歴史
1910年(明治43年)に阪急で初めての路線として、箕面有馬電気軌道が梅田-宝塚間、及び石橋-箕面間を開業させている。宝塚線系統の路線的には既に最初に完成していたが、当初の計画では会社名通り、有馬方面への延伸も計画されていたが難工事が予想されたことなどのため中止された。また、京阪野江への延伸も計画されていたが大阪市の反対などにより中止されている。当時は沿線にほとんど人が住んでいない状態であったが、それを逆手にとって、創始者小林一三は沿線開発を積極的に勧め、結果人口が増えて利用客も増える、という図式を作り上げ、他私鉄(東急、西武など)の模範ともなった。
一方で最初に開業したとあって、線形が悪く、最初はそれでも利用客が少なかったので対応できたが、人口が増えるにつれてそれが問題視されてくる。後に出来た神戸線や京都線(こちらの建設は大半が京阪)に比べ、車両も小型で輸送力が低く増加する乗客数に対応できず遅延が常態化、遂には庄内事件が起きることになる(詳細は検索してください)。
これをきっかけに車両の大型化が進むが、線路の悪さは現在にまで続いており、競合するJR宝塚線の普通列車にすら、急行やかつて設定した特急が大阪-宝塚間の到達時間で負けている。十三~池田間は高架化や曲線改良工事などにより、2000年以前と比べると当時よりはいくらかスピードアップしてはいるものの(2000年6月4日に最高速度が90km/hから100km/hへ引き上げられた)、宝塚駅から乗り通すのであれば阪急神戸線と阪急今津線を乗り継いだほうが実は早い。
1997年に能勢電鉄への乗り入れを開始し、2014年には相互乗り入れとなった。
日中のダイヤは、急行電車と普通電車のみがそれぞれ毎時6本ずつ運行されている。
種別
特急日生エクスプレス
停車駅:梅田・十三・石橋・池田・川西能勢口・能勢電鉄妙見線(平野・畦野・山下)・日生線(山下・日生中央)
宝塚本線最優等種別で、通常は平日ダイヤのみの設定。朝ラッシュ時に日生中央発梅田行が、夕ラッシュ時に梅田発日生中央行が、それぞれ7本ずつ運行される。なお、2009年春以降は、春・秋の行楽期の特定の土曜・日曜・祝日にも臨時列車として運転されている(基本は午前の日生中央発梅田行き2本のみ)。通常、4月下旬に開催されるつるやオープンゴルフトーナメント決勝ラウンドの土曜・日曜日の朝には日生中央行き2本が臨時運行される。春行楽期の臨時と同時間帯で運行されるため、上下の日生エクスプレスがすれ違う。
1997年11月改正で運転を開始した。開始当初は平日3往復のみであったが、能勢電鉄沿線の乗客が川西能勢口駅で福知山線(JR宝塚線)川西池田駅へ逸走するのを少しでも食い止める施策として、2003年8月改正から平日7往復になった。また同改正より、池田駅が停車駅に加わっている。2015年3月改正までは梅田行きの一部が、川西能勢口駅で増結し10両編成で運転されていた。
2018年7月7日のダイヤ改正ではこれまでより発車時刻を繰り上げ、石橋駅で箕面発の電車から接続するようになった。
通勤特急
停車駅:梅田・十三・豊中・石橋・池田・川西能勢口
2015年3月21日の宝塚本線ダイヤ改正で新設された種別。平日朝ラッシュ時に川西能勢口発梅田行を5本(16分間隔)運転した。現在の通勤急行から実質上の種別変更で、停車駅は池田・石橋・豊中・十三。編成は10両編成で最後部(宝塚方)の車両には宝塚本線では初の女性専用車両を設定する。能勢電鉄妙見線妙見口発川西能勢口行の妙見急行が川西能勢口で当列車に接続していた。
2018年7月7日のダイヤ改正では1本が増発され、6本すべてが川西能勢口駅2号線からの発車となったほか、石橋駅で箕面発の電車から接続するようになった。
急行
停車駅:梅田・十三・豊中~宝塚間の各駅
終日運行の代表的種別であり、日中に梅田駅 - 豊中駅間で通過運転を行う唯一の種別。基本的に梅田駅 - 宝塚駅間で運転されるが、平日夕方と毎日深夜には雲雀丘花屋敷行きも存在する (平日夕方は梅田駅4号線発)。平日朝の梅田行きは準急と交互に運転し、梅田まで先に到着する。平日の昼間と土曜・休日18時台までは毎時6本、土曜・休日19時台からは毎時5本の運転。昼間時間帯については当時設定されていた特急・快速急行に置き換えられていたこともあるが、2006年10月28日のダイヤ改正から昼間の運転が復活している。宝塚線の優等列車としては最も古く、1932年10月に登場した。かつては十三駅 - 石橋駅間無停車で豊中駅と蛍池駅は通過していた(石橋駅 - 宝塚駅間は各駅停車)。1986年12月改正で、豊中駅に平日ラッシュ時の一部をのぞき急行が停車するようになり、1997年11月改正で豊中駅にすべての急行が、2003年8月改正で蛍池駅に急行が停車するようになった。
正月ダイヤをのぞき日中は、梅田駅 - 雲雀丘花屋敷駅間の普通電車と雲雀丘花屋敷駅で接続する以外追い越すことはなく、基本的には上下線共に先行逃げ切りで運転される。
準急
停車駅:梅田・中津・十三・曽根~宝塚間各駅停車
平日の朝ラッシュ時に宝塚発梅田行きを急行と交互に運転し、梅田まで先に到着する。
