ゼーリエ
ぜーりえ
これだから魔法使いはやめられん。
魔法の世界では天地がひっくり返ることもある。
CV:伊瀬茉莉也
作中での魔法使い達を束ねる組織「大陸魔法協会」の創始者であるエルフの大魔法使い。
神話の時代の魔法使いと呼ばれており、1000歳以上のフリーレンより遥かに年上で、かつて伝説と称されたフランメの師匠でもある(つまりフリーレンはゼーリエの孫弟子にあたる)。文字通りの生ける伝説。
フランメからは「師匠(せんせい)」、フリーレンからは「ゼーリエ」、それ以外からは「ゼーリエ様」と呼ばれている(一部例外あり)。
性格
作中世界で屈指の力を持つが、"平和"を"停滞"と考える価値観から、魔王軍との戦いには干渉せず成り行きに任せており、現在でも残党狩りは全て部下に任せている(弟子であるフランメ曰く「平和な世界を想像できない人だから魔王を倒せない」)。
唯一の例外は黄金郷のマハトによって北部高原全体が黄金化されようとした時で、この時はさすがに部下と共に干渉している。
エルフらしからぬ好戦的で苛烈な性格をしており、外面も内面も傲岸不遜。
大陸魔法協会の組織運営もワンマン気質なところがあるが、部下や弟子の忠言はちゃんと考慮するタイプであり、自分の身立てが間違っていたと分かれば素直に謝罪の意を見せる事もある。
エルフとして長生きをしているためか死に対する意識が薄い所がある(これは同族のフリーレンにも共通している)。
人間関係
物語開始時点で故人。ゼーリエの1番弟子(優秀という意味で)。
ゼーリエよりもずっと背の小さな幼い頃から本人によって育てられたと思われる描写がある(本人曰く育てたのは気まぐれ)。出会いのキッカケは不明だが、師弟関係であると同時に一種の疑似親子のような関係でもあったと思われる。互いの方針こそ合わなかったものの、師弟関係以上に信頼し合っていた。
約1000年前(フランメがフリーレンを紹介してから50年後)にフリーレンからフランメの遺言状を受け取った際に「新設された宮廷魔法使いの教育を引き継いでほしい」と頼まれたが、「魔法は特別であるべき。才のある者以外に教えるつもりはない」という考えのゼーリエは怒って遺言状を破り捨てた(フランメはそれを予言していた)。
しかしそれから約1000年後、ゼーリエは大陸魔法協会を創立・監督し、一級魔法使いを弟子にとっている。
このことからゼーリエは、フリーレンが人間とともに魔王を倒したことを知って人間に魔法を教えてほしいというフランメの願いを思い出し、自分の考え(「魔法は特別であり、才ある者以外には教えない」)との折衷案で大陸魔法協会の創立・監督と一級魔法使いの教育を引き受ける気になったと思われる。
ゼーリエは研鑽と精進に必要なのは自分のような「強い野心やエゴ」による目的意識と考え、それが無い者は高みに至る事など出来ないという持論を持ち、それは現在でも変わらない。一方、その点で言えば失格だったフランメが誰よりも名を上げた事実には思うところがある様子。
大陸魔法協会を創立する以前からフランメを含めた沢山の弟子を取っているが、そのほとんどがゼーリエの足元にも及ばないまま歴史にその名を残さずに先立たれている。しかし、弟子たちの中で唯一フランメのみがその名を歴史に残している。
孫弟子にあたる彼女とはイマイチ折り合いが悪く、双方ともに塩対応。
初対面の際、ゼーリエはフリーレンの実力を認めつつも「野心がない。この子はダメだ」と断じ、フリーレン自身もまた「ゼーリエが望むほどの魔法使いになれていない」と自認。自分はゼーリエが望むモノを持っていないし、今後も持つことは無いだろうと確信している。
表立っての対立こそないが、一級試験ではゼーリエは独断でフリーレンを失格にし(これは単に嫌がらせ目的などではなく「他の受験者に比べれば圧倒的に実力は上ではあるものの「エルフの魔法使い」としては今だに技術が甘く、ゼーリエが望む水準に達していなかったから不合格にした」、とも取れる)、また協会を「千年間出禁」にした(逆を言えば「千年後は出入りしてもいい」という事であり、要は「千年修行して出直してこい」という彼女なりの叱咤激励とも取れる)。
これに対してフリーレンは「まったく子供みたいな人だよね」と言いつつ、若干凹んでいた。
