概要
トランスフォーマーの一部隊で、いずれも昆虫に変形するという点は共通している。
作品によって設定等が異なり、悪の軍団デストロン(ディセプティコン)との関係も違ってくる。
ちなみに原語版での正式名称はインセクティコン(Insecticons)で、実写映画シリーズ、『プライム』、『アドベンチャー』では原語版と同じ名前を採用している。
G1
初代アニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』にてシリーズ初登場。主要の3体と、彼らを本体とした無限に増殖するクローン軍団で構成されている。
原語版では第16話「 A Plague of Insecticons(インセクトロンの謎)」と初期に登場しているが、日本ではスカイファイアー問題の影響でこの話が番組終盤の第59話として放送された関係で、日本版ではインセクトロンの初登場は日本版第13話「リジェの裏切り(Traitor)」となり唐突に登場する形となってしまっている。
デストロンの宇宙船から発射されたポッドに乗ってバリ島に流れ着いており、メガトロンらデストロン本隊が目覚める以前から地球で行動していた。
他のトランスフォーマーとは違い、植物や金属などあらゆる物質を取り込みエネルギー(エネルゴン)を抽出・吸収する事ができるが、時折悪食が過ぎて食あたりを起こしている。またクローン生成や巨大化、バラバラにされても再生するなど、特異な能力を多数身に付けている。
出自はセイバートロン星の地中に生息する原住生物であり、一応「デストロンの分家みたいなもの」という存在だが、基本的に本隊とは別に行動し各々食欲を満たしている。
メガトロンから必要に応じて呼び出される傭兵のような存在で、強権的リーダーである彼に対してもタメ口で応対する、使役するには見返りを用意する必要があるなどビジネスライクな関係である。
また、インセクトロン側は隙を窺ってはメガトロンの寝首をかこうとし、対するデストロン本隊も報酬をちらつかせておきながら用が済めば即座にインセクトロンを消しにかかるなど、仲間意識は皆無に等しい。
『ザ・ムービー』ではコンボイの銃撃に負傷し、3体とも宇宙へ追放されユニクロンによって全く違う姿へと改造された。
しかしクローンが生き残っていたのか、改造されたのがクローンで本体は生き残っていたのかはは明!かされていないがジャンキオンでの襲撃でシャープネルがビルドロンのスクラッパーと共にダニエルに襲いかかった。
ザ・ムービーのあとを描いた『2010』でも登場し、この頃はデストロン本隊の一員の様な存在になってはいたが、なぜか他のメンバー同様エネルゴンに餓えていた。
玩具は『ダイアクロン』の「ワルダー軍団 昆虫ロボ」の仕様変更品。そのため、胸部が開きワルダー軍団のフィギュアが乗り込めるコックピットが付いている。
トランスフォーマーコレクションにて三個セットで再販された時には、クリアプラ製のエネルゴンキューブが付属していた。
また、かつてのダイアクロン版のカラーリングを再現したクローンアーミー3体セットも、e-hobby SHOPで限定販売されていた。
構成員
諜報工作兵キックバック(Kickback)
バッタに変形。玩具設定ではリーダーだが、アニメでは特に目立たない。
元玩具は、昆虫ロボのバッタス。
心理工作兵ボンブシェル(Bombshell)
カブトムシに変形。3人の中で唯一、単独で本隊に呼び出された事がある。付着させた相手を操る「セレブロシェル」という物質を角から発射する。
元玩具は、昆虫ロボのカブトロン。後年になってアクションマスター化もした。
原語版では、変形する昆虫はゾウムシということになっており、角の先で食事をしているように見えるシーンがあるのはそれが理由。…とはいえ、カブトムシの口の部分で食べていたこともある。
電子工作兵シャープネル(Shrapnel)
クワガタムシに変形。アニメでは彼が代表して喋る事が多く、リーダー的に扱われている。電気を自在に操る能力を持つ。
元玩具は、昆虫ロボのクワガトラー。
後年にはビーストウォーズの原語版にて、ワスピーターは混乱した時に「私はデストロンの英雄シャープネルだ」と口走っていた。
なお、ボンブシェルとシャープネルについては近年版権の関係からハードシェル、シャープショットの名称を与えられている場合もある。
