概要
完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)の一員で、「完肉」の異名を持つ完璧超人。
超人強度は6800万パワーとかなり高く、無量大数軍内でもポーラマンに次ぐ2位で、プリズマンやビッグ・ザ・武道をも凌駕する。
キン肉マンことキン肉スグルに酷似した、タラコ唇とブタ鼻が特徴的なマスクを着用し、さらにはスグルの必殺技であるマッスルスパークまで使用するなど、謎多き超人である。
額の「完」の字がトレードマーク。
無量大数軍・第一陣のリーダー格ストロング・ザ・武道とは対等な関係(本人談)であるらしく、武道がザ・魔雲天と共に崖の下に落下し消息を絶った直後、第二陣のリーダー格として登場する。
良くも悪くも完璧超人らしい思考回路の持ち主であり、高潔で正々堂々としている反面自身のやることなすことを正しいと信じて疑わない独善的な性格。勿論、正義超人・悪魔超人を下等超人呼ばわりして見下している。
また態度もやたら大きく、他の完璧超人が潔く自害する際も上から目線で褒め称えている。
階段ピラミッドの戦いではロビンマスクと対戦し、卓越したレスリングテクニックでロビンの技を尽く打ち破り勝利する。ロビンの説く友情パワーを認めることはなかったが、ロビンの実力を評価し「下等超人の最高傑作」と彼なりの賛辞を送った。
その後、武道やグリムリパーの正体が完璧超人始祖である事実を知り、多少の戸惑いを見せながらも再び彼らと結束。
国立競技場に出現した"許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)"にてラーメンマンと対戦する。
必殺技
- <完肉>バトルシップ・シンク
「完肉」の名を冠する必殺技。相手と背中合わせの状態で手を後ろに回し相手をホールドして逆さまに落下、相手の脳天をキャンバスに叩きつける。
- ネメシスドライバー
両踵で相手のアゴを抑え、両手で相手の両足を抑えて繰り出すパイルドライバー。かける側に驚異的な柔軟性を求められるため、下等超人では脱出できないという。両腕は自由になっているのですぐ外せそうだが、ロビンマスクが実際に両腕で顎のフックを外そうと試みるも失敗している。
ネメシス版のキン肉ドライバー。
- パーフェクトディフェンダー
両腕の筋肉で相手の攻撃を防ぐ、肉のカーテンとソックリな技。
- パーフェクトアセイラント
パーフェクトディフェンダーからのカウンター技。両腕で相手を掴み上空へ放り投げ、自らもジャンプし相手の背中に両手刀を叩き込む。
- ネックパンプアップ
首の太さを一時的に2倍以上に膨張させ、相手のホールドを破壊する。
キン肉族三大奥義のひとつ。スグル最強の必殺技でもある。しかし実際に受けたラーメンマンによればスグルのマッスルスパークとは似て非なるものであるらしいが……?
- ペルフェクシオン・バスター
ネメシス版のキン肉バスター。
キン肉バスターの際にホールドされていなかった相手の両腕を両足で挟み込むことにより脱出を困難にしている。
その威力は「バスターの使い手は同時にバスターの受身の名手でもある」というゆで理論でキン肉バスターに耐性のあるスグルですらKO寸前に追い込まれるほど。
因みにペルフェクシオンとは完璧のスペイン語である。
- 完璧・弐式奥義改め <完肉>新奥義アロガント・スパーク
ネメシスが完璧超人として勝つためにスグルに使ったシルバーマンの奥義。
天才であるネメシスはアロガントスパークを一目見ただけで模倣することに成功したが、一朝一夕で完璧にものにすることが出来るような技ではなく、強大な技ゆえの自身への負担に耐え切れず自滅してしまった。
余談
初登場時は読者から「キン肉マンに似た完璧超人」という意味で「完肉マン」などと呼ばれていたが、奇しくも後に明らかになった異名は「完肉」であった。
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その正体(ネタバレにつき未見の方は要注意)
