正式名称は「東方永夜抄 ~ Imperishable Night.」。
副題「Imperishable Night」は「インペリシェブル・ナイト」と読む。
Imperishable=不滅の、不死の Night=夜、夜間
直訳すると「不滅の夜」か。
作中において主人公たちが展開する「永夜の術」と、それに伴う異変を指していると思われる。
pixivでは省略形の「永夜抄」の方が用いられる場合が多い。
概要
東方Project第8作目となる作品で、2004年8月15日のコミックマーケット66にて完成版が頒布された。
人間と妖怪がペアでチームを組み挑む、スペルカードのみを練習できるスペルプラクティスモードがありさらにそのモード専用のスペカがあるなど、ほかの東方STG作品に見られない特徴が多い作品となっている。
ストーリー
平和な夜だった。
何事も起きていなかった。少なくとも人間にはそう見えていたのだ。
そんな人間のもとに妖怪が訪れる。
いつもなら妖怪退治は人間の役目だ。だがこんな『異変』が起きていると言うのに、人間は一向に動こうとしないので痺れを切らした、と言う。
だが人間は、そのとき初めて『異変』に気が付いたのだ。
妖怪退治が役目の人間は、
『この異変』を、夜が明ける前に解決出来るだろうか、と言った。
だが妖怪は言う、
『こんな異変』は、夜を止めてでも今夜中に解決させる、と。
妖怪は、月の欠片を求めて夜の幻想郷を翔け出した。
後を追うように人間も飛び出す。
魔を感じ、幻を打ち破る人間。
魔を遣い、幻を無効化する妖怪。
―― 二人は、夜を止める
システム
以下、永夜抄で特徴的なシステムについて簡単に述べる
ペア制プレイヤーキャラ
プレイヤーキャラ選択の際には「幻想の結界チーム(霊夢・紫)」「禁呪の詠唱チーム(魔理沙・アリス)」、「夢幻の紅魔チーム(咲夜・レミリア)」、「冥界の住人チーム(妖夢・幽々子)」の4つのチームから選択するようになっており、高速移動時には人間側、低速移動時には妖怪側のキャラクターを操作するようになっている。高速・低速でショット・ボムの性質が大きく変化する組み合わせもあるため慣れが必要となる。
なお、条件を満たせば単独キャラの選択も可能となる。
妖率ゲージ
人間側、あるいは妖怪側のキャラに偏っているかを示すゲージ。±100%であらわされ、-側が人間、+側が妖怪側を示す。敵を倒す、グレイズするなどで操作キャラ側の割合が増え、何もしない・ミスする・使い魔を撃墜するなどで値が0%に近づく。±80%越えると「逢魔が時」状態となり高得点を獲得できる状態になる。尚、単独キャラ時、またはプレイヤーキャラに妖夢が居るときはゲージ最大値、「逢魔が時」の閾値が異なってくる。
刻符
このゲームには「時間」の概念がある、ザコ、ボスを倒すごとに「刻」のマークが出てくる、これを刻符という。
東方永夜抄は「時間を止めつつ、事件の黒幕を探す」というストーリーなのでかなり重要になってくる。
1面開始時点のPM11時からスタートし、ステージごと1時間進む設定だが、設定された刻符ノルマをクリアしてかつ、ステージクリアすることによって時間の進行が30分に短縮される。6面到達前までにAM5時を過ぎると「夜明け」になりその場で強制的にゲームオーバーとなってしまう。
撃墜された時、ある程度の刻符を失ってしまうので、ノルマギリギリしか刻符を取得できていない場合、「撃墜されたけどまだ大丈夫」では済まされない時もある。また今作にはコンティニュー回数制限は無制限だが、1回ごとに30分時間が経過するので回数がかさむと夜明けに間に合わなくなりそこで強制終了となる。
ラストスペル
難易度Nomal以上でプレイした場合、各ステージで画面右の「Time」に設定された分だけ刻符を集めてステージボスを倒すと、「ラストスペル」と呼ばれる特殊なスペカを見る事が出来る。
ボーナス要素なので被弾しても残機が減らずに先へ進めるが、スコアラーにとっては得点を底上げできる千載一遇のチャンスとも言える。
その分、いずれも強力な弾幕であり、発動中は自機のボムが×印で上書きされ使用できない。
自機ラストスペル
いわゆる喰らいボムを発動しようとすると、ボムストック二個とひきかえに通常よりも強力なスペカが展開される。ボムストックが一個でも発動される。
ちなみに非常に厳しいタイミングであるが、被弾からラストスペル入力受付までのわずかなタイムラグの間にボムることで普通の喰らいボム(ボム消費は一個分)を発動することも出来る。
スペルプラクティスモード
通常のプラクティスモードと異なり、特定のスペルカードのみを練習することが出来るモード。このモードではボムの使用は禁止されており、また被弾すれば即終了となる。尚、このモードについては作者であるZUN自身が「こういうミニゲーム的システムはゲームの格を下げる」という旨の否定的な発言をしており、以降のSTG作品では東方神霊廟での再登場まで同様のシステムは実装されなかった。(東方文花帖及びダブルスポイラーはその性質上これに似てはいるが、こっちの場合はこれ自体が本編であるため前述の発言には該当しないと思われる)
