概要
武装輸送団「無敵運送」のリーダー、アッシュ・キングの搭乗するモビルスーツ。
元々は太陽光発電王と呼ばれたアッシュの祖父、アンクル・キングがフランク・オズの工房に発注した機体。
サナリィの試作型モビルスーツ「F89」のフレームが組み込まれた機体であり、18m級の機体としては最後発に位置する。
「ミキシング・ビルド」と呼ばれる複数の機体のパーツをつなぎ合わせてレストアされた機体であり、「アンカー（碇）」の名が示す通り、頭部にはそれを思わせる形状のヒートカッターが装着されている。
ミキシング・ビルドは複数の異なる設計思想の機体のパーツを組み合わせて構成される為、機体バランスが劣悪な機体も少なからず存在するが、アンカーは名工と呼ばれたオズの手によってレストアされた為、バランスは良い。
ただし、長い間戦場で改修を加えられてきた為、全長も関節のパーツ交換等によって上下しており、必ず一定の仕様であるとは言い難い。
徹底的なミキシングが行われた機体ではあるが、武装の殆どを資源採掘で使用される作業用機械から転用している為、高い整備性を保っている。
X字に配されたプロペラント・タンクやツインアイ、頭部放熱機構など、クロスボーンガンダムを思わせるパーツ構成が見られるが、これはオズがサナリィ時代にクロスボーンガンダムの開発に関与し、その技術をアンカーに反映させた可能性が示唆されている。
コックピットは全天周囲モニターを採用しているが、技術力の低下によるメンテナンス不全もあって普段は後付けされたモニターに機外の映像を映し出している。ただし、全天周囲モニター自体は完全に死んではおらず、戦闘で必要になった際にモニターを点灯する事が可能。
また、宇宙世紀0168年代に希少価値の高いビーム兵装を装備している機体でもある。
武装
ヒートカッター
頭部に搭載されたカッター。
戦闘では頭突き攻撃に用いられる他、敵に頭部を掴まれた際には高速回転させる事で難を逃れる事も出来る。
普段は縦に配置されているが、回転・収納ギミックによってV字に変形し、ガンダム然とした頭部シルエットを形作る。
パイルバンカー
脚部に内蔵された炸薬式打突杭。蹴撃と同時に繰り出す事で、杭の貫通力が付与される。
使用時には脛部カバーが展開し、炸薬の排莢が行われる。リロードまでの時間が短く、連続した蹴りを繰り出す事も可能。
回転シールド
アームによって左腕に接続されているシールド。
変形させる事で高速回転する打撃武器として使用する事が出来る。
DUST計画実行時にIフィールド発生器を内蔵して、ビームを寄せ付けない。
アックス・ガン
ナックルダスター状複合兵装/ビームサーベル
宇宙世紀0168年代に於いて、メンテナンスの難しさから希少価値の高いビーム兵装。
普段はマシンガンとアックス（ナックルダスター）を組み合わせた複合兵装として機能する。
ビームサーベルは標準的なそれと比較して幅広のビームを放出するが、稼働時間は12秒と短い。
マシンガンは機体本体と給弾ベルトで接続されており、またマニピュレーターから離した状態でも発射可能。この特徴を利用し、アッシュはこれを投擲し、その後マシンガンを遠隔発射して振り回す事で乱戦に対応して見せている。
ヒート・セラミック弾
右胸部に格納されている火箸。射撃兵装にも転用でき、一度の戦闘で二発までしか撃つ事が出来ない反面、高い貫通力を誇る。
イカリマル
大型の錨を思わせる外見を持った大型ビームサーベル。
元々は40m級の大型モビルスーツ用に木星で開発されていた機体で、ムーン・ムーンの海底都市リュグージョで発見されたムラサメ用に用意されていた物だったが、紆余曲折を経てアッシュの手に渡った。
スラスターが内蔵されているので、18ｍ級のアンカーであっても振り回す事ができるが、ビームサーベルとしての使用についてはアンカーのジェネレーター出力の問題からエネルギーチャージに時間がかかる上、ビーム発生器の周辺にしかビーム刃を展開出来ない。
アンカーV3では、調整の結果大型ビームサーベルの発振が可能となっている。
ビーム・キャノン
遠距離攻撃型パックに2挺装備されている試作型ヴェスバー。
アンカーの前身であるF89の純正装備の一つ。
F90やF91に採用されている物の試作品の更に試作品であり、火力に優れるものの三発撃てば本体ごと停止してしまうなど、後発の物と比べると信頼性に欠ける失敗作。
賛美歌の国（ルナツー）に鹵獲され、首切り王の「最強の装備をつけろ」というオーダーに応じてオズが取り付けたが、首切り王に不信感を抱いた彼によって敢えて欠陥装備であることを伏せられていた。
アックス・ライフル
大型の実体斧とライフルを組み合わせた複合兵装。
「再投火の日」にF98が装備していた兵装で、主に「アウトレンジモード」での主兵装となる。
モビーディック・アンカー
対大型MA用兵装で、ワイヤー付きの巨大な銛とライフルで構成された身の丈程の大型兵器。
銛は、対象に突き出すことで電流を流す事が出来る他、銛を射出する為の装備をパージすれば、ライフルとしても使用可能。
ライフルは速射は出来ないものの一発の威力は高く、銃身下部には近接用の刃も備えている。
バリエーション
アンカーV2
「再投火の日」の後、キュクロープスの協力の元にフランク・オズとフォント・ボーがアンカーを改修した機体。改修目的は「イカリマル」を無駄なく有効活用することと、それによる戦闘継続時間の延長の二点である。そのため背部スラスター基部に「イカリマル」を装備するアタッチメントを増設、更に膝から下の脛部をキャタピラユニットが内蔵された脚部に換装している。この為パイルバンカーがオミットされているが、戦況によっては元に戻すことも可能。
「イカリマル」を推進器として利用する形態は「アウトレンジモード」、武器として利用する形態は「インファイトモード」と呼ばれ、アウトレンジモードでは手に射撃武装を装備して中距離・遠距離戦闘に対応、インファイトモードではイカリマルを手持ち武器として使用する。
この他に右肩後部に強度向上と長さが延長されたワイヤーを収めるワイヤードラムを増設、これにより攻撃半径は60mにも及ぶ。
アンカーV3
アンカーV2を改造し、背部にミノフスキードライブを搭載した『V3スラスター』を装備した機体。
『V3スラスター』自体はアンカーV2への改修段階でフランク・オズとフォント・ボーによって設計されていたが部品供給先のキュクロープスとの関係が途絶え、製作が停滞したかに思われたが、フランク・オズがブラン・リオンの予備パーツを流用することで完成させた。
『V3スラスター』の使用可能時間は15分程度で、イカリマルを併用した通常のスラスターとして使用するが、ミノフスキードライブ使用時の推進力は最新のブラン・リオンに劣るものの、UC0153年時のファントムに匹敵する。
アンカーV4
V3に並行して開発が進められていた『DUSTスラスター』を装備したアンカー。
爆発的な加速を生む、交叉した骨を思わせる形状の特殊スラスターを取り付け、最新のミノフスキー・ドライブ搭載機とも互角(もしくはそれ以上)の速度で戦えるアンカーの最終形態。
DUSTスラスター以外の改修点としては、元は左腕にのみ取り付けられていた回転シールドを両腕に取り付け、ヒートセラミック弾を撤廃(貫通力に特化したこの武装はバロックには効果が薄いと思われる為)、空いたスペースには脱出用パラシュートが設けられた。
しかしこのスラスターは爆発的な加速を生む代わりに、機体とパイロットに大きな負荷を掛けるため長時間の運用は不可能である。
『DUSTスラスター』はスラスター内部で爆発物を爆破し、その際に生じるエネルギーを高圧で制御し、それを一方向に集中させるという単純な機構ながらも凄まじい推進を可能にしている。
当然ながらスラスターの内部で爆発物を使用するという事はスラスターを噴射する度に機体そのものに想定以上の負荷を掛け、スラスター自体のダメージも大きい上に、パイロットに掛かるGも大きい為、一歩間違えれば空中分解の危険性を孕んだ『諸刃の剣』である。(実際アッシュは吐血しながら戦っていた。)
DUSTスラスターの由来は「爆発物の粉塵を推進に用いている為」というシンプルなモノ。
ちなみにスラスターの形状が「クロスボーン・ガンダム」のモノと似ているのは単なる偶然であり
後の時代の研究者がこの形態の事を『クロスボーン・ガンダムDUST』と呼称していたらしいが、当時使われた名称ではない。
F89
サナリィがF90開発の前段階として宇宙世紀100年代に開発した18m級の試作機。連邦軍から接収したガンダムNT-1の機体構造を基に、サナリィ独自の技術を導入して完成させたMSである。
詳細はF89を参照。
外部出演
ガンダムブレイカーモバイル
2021年3月24日～31日に開催されたイベント『灰の玉座』にて入手出来るアイテムとの交換、若しくはログインボーナスにて本機のパーツが獲得可能。
ゲーム作品への登場は今回が初となる。
