扶桑型
ふそうがた
概要
大日本帝国海軍が保有していた戦艦の艦級「扶桑型戦艦」をモチーフとする戦艦娘。自他共に認める欠陥戦艦だが、幸か不幸かゲームの仕様上欠陥によるマイナス要素は再現されていない為、火力面では戦艦として遺憾無い性能を発揮してくれる。しかも戦艦の中で最もレアリティーが低くドロップ海域も広い為、扶桑型が初めての戦艦という提督も少なくないはず。
ただし、手に入りやすい分性能は控えめで、特に伊勢型に対しては完全下位互換。不幸。といっても、戦艦は絶対数が少ないので『伊勢型がいれば扶桑型はいなくていい』ということにはならない上に、下位互換といっても致命的な差ではないので安心して運用して欲しい。
Lv20で改造することによって史実では実現されなかった航空戦艦に改装することができる。これによって売りだった火力は多少下がる(主砲を一部撤去して航空甲板とする為)が、それ以外のステータスは上昇し、瑞雲や晴嵐等の水上機運用能力を得る。初期は運用できる水上機が他艦種でも使える偵察機以外は瑞雲1種のみと、水上機関連の仕様が貧相だった為、航空戦艦への改装の意義が疑われるほどだったが、アップデートにより現在では制空権確保や対潜攻撃、索敵強化など、純戦艦(長門型・大和型など)にはできない多彩な運用が可能な艦種となっている。また、運の値は5から10に増えて2倍になる。といっても不運だったのが人並みの運になるだけだが。
ちなみに「吹雪の憧れの先輩」という設定があり、史実では特に関わりのなかった吹雪が何故扶桑型姉妹を慕っているのかは不明だが、これは吹雪の進水日(11/15)の誕生花の一つがハイビスカス(扶桑花)であることにちなんだものと思われる。
2014年10月11日、そして後の10月14日、「戦艦姉妹のネームシップより順次」という言葉で姉妹両方の改二が実装される事が明かされ、先に扶桑改二が実装されると判明。その翌日、10月24日に実装されることが予告された。
70年前のこの日はシブヤン海海戦(武蔵が沈んでおり、若葉も別海戦にて沈没)があり、翌日25日にはエンガノ岬沖海戦(瑞鶴、瑞鳳、千歳、千代田、多摩沈没)、サマール沖海戦(鈴谷、筑摩、鳥海轟沈)、そして、彼女にとって運命のスリガオ海峡海戦があった。
そして10月24日、扶桑改二が実装。長門型に匹敵する火力を引っ提げて生まれ変わった。燃費は悪化したものの今まで微妙だった諸所の問題点が改良され、非常に使い勝手のいい艦に仕上がっている。
山城の方も同年11月20日に山城改二が実装された。性能は姉と若干の差異はあるもののほぼ同一で、噴進砲の代わりに探照灯(低速戦艦としては初となる初期装備、なお実装と同時に大和型などの他の低速戦艦も探照灯の装備が可能となった)を持ってくるのが大きな違いである。扶桑、山城の双方に改二実装で戦艦娘では2番目となる姉妹艦全艦改二となった。
外見
黒髪に真っ白な肌、そして巨乳ばかりな戦艦娘の中でもかなりの大きさ。艦娘はどちらかと言うとかわいい系の容姿を持つ者が多いが、扶桑型姉妹は美しい系であり(とはいえちゃんとかわいい所もある)、その中でも数少ない純然たる和の美女というべき姿である。
服装は赤装飾の入った巫女装束のようなノースリーブの和服で、脹脛の片方だけ腹巻きのような赤い布が巻かれていて、腹部には見えにくいが赤いラインの入った黒い帯を巻いている。振り袖は二の腕で艤装で固定されており、脇と肩が完全に露出している。下は紅色のミニスカート。上着の裾をスカートの外に出しているので、上部がどうなっているかは不明。肩から胸にかけて金色の飾緒が吊り下げられ、両肩には肩章が付くなど軍服らしい意匠も盛り込まれているが、これらのアクセサリー類はゲーム中のイラストでは見えにくい事もあってか、イラストによっては公式・二次創作問わず省略されているものも見受けられる。
最大の特徴としては背中に背負った4基のとにかく巨大な砲塔であろう。純国産の超弩級戦艦であり、またどこからどう見ても違法建築にしか見えないような艦橋になってしまった彼女達の特徴をよく表していると言える。この異様に巨大な艤装から、提督諸氏の間では度々あのクソでかいガンダムに例えられる。これは背中を覆い隠すほどの幅広の基部から階段状の台座が左右に伸び、その上に乗っている形となる。ちなみに姉妹で微妙に砲塔の位置が違う為、これが艤装のデザインの違いなのか、またはマジックアームのようなものでフレキシブルに動くのかは不明。どちらにしろ重心がヤバイ。
他には両膝と両二の腕と腹部に巻くようなゴテゴテしたデザインの艤装が取り付けられている。両膝はプロテクター、二の腕は振り袖固定用、腹部は艤装固定用であり、武装などは施されていない。また、頭部には「違法建築」として親しまれた艦橋を意識した髪飾りが塔のようにそそり立っている。この髪飾りと膝の艤装には金色のビラ状の飾りが付いている。足には黒塗りに赤紐の草履型の主機を装備している。
