リンクが迷い込んだ世界…それは、あと3日で終わる世界。
ジャンル | アクションアドベンチャー |
---|---|
機種 | ニンテンドウ64|Wii・WiiU(VC版)|ニンテンドー3DS(リメイク版) |
発売日 | 2000年4月27日(64版)|2009年4月7日(VC版)|2015年2月14日(リメイク版) |
価格 | 通常版:5,800円+税(64版)|1,200wiiポイント(VC版)|4,700円+税(リメイク版) |
販売元 | 任天堂 |
CERO | A:全年齢対象(64・VC版)|B:12歳以上対象(リメイク版) |
概要
ゼルダの伝説シリーズの一つ。前作『時のオカリナ』のゲームシステムを使い、短期間で何かできないかというコンセプトで生み出され、後にリマスター版がニンテンドー3DSで発売された。
しかしリマスター版は時のオカリナのリマスター版と比較するとかなりの改変・変更要素が多く見られ、「オリジナル版の経験者でも新鮮な気持ちで遊べる」という好意的な意見と、「リマスター版は余計な改変をせず、内容を忠実に再現すべきだ」という否定的な意見で評価が分かれている。
ストーリー的にはハイラルの異世界であるため、そっくりさんが多い設定。
作りこみの細かさには評価が高く、またCMやキャッチコピーなどでも怖さを前面に出し、「滅び」や「消滅」といった「死」の要素が数多く織り込まれている。故にトラウマになりそうなホラー演出やショッキングなシーンも多く、黒い任天堂として名を轟かせた独特の雰囲気から、今でも根強いファンは多い。
前作とシステムはほぼ同じだが、メインストーリーとは関係のない登場人物のイベントが数多く設定されており、タルミナに住む人々の様々な人間関係が見て取れる。
月の落下で滅びる運命の中で、月の落下を信じない者、可能性に賭けて避難する者、諦めている者、死にたくないと怯える者、それぞれの生き様が描かれ、特に今作では「時間」が重要な役割を持ち、日にちやサブイベントをクリアしているかどうかにもよって細かく変動する。
『時のオカリナ』の裏ゼルダ(高難易度版)の立ち位置のため、ダンジョンは少ないがその分難易度が全体的に高くなっており、前作を経験していないと行き詰まる場面が多い。
なお後年に発売された『ハイラル百科』の記載で、この世界の衝撃の真実が明かされている(後述)。
ストーリー
ゼルダ姫と共にガノンドロフの野望を未然に防いでハイラルを救い、時のオカリナを持ってハイラルから遠くへ逃げるように告げられた後、リンクは先の旅の終わりで別れた大切な友を探して、新たな旅に出た。
旅の途中の森の中で奇妙な仮面をかぶったスタルキッドに、時のオカリナと愛馬エポナを奪われてしまい、追いかける最中に魔力でデクナッツの姿へと変えられてしまう。
その後、成り行きで同行する事になった妖精チャットと共に、スタルキッドを追いかけた先の時計塔の内でお面屋と出会い、元の姿に戻る方法を教える代わりにスタルキッドに盗まれた「ムジュラの仮面」を奪回して欲しいとリンクに依頼する。
時計塔を出ると、そこはあと3日で月が落ち、すべてが終わる世界「タルミナ」だった。
キャラクター
前作「時のオカリナ」で登場した人物と瓜二つの容姿をもつ人物が数多く登場するが、ほとんどは全くの別人で、ハイラルとは異なる世界である事が伺える。サブイベントを通じて、各キャラクター同士の意外な関係を伺う事ができる。
本作の主人公で、ハイラルを後にしてエポナと共に旅をしていた最中、異世界へ迷い込んでいまい、お面屋からデクナッツの姿から戻してもらったお礼と称し、ムジュラの仮面の奪取を手伝わされる。
今作では回想シーンでのみ登場し、リンクに時のオカリナを持ってハイラルから遠ざかるように告げ、彼に時の歌を授ける。
お面屋からムジュラの仮面を盗んだ小鬼で、クロックタウン上空に不気味な月を作り出し、タルミナの各地方に災害をもたらした。とあるシーンから前作にも登場した人物であることが伺える。
チャット
今作の相棒である黄色い妖精。
スタルキッドや弟のトレイルと逸れ、リンクと共に行動するが、前作のナビィと比べると口が悪く強気な性格。リメイク版では若干マイルドな口調になり、追加要素のアラーム機能も相まって口が厳しい母親のような要素が色濃くなった(64・VC版では時のオカリナで登場した敵には「〇〇も知らないの?」と言い放つが、リメイク版では別のセリフに差し替えられているなど)。
しかし本当は世話焼きかつ、弟思いの怖がりで素直になれないツンデレであり、とあるシーンやエンディングではリンクにもデレる。
普通の月と違い、明らかに恐ろしい表情が描かれており、時間経過と共にどんどんクロックタウンに近付いてくる。意思の無い存在だが、物語終盤では後述のラスボスに意志を与えられ、「オ…オデは食う…ぜ…ぜんぶ食う」と、世界を全て食らい尽くそうとする。
なお開発当初は月に表情が付いておらず、開発スクリーンショットでも顔がないことが確認でき、当時のパッケージイラストに「ただの月」が描かれているのはその名残である。リメイク版パッケージではちゃんと顔が付いた月が描かれ、グラフィックが進化したことでさらに表情が恐ろしくなっている。
クロックタウンの平和を守る子供たち。
街のあちこちから有力情報を仕入れてきてくれる頼もしい存在であり、団員には「ボンバーズ団員手帳」が配布され、色々な人達の悩みを解決することで手帳が埋まっていく。リメイク版では手帳のシステムがリニューアルされ、入手方法も大幅に変更された。
団員手帳は今作の充実したサブイベントでは欠かