「拳があちーぜ!」
「我、怒れ人なりー」
「台詞がなげーんだよ!」
概要があちーぜ!
クロスハンターとは、2000年にコミックボンボンの読者参加型ゲームソフト制作企画『史上最強のRPG計画』において開発されたゲームである。
世界初の3バージョン同時発売を念頭に企画されたが、度重なる発売延期のためにコナミのゲームボーイカラー用ソフト『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ4』に先を越されてしまう。その後2001年4月12日にようやく発売されたが、どのバージョンも主人公が違うだけで内容はほぼ同一の粗末な物であった。
まず、ゲームシステムやキャラクターデザインがドラゴンクエストシリーズ及びドラゴンクエストモンスターズシリーズのパクリであり、仲間のペットもピカチュウにそっくりであることからポケットモンスターシリーズの便乗商品ではないかという声が散見された(ボンボンのメディアミックスでは『ロボットポンコッツ』『真・女神転生デビルチルドレン」「メダロット』『格闘料理伝説ビストロレシピ』など、そこそこ成功した便乗作品はあるものの、本作は最悪の域であった)。
また、主人公のデザインもパクリを指摘されている。
- 「トレジャーハンターバージョン」の主人公・ロープは『ドラゴンクエストⅥ』のテリーと『FINAL FANTASY Ⅵ』のロック・コールを継ぎ接ぎしたようなデザイン。
- 「エックスハンターバージョン」の主人公・ヒュウガは、アニメ『発明BOYカニパン』の主人公カニパンのようなデザイン。
- 「モンスターハンターバージョン」の主人公・シローは『ドラゴンボール』の孫悟空のパクリと推測されている。裏づけとなっているのが後述する漫画版である。
更には敵モンスターのデザインまで『ドラゴンクエスト』に登場するモンスターとほぼ同じで、特にラスボスの魔王ザガンに至っては、漫画『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』の異魔神(最終形態)にそっくりである。
他にも多数のパクリが見られるが、上げだしたらキリがない程なので、関連サイトを見ることを勧める。
果てにはゲーム自体の出来もひどく、褒めるところが全くないクソゲーである。
ゲームの主な問題点
- BGMがうるさいし不快極まりない。しかも種類が少なく、ラスボスがいるダンジョンでさえ通常のダンジョンのBGMを使い回されている。
- ダンジョン内では一切セーブができない。その為ゲームボーイの電池と相談しながら進めなくてはならない不親切な設計である。
- その癖にエンカウント率は高く、マップは異常なほど広い。宝箱もゲーム全体で片手数個程しか置いておらず探索する楽しみは一切無い。
- 戦闘はシンプルすぎるため戦略性は無い。淡々とボタンを押すだけである。
- ペットは作戦(AI)に合わせて行動するのみで自分では操作できない。しかもそのAIの出来が悪い。
- 果てには主人公がペットよりも弱く、プレイヤーの足を大いに引っ張る。まさに主人公(笑)(というよりはペットが異常に強い)。しかも主人公が倒されるとペットまで全滅扱いとなってしまう。当然ながら最初のペット加入までは主人公一人旅なため、難易度が劇的に高い。
- ステータス画面でペットの特技を確認することができない。一応何ができるかは加入時に説明されることはあるが不親切極まりない。
- 説明書に「ちせいはAIの賢さを示し、各主人公には関係無いためこのパラメータはありません」と書いているが、同じページの主人公のステータスにもゲーム中のステータスにも主人公に「ちせい」がある。その上無意味なステータスだからと初期値の5から一切成長しない。開発の杜撰さがよくわかる一端。
- シナリオが寒い・つまらない。子供騙しにもならない酷い内容である。
- イベントシーンですらしょぼく、どのキャラも棒立ちで似たような内容を毎回喋るだけである。
- テキスト速度も遅くスキップ機能が無い為、そのつまらないシナリオを繰り返し聞かされることになる。
- UI面も劣悪で、画面が切り替わるたびに処理落ちを起こす。
- 頻繁にデータが消えるうえに各種様々なバグが報告されている。
- 3バージョンあるがテンプレだらけで分割していないし『クロス』の意味もなしていない。
- ゲーム中では他の主人公がいるらしき話も聞けるが姿も形もないため、最終決戦で急に「今3つの神器がクロスした!」となってもプレイヤーからすれば超展開にしか見えない(ラスボスのセリフが幼稚なことも尚更)。
そもそも『史上最強のRPG計画』と銘打っておいて当時すでにゲーム機としては古い方に入っていたゲームボーイだったことや、ゲーム作りでは何の実績もないネットビレッジという会社、そして何より色々な意味でアレな漫画家をキャラクターデザインに起用したことなど『史上最強のRPG計画』は本気だったかも怪しい。
当時の評価は最悪で、『週刊ファミ通』のレビューでは「6・4・4・4」と低得点が並び、6点も高そうに見えるがレビューでは辛辣なコメントを出されてしまう程であった。
我、漫画版なり──
ゲーム版と同時期にコミックボンボンでコミカライズ版が連載された。作画はカイマコト。
一応、コミックボンボンではゲーム本編や玩具の発売半年前ほどからコミカライズがスタートし、ゲームの世界観の肉付けや掘り下げを行う作り方が一般的であり、例えばロボットポンコッツではコミカライズの好評から、漫画版のデザインがゲームに逆輸入される場合もあった。
しかし本作の場合、主人公はゲーム版と同じだが、敵は黒士軍と呼ばれるオリジナルの軍隊と戦う話になっており、それに伴いシナリオもゲームのあらすじをガン無視したものになっている。また、ゲーム版には登場しないオリジナルキャラクターまで次々と登場し(これに関しては元のゲームの密度が薄すぎるのも原因だが…)、ゲームに登場するザガン一派のモンスターたちはほとんど登場しておらず、ゲームの特徴とされているペット要素にも殆ど触れられていない。というか、形としてはゲームの発売時期に合わせて好き勝手に描いてた絵面と設定をゲームに寄せたと言ったところ(なお、その際主人公を劇中で成長させた結果主人公の見た目が肝心のゲームと別物化した)。…コミカライズとは?
また、全体的に絵柄が古臭く、主人公が過去を語るシーンで顔芸をしたり、素手で戦っていた主人公が突然大剣を装備するなど(ネタにするのも微妙な)突っ込みどころも多い、漫画としても面白くないものであった。
なにせゲームでのキャラクターデザインを担当したのもカイである上に、ゲームの製作現場を取材するコラム漫画も執筆しているため言い訳も立たない有り様である。
連載当時は購読年齢層の低さと、さして注目するに値しないストーリーだったこともあり、あまり問題にならなかったが、インターネットが普及した2005年に入ってからは2ちゃんねるなどのサイトにより、盗作疑惑が発覚。演出や作風が『ドラゴンボール』や『ベルセルク』、さらには漫画版『ストリートファイター』など中平正彦の漫画作品などのトレスで大多数を占めていることが判明。ボンボン読者に限らずネットユーザーからも(いろんな意味で)大きな衝撃を与えた。
このことによりゲーム版・漫画版共に批判され、現在はボンボンの負の遺産として扱われている。当然だが単行本化はされていない(…というかカイの作品が単行本化された事自体が一度もない。ボンバーマンや志村けんのバカ殿様等、タイアップ先には恵まれていたのだが…。売れ行きや人気が怪しくなれば人気作家の作品だろうが既に1巻以降が発売済だろうが単行本にはしないボンボンコミックスの傾向的には必然だったのかもしれない)。もしコミックス化されていたら間違いなくボンボンと講談社の寿命が縮まっていただろう。
現在でもなお非難されているのは単純に漫画として面白くないという点が一番大きい。
それがたとえ、当時あまり気にならなかったか、面白かったとしてもである。
動画で見るクロスハンタートレス検証
余談がなげーんだよ
ゲーム編
読者参加型ゲームソフト制作企画として生まれたゲーム『クロスハンター』は失敗に終わったが、その後も他誌では同じように読者参加型ゲームソフト制作企画が行われた。
- 大怪獣バトルシリーズに登場するオリジナル怪獣カブト・ザ・キラーとバキシマムはてれびくんの読者参加企画により生まれた怪獣である。
- 2009年12月に発売された『クロストレジャーズ』は、スクウェア・エニックスとVジャンプとの読者参加型ゲームソフト制作企画として生まれたゲームである。クロスハンターと微妙にタイトルが似ているものの、こちらは良作なゲームとなっている。
漫画編
2000年代のボンボンは、競合誌の「コロコロコミック」による強力なタイアップ作品の前に苦戦を強いられた時期であり、この読者参加型ゲームソフト制作企画はボンボンの人気を巻き返すために計画されたと思われる。
この企画は失敗に終わり、その後2001年ではボンボンの主力作品であった『ロックマン』が『ロックマンエグゼ』以降からはコロコロ独占という形で展開されるようになり、2002年は『機動戦士ガンダムSEED』が角川グループの雑誌「ガンダムエース」「電撃ホビーマガジン」で公式外伝などの雑誌展開を行い(尤も、ボンボンでも高山瑞穂による結構質の高い漫画版が掲載されていたのではあるが)、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』終了後はガンダム関連情報を角川グループに完全に主導権を奪われるようになり、ボンボンは完膚なきまでに劣勢を強いられることになる(ちなみに、ボンボン休刊後の2011年に、コロコロでガンダムの新作が展開されることとなった)。
講談社は、他の漫画雑誌で掲載されていた漫画でもインターネットで盗作疑惑が発覚され謝罪をさせられている。このことによる講談社への批判も多い。
- 2005年に「別冊フレンド」で連載されていたとある漫画が、『スラムダンク』及び『リアル』の盗作が発覚したため、コミックスは回収・絶版処分を受ける。その漫画の原作者も一時、漫画家活動を停止することに。
- 2007年に発売された「マガジンドラゴン」にて“ドラゴンカップ”の参加作品として掲載された作品のひとつが、『デスノート』の盗作が発覚したため、権利剥奪された。
また当時ボンボンで連載していた作家の方々は、2000年前後の当時のことを「思い出したくもない」というように酷い扱いを受けたことを告白しており、当時の編集部の腐敗ぶりを示している。
- 新しい漫画の企画を持って行ってもまず使われない
- 他社のヒット作品からの盗作、模倣作品が多い
- 編集サイドの好き嫌いで漫画の打ち切り・続行を決められていた
- 編集部に何度も忠告しても聞き入れられなかった
- 報酬は半分でも構わないので人気回復に協力させてほしいと言ったが、断るならまだしも無視された
ということを自身のブログで詳細に語っている。
更に佐藤氏の作品である『みなさ~ん!ボンバーマンですヨ!!』が打ち切られた後、カイマコトによる『ボンバーマンバクレツ学校大戦争』が連載された。無論この作品もBビーダマン爆外伝のあかボンのパクリキャラが出たり、バグラー、ムジョー等の改悪、安易な下ネタ等の描写から評判は最悪で単行本化もされていない。
後にカイマコトはボンボン2002年6月号のワールドカップ特集の4コマ漫画「サッカー日本代表ガンバレ~!」の掲載を最後に消息を絶った。
2010年代からは悪い意味で知名度が高くなった本作に関して、漫画版だけを擁護(曰く「パクリ元がわかりやすいからオマージュ」「銀魂とか他の漫画もやってること」「作者こそ被害者」)する輩が動画サイトやゲームカタログ、アニヲタwiki等に出没。
特にゲームカタログ(正確には前身となったクソゲーまとめwiki)ではあまりにも酷い暴れ方をした荒らしがいたため「作者本人なのか」と皮肉られていた。
そしてその結果本来ゲームの評価と関係ない部分だった漫画版の記述を削除しない方針となるという珍事が起きた。
おまけ編
クロスハンターには各バージョンにカードゲームが3枚付いてある。
こちらはゲームより出来がよくゲームがおまけという声が出ている。
パロディ編
アニメ『ちおちゃんの通学路』にて『CHAOS HUNTER』として漫画本が登場。
ガッチリとした体型で目元が鳥山絵まんまのシローが登場している。
また、大川ぶくぶの漫画『ポプテピピック』では、シローの覚醒シーンの台詞「我―怒れ人なり」がネタとして使われている。
パクリ元であるとされるゲーム、漫画、アニメ
他多数
関連タグ
- モンスターハンタークロス:名前が(特にモンスターハンターバージョンと)似ているが全く関係ない。当然あちらはクロスハンターとは比べるのも失礼な程の大ヒット作品である。
…が、何を血迷ったのかこれの発売時に『クロスハンター・モンスターハンターバージョン』を筆頭に本作3バージョンが売上上位にランクインするという珍事が発生した。