クロスハンター
くろすはんたー
「拳があちーぜ!」
「我、怒れ人なりー」
「台詞がなげーんだよ!」
概要
クロスハンターとは、2000年にコミックボンボンの読者参加型ゲームソフト制作企画『史上最強のRPG計画』において開発されたゲームである。
”世界初の3バージョン同時発売”を念頭に企画されたが、度重なる発売延期のためにコナミのGBCソフト「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4」に先を越されてしまう。その後2001年春にようやく発売されたが、どのバージョンも主人公が違うだけで内容はほぼ同一の粗末な物であった。
まず、ゲームシステムやキャラクターデザインが「ドラゴンクエスト」のパクリであり、仲間のペットもピカチュウにそっくりであることから「ポケットモンスター」の便乗商品ではないかという声が散見された。(ボンボンのメディアミックスでは「ロボットポンコッツ」「真・女神転生デビルチルドレン」「メダロット」「格闘料理伝説ビストロレシピ」など、そこそこ成功した便乗作品はあるものの、本作は最悪の域であった。)
また、主人公のデザインもパクリを指摘されており、まず「トレジャーハンターバージョン」の主人公・ロープは『ドラクエVI』のテリーと『FFVI』のロック・コールを継ぎ接ぎしたようなデザイン。「エックスハンターバージョン」の主人公・ヒュウガは、アニメ『発明BOYカニパン』の主人公カニパンのようなデザイン。最後に「モンスターハンターバージョン」の主人公・シローは『ドラゴンボール』の孫悟空のパクリと推測されている。裏づけとなっているのが後述する漫画版である。
更には敵モンスターのデザインまで「ドラゴンクエスト」に登場するモンスターとほぼ同じで、特にラスボスの魔王ザガンに至っては、漫画「ドラゴンクエスト戦記 ロトの紋章」の異魔神(最終形態)にそっくりである。
他にも多数のパクリが見られるが、上げだしたらキリがない程なので、関連サイトを見ることを勧める。
果てにはゲーム自体の出来もひどく、褒めるところが全くないクソゲーである。
ゲームの主な問題点(と創作活動において学ぶべき点)
- BGMがうるさいし不快極まりない。しかも種類が少なく、ラスボスがいるダンジョンでさえ通常のダンジョンのBGMを使い回されている。
- ダンジョン内では一切セーブができない。その為ゲームボーイの電池と相談しながら進めなくてはならない不親切な設計である。
- その癖にエンカウント率は高く、マップは異常なほど広い。宝箱も片手数個程しか置いておらず探索する楽しみは一切無い。
- ランダムエンカウントはゲームバランスと要相談。ダンジョンの広さや宝箱の数とその中身はプレイ時間や難易度、敵キャラ構成と相談して、適度なものにすべし。
- 戦闘はシンプルすぎるため戦略性は無い。淡々とボタン押すだけである。
- ペットは作戦(AI)に合わせて行動するのみで自分では操作できない。しかしそのAIの出来が悪い。
- 果てには主人公がペットよりも弱く、プレイヤーの足を大いに引っ張る。 まさに主人公(笑)。しかも主人公が倒されるとペットまで全滅扱いとなってしまう。
- シナリオが寒い・つまらない。子供騙しにもならない酷い内容である。
- イベントシーンですらしょぼく、どのキャラも棒立ちで似たような内容を毎回喋るだけである。
- 何かしら変化が無いと飽きが来る。
- テキスト速度も遅くスキップ機能が無い為、そのつまらないシナリオを繰り返し聞かされることになる。
- UI面も劣悪で、画面が切り替わるたびに処理落ちを起こす。
- 頻繁にデータが消えるうえに各種様々なバグが報告されている。
- 3バージョンあるがテンプレだらけで分割していないし『クロス』の意味もなしていない。
RPGツクールやウディタの使用で解決できるような問題点を除いても、学ぶべき点は多い。
当時の評価は最悪で、『週刊ファミ通』のレビューでは「6・4・4・4」と最低点が並び辛辣なコメントを出されてしまう程であった。
クロスハンターと比べたらフリーゲーム・同人ゲーム含めた大概のゲームは良作レベルになる為、ゲーム・漫画共にクロスハンターを反面教師にする事が同人ゲーム・同人漫画で成功する為の第一目標にもなり得るという意味で「クロスハンターさえ超えられればシェアウェアの同人ゲーム・同人漫画は確実に売れる」と言われるほどまでに漫画版共々最底辺の反面教師なのである。
漫画版
ゲーム版と同時期にコミックボンボンでコミカライズ版が連載された。作画はカイマコト。
主人公はゲーム版と同じだが、敵は”黒士軍”と呼ばれる軍隊と戦う話になっている。また、ゲーム版には登場しないオリジナルキャラクターまで登場し、ゲームに登場するザガン一派のモンスターたちはほとんど登場していない。…コミカライズとは?
