概要
白い顎髭に青いとんがり帽子、長い杖がトレードマークの魔法使い(イスタリ)である。
人間ではなく、西の海の果ての神々の住む国アマンから二代目の冥王サウロンに立ち向かう勢力を一つに束ねるべく遣わされた5人の賢者「イスタリ(単数形イスタール)」の一柱とされる。
本人いわく、「(ガンダルフとして)通常の人間の500世代分は生きてきた」。指輪戦争時には最低でも2000年程度は中つ国にいたことが判明している。
マイア時代、元々はエルフたちに想像力などを吹き込む役目であった。本名は「オローリン」であり、エルフからの呼び名は「ミスランディア(灰色の放浪者)」、ドワーフからは「サルクーン(魔法使い)」などと呼ばれており、ガンダルフの意味は「杖を持ったエルフ」。実写映画『ホビット』シリーズでは、オークの首領(というかオーク鬼の)アゾグが、嘲りを込めていたのかは不明だが、ガンダルフに対してドワーフ語での呼称を使っていた。
なお、アイヌアとしての本来の姿は変幻自在だが、少なくとも化けた際には(サウロンがそうだった様に)超イケメンだと思われる。
ビルボの冒険とフロドと一つの指輪の出会いの間の約77年間、ガンダルフはサウロンが闇の搭を支配下に置いたことなどに際し、白の会議でサルマンが、サウロンが指輪を発見する可能性とその問題を軽視するように働きかけていた一方、指輪のことを知るために古い文献を調べたりアラゴルンにゴラムの調査を依頼したりホビット庄のチェックに行っていたりしていた(参照)。
能力
実写映画版においては、制作の都合上で灰色のガンダルフはサルマンよりも弱く描写されたが、原作においては、同等ともされる一方で灰色のガンダルフはサルマンよりも強いとされる場合もある。
本来の姿であるマイアでは、マイアの間でも最も賢いとされた。また、(誰と比較してなのかは不明だが)ガンダルフは「最高の知恵」を有する者ともされ、それはつまり、最も創造神エル・イルーヴァタールへの信仰が厚い者でもあったという事の隠喩である。ただし、その知恵は痛みと弱さを経て形作られたものだとも言われる(参照)。
あからさまな魔法を嫌うピーター・ジャクソンの好みが関係している映画版での演出のために、「魔力で強化された杖で敵と殴りあう怪力じいさん」と言われがちだが、単にイスタリの制約により魔法を大々的に使うことが禁じられていることおよび神霊(アイヌア)としての力を使えないのが大きい。
また、サウロンの注意を惹くのを避けるためと、おそらくは中つ国に与える破壊や非破壊的な影響が大きすぎるために魔法を余り使わないだけであり、制約無しの魔法と本来の下級神としての力をあわせれば、それこそ天候や地形を変えるなど造作もないことだろう。
- マイアールも天地・時間・空間・この世・あの世の創造や天体のコントロールなどに携わっている紛れもない下級神である。
- 同じマイアであるサウロンやオッセやウイネンなどは中つ国の人類から神として信仰されており、嵐を起こしたり、小さな大陸に匹敵する島を移動させたり、火山を噴火させたりなどかなり大規模な変動を引き起こしている。また、マイアールが参戦した「怒りの戦い」では大陸に匹敵する土地が丸ごと破壊されている。
灰色のガンダルフの状態ですら、ガンダルフは(山を腕力で崩壊させる)バルログと10日間ぶっ続けで戦い続け、山頂で戦闘していた時は遠方からも雷と焔の嵐が見えたらしい。
魔法
光と炎を操る力を持ち、その性格は、かれの操る火にも関連付けられる。炎のように激しく・また熱く、火のように明るく・また暖かい人物である。激しやすくもあるが冷静でもあり、これと同時に広く古い伝承に光を当て、多くの危機に警鐘を鳴らす人でもある。また、その最大の武器はとてつもなく広い人脈にあるという意見もある。
強い魔法を使うと敵に察知されるという事情もある。大鷲に乗ってからの一つの指輪のポイ捨てが出来ないのも、似たような理由の他に様々な事情があったからである。
ナズグルに対しても、灰色のガンダルフでは数で劣り、白のガンダルフならば余裕で勝てると推測されている。そのため、原作のファンには、アングマールの魔王がガンダルフを圧倒したエクステンデッドエディションでの描写を嫌う人もいる。