ラストワード
規定数以上のスペカを取得する、スペルプラクティスモードで特定のスペカをクリアする等の条件を満たすことにより、スペルプラクティスモード専用のスペカ「ラストワード」に挑戦することが出来る。このスペカは「そのキャラの本気弾幕」と言う設定上、全体的に高難易度であり取得するには相当な熟練が必要とされる。
なお、永夜抄本編でボスとして登場するキャラに加え、自機としてしか登場しないキャラ(咲夜など)全員分のラストワードも用意されている。また、永夜抄ではてゐの立ち絵はこのラストワードでしか見ることは出来ない。また、紫はこのラストワード時のみ立ち絵が何故か妖々夢の物になっている。
ステージ分岐
4面と6面で以下のような分岐が発生する。
- 4面
・プレイヤーキャラが「禁呪の詠唱チーム」か「夢幻の紅魔チーム」の場合、ボスが博麗霊夢(ルートA)
・プレイヤーキャラが「幻想の結界チーム」か「幽冥の住人チーム」の場合、ボスが霧雨魔理沙(ルートB)
となる。
単独キャラの場合は、そのキャラが属するチームと同じ展開になる。
- 6面
・そのプレイヤーキャラでまだ一度もゲームをクリアしていない場合、あるいは5面クリア時までに一度でもコンティニューした場合はボスが八意永琳となりエンディングがノーマルエンドとなる。(ルートA)
・そのプレイヤーキャラでノーマルエンドを見たことがあり5面クリア時までにノーコンティニュー、かつまだグッドエンドを見ていない場合はボスが蓬莱山輝夜となりグッドエンドとなる。(ルートB)
また、そのプレイヤーキャラでグッドエンドを見たことがあり5面クリア時にノーコンティニューだった場合には5面ボス撃破後の会話の後選択肢が現れ、ルートA・Bを任意に選べるようになる。
自機
チームごとの特徴に加え、人間側キャラ操作時には特技として追加的な特徴が付与され、
妖怪側キャラ操作時には攻撃補助キャラとして使い魔が出現する。
幻想の結界チーム(通称:結界組)
超ホーミングタイプ。
チーム共通特長:当たり判定最小、ラストスペル受付時間最大
人間側キャラ | 妖怪側キャラ | |
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キャラ名 | 博麗霊夢 | 八雲紫 |
固有特技/使い魔 | 当たり判定のある使い魔に被弾しない | 召還八雲式 |
ショット | マインドアミュレット | 妖回針 |
スペルカード | 霊符「夢想妙珠」 | 境符「四重結界」 |
ラストスペル | 神霊「夢想封印 瞬」 | 境界「永夜四重結界」 |
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禁呪の詠唱チーム(通称:詠唱組)
高火力&貫通攻撃。さらに、操作キャラを一定のタイミングで切り替えることにより異常な火力を得ることが出来るテクニックが存在する(通称マリス砲)。
チーム共通特長:アイテムの回収範囲が最大
人間側キャラ | 妖怪側キャラ | |
---|---|---|
キャラ名 | 霧雨魔理沙 | アリス・マーガトロイド |
固有特技/使い魔 | PowerMAXでなくてもアイテム自動蒐集が可能 | 上海人形 |
ショット | スターダストミサイル | スペクトルミステリー |
スペルカード | 恋符「マスタースパーク」 | 魔符「アーティフルサクリファイス」 |
ラストスペル | 魔砲「ファイナルスパーク」 | 魔操「リターンイナニメトネス」 |
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夢幻の紅魔チーム(通称:紅魔組)
グレイズしやすく稼ぎプレイ向き。低速モードが低速でない、使い魔に癖があるなどレミリア操作時には若干の慣れが必要。
チーム共通特長:グレイズ判定最大。ボムを抱え落ちするとボムアイテムが一つ出てくる。
人間側キャラ | 妖怪側キャラ | |
---|---|---|
キャラ名 | 十六夜咲夜 | レミリア・スカーレット |
固有特技/使い魔 | アイテム落下速度が低下 | サーヴァントフライヤー |
ショット | ミステリアスジャック | ナイトダンス |
スペルカード | 幻符「殺人ドール」 | 紅符「不夜城レッド」 |
ラストスペル | 幻葬「夜霧の幻影殺人鬼」 | 紅魔「スカーレットデビル」 |
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幽冥の住人チーム(通称:冥界組)
ボムが増えまくるのでクリア向き。高速モードは狭く高火力、低速モードは広く低火力と他とはまったく逆の性質(ただし死蝶「華胥の永眠」は全スペカ中最強威力)。妖夢は半人半霊であるため、人間側の妖率ゲージは半分だけとなり、また特技の代わりに使い魔として自分の半霊を使う。
チーム共通特長:人間側ゲージが半分。ステージクリア時ボムストックが二個以下なら一個増加。
(半)人間側キャラ | 妖怪側キャラ | |
---|---|---|
キャラ名 | 魂魄妖夢 | 西行寺幽々子 |
使い魔 | 半幽霊 | 死蝶霊 |
ショット | 六道怪奇 | 対岸の誘い |
スペルカード | 人符「現世斬」 | 死符「ギャストリドリーム」 |
ラストスペル | 人鬼「未来永劫斬」 | 死蝶「華胥の永眠」 |
ボスキャラクター
リグル・ナイトバグ
1面ボス。蛍の妖怪。
夜の森を進む主人公たちに襲い掛かってくる。
レミリアを攫おうとするなど、非常に無謀な行動に出て返り討ちに遭った。
不意に画面外から飛んでくるため、「リグルキック」に葬られる初見プレイヤーが続出したことで有名。
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ミスティア・ローレライ
2面ボス。夜道に歌と暗闇で人を惑わす夜雀。
リグル同様いきなり襲ってきて返り討ちにされる。
その能力によってプレイヤーの視界を極度に制限し、主人公たちの周囲以外の弾幕をまったく見えなくしてしまう。
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上白沢慧音
3面ボス、Ex面中ボス。半人半獣のワーハクタク。
終わらない満月の夜に危機感を抱き、歴史を食う能力によって人里の歴史を食って隠した。3面登場時には妖怪を伴って人里にやってきた主人公たちを人里を襲撃しに来たと勘違いし、人間の姿で主人公たちを迎え撃つ。
ステージは能力によって隠蔽された人里が舞台となるが、上位妖怪にはその能力が通じないため低速時には背景が異なって見える演出がある。撃破後誤解は解かれ、異変の原因となったであろう人物の住む永遠亭の場所を主人公たちに教える。
Ex登場時には主人公たちを輝夜が妹紅に放った刺客と思い込み、妹紅を守るためワーハクタクの姿で迎え撃つ。こっちの場合は主人公たちに自覚がなかったものの、実質的には刺客と同等だったためあながち勘違いであるともいえない。
Exの設定として竹林に行った理由が「肝試し」だったため、一部の東方ファンはこの姿の慧音を「肝試しの慧音」、略してきもけーねと呼ぶ。
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博麗霊夢 or 霧雨魔理沙
二人のいずれかが4面ボスとして登場。
どちらにしても終わらない夜の原因を作っている主人公たち(設定上刻符を集めて時刻を止めていたため)を退治すべく出てくる。
尚、この異変の根本原因は異常な満月であるが、『文花帖』や『求聞史紀』で事件として記録されているのは「永夜異変」、すなわち終わらない夜の方であるため、一般的に認識されている異変の犯人は主人公たちと言うことになっている。(ただし当事者を除きばれてない)
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因幡てゐ
5面中ボス。地上の妖怪兎。
永遠亭に乗り込んできた主人公たちを迎撃しに来る。
本編では会話がなく一切スペカを使わないため、立ち絵を見るにはラストワードに挑戦しなくてはならない。
なお、彼女のスペルカード発動時の背景は鈴仙・優曇華院・イナバとまったく同じである。(『東方文花帖』では新規の背景になっている)
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鈴仙・優曇華院・イナバ
5面ボス。月の妖怪兎。
最初は主人公たちが、輝夜たちを月へ連れ戻しにきた月の使者であると勘違いしていたらしく、単なる地上の妖怪と人間であることがわかると拍子抜けする。
永琳に対処を任され応戦するがあえなく撃破される。輝夜の居るところへ辿り着けないよう封印を施したが、6面ルートBを選択した場合、封印が間に合わず輝夜への道がばれてしまい意気消沈する。
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八意永琳
6面Aルートボス、6面Bルート中ボス。不老不死の月の賢者。
月の使者から身を隠し輝夜を守るため秘術「地上の密室」を用い、幻想郷全体に結界を展開。
これにより幻想郷から見える月が偽りの月となり、紫ら妖怪たちがそれを異変と捉え今回の出来事の発端となった。
Aルートでは主人公たちは永琳の策略にはまってまんまと偽の月におびき出され戦闘となる。この場合永琳を撃破しても、永遠亭のメンバーと和解することなくノーマルエンドに終わる。
Bルートでは鈴仙の封印失敗もあいまって、その誘導策が失敗し輝夜の元へ向かってしまった主人公たちを食い止めるため現れる。
網目状のレーザーや自機周辺を包囲するように出現する弾幕など移動が制限される弾幕が多く厄介。ラストワードに至ってはレーザーだらけである。
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蓬莱山輝夜
6面Bルートボス。永遠の月の姫。
ちなみに6面Aルートにもラストスペルだけ顔を出す。
鈴仙・永琳の策略を打ち砕き、真の満月に辿り着いた主人公たちに対し退屈しのぎと稀な来客のもてなしを兼ね、自慢の難題を武器に弾幕ごっこを挑む。最後に終わらない夜を作った原因が主人公たちであることに気づき、その永遠と須臾を操る能力によりあっという間に夜を終わらせてしまう。これによって結果的には、主人公たちが終わらない夜という異変を起こし、それをラスボスが解決するという、表面上は普段とまったく逆の展開になってしまった。
撃破後に幻想郷にはすでに博麗大結界という結界が張られており、「地上の密室」による結界とダブっていたことを知らされ和解しグッドエンドとなる。以降結界を解き、また身を隠す必要もなくなったということで積極的に外部との接触を持つようになった。
弾幕はどれも派手で綺麗。ラストスペルは最後になるにつれ処理落ちのように全体の動作が遅くなる。
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藤原妹紅
Exボス。不老不死の人間。
輝夜とは会う度に殺しあう因縁の中であり、ことあるごとに輝夜から刺客が送られていた。
Exステージでは退屈していたところ、輝夜により「肝試し」と言う名目で迷いの竹林に暇つぶしに来た主人公たちと遭遇。会話の中で主人公たちが「輝夜」と言う名前を口にしてしまったため、主人公たちを輝夜の刺客と勘違いし戦闘となる。
元々は普通の人間であるため、スペカをクリアするたび撃破される(死ぬ?)が、蓬莱の薬の効力により「リザレクション」が発動して一瞬で復活し次の弾幕を展開するという演出がある。が、痛いものは痛いらしく何度も死にまくった挙句力を使い果たして降参する。
余談であるが、本来耐久スペルであるはずの「パゼストバイフェニックス」は魔理沙とアリスのマリス砲により撃破可能である。
楽曲一覧
番号 | 曲名 | 備考 |
---|---|---|
01 | 永夜抄~Eastern Night. | タイトル画面テーマ |
02 | 幻視の夜~Ghostly Eyes | 1面テーマ |
03 | 蠢々秋月~Mooned_Insect | 1面ボス・リグル・ナイトバグのテーマ |
04 | 夜雀の歌声~Night Bird | 2面テーマ |
05 | もう歌しか聞こえない | 2面ボス・ミスティア・ローレライのテーマ |
06 | 懐かしき東方の血~Old World | 3面テーマ |
07 | プレインエイジア | 3面ボス・上白沢 慧音のテーマ |
08 | 永夜の報い~Imperishable Night. | 4面テーマ |
09 | 少女綺想曲~Dream Battle | 4面ボス・博麗 霊夢のテーマ |
10 | 恋色マスタースパーク | 4面ボス・霧雨 魔理沙のテーマ |
11 | シンデレラケージ~Kagome-Kagome | 5面テーマ |
12 | 狂気の瞳~Invisible_Full_Moon | 5面ボス・鈴仙・優曇華院・イナバのテーマ |
13 | ヴォヤージュ1969 | 6面テーマ |
14 | 千年幻想郷~History of the Moon | 6面Aボス・八意 永琳のテーマ |
15 | 竹取飛翔~Lunatic_Princess | 6面Bボス・蓬莱山 輝夜のテーマ |
16 | ヴォヤージュ1970 | 永琳・輝夜ファイナルスペルのテーマ |
17 | エクステンドアッシュ~蓬莱人 | EXTRAステージテーマ |
18 | 月まで届け、不死の煙 | EXTRAステージボス・藤原 妹紅のテーマ |
19 | 月見草 | エンディングテーマ |
20 | Eternal Dream~幽玄の槭樹 | スタッフロールテーマ |
21 | 東方妖怪小町 | ラストワードのテーマ |
関連イラスト
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全般
プレイヤーキャラ
ボスキャラ
リグル・ナイトバグ、ミスティア・ローレライ、上白沢慧音、因幡てゐ、鈴仙・優曇華院・イナバ、八意永琳、蓬莱山輝夜、藤原妹紅
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