概要
ディセプティコンの偵察兵で、青いMRAP(耐地雷待ち伏せ防護車両)風の装甲車に変形する。
原語版ではブレークダウンという名称だが、日本語吹き替え版では商標の問題かウォーブレークダウンと変更されている。ただし、先行してアメリカ版を観ていたファンからはノックアウトと同様に原語版の「ブレークダウン」で呼ばれる場合が多い。
屈強なボディを持つディセプティコン屈指のパワーファイターであり、物を壊す事が大好き。
北極での戦闘では飛行能力が無いにも関わらず、高度100m以上を浮遊していたと思われる戦艦ネメシスから空中ダイブし、障害物のない地上を猛スピードで走行するバルクヘッドとアーシーの行く手を地面との激突で阻むなど(本人には傷一つなし)、大胆不敵としか言いようのない戦法をとった。そのタフさ加減は、どこぞの水陸両用モビルスーツを髣髴とさせる。
闇医者であるメディックノックアウトの助手として、瀕死のメガトロンを治療するためにスタースクリームによって呼び寄せられたが、劇中ではもっぱら切り込み隊長のような活躍を見せていた。
主な武器は両腕を変形させるハンマーと左肩のショルダーカノン。ショルダーカノンはミサイルにもなる。
性格
上記のように脳筋気味ではあるものの、ミコとバルクヘッドの関係性に気が付き戦闘時にミコを狙って動揺と油断を誘ったり、手に入れたばかりのウルトラマグネットを使いこなすなど、戦闘時にはそれなりに頭が回る。
また、ノックアウトがサボっている間に植物状態のメガトロンにグラインダーでバフ掛けをしていたり、また前回の失敗を手柄で取り返そうとするなどディセプティコン軍団への忠誠心もそれなりに持っており、根は真面目な性格なのかもしれない。
ボディ磨きが得意という、粗野な彼には似つかわしくない特技を持っており、ボディには人一倍こだわりを持つメディックノックアウトも認めていたほどの腕前であった。
日本語版ではこれらの設定に則って、攻撃時に「壊すのだ~い好きぃ、ウォーブレークダウーン!」という口癖が加えられた。原語版ではそれなりに落ち着きのあるキャラだったのだが、日本語版では伊丸岡氏の熱演のせいでとてつもなくテンションが高い、というかウルサイ。
相棒のメディックノックアウトがスタースクリームにお仕置きを受けた時はお茶の間の子供たちに「イジメはダメだぞぅ!」と叫んでおり、テレフォンサービスでも同様の事を口にしていた(放送当時大津いじめ事件が話題になっていた事による時事ネタである)18話では凧の歌を口ずさんだりとお茶目な面もある。
他TFとの関係
医療行為に際する助手というよりはメディックノックアウトの助手(雑用、世話係とも言う)であり、戦闘の苦手なメディックノックアウトの護衛などが本来の仕事のようである。
自身でオートボット達をおびき出しておきながらボディに傷をつけられかけたという理由でノックアウトが早々に撤退して見捨てられたり、相棒であるはずの彼が誘拐された回には登場すらしない…ノックアウトについていくのも、ある意味でかなり心が広い…と言えるのかもしれない。
(※ただし彼も戦闘中に誤ってノックアウトを吹き飛ばしたり、殴り飛ばしたりしている)
しかしいいコンビだ。
ビーコン兵士との会話がある数少ないキャラの一人であり、その中に地味にエアラクニッドに想いを寄せるような事を匂わすセリフがあったり、「ビーコンさん!ヤっちゃってください!」などと指示を出したりする。ビーコンは部下というより同僚として見ているらしい。
オートボットのバルクヘッドとはライバル関係にあり、ブレークダウンの戦闘シーンのほとんどはバルクヘッドとの対決場面である。状況によって両者ともに圧倒し圧倒され、を繰り返している。
だが、その因縁を築く経緯やきっかけについては『プライム』シリーズ完結に至ってもなお描かれる事はなく、依然として不明である。
ちなみに日本版のアイキャッチと玩具パッケージにおけるステータスでは、バルクヘッドが
- 体力10
- 知力5
- 速度4
- 耐久力9
- 地位6
- 勇気8
- 火力7
- 技能5
なのに対し、ブレークダウンは
- 体力9
- 知力4
- 速度4
- 耐久力9
- 地位4
- 勇気7
- 火力6
- 技能5
と、お互いに似通ったタイプである事、バルクヘッド側に主人公サイドの性能補正がある事を
考えても単体としてかなりいい勝負をしている事がわかる。
その後 ※以下重大なネタバレ
バルクヘッドとは長年のライバル関係でありながら、16話でテロ集団メック(M.E.C.H.)に拉致された際に彼に助けられ恩義を感じる(1話限りだが)など、なかなか義理堅い面もある。
なお、同話にてメックに解剖(解体)されかかった時に右目を失ったため、その前後では見た目が若干異なる。(右目にアイパッチのようなプレートが追加)
しかし、合成エネルゴンで強化されたラチェットに挑んでフルボッコにされたり、スタースクリームに代わって参謀クラスの座を手にしたメディックノックアウトに比べ登場シーンが極端に少なくなったりなど、話が進むに連れて不憫体質が板に付きつつあった。