デラックスインセクトロン
本編未登場のインセクトロン。オーストリアのハズブロ社がタカトクトイス社の「機甲虫隊ビートラス」の仕様変更品として販売したもの。
心理工作兵ヴェノム(Venom)
セミ(海外ではツェツェバエ)に変形。口吻は鋭い毒針であり、仲間にすら毒を盛る懐疑心な性格。
盗賊チョップショップ(Chopshop)
クワガタムシに変形。貪欲な盗賊。
射撃兵バラージ(Barrage)
カブトムシに変形。残酷な性格。
兵士ランサック(Ransack)
バッタに変形。争いのみを求める好戦的な性格。
ビーストウォーズⅡ
『ビーストウォーズⅡ』では「さすらいの昆虫軍団」として登場。サイバトロンに従軍した傭兵だったが、戦いに疲れを覚えたことで安息の地を求め、惑星ガイア(地球)に飛来していた。デストロンに騙されてサイバトロンと敵対、その後は中立的な立場をとるようになった。
縄張り意識が強く、安息の地を脅かす者と見なしてサイバトロン・デストロン両軍にも攻撃を仕掛けていたが、後にサイバトロンと和解・共闘するようになる。
玩具は海外版無印ビーストウォーズの、見本未発売品のリペイントやリデコ。妙にイカつい面構えのキャラクターが多いのは、元々プレダコンことデストロンとして発売されたものだったため。海外版では虫系のキャラクターは好まれないが、日本では逆に虫でも人気があるために、善側として設定され、発売されるようになった。そのため、色彩もやや明るめで、善玉に見えるような色合いにしている。エンブレムも当然ながら、マクシマルのそれに変更された。
ビッグ・モス
CV:渡辺健
カ及びアリジゴク(第3形態)に変身するインセクトロンのリーダー。ビッグボスではなくビッグモス。
デストロンに騙され、一時はサイバトロンと敵対するものの後に和解。仲間たちを率いてサイバトロンに協力するようになった。
蚊に変形する事から、その外見はかなり強面。しかしその見かけによらず結構いい人で、インセクトロンのリーダーを責任をもって行っている。アルテミスからも、「ビッグモス様」とミーハー的に慕われていたり。
口の針がミサイルとなり発射する。また、アリジゴクの第三形態では、強力なハサミを用いて戦う。
玩具は空中強襲・偵察兵トランスキートのリカラー。
なお、海外版ではプレダコンのため、玩具のCMでは「アパッチ」こと、マクシマルのバ・ブームと戦っていた(第三形態を持つ者同士と言う共通項からか)。
シザーボーイ
CV:森訓久
ハサミムシに変形するインセクトロンの若手戦士(画像左)。図に乗りやすいがメンバーの中ではそこそこ頭が回る。
ビーストモード・ロボットモード両方で使える巨大なハサミマイティシザーが武器。
タスマニアキッドとは似たような立場もあって仲が良い。
玩具は歩兵パワーピンチのリカラー。
ドリルナッツ
CV:岸祐二
ゾウムシに変身するインセクトロンの発明家。右腕のナッツドリルで攻撃・穴掘りはおろかメカの修理までこなしてしまう。
才能はあるがその発明品はまるでG1ホイルジャックの如く珍品が多く、ここぞというところで失敗したりして仲間を呆れさせるお茶目さん。最初にサイバトロン隊と戦闘になった時、ダイバー相手に発射したミサイルが不発。「納得いかない」と、戦闘中にもかかわらず座り込んで、ミサイルを分解修理し始めたために呆れられていた。
だしょ?だしょ?
玩具は歩兵ドリルビットのリカラー。
パワーハッグ
CV:松山鷹志
ダンゴムシに変身する。鹿児島弁で喋り、語尾は「~(で)ごわす」。
インセクトロンで一番の力持ちで、投げ技に優れる柔術家。同じようなタイプのビッグホーンとは一度戦った経験から交流がある。
ビーストモードで坂を転がると止まれなくなってしまうが、本人曰く「コレが一番楽でごわす」とのこと。これを利用したハッグ地獄車なる必殺技もある。
玩具は砂漠破壊戦闘員リトラックスのリカラー。
玩具はベアハッグのように、腕で挟み込むギミックが内蔵されている。
トンボット
CV:田鍋謙一郎
トンボに変身する(正確には、メガネウラのような古代種のトンボに近い)。飛行可能な事から、ビッグモスと行動を共にすることが多い。
エセ外人で語尾に「~ザンス」とつけて英語交じりで喋るお調子者。こんな人、どっかにいたような…?
