概要
二代目火影こと千手扉間が開発した、口寄せの術の原理を応用した時空間忍術であり、あらかじめチャクラによりマーキングした場所・対象まで瞬間移動する術。
四代目火影こと波風ミナトはこの術を十八番としており、これを用いた超速戦闘を得意とした。
その結果「木ノ葉の黄色い閃光」と呼ばれる所以となり、第三次忍界大戦では敵国の上忍達からも「黄色い閃光と会ったら逃げろ」と恐れられ、忍界トップクラスのスピードを持つ四代目雷影とも渡り合った。開発者の扉間も、この術の使い手としてはミナトの方が上手である事を認めている。
取得難易度は「S」ランクであり、単独にて使用できる者は扉間とミナト(後にボルト)以外におらず、実質的に2人専用の術となっている。ミナトの護衛小隊であった不知火ゲンマ、並足ライドウ、たたみイワシはミナトからこの技の手ほどきを受けており、3人がかりではあるが人1人なら移動させることができる(彼らの場合は「飛雷陣の術」と区別される)。
ミナトが大した疲労もせずに連発していることから基本的なチャクラ消費量は少ないものと思われるが、移動させる対象の数や大きさに応じて消費量が増加する。劇中では、ミナトが九尾と共に移動した際に大半のチャクラを消費して息切れするほど消耗している。
瞬間移動の目標点となるマーキングについては事前に術者が対象にチャクラを流し込むことにより行われ、対象には短冊サイズの独特な模様が浮かび上がる。この模様は術者によって違っており、扉間は「三本線+二重丸+バツ印」、ミナトは「忍愛○○(後ろの二文字は文字が崩れており読めない)」「忍愛之剣(穢土転生体時)」となっている。このマーキングは最低でも20年近く長持ちし、術者が死んでも消えることはない。また、術者はマーキングの場所を遠隔からでも知覚・区別することができる。
瞬間移動する際は、術者が直接ないしチャクラにて間接的に触れている対象も一緒に移動でき、対象の大きさを問わない。劇中では、ミナトがナルト&九喇嘛のチャクラを併用し、事前に2人(1人+1匹)のチャクラを渡された人と共に瞬間移動する離れ業を見せた。扉間は影分身の術の原理を応用した物だと説明していた。
時空間忍術なため忍術無効を無視することができ、触れた忍術を無効化する求道玉や忍術が効かない六道仙人の身体であっても問題なく移動させることができる。
使い手としてはミナトの方が上と認めているものの、扉間もそれまで自分以外に飛雷神の使い手など見たことすら無かった筈にもかかわらず、戦闘中に自分とミナトのマーキングを即興でリンクさせて両者が使い分けられるようにしているなど、術への理解度は当然高い。さらに、扉間はミナトに付けられた求道球を引っぺがし、被害が出る前にオビトの元へと飛んで返却するといった使い方(通称「卑遁・クーリングオフ」)を見せている。
また、下記の「飛雷神・二の段」や「飛雷神斬り」にて、持ち手にマーキングが施されたクナイの後ろや真上に移動しているため、出現位置はマーキングを起点として微調整できる可能性がある。
チャクラを活性化させて高速移動する瞬身の術(一般的には変わり身の術などと併用される)と混同されることもあり、ミナト自身も生まれたばかりのナルトを仮面の男から取り戻す際には高速移動の方の瞬身の術を使っているような描写もある。原作501話での仮面の男は「術式マーキングのある空間から空間へ瞬間移動するミナトの瞬身の術」と解説し、637話・650話の扉間や644話の油女シノなど、飛雷神の術のことを「瞬身の術」と言う場合もある。移動原理は異なるが、開発者の扉間的には飛雷神の術は瞬身の術の類という認識なのだろうか。
ボルトの飛雷神について
「BORUTO」において木ノ葉を追われたボルトもこの術を会得しているが、「じいちゃんほど器用じゃねえ」という本人の言葉通り、印が必須な上に、発動に若干のタイムラグが存在する。そのため、実戦運用に耐えられないほどではないが、扉間やミナトのように率先して戦術に組み込めるほどでもなく、タイムラグが気にならないほどの時間的猶予がある状況における回避・撤退・位置取り用途となっている。