また、杖がないと魔法が使えないのかについては様々な議論がある。また、魔法の行使だけでなく、人間の魔法使いに紛れてカモフラージュにも役立ったり、ひ弱な老人を演じる際にも使われている。
- 「魔法使いの原典みたいなキャラなのに既成概念を打ち壊すキャラ扱いされる不思議」だとか「古典では魔法使いは一人で何でもできる前提のイメージや修行した求道者の延長として描かれてることが多いので身体が弱いって設定があまりでてこない」という意見もある。
魔法の種類
劇中で使用してきた魔法は、作戦のサポートや日常生活の充実化的な使用(食事の味を上質にする、火をおこす、など)がとくに多いが、戦闘などに役立つ魔法も実は多少であるが披露している。
- 火焔や燃焼
- 一帯を焼く尽くすほどの熱や雷光のような破壊の光の放射(「White Fire」)
- 爆破
- 雷撃・雷撃剣(後者は映画のみ)
- 衝撃波・武器に衝撃波の様な力を纏わせる
- 物質の崩壊
- 天候操作(映画のみ)
- 念力(遠距離にある物質を爆破することもできる)
- 水などの事象の操作
- バリア・破魔または退魔の魔法
- 聖なる光
- 武器強化
- 武装解除と武器破壊(バルログにも通じる)
- カウンター魔法
- 洗脳された対象を洗脳を上書きして正常な人格に戻す
- 巨大化の様な現象
- 生物や非生物を服従させる(つまり物質に命令ができる)
- 動物との会話
- 思考の読み取り
- 思考での対決(サウロンと直接やり合う事もあった)
- 回復術(厳密な魔法なのかは不明)
- 花火を火薬兵器レベルにまで威力を上げる
- 念力対決(ガンダルフとサルマンの「ころばせ合い」は、「多重結界を展開させつつ相手の結界を超高速で解除している」という高度な魔法合戦だとも推測されている)
などはやっている。また、お得意の花火を兵器レベルにまで強化して使うことも。
灰色のガンダルフの状態ですら、山を腕力で崩壊させるバルログと10日間ぶっ続けで戦い続け、山頂で戦闘していた時は遠方からも雷と焔の嵐が見えたらしい。
その他
- ファンによる考察では、ガンダルフが堕落したり任務を放棄しなかったのは、単純に最賢なマイアであった、というだけでなく、 彼の持つナルヤの為とか、ヴァラールから忍耐や憐れみなどを学んでいたから、という説がある。
- サルマンが堕落した数知れずの原因の一つに、ガンダルフに対する嫉妬があったらしい。イスタリにおいて立候補した筆頭がサルマンであったが、他のアイヌア達から推されて就任したのがガンダルフであったため。
- また、ガンダルフの「裏の性格」は計算高くて冷淡な部分があるという意見もある。
- 中つ国ではガンダルフについては良い噂もそうでない噂もあったのは事実であり、疫病神とも呼ばれていた。ガンダルフ自身もピピンに対して「自分はひどいジジイだ」という旨の事を話していた。
- トールキン教授も「もしガンダルフが一つの指輪を私用に転じたら、(悪意ではなく正義感のために)サウロンよりも遥かに良くないことになるだろう」としている。
- スマウグの討伐には、厳密に言うとドワーフ達は討伐よりも宝の奪還に興味があり、それをガンダルフが利用したのだが、実際にはドワーフとビルボの旅がなくてもサウロンが竜を懐柔する前に破壊するプランをいくつか考えていた可能性が指摘されている。ビルボの起用についても、元々は別の人材を探していたがダメだったというのが理由である(参照)。
- 「ガンダルフは成功したか失敗したか」については、成功だという意見がある一方で、サルマンの堕落やホビットの未強化など、できたのにしなかったり失敗した、という事がいくつかあるという意見もある(参照)。
- 「ガンダルフはスマウグを倒せるのか?」という疑問にも是非の両論がある(参照)。
余談
- 少なくとも名前のモデルは、北欧神話に登場するドワーフの「ガンダールヴル」だとされる。
- ガンダルフをアメリカ合衆国の大統領に推すスローガンが存在した。
- イアン・マッケランは、悪の鋼の魔法使いを演じていることでも有名である。また、アルバス・ダンブルドアへのオファーも来ていたらしい。
- ダンブルドアという名前の虫は、『指輪物語』の原作にも登場する。
- その名前の由来は、18世紀のバンブルビーの古い名称だともされる。