そんな彼も遂に33話にてインセクティコンを支配下に置いたエアラクニッドの罠によって全身をバラバラに切り刻まれ惨殺されるという、クリフジャンパーに並ぶ凄惨な末路を辿る。凄惨さを和らげる為か、日本語版での断末魔は「シビレバビレブー!」だったが、バラバラになった頭部はもろに映されており、あまり意味のない演出になってしまっている。
そして、45話。
メックに回収・修復されたウォーブレークダウンの遺体は、重傷を負い不随となったサイラスを蘇生させるための新たなボディとして利用される事になる。「サイラスブレークダウン」の誕生である。
ウォーブレークダウンの生体信号復活を受けたメディックノックアウトは、相棒の帰還を信じて現地へ赴いたが、中身を積み替えられたその姿を見て絶句。日頃日和見主義を貫いていたメディックノックアウトが、嫌悪感を露わにメガトロンへ処刑を進言したほどであった(日本語版では「キモッ」と呟いていた)。
その後の任務でしくじり、メガトロンの反感を買ったサイラスブレークダウンは、メディックノックアウトの実験材料にされてしまうのだった。
余談
- 肩書きは初代同様偵察兵となっているが、しかしその姿はとてもマッシブな巨漢であり、どう見ても偵察兵ではない。これについては、後述の因縁によってバルクヘッドと渡り合うために改造を施した結果手に入れた肉体、という事になっており、元は小柄なトランスフォーマーだったらしい。(実際、プライムと基本設定などの世界観を共有し、サイバトロン星時代の戦いを描いた海外のゲーム"War For Cybertron"(日本未発売)におけるサイバトロン星時代の彼の姿は小柄である)
- 玩具は通常時のブレークダウンと、サイラスが融合したサイラスブレークダウンの両者が発売されているがどちらも日本限定であり、円高の煽りをモロに食らった海外ファンは阿鼻叫喚の様相を呈していた。ちなみに海外版仕様の発光ギミックを仕込む余地が設けてあるなどアメリカでも売る用意があったともとれる。しかし、ハズブロは「We Like Breakdown.」と言いつつ販売にまでは至らなかった。これはハズブロ側が不況による影響でコストダウンを推し進め、ラインナップを売れ線の商品に極力絞りたかったためだとタカラトミー側は述べている。(その割には劇中未登場の製品もいろいろと出しているわけだが)
- 中の人が同じで、しかも「サイボーグ」「やたらうるさい」などの共通点があることから、しばしば某ナチ軍人との関連をネタにされる。
ビーストハンターズにおいては
※以下、海外でのみの放送となる『ビーストハンターズ』のネタばれ注意※
『ビーストハンターズ』では、更にその後の末路が描かれた。
実験材料となったサイラスブレークダウンは、メディックノックアウトにより合成エネルゴンを試す為の試験体として利用されていたが、スタースクリームの命令により更にダークエネルゴンを注入されて暴走状態となり、サイラスブレークダウンは拘束具を破壊し逃走してしまう。
自由となったサイラスブレークダウンにはブレークダウンはおろかサイラスとしての自我すらもなく、口内から虫のような形をしたエネルゴン吸収アームを伸ばす、吸血鬼じみたモンスターとなってしまった。
エネルゴンを求めて戦艦ネメシスの艦内を徘徊し、艦内のビーコン兵士達を次々と襲撃。最終的にはエネルゴン目当てにエアラクニッドを復活させてしまい、中のサイラスともどもエアラクニッドに引導を渡された。
このように、主君に見捨てられる→人間によって解体→裏切者によって殺害→死体を人間が利用→相棒によってモンスター化→裏切者によって再度殺害と、悪役とはいえあまりに過酷すぎる人生を歩んだブレークダウン。
しかし、相棒ノックアウトとの友情は本物であったらしく、エアラクニッドによってバラバラにされた際は折に触れてブレークダウンの不在を嘆いたり、その遺体を人間に利用された事を知るとかつてないほどに激昂していた。亡骸を実験台とされた時もノックアウト曰く、「抵抗がないわけではないが、モルモット扱いされる恐怖と屈辱をサイラスに味わわせればブレークダウンのいい供養になる」とのことであった。
『ビーストハンターズ』でモンスター化した後にバイオハザード状態となった艦内でスタースクリームと共に追い詰められた際、死を覚悟したスタースクリームがお互いを称えあうも、まず「あなたはブレークダウンではない」と前置きしてからそれに応じている。
宿敵バルクヘッドとの決着もつけられないまま死を迎えた彼にとっては、それが唯一の救いと言えるかもしれない。
ユナイトウォリアーズ
こうして悲惨な運命を迎えたウォーブレークダウンであったが、日本国内の玩具シリーズ『ユナイトウォリアーズ』では「ゾンビウォーブレークダウン」として復活を果たしている。
死後、強い怨念を持ち死にきれないゾンビとしてさまよった末にG1世界のユニクロンに召喚され、ピックアップトラック風のオフロード車に変形するスクランブルボディを得て再生を果たした。
現在は忠実に新たな主であるタクティシアンサイクロナスの命令に従っているものの、内心ではノックアウトとの再会を夢見ており、密かに元の世界への帰還を渇望しているらしい。
UW-EXバルディガスの発売に際し公開された、WEB漫画版『ユナイトウォリアーズ』の最終話では一連の事件の後にノックアウトと再会すべく元の世界へと帰還。その直後、ついに彼と思われるトランスフォーマーと再会し笑顔で涙を流している