プロフィール
生年月日 | 2017年4月1日 |
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欧字表記 | Mishriff |
性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | Make Believe(GB) |
母 | Contradict(GB) |
母の父 | Raven's Pass(USA) |
生産者 | Nawara Stud Limited |
馬主 | Prince A. A. Faisal → Prince A. Faisal |
管理調教師 | J.Gosden → J&T.Gosden(GB) |
父Make Believeはプール・デッセ・デ・プーラン、フォレ賞などを勝利。
母Contradictはイギリスやフランスで走り1勝。
母の父Raven's PassはBCクラシックやQEIISなどを勝利。芝のみならずアメリカのダートも制した。
経歴
2歳時(2019年)
デビュー2戦は不良馬場にも悩まされ4着、3着と敗れるが3戦目の未勝利戦で10馬身付けて初勝利。
2歳時は3戦1勝で終える。
3歳時(2020年)
年明け初戦は初ダート・初遠征のサンバサウジダービー。中団から脚を伸ばしたが日本のフルフラットの2着に敗れる。
その後一旦休養を挟んで芝に戻りニューマーケットS(L)へ出走。先行抜け出して4馬身差の圧勝。
ジョッケクルブ賞
フランスへ遠征し仏ダービーことジョッケクルブ賞に出走。高いパフォーマンスを見せつけてはいるものの実績不足などから4番人気に留まる。
好スタートを切るとスムーズに4番手に控える。びっしりと折り合ったまま直線を迎えるが、完全に進路がカットされており全く抜け出せない。絶体絶命に追い込まれたが残り200mで前が開くと末脚一閃、一気に抜け出して1.3/4馬身を付けて完勝した。この勝利により、シーキングザゴールドから続く父系連続GI勝利記録を6代に伸ばした。
更にフランスでギヨームドルナノ賞(GII)を圧勝した後帰国。
休養を経てチャンピオンSに出走したが、重い馬場に脚を取られ10頭立ての8着と大敗した。
4歳時(2021年)
サウジカップ
4歳初戦は昨年連対実績もあるサウジのダート、世界最高賞金額を誇るサウジカップへ。BCダートマイル、ペガサスワールドカップとGI2連勝中のニックスゴー、こちらもGI2連勝の3歳馬シャーラタン、日本からはチュウワウィザードと多士済々の顔触れとなった。
今回も好スタートから好位を奪う。3,4コーナー中間から手が動き始め、ステッキも入るなどやや手応えに怪しさがあったが、直線に入るとシャーラタンとの400mに渡る追い比べ。残り100m地点で競り落とすと最後は1馬身の差を付けて駆け抜けた。
ドバイシーマクラシック
続いては中東転戦、芝に戻ってドバイシーマクラシックへ。前年の香港ヴァーズ勝ち馬モーグル、秋華賞、宝塚記念、有馬記念とGI3勝のクロノジェネシス、前々年の優駿牝馬勝ち馬ラヴズオンリーユーとこちらも豪華なメンバー。
今回はあまりうまくスタートが決まらず、大外枠もあって普段と一転最後方からラヴズオンリーユーを見る形で進める。3,4コーナー中間、日本の2頭が少しずつ位置を押し上げ始めるところをぴったりとマークし直線へ。併せ馬の形となった日本の2頭が先頭に並びかけようとした時、外から臙脂色の勝負服が襲い掛かる。3頭の追い比べからクビひとつ抜け出したところがゴール板であった。勝ちタイムはレコードを0.32秒更新する2:26.65。4歳春、僅か1ヶ月のうちに1290万米ドルを稼いだミシュリフは現役世界賞金王となったのだった。
帰国初戦はエクリプスS。GI連勝中の3歳馬セントマークスバシリカや2年間連対を外さずGI3勝を挙げているアデイブ、そしてミシュリフという強豪馬が名を連ねたがためか回避馬が続出。僅か4頭立てでのレースとなった。スタートを決めアデイブを見る形で進めたが、終始口向きがやや悪く直線手応えは抜群だったが伸び悩み、セントマークスバシリカからは3.1/2馬身+クビ差の3着と敗れた。
続いてKGIV&QESキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスに出走。前走の敗戦で人気を落とし4番人気に甘んじる。出遅れ最後方からになり直線追い上げるも前を行くこの年の英ダービー馬アダイヤーを捕えられず2着。
インターナショナルS
更にインターナショナルSへ出走。僅差の1番人気に推される。