航空戦艦に改装すると手持ち式の盾のような航空甲板が追加され、逆に背中の主砲が一基撤去されている。
改二では、砲塔の配置が上下二段式に変更された事によりトップヘビーが改善されたが、砲の口径が41cmへと強化され大型化したため改装前の重厚感は健在のままである。
この砲塔、ワシントン海軍軍縮条約締結で廃案になった艦政本部製の改装プランに基づいたため、連装と三連装の混載になっており、三連装砲の上部には多くの日本戦艦と同様に対空機銃が増設されている(ただし、こちらも単装と三連装の混載で、他の戦艦には見られない仕様となっている)。
加えて飛行甲板は西村艦隊の繋がりを意識したのか、最上型と同型のものになったため、総じて魔改造と言われても否定できないレベルの仕上がりになっている。容姿は前述した和の美女という部分が更に強調されたものになっており、元々の美しさが更に増したという評価も多く、pixivにおいては両者とも専用タグが作成される程である。
姉妹で同じようなデザインだが、実は髪飾りや脹脛の巻物の位置が左右対称になっているのも、一つの特徴である。
『艦これアーケード』では全身の3Dモデルが作成されている為、背部もよく見える。そこでは艦橋型の基部ユニットが背部に接続されており、その底面から砲座付きのアームが背後に伸び、その上に主砲が乗っている。主砲位置は前後で二段式になっている為、かなり後ろに長い位置取りとなる。重心としては第1・4砲塔あたりになるので、やっぱり重心がやばい。航空戦艦状態では第3・第4砲塔の片方が撤去され、砲座も中心線上に移動する為、上から見ると三角形状の配置に変化する。ただし、これはあくまで『艦これアーケード』でのデザインである為、公式デザイン化は不明なところもある。
性格
扶桑は憂いを帯びた前向き。山城はハキハキとした後ろ向き。服装と同じく対になっている(勘違いされがちだが、山城のイメージに引っ張られているだけで扶桑は一言も自身の不幸を嘆いていない)。扶桑の第三砲塔が前向き、山城のが後ろ向きなのが関係しているかもしれない。…爆発したり性格を決めたり、第三砲塔とは一体何なのか。
姉の物憂さと妹の不幸嘆訴から付けられたそのあだ名は不幸姉妹。史実が史実なだけに散々な評価を下されている彼女達ではあるが、誤報で雷撃処分やら謎の爆発による轟沈やらと、実は他の日本の戦艦娘もそれなりの不幸を抱えていたりする。そもそもWWⅡ開戦時には戦艦が無双する時代が終わっていたので、割とみんな不幸……あれ?
そう、扶桑と山城は不手際から一方的に打ちのめされる結果になったとはいえ米戦艦と戦って沈んでいるのである。この姉妹の他に、連合軍戦艦と砲火を交わした枢軸軍の戦艦は、『艦これ』実装艦では霧島とビスマルクの2隻のみである。
派生作品における扶桑型
金剛型や長門型に比べると印象が薄いようなイメージがあるが、数少ない戦艦娘の一員なので、それなりに登場数は多い。
『艦これRPG』では、リプレイ「空はあんなに青いのに」で姉妹揃って登場。姉妹と満潮の3隻で艦隊を組む。旗艦が山城なのは、こっそりと仕込まれた史実ネタなのだろうか。そして、鎮守府「栄光なき極楽泊地」は所属艦娘が3隻のみでワカメ加工が主な任務だったり、幸宮チノ演じるチノ提督が女性なのに憲兵さんこっちです系だったり、あろう事か第1話で山城が轟沈したり(「艦これRPG」では轟沈直後に回収のラストチャンスがあり、成功して事なきを得たが)、第2話のラストで鎮守府が解体されたりと様々な不幸が待ち受けていた。
アニメでは、単に登場していないだけならまだしも、吹雪の憧れの対象を赤城に奪われている。やはりこちらでも不幸。尤も、劇場版においてある重要場面で使われた吹雪の誕生花が(場面的にピッタリだったというのもあるだろうが)吹雪と扶桑の繋がりであるハイビスカスではなく彼岸花であったことから、最初から想定された設定変更だったのかもしれない。
2015年5月18日の更新で、『艦これ』登録者300万人突破記念として「「300万の感謝」掛け軸」の書き手に抜擢され、二人が手掛けた横書きの掛け軸が当日以降にログインした際に入手できた……が、この掛け軸、クリックすると装飾の「扶桑型戦艦の艦橋の模型」が重すぎて傾いてしまう。もう一度クリックしてやれば元に戻るが、戻さなければ傾きっぱなしで放置される。遊びすぎだろ、運営。いいぞもっt(弾着観測射撃)
また、家具の紹介文でも……
「山城…大変よ。私達大切な掛け軸を仰せつかったわ」
「姉様! こんなこともあろうかと墨汁はこちらに! 嗚呼墨が跳ねて顔や服に…ッ!」
と、毎度の調子である。
艦娘
扶桑
憂いを帯びた一番艦。何かと自虐ネタが多く、他の戦艦を羨んでいる一方、対抗意識を燃やしている。また、さり気なく艤装ネタを用意しては、周囲の反応を楽しむお茶目な面もある。