前述のマスクのデザインや必殺技、さらにはキン肉族の諺を用いるなど、キン肉族(特にキン肉王家)との浅からぬ関係を示唆させる描写が目立っていたが、その正体はスグルの祖父にして第56代キン肉星大王であるキン肉タツノリの実弟であったことが本人の口から語られる。
(つまり、スグルにとっては大叔父にあたる)
本名はキン肉サダハル
ネームモデルは王貞治。王にならなかった男の名前の由来としては皮肉だが、所属を「セ」イギから「パ」ーフェクトに移行した点だとなかなか面白いネーミングと言える。
文武に長け周囲からの信頼も篤く、わずか13歳にしてマッスルスパークを習得するほどの天賦の才を持ち合わせていたが、その桁違いの才能ゆえ周囲から恐怖されるようになり、実父である時の大王にさえも「災いの種になる」として幽閉されてしまう。
さらにキン肉王族上層部(元老院)は国民に対しても彼の名前や存在を公言することを許さず、知る者語る者を尽く処刑することで彼の存在そのものを歴史から抹消した。
こうした不遇な扱いを受けながらも兄タツノリとの関係は良好で、タツノリは大王への即位以前も以降も人目を避けて度々彼の元を訪れており、サダハルもそんな兄のためならばと自身の扱いをある程度受け入れていた。
個人の能力では兄をはるかにしのぎながら、サダハルが王位を狙わなかったのは、自身には持ちえなかったカリスマ、王としての器をタツノリに見出し、尊敬していたからである。
また、タツノリの息子で後の第57代大王であるキン肉真弓や、真弓の旧友で現・超人委員会委員長のハラボテ・マッスルとも一度だけ会ったことがある。
かつて少年だった二人は偶然サダハルの幽閉されている地下牢を発見し、その最深部に監禁されていたサダハルと対面。
サダハルは「自分が公に出ていくと、それを支持する者たちによって国が二つに分かれてしまう」という今の王族の不条理を伝え、「優しさを持つ兄ならきっと良い国を作ってくれる」「そんな優しい意志を受け継ぐ優しい大人になってほしい」と願い、次世代を担う二人に薫陶を与えた。
しかし、その後サダハルの処刑が決まった事を伝えに来た兄が自身のために涙を流す姿を前にし、兄を悲しませ続けるキン肉族に対する積年の怒りが爆発。同時に兄が言外に脱獄を促していることを察し、その日の内に母星を離れることになる。
タツノリは今生の別れの言葉と共に、サダハルの「慈悲の心」の浅さが完璧すぎる彼の唯一の弱点となり得ると助言を与えた。
母星を離れ地球に流れ着いたサダハルは、かつて伝説に聞いた"聖なる完璧の山(モン・サン・パルフェ)"を目指し、門の番人である完璧超人始祖の一人ミラージュマンと出会う。
完璧超人となるための試練を受け入れ彼に挑戦するが、咄嗟に構えた防御の姿を見たミラージュマンは、サダハルが元・同志であるシルバーマンの子孫であることを察し、その思想と自分の攻撃を凌いだ実力を評価。
ミラージュマンの許しを受けたサダハルは、完璧超人ネメシスとして生まれ変わり、ついには無量大数軍の首領格にまで上り詰める。
同じく無量大数軍である武道やピークア・ブー、かつての同志ネプチューンマンも彼の実力と高潔さを高く評価しており、「現在の腐敗した完璧超人界の思想を覆し、未来の完璧超人を担う存在になり得る」と有力視されている。
以降の展開
完璧・無量大数軍の一員となったネメシスだが、"許されざる世界樹"でのラーメンマンとの戦いの中、死んでいった同胞の命を背負うという覚悟によって、完璧超人が滅ぼすべきはずの友情パワーに覚醒してしまう。
それを指摘され激昂したネメシスは、当てつけとしてマッスル・スパークによるラーメンマン惨殺を敢行。
しかしラーメンマンは辛うじて命を繋いでおり、すでに決着のゴングが鳴ったことによりトドメを刺すこともできないままネメシスはラーメンマンを開放する。
仲間の元へ放り投げられたラーメンマンだったが、その口から語られたのは「ネメシスのマッスル・スパークは似て非なる別の技である」という事だった……。
その後、ブロッケンJr.とサイコマンの闘うリング上に、かつての完璧超人始祖の一人であり自身のルーツでもあるキン肉族の開祖・シルバーマンが降臨。満身創痍のブロッケンに代わりサイコマンと対戦する。
