎょてんしゃ)
邪気あふれる謎の人物。莫召奴と同じ姿をしている。天照神社で公孫月を連れ去る。
蝴蝶君の妻。聖苗の血統を持つことが原因で、示流島で遭難し囚われの身となる。
邪獄明王(じゃごくみょうおう)
示流島の邪染の黒幕。掛け軸の中に封じられている。その正体は天邪眾の一員である。
狼辰四曜
(ろうしんしよう)
啟示國度の刀法「狼辰四曜」は四つの部分に分けられ、それぞれ選ばれた一人ずつが修得している。修得者四人で競い合い、決闘に勝ち抜いた者は四つの刀法を融合させ、完全なる「狼辰四曜」の刀法が得られる。
恨吾峰(こんごほう)
啟示國度の英雄。妻の死に落ち込んでいる中、友人の肖流光と再会。
狼辰四曜の一人で、「天煞孤辰」の宿主。
肖流光(しょうりゅうこう)
恨吾峰の友人。性格は恨吾峰と正反対で、豪快かつお祭り騒ぎ好きな刀客。趣味はサーフィン。
狼辰四曜の一人で、「破軍忌辰」の宿主。
霍飛雄(かくひゆう)
刀皇の称号を持つ刀客。劍非道の旧友で、万堺塵濤時期に登場したことがある。
とある事件で狼辰四曜の「陀羅滅辰」の宿主となり、真相を究明すべく姿を現す。
白髮刀狼(はくはつとうろう)
馭能天と名乗る謎の刀客。狼辰四曜の一人で、「陀羅滅辰」の宿主。
すでにもう一人の狼辰四曜「空劫喪辰」を吸収しており、道武王谷で恨吾峰らと対峙する。
道武王谷
(どうぶおうこく)
閉鎖的な道教組織。陣法によって堅く守られており、外部と隔絶している。
掌門の死によって内乱が起きている。
太上府の府尊。天跡から仙術を学び、仙脚の護衛役を担当。
旧友・霍飛雄との出会いをきっかけに、道武王谷に踏み入る。
半完人(はんかんじん)
無上市の市長、前作にも登場した謎の商人。
その正体は道武王谷の創設者であり、内乱に介入し劍非道らに協力する。
泰誓(たいせい)
界天塔の尊敕殿主。劍非道の友人。内乱を止めるべく過激派と対抗する。
朱尊(しゅそん)
道武王谷の次期掌門。劍子仙跡の友人。過激派によって負傷される。
全真子(ぜんしんし)
道武王谷の道術の達人。過激派に加担し、陣を張って外部と隔絶させた。
師である半完人をライバル視している。
列御子(れつぎょし)
道武王谷の至高三修の一人。過激派のリーダー。一部の人員を率いて界天塔内で反乱を起こす。
崇玉旨(すうぎょくし)
万堺同修會の道教掌門。悪事の限りを尽くす卑怯者。
傲笑紅塵の追撃から逃れ、列御子の反乱に加担する。
精霊天下
精霊たちの組織、地冥の掌の上で踊らされている。
皇暘曜雪(こうようようせつ)
狩宇天脈の雪爵。亡き主・逆神暘の遺言に従い、精霊たちを地冥の束縛から解放する。
その後、同胞たちとともに武林から引退するが……。
冷飄渺(れいひょうびょう)
雪藏一脈の雪君。妻・天織主を地冥の束縛から解放し、共に隠居するつもりだが……。
天織主(てんしきしゅ)
禁城血脈の領主。地冥の束縛から解放され、夫とともに結界に入り、隠居するつもりだが……。
碧琉璃(へきるり)
神脈の領主。普段は神暉主(しんきしゅ)と呼ばれる。
生き残った精霊たちを守るために結界を展開する。
碧雪妍(へきせつけん)
神暉主の部下。後半から登場。
脱走した步軍殤を捕えるべく行動するが、次第に彼に惹かれていく。
步軍殤(ほぐんしょう)
獸脈王族の生き残り。後半から登場。
罪人として長い間監禁され続けたが、地冥の力が弱まったことで脱出を果たす。
天邪眾
(てんじゃしゅう)
後半から登場する敵、またの名は「天邪八部眾」。「厄禍」の力を使いこなす。
八歧邪神の手下で、死しても他人の肉体を乗っ取って転生する能力を持つ。
鸑變迦羅(がくへんから)
天邪眾の末邪王。大漠蒼鷹の体を乗っ取って転生する。
闇禘(あんてい)
天邪眾の御邪王。闇影の体を乗っ取って転生する。
馭能天(ぎょのうてん)
天邪眾の競邪王。狼辰刀競や道武王谷の変にかかわる。
蚩羅(しら)
天邪眾の夜叉梟王。とある人の体を乗っ取って転生し、精霊天下で殺戮を繰り返す。