かつては現在の急行の停車駅と三国駅に停車し、基本的に箕面線直通列車を中心に運転されており、一部の列車が雲雀丘花屋敷駅まで運転されていた。1997年11月改正で、通勤準急運行開始と代わる形で一旦運行休止となったが、2000年6月改正で復活した。その後、2003年8月改正で、箕面線直通列車が無くなり、岡町駅・曽根駅・中津駅に停車するようになったが、2015年3月21日のダイヤ改正で通勤準急が準急に統合されたことに伴い、準急は宝塚発梅田行きのほか、箕面線箕面駅 - 梅田駅間相互直通、梅田発雲雀丘花屋敷行きで運転された。梅田行のすべての列車が曽根駅で普通電車に連絡した。2018年7月7日のダイヤ改正では箕面線直通と、梅田発雲雀丘花屋敷行きが全廃となり、池田発の普通電車などに置き換えられた。
普通
停車駅:各駅停車
各駅に停車する種別で、梅田駅 - 雲雀丘花屋敷駅間の運転が中心(正月のみ昼間梅田駅 - 宝塚駅間)。その他早朝・深夜には梅田駅 - 宝塚駅間を運転する列車もあり、平日朝ラッシュには箕面線箕面発梅田行き、平日朝夕ラッシュには梅田駅 - 川西能勢口駅を運転する列車、朝ラッシュや夜間には池田駅、豊中駅を始発・終着とする列車もある。川西能勢口駅始発・終着の列車は、川西能勢口駅2号線に発着するが、3号線発の場合もある。平日の昼間と土曜・休日18時台までは毎時6本、土曜・休日19時台からは毎時5本の運転。平日のラッシュ時以外は後続の急行よりも終点まで先着する。かつては曽根駅 - 梅田駅間の区間列車もあった。なお前節の通り急行が豊中駅 - 宝塚駅間で各駅に停車するため、雲雀丘花屋敷駅 - 宝塚駅間は早朝・深夜・正月の日中をのぞいて運転されない。
駅一覧
凡例
●:停車,レ:通過,‖:運行せず,↑:上りのみ運行
一覧表
阪急宝塚線(梅田~宝塚)
駅番号 | 駅名 | 読み | 特急日生エクスプレス | 通勤特急 | 急行 | 準急 | 普通 | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
HK-01 | 梅田 | うめだ | ● | ● | ● | ● | ● | ||
HK-02 | 中津 | なかつ | レ | ↑ | レ | ● | ● | 阪急神戸本線 | |
HK-03 | 十三 | じゅうそう | ● | ● | ● | ● | ● | ||
HK-41 | 三国 | みくに | レ | ↑ | レ | ↑ | ● | ||
HK-42 | 庄内 | しょうない | レ | ↑ | レ | ↑ | ● | ||
HK-43 | 服部天神 | はっとりてんじん | レ | ↑ | レ | ↑ | ● | ||
HK-44 | 曽根 | そね | レ | ↑ | レ | ● | ● | ||
HK-45 | 岡町 | おかまち | レ | ↑ | レ | ● | ● | ||
HK-46 | 豊中 | とよなか | レ | ● | ● | ● | ● | ||
HK-47 | 蛍池 | ほたるがいけ | レ | ↑ | ● | ● | ● | 大阪モノレール大阪モノレール線(本線) | |
HK-48 | 石橋 | いしばし | ● | ● | ● | ● | ● | 阪急箕面線 | |
HK-49 | 池田 | いけだ | ● | ● | ● | ● | ● | ||
HK-50 | 川西能勢口 | かわにしのせぐち | ● | ● | ● | ● | ● | ||
HK-51 | 雲雀丘花屋敷 | ひばりがおかはなやしき | ‖ | ‖ | ● | ● | ● | ||
HK-52 | 山本(平井) | やまもと | ‖ | ‖ | ● | ● | ● | ||
HK-53 | 中山観音 | なかやまかんのん | ‖ | ‖ | ● | ● | ● | ||
HK-54 | 売布神社 | めふじんじゃ | ‖ | ‖ | ● | ● | ● | ||
HK-55 | 清荒神 | きよしこうじん | ‖ | ‖ | ● | ● | ● | ||
HK-56 | 宝塚(宝塚大劇場前) | たからづか | ‖ | ‖ | ● | ● | ● |
宝塚方面と神戸・京都方面で乗り換える場合、京都線が止まらない中津と京都方面で乗り換える場合は、十三で行う(中津・梅田での乗り換えは折り返し乗車となるため別途運賃が必要となる)。十三から宝塚方面への乗車の際も梅田で折り返す場合は別途運賃が必要となるが、淀川花火大会開催時は特例として梅田での折り返し乗車が認められる。
阪急・能勢電鉄川西能勢口ではJRへの乗り換え案内はされないが、逆にJR川西池田では阪急・能勢電鉄への乗り換え案内が実施される。
使用車両
宝塚線所属
神戸線とは共通の形式となっている(運用は独立)。以前は2000系に対し2100系、3000系に対し3100系と区別されていたが、6000系以降は完全に共通化している。8両編成のうち、1000系、8000系すべてと6000系の一部が能勢電鉄乗り入れ対応。神戸線所属車両を借りることもある。
1000系 9000系 8000系 7000系 6000系 5100系
能勢電鉄所属
宝塚線所属車両と同様に運用され、能勢電鉄線内には日生エクスプレスでしか入らない。