なお、ボルトの使う飛雷神の術は果心居士の協力のもと独学で覚えたものだと語られているが、より厳密に言えば居士の神術「十方」によってとある未来でボルトが独学で会得したものを居士が説明し、現在のボルトが前倒しで習得したという経緯がある。
原理としては、ボルトが使うものの根幹は大筒木一族の基本能力の一つ「時空間転送」であり、「とある未来」のボルトがこれをコントロールしようと6年間試行錯誤を続けた結果、「自身のチャクラを付与した『マーキング』を感知し、そこに向けて自身を転送する」忍術として成立させることに成功。
この原理が奇しくもミナトの術と同じ結果を生んでいたことから、祖父にあやかり「飛雷神の術」と命名した……という話である。
ただし扉間が造り上げたオリジナルとは異なり居士の言う通り「亜流」であり、
- マーキングの確認はチャクラ感知で行うが、マーキングした物体が同じ形状だと飛ぶべき場所を掴めず混乱する
- 確実・迅速に転送できるのは視界内であり、距離が遠くなればなるほど感知が困難になる
と言った制限がある。
ボルトはこれをカバーするため、口寄せ蛙を通じて居士に視界をフォローしてもらうことで単独での作戦行動を可能としている。
これらの事実が明らかになったことで、逆説的に元々の使い手である扉間とミナトがとんでもない高レベルの技を披露していたことが判明している。
特にミナトは「マーキングクナイを大量にばらまき、場所を一切間違わずノーモーションで転移する」というボルトの完全上位の立ち回りを基本スタイルとしており、扉間をして「ワシ以上の瞬身使い」と言わしめたのも納得である。
ただしこちらは大筒木の時空間にも移動する事が可能で神威の時空間から戻ってこられないミナトの飛雷神には無いメリットも有る。
使い手一覧
波風ミナト:彼の代名詞と言える技
千手扉間:術の開発者
うずまきボルト:開発者や祖父程の発動速度には至っていない
派生技
飛雷神斬り
アニメ版によれば、通常のクナイと共にあらかじめマーキングしたクナイを相手の元へ投げ、クナイが相手に近づいた直後に術を発動、相手にスキを与えず刀で斬りつける技。通称「卑劣斬り」。動きを見切り、避けるといううちは一族の「写輪眼」の性質に対して対策として作られた物と思われる。
扉間が使用し、うちはイズナに致命傷を負わせた。
飛雷神・二の段
投擲したマーキング状態のクナイが対象を横切った直後にその頭上へ瞬間移動して奇襲する技。飛雷神斬りと似ているが、こちらはクナイを陽動とした奇襲技という側面が強い。
九尾事件の際、ミナトが九尾を操った仮面の男相手に使用し、仮面の男がクナイをすり抜けた瞬間にその頭上へ移動して螺旋丸を当てることに成功した。
飛雷神・導雷
空中に巨大な術式を出現させ、それが飲み込んだ対象をマーキングした場所へ瞬間移動させる術。印は巳→午→子→未の順。飛雷神関係の術の中では対象に突っ込んできてもらう必要こそあれ、術者が一切触れずとも対象を移動させることができる唯一の術である。また、完全に飲み込んだ後から移動が完了するまでに若干のタイムラグが存在し、その間に移動先を決める。
ミナトが九尾事件時に初披露し、尾獣玉を山間部へ移動させるために使用した。
文字通り避雷針のような術である。
飛雷神互瞬回しの術
術者2人が互いをマーキングした状態にて、片方が対象に接触後、もう片方が(敵味方問わない)大技を食らった瞬間に互いが互いのマーキングへ移動することにより、対象に既に大技が被弾している状況を強引に押し付ける連携技。
作中では、いくらダメージを負おうとも再生する穢土転生の肉体を活かしたミナトが味方の大技をわざと食らい、扉間が接触していたオビトへ被弾を押し付けた。なお、生前の扉間は自身の影分身を用いて行っていた。
螺旋閃光超輪舞吼参式
ミナトが使用。敵の陣地にマーキング付きのクナイを多数投げ、瞬間移動を繰り返しながら相手を連続攻撃していく技。原作では不発に終わっているがアニメでは成功している。
ちなみに扉間はこの時、彼のこういった独特なネーミングセンスで笑いそうになっていた。
余談
扉間がこの術を使う際は、ファンから「卑雷神の術」とよく呼ばれる。