鬼麒主
本物の鬼麒主。天邪眾の鬼龍王で、幽界に潜入し軍師として活躍した。
かつて君奉天によって殺されたが……。
その他
寄曇說(きたんせつ)
人之最の天命を持つ僧侶剣客。楚天行の死で魔の道を進むが、ほどなくして正気に戻る。
武林を災害から守り続け、天命が果たした時、一頁書を降臨させる。
劍咫尺(けんしせき)
寡黙な剣客。單鋒罪者としての価値が亡くなり、鬼麒主に切り捨てられた。
その後命夫子に拾われ、兄弟の邃無端とともに命夫子に師事する。
樂尋遠(らくじんえん)
下剋上の梟雄。本作では盛世歸圓の副盟主から盟主にのし上がる。
神州統一の野望を秘めながら、各勢力の間に斡旋する。
聶寒(じょうかん)
「鬼斧神工」の二つ名を持つ鍛冶師、冷飄渺の師匠である。天跡と君奉天の武器を作った張本人。
越驕子(えつきょうし)
人覺の双子の弟。人覺に強い嫉妬心を抱いている。
異斬魔彎(いざんまわん)
鬼族伝説の刀使い。越驕子から魔刀を入手し、彼の要請を受け奥義「問心一斬」を極める。
「冥想者」と名乗る謎の男性。後半から登場。
天邪眾に接近し、協力するそぶりを見せるが……。
用語
昊正五道(こうせいごどう)
德風古道の上層部にある地域。五つの階層それぞれに一人の守護者が守っている。
守護者たちの試練を突破できれば、彼らに助力を要請できる。
前作から登場した君奉天と命夫子に加え、本作から五人全員が登場する。
守護者 | 階層 | 称号 |
---|---|---|
君奉天 | 第一道 | 法儒無私 |
映霜清 | 第二道 | 鳳儒無情 |
命夫子 | 第三道 | 劍儒無涯 |
?(本名不明) | 第四道 | 俠儒無蹤 |
藺天刑 | 第五道 | 皇儒無上 |
示流島戦役(じりゅうとうせんえき)
はるか昔、東瀛示流島で行った伝説の戦い。
強大な邪気「厄禍」を鎮めるため、九天玄尊を含む八人の剣士たちが戦いに参加した。
百日にも及ぶ激闘を繰り返したのち、「厄禍」はついに示流島に封印された。
この戦いの後、帰郷した剣士たちの体に異変が起こったという……。
参戦者たちは物語が始まる時点で、命夫子以外のほぼ全員が故人となった。
参加者 | 読み仮名 | 身分 |
---|---|---|
九天玄尊 | きゅうてんげんそん | 雲海仙門の創始者・本戦役の招集者 |
方御衡 | ほうぎょこう | 德風古道の創始者 |
命夫子 | めいふし | 德風古道の劍儒 |
劍上缺 | けんじょうけつ | 幽界の鋒魔 |
荒漠孤鷹 | こうばくこよう | 風之谷の英雄 |
厄禍(やくか)
示流島より現れた強大な邪気。正式名称は「厄禍之始、萬惡之初」。
上述の戦いで九天玄尊によって封印されたが、何かしらの原因で再び解き放たれた。
邪気に操られた人の性情は急変し、殺戮と謎の行動を行うようになる。
現在の示流島は「厄禍」の汚染に苦しませている。
八歧邪神(はっきじゃしん)
東瀛百妖巻に登場する最強の妖怪で、八つ首を持つ邪竜。示流島戦役の最大の敵。「厄禍」の力を駆使し、手下の天邪眾を率いて世を乱した。
モチーフは日本神話のヤマタノオロチ。
帝釋(たいしゃく)
地冥の本拠地に潜む謎の人物。武林の破滅を企む。かなり尊い存在らしく、地冥から「帝父」と敬称される。
帝釋は元々九天玄尊の称号だが、その正体は果たして……。
跡魔(せきま)
九天玄尊の墓で発見した書類の中に記載した単語。
とある真相を意味するらしく、君奉天を悩ませた。
冥霾邪滍(めいばいじゃち)
東瀛百妖巻に記載された大妖怪。
百妖卷の中では第三位に列する妖皇。竜の顔を持つ、黒き巨大なムカデ。実体がなく、全身が邪気で構成されており、通常の攻撃は一切通用しない。瘴気を放って攻撃を行う以外、小さな黒いムカデも召喚できる。
回想シーンで天跡たちに消滅されるが、同時にその体内についてる謎の何かが、天跡の身に憑りつくことになる……。