また、全体的に絵柄が古臭く、主人公が過去を語るシーンで顔芸をしたり、素手で戦っていた主人公が突然大剣を装備するなど突っ込みどころも多い漫画としても面白くないものであった。
連載当時はあまり問題にならなかったが、インターネットが普及した2005年に入ってからは2ちゃんねるなどのサイトにより、盗作疑惑が発覚。演出や作風がドラゴンボールやベルセルク、さらには漫画版ストリートファイターなど中平正彦の漫画作品などのトレスで大多数を占めていることが判明。ボンボン読者に限らずネットユーザーからも(いろんな意味で)大きな衝撃を与えた。
このことによりゲーム版・漫画版共に批判され、現在はボンボンの負の遺産として扱われている。当然のだが単行本化はされていない。もしコミックス化されていたら間違いなくボンボンと講談社の寿命が縮まっていただろう。
動画で見るクロスハンタートレス検証
余談
ゲーム編
読者参加型ゲームソフト制作企画として生まれたゲーム「クロスハンター」は失敗に終わったが、その後も他誌では同じように読者参加型ゲームソフト制作企画が行われた。
漫画編
2000年代のボンボンは、競合誌の「コロコロコミック」による強力なタイアップ作品の前に苦戦を強いられた時期であり、この読者参加型ゲームソフト制作企画はボンボンの人気を巻き返すために計画されたと思われる。
この企画は失敗におわり、その後、2001年ではボンボンの主力作品であった「ロックマン」が「ロックマンエグゼ」以降からはコロコロ(独占という形)で展開されるようになり、2002年は「機動戦士ガンダムSEED」が角川グループの雑誌「ガンダムエース」「電撃ホビーマガジン」で公式外伝などの雑誌展開を行い(尤も、ボンボンでも高山瑞穂による結構質の高い漫画版が掲載されていたのではあるが)、「SEED DESTINY」終了後はガンダム関連情報を角川グループに完全に主導権を奪われるようになり、ボンボンは完膚なきまでに劣勢を強いられることになる。
(ちなみにボンボン休刊後の2011年に、コロコロでガンダムの新作が展開されることとなった)
講談社は、他の漫画雑誌で掲載されていた漫画でもインターネットで盗作疑惑が発覚され謝罪をさせられている。このことによる講談社への批判も多い。
- 2005年に「別冊フレンド」で連載されていた漫画が、「スラムダンク」の盗作が発覚したため、コミックスは回収・絶版処分を受ける。原作者も一時、漫画家活動を停止することに。
- 2007年に発売された「マガジンドラゴン」にて“ドラゴンカップ”の参加作品として掲載された作品のひとつが「デスノート」の盗作が発覚したため、権利剥奪された。
また当時ボンボンで連載していた作家の方々は、2000年前後の当時のことを「思い出したくもない」というように酷い扱いを受けたことを告白しており、当時の編集部の腐敗ぶりを示している。
特に、現在はアニメーターをしている元連載作家の佐藤元氏は、
- 新しい漫画の企画を持って行ってもまず使われない
- 他社のヒット作品からの盗作、模倣作品が多い
- 編集サイドの好き嫌いで漫画の打ち切り・続行を決められていた
- 編集部に何度も忠告しても聞き入れられなかった
- 報酬は半分でも構わないので人気回復に協力させてほしいと言ったが、断るならまだしも無視された
ということを自身のブログで詳細に語っている。
更に佐藤氏の作品である『みなさ~ん!ボンバーマンですヨ!!』が打ち切られた後、カイマコトによる『ボンバーマンバクレツ学校大戦争』が連載された。無論この作品もBビーダマン爆外伝のあかボンのパクリキャラが出たり、バグラー、ムジョー等の改悪、安易な下ネタ等の描写から評判は最悪で単行本化もされていない。
後にカイマコトはボンボン2002年6月号のワールドカップ特集の4コマ漫画「サッカー日本代表ガンバレ~!」の掲載を最後に消息を絶った。
パロディ編
アニメ「ちおちゃんの通学路」にて『CHAOS HUNTER』として漫画本が登場。
ガッチリとした体型で目元が鳥山絵まんまのシローが登場している。
また、大川ぶくぶの漫画「ポプテピピック」では、シローの覚醒シーンの台詞「我―怒れ人なり」がネタとして使われている。
唯一、クロスハンターという作品がキチンと踏まえていた点は…
作品を作る作者が面白いと感じたものは全て作品を作る部品として利用できる、という点だろうか。