しかし、同時に互いによく知る相手だからこそ一定の信頼は持っているようで、フリーレンは「ゼーリエの直感はいつも正しい」と評しており、一級試験の際のゼーリエの言葉も素直に受け入れている。
フリーレンの弟子でゼーリエからみると曾孫弟子にあたる。一級魔法使い試験の三次試験で初対面。
確認されている中で、ゼーリエの魔力の"揺らぎ"を(しかも初見で)見ることができた唯一の人物。
"揺らぎ"が見えたためその場で「私の弟子になれ。」と(半ば強引に)勧誘するも、「え、嫌です。」と一蹴される。直接の勧誘は断られたものの、有望な魔法使いであるフェルンを見逃すはずもなく合格とした。その後の特権授与では後述の《服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法》を譲渡している。
最初の一級魔法使いであり、大陸魔法協会創立後の最初の弟子でもある。「一級魔法使いになってから既に半世紀」という描写から、協会のかなり初期からのメンバーと思われる。
「(昔から)臆病な坊やのままだ」と言うなど古くからの付き合いのようで、本来レルネンが担当の一級魔法使い三次試験の試験官をゼーリエが独断で担当することになった際に柔軟に対応するなど、ゼーリエのわがままにも慣れてる様子。
人類の歴史上で生まれたほぼ全ての魔法を網羅しているといわれており、その万能さは「地上で全知全能の女神に最も近い」と評されるほど。
また神話の時代から生きているだけあって凄まじい魔力量を誇り、フリーレンのそれをもはるかに上回る(魔力を制限した状態ですら、制限を解除したフリーレンと同等という強大さである)。
それにも拘らず、魔力制御の技もフリーレン以上に使いこなしており、これまで一度も魔力偽装を見抜かれた事が無かったが、フェルンとの面接の際に見抜かれたことによって覆された。
ただし、一級魔法使いに与えられる"特権"の影響で、少なくとも「作中で一級魔法使いが特権で得たと明言されている魔法」は一時的に使用出来なくなっている可能性がある(理由は後述の《魔法を譲渡する魔法》参照)。
使用した魔法
- 基本的な魔法
ゾルトラークや防御魔法、飛行魔法など、かなりの練度で使用出来る様子。
以下、原作10巻以降のネタバレ注意 |
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- 《呪い返しの魔法(ミステイルジーラ)》
原作10巻93話で使用
呪いと認識したものを自動的に跳ね返す事が出来る魔法。
七崩賢最強といわれるマハトの《万物を黄金に変える魔法》を跳ね返し、逆にゼーリエの肩を掴んだマハトの手を黄金に変えた。
効果としては至ってシンプルだが、人類に対抗法がない"呪い"を自動的に無効化、反射できるかなり強力な魔法。認識さえできれば自動なので呪いの原理を理解する必要もない。跳ね返す呪いの効果の強さは相手の使用した強さに依るようで、もしマハトがもう少し本気を出していれば全身を黄金に変えることもできた。
"呪い"とは、魔法の中でも魔族や魔物が使う人類には原理がまったくわかっていない魔法のこと。デンケン曰く正確にはさらにその中で、眠らせたり石に変えたり生物や物質の状態を変化させる魔法の総称。
そんな呪いを無効化した上に反射できるこの魔法は、ゼーリエ曰く神話の時代の人類の英知の結晶であるとともに、魔法の論理的解明を捨てた最も原始的な魔法とのこと。ゼーリエとしては後半の印象が強いのか、あまり好きではないとも語っている。
これだけ強力な魔法なだけに、ゼーリエの実力をもってしても習得するだけで100年はかかる。また、魔力消費もかなりのもので防御魔法の全面展開に匹敵するが、ゼーリエは常時全身で使用していた。使用中は黒いオーラのようなものが使用している箇所(ゼーリエの場合は全身)を包んでいるように見える。そのため、相手の攻撃してくる箇所が事前にわかっていれば、ピンポイントにその箇所だけで発動させて魔力消費を抑えるられる可能性がある。
- 《魔法を譲渡する魔法(フィーアヴェリア)》
原作10巻96話で使用
自身が習得している魔法を他の誰かに譲渡する魔法。
一級魔法使いへの特権授与の際に使用している魔法で、この時はデンケンに《呪い返しの魔法》を譲渡している。
手順としては自身から本に魔法を移し、移された本を読む事で本来習得に長い時間のかかるような魔法でもすぐに使えるようになる。ただし、上記の通り自らの魔法を切り崩して与える形なため術者本人は使用出来なくなるが、再度同じだけの時間を費やし学び直す事で再習得・再使用が可能になる。
デンケンへの《呪い返しの魔法》譲渡に関して、その場にいたゼンゼは「呪いへの対抗手段を失う事になる」と危惧したが、呪いへの対策は他にいくらでもあるので問題ないと話した。
- 《服の汚れをきれいさっぱり落とす魔法》
原作7巻60話にて特権を使用したフェルンに譲渡した魔法。
服を綺麗にし、さらにフローラルな香りをつける魔法。
デンケンに《呪い返しの魔法》を譲渡した時と同じく、《魔法を譲渡する魔法》を使用して譲渡した。フリーレン曰く、神話の時代に存在したとされる伝説級の魔法なのだとか。
譲渡の際には「正気かお前?」とすごく嫌そうな顔をしていたとのこと。
ゼーリエがこの魔法を使っていたのかは定かではないが、譲渡後はこの魔法も学び直しているのだろうか…
作中の一級魔法使い試験から半世紀ほど前(具体的には勇者ヒンメルの死から20年ほど前の、試験からちょうど50年ほど前)にゼーリエによって創立された。具体的な創立年は不明。
九級から一級までの資格があり、全体で2000人いる。協会の規定では一般的に五級以上から一人前と呼ばれており、その五級以上が600人、そして魔法使いの頂点とされる一級魔法使いは45人いる。北部高原に入るには一級の資格が必要。
※数値は全て作中で開催された一級試験前に描写されたもの
一級魔法使い試験は3年に一度、オイサーストの北部支部と聖都シュトラールの本部の2か所で開催される。その他の級は一級よりも開催頻度・開催場所ともに多いと思われる。
一級試験に関しては合格者が出ない年も多く、当たり前のように死傷者が出ているなどそれなりの難関となっている。
理念と特権
ゼーリエは魔王軍との長い戦禍の時代の、洗練された魔法使いを未だに追い求めており、一級魔法使いの座に就いた者に"特権"として「一つだけ望んだ魔法を授ける」事を約束する事でより卓越した魔法使いを選出しようとしている。
リヒターによると今の一級魔法使いは人外を疑う化け物揃いらしいので、結果的にこの選出方法は成功しているといえる(ただし、試験自体が過酷過ぎて有望な受験者が試験途上で何人も死んでいるが)。
"特権"に関して、人の身では一生を費やしても習得出来ないような魔法でもすぐに習得出来るようになるため、より魔法という事柄を探究して欲しいという、弟子と同じ魔法使いとしての思いがあるのではないかと思われる。同時に、自身はエルフであるためどんな高等魔法でもありあまる時間をかければ習得出来てしまう事に、一種の寂しさを感じているような描写がある。
所属メンバー
資格は一級魔法使い試験編後のもの
一級魔法使い
画像右上
画像右
- ブルグ(故人)
- ゲナウの相棒(故人)
三級魔法使い
一級魔法使いは基本的にゼーリエの弟子になるのだが、ゼーリエはエルフらしく弟子の死に動じたり感情を乱す様子を特に見せないドライな性格をしている一方、弟子たちの事は鮮明に記憶しているらしく、「弟子を取って後悔した事は一度も無い」とまで言い切っている。
魔族との戦いの末に死んだ弟子の亡骸を見て「優しい魔法使いは長生き出来ない」とどこか寂しげな様子で呟き、その相棒であり同じくゼーリエの弟子のゲナウが悲しむ素振りも見せずに「立派な最期だった」と言い切る姿を見て、「お前は薄情だな、ずっとそのままでいろ(お前には長生きして欲しいから優しい魔法使いになるな)」と言うなど、言動に反してかなり弟子たちを思いやっていた。
ゼーリエの名前の由来は、ドイツ語で「続いていく・連続する」を意味する「serie」から。
テレビアニメのOPにも当然登場した。……が、彼女が登場したカットは本が積まれた暗い部屋で、ものすごく悪い笑顔をしながら頬杖をついて玉座に偉そうに座り、いかにも黒幕のような姿というものであり、原作未読勢は彼女をラスボスである魔王ではないか?と誤解する者もいた。
もっとも、放送範囲が一級魔法使い試験編までなため、事実上のラスボス候補である事に変わりはないが……。また1クール目ではアニメオリジナルの追加描写含めて一切登場しなかったため、1クール内の彼女の出番はこのOPのカットのみである。
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