好スタートから同期の牝馬ラブを内に見る絶好位に付ける。時折見せる口向きの悪さも全くなく、完璧に道中を運び、直線馬場の真ん中から追い出されると後続を一気に突き放す。6馬身差の圧勝劇を披露した。
短い休養を挟んでシーズン締め括りの1戦チャンピオンSへ。出遅れたものの巻き返して4番手に付け直線一度先頭に立つも最後が甘くなりシリウェイの4着に敗れた。
4歳時はGIを2勝、稼いだ賞金は日本円にして約15億円に登った。
5歳時(2022年)
初戦は連覇を狙うサウジカップ。この時点でミシュリフはポンド換算において世界歴代9位の獲得賞金額を誇っており、このサウジカップを勝利した場合ウィンクスにおおよそ300万ポンドの差を付ける世界歴代最高賞金獲得馬の座を奪うこととなっていた。なお、為替レートの変動によりどの通貨で計算するかによって賞金ランキングの順位が大きく変動するが、ここで勝利した場合どの通貨で計算してもトップになるものだった。しかしスタートが今ひとつで好位に付けるのに時間がかかり、全面入れ替えによって全く質の違うものへと変わっていたダートに脚を取られ4コーナーで失速。直線はほぼ追われることなくキャンターで入線。13着シリウェイから12.1/2離れた最下位に終わった。
帰国し休養を挟んで2年連続のエクリプスSへ参戦。出遅れて後方からになり、更に直線進路を完全にカットされ、それでも追い込んで、勝ったヴァデニにクビ差の2着まで追い込み地力を見せることだけはできた。
続くKGIV&QESではゲート内で躓き1秒近い大出遅れをかましてしまう。半マイルほどでようやく最後方に取りつき直線勝負を仕掛けたが十分に脚が残っておらずパイルドライヴァーとトルカータータッソからは大きく離された3着に敗れた。
前年と同じくインターナショナルSへ。注目は何を置いてもバーイードの10連勝であり、離された2番人気となる。近2走の課題であったスタートを克服し好位からレースを運ぶ。直線手応え抜群に先頭に立った刹那、外から青と白の縞帽子が絶望的なまでの末脚で一気に交わし去っていった。追えども追えども差は開くばかり。6.1/2馬身を付けられての完敗であった。
更に連戦、愛チャンピオンSへ。馬場発表は苦手とするSoft(重)。ゲートは普通に出たものの行き脚が付かず最後方から。4コーナーで仕掛けるも重馬場に脚を取られて伸びあぐね、4着に終わった。
なおも連戦し凱旋門賞へ。馬場状態がTres Souple(重)であるのに加えて雨まで振り出し最悪の状態。スタートも微妙で後方3番手から直線伸びず13着。
そしてBCターフでの引退が発表され、ラストランの舞台、アメリカはキーンランドの地へ。2度目となる世界史上最高獲得賞金馬へのチャンスに挑む。近走の不振が響いてか人気を落とし4番人気に留まる。スタートはあまり決まらず後方3番手から。2周目3コーナー手前からじわじわと仕掛け手応えよく直線へ。しかし末脚は十分に発揮できず引退レースを4着としてターフを去った。
引退後はフランスで種牡馬入りする予定。
特徴・エピソードなど
高い能力を持っていながらも、出遅れたり進路をカットされたり馬場が重くなったりして能力を存分に発揮できないシーンが目に付く。また、GIを勝利した舞台であるシャンティイ、メイダン、ヨーク競馬場はいずれも起伏が少なく、反対に急な坂で有名なアスコット競馬場では4回走って0勝と起伏の少ない競馬場が得意だと思われる。
シーキングザゴールド、ドバイミレニアム、ドバウィ、マクフィ、メイクビリーヴに続く父系6代GI制覇の偉業を達成している。特にドバイミレニアムは夭逝により1世代しか産駒を残せなかった中から血が繋がりミシュリフが生まれている。またドバウィがドバイミレニアムの初年度産駒であることは言うまでもないが、マクフィはドバウィの初年度産駒であり、メイクビリーヴはマクフィの初年度産駒。そしてミシュリフ自身もメイクビリーヴの初年度産駒である。更に、ミシュリフが種牡馬デビューを果たす前年2022年、ドバウィが非ノーザンダンサー系として33年ぶりに英愛リーディングサイアーに輝いた。現在英愛種牡馬リーディングはフランケルとドバウィの2強大勢だが、3代父が初めてリーディングサイアーになった翌年に種牡馬デビューというのはなかなかお目にかかれるものではないだろう。先述の初年度産駒の件も相まって初年度産駒に期待が集まる。
全くの偶然だが、日本の無敗三冠馬コントレイルと生年月日が同じである。奇しくも、「最も得意とされる10f戦で」「1歳年下の操縦性の高い鹿毛で白斑のない牡馬相手に」2着に敗れている。