その試合の中でシルバーマンは、マッスル・スパークの前身でもある奥義"アロガント・スパーク"を発動。その凄惨な技の全貌に会場が凍りつく中、ネメシスだけは高らかにシルバーマンを称賛する。
しかし、シルバーマン本人は敗北からの成長の芽そのものを摘んでしまうこの技を「不完全な技」と否定し、その答えを後世に託すために「フェイバリット・ホールドの壁画」を遺したこと、それを最も理想的な形で昇華させたのがキン肉スグルのマッスル・スパークであることを語る。
サイコマンとの試合でエネルギーを使い果たしたシルバーマンは再び銀のマスクの姿に戻るが、その間際、自身の子孫であるスグルとネメシス両名の健闘を祈る言葉を遺した。
"許されざる世界樹"の闘いで多くの始祖たちが倒され、完璧超人勢はとうとう武道改め超人閻魔(ザ・マン)とネメシスのみとなる。
1日で2回の試合を消化したネメシスだが、なおも自身の因縁に決着をつけるためにスグルとの対戦を要求。しかし、閻魔から「キン肉マンとの闘いを侮ってはいかん!」と諭され自重。その後、世界樹により新たに指し示された「甲子園球場」を舞台に、委員会による管理の下で翌日の試合がマッチングされ、ネメシス・スグルの両名はメディカル・サスペンションにより万全の体制で試合に挑むことになる。
試合当日、始祖が次々と倒されたことで迷いを見せる超人閻魔の「私は何か間違っていたのか? 」という問いかけに対し、「キン肉族の闇に葬られた自分を救ってくれたのは完璧超人の理念だ」と力説し、スグルを倒すことでそれを証明して見せると決意。
スグルとの激闘の中で真弓とハラボテ委員長が現れ、上記の本名及び昔の出来事を語り、二人は王族の闇を振り払うために奮闘して来たと伝える。
しかし、ネメシスはタツノリの身に起きた「肉のカーテン」事件をきっかけにキン肉族を完全に見限ったことを明かす。
当時、"聖なる完璧の山"で修行中の身でもあり、完璧超人の掟によって助けに行くことも許されず、同時に「慈悲の心」のために兄が殺されかけた事実に絶望し、王族の権力を解体することを決意。
スグルと真弓に完璧超人側に寝返るべきと誘いをかけるが、当然彼らは断わった上、「主義主張の違いはあれど、優劣はない」「理解しつつあるからこそ、完璧超人の世界に誘ってくれた」と指摘し、むしろキン肉族に帰って来てほしいと逆に誘いをかけられる。ネメシス自身も内心これを認めていた。
閻魔を支え、超人界の平和を守る重責を一人で背負おうとする中、会場に現れたピークア・ブー、(表の場から現れないが)ネプチューンマンからの激励を受ける。ネメシスはそんなピークに対して「セコンドは不要」「掟を破った」ことを彼に告げ拒否するが、ピーク自身はネメシスをまったく恨んでおらず、そのままセコンドにつくことに。
ピークがセコンドについたこともあり、スグルと互角に渡り、彼が仕掛けたマッスル・スパークを火事場のクソ力で切り返し、自身のマッスル・スパークで決着を着けるかと思いきや、完璧超人としての勝ち方に拘るためアロガント・スパークを使用。しかし、相手の息の根を止めようとしたことで友情パワーも消滅、技を仕掛けた自身のダメージが大きいという自滅的結果に終わり、スグルから敬意を払われる形で、マッスル・スパークでKOされる。
それでも命尽きるまで戦おうと起き上がるも、虚空のタツノリに労をねぎらう言葉をかけられ、穏やかに意識を失う。
意識を取り戻した後、技のダメージで自害できなくなったことで掟に従い、超人閻魔によって処刑されることとなるが、ピークとネプチューンマンの直訴、そして悪魔将軍の乱入により保留ということで執行されなかった。その後超人閻魔と悪魔将軍の決戦の場「エアーズロック」へ向かい、試合を見守る。
二人の決着後、遂に解り合うことが出来た正義超人と完璧超人だが、あくまで馴れ合うことは無く、もし正義超人が堕落するようなら、真っ先にスグルを倒しに行くと、再戦を誓うピークと共に宣言。スグルもそれに応え、二人は拳を突き合わせる形で契りを交わした。