玩具は空中哨戒兵ジェットストームのリカラー。
マンティス
CV:高橋広樹
カマキリに変身する。クールな性格で、普段は一人で古代遺跡に住んでいる。
役職がズバリ忍者というだけあって身のこなしは軽く、両腕の鎌を回転させて敵を幻惑する円月殺法でライオコンボイをギリギリまで追い詰めたこともある。
寝相がやたら悪く、彼だけ寝床を別にしている。
玩具は奇襲スペシャリスト・マンテラーのリカラー。
実写映画版
実写版2作目『リベンジ』に登場。インセクティコンという名称。本物の昆虫サイズの昆虫ロボに変形する。サム・ウィトウィッキーが隠れている空き家に潜入したが、あっさり破壊された。
『ロストエイジ』では同名の同型機が登場。メガトロンの眷属としてメガトロンの染色体をガルバトロンに植え付けていた。
プライム
ヘラクレスオオカブトに似た姿に変形する。サイバトロン星や地球に巣食っている猛獣であり、普段は卵や蛹に似た休眠カプセルで休眠している。カブトムシしかいないからか後述の通りハードシェルは登場したが、キックバックやシャープショットは登場しなかった。
個体差もあるようだが戦闘力は極めて高く、火器無しの肉弾戦であればメガトロンやホイルジャックとも互角以上の勝負を繰り広げるほどの実力を持つ。
馬の嘶きにも似た咆哮が特徴的で、極めて獰猛な性格であるが言語を理解し指示に従って作戦行動をとる程度の知能は持っている。
基本的にはメガトロンに忠実だが、エアラクニッドを女王と崇めており、彼女の命令でメガトロンやスタースクリームに牙を剥いた事もある。
…というようなキャラクターだったはずなのだが、日本語版ではまさかの加藤賢崇氏が吹き替えを担当。原語版にない台詞が数多く加えられており、獰猛な猛獣というよりは頭のゆるい大型犬のような愛嬌のあるキャラクターになっている。
とはいえ初登場から早々バラバラになったり、メガトロンと闘った際も首と副腕を破壊される無残な死に様だったり、物語が進むにしたがってやられ役が多くなったり、一連の扱いを見ていると納得のキャスティングにも見えてくるから不思議である。
口癖は「ぶぶぶぶぶぶーん」でありワスピーターよりも羽音が多めになっている他、「ドスコイドスコイ」「ごっつぁんです」「土俵」など相撲とりのような台詞を漏らすのも特徴的である。好物は昆虫ゼリーとのこと。
ハードシェル
メガトロンの「一番強いインセクティコン出てこいや」という招集に応じて名乗り出たリーダー格のインセクティコン。(原語版では「一番賢いインセクティコンは誰だ」)
原語版でのCVはかつて千葉トロンやラグナッツを演じた事もあるデビッド・ケイ氏。
多くのレッカーズを屠ってきたと豪語する歴戦の猛者であり、全身に無数の傷跡がある他、バルクヘッドとの初戦で牙を一本ブチ折られている。
追跡を撒こうとしたバルクヘッドの攪乱を見破ったり、ホイルジャックからの一対一の決闘に応じつつも万一の保険として仲間のインセクティコンを配しておいたりと、他のインセクティコンとは一線を画した抜け目のなさや狡猾さも持ち合わせる。
こう見えても同族への情は深く、手柄をあげてメガトロンにインセクティコンの有用性を認めさせようと躍起になったり、自分達をフンコロガシ呼ばわりしたビーコンをぶちのめしたりする場面がある。
日本語版では岩田光央氏が吹き替えを担当しており、例によってビーストのノリがリターンズとなっている。他のインセクティコンからは「親方」として慕われており、原語版以上に喋りまくるユーモラスなキャラクターとなったが、戦闘中にハイになり楽しげに相手をいたぶるという悪役らしいアブない一面も見せている。
直近で着払いにまつわる出来事があったのか、バルクヘッドやホイルジャックとの戦闘中も着払いについてしきりに話そうとしたが聞く耳を持ってもらえず、結局何の話だったのかわからず仕舞いであった。
たった2話だけの出番であり、玩具も小サイズの変形フィギュアのみが発売(日本未発売)されたに留まるが、そのキャラクター性から視聴者からの人気も高いようである。
アドベンチャー
『アドベンチャー』では、スタースクリームが雇った傭兵の一人として登場。原語版では『プライム』の続編なので同一個体であるが、カラーリングは大きく異なる。
日本語吹替版では、(TVアニメとしての)前作『プライム』とは声優もスタッフも変わったことで、原語版により近い獣戦士のようなキャラとして描かれている。
スタースクリームの部下ではあるものの、あくまで雇い主としての忠誠心しかない。
チームバンブルビーと死闘を繰り広げるも、ハイパーサージモードとなったスタースクリームとオプティマスの戦いに恐れをなし、スタースクリームからの報酬を諦め逃げようとするも、グリムロックが尾で投げ飛ばしたサイドスワイプのパンチを喰らい倒された。
その他
インセクトロンの原語版名称「インセクティコン」名義だが、ビーストウォーズ無印の初期ラインナップに、デストロン側のビースト戦士として「インセクティコン」が発売されていた(ダイノボット同様に、G1でチーム名だったのが、個人名となっている)。
クワガタムシに変形する。TVアニメには登場しなかったが、日本では「クワガイガー」の名称で玩具が発売された。
なお、クワガイガー=インセクティコンとは無関係だが、後にトランスメタル2にて、メカクワガタに変形する「スケァレム」が発売されている。こちらは日本未発売(もしも発売されていたら、メタルスクワガイガーという名称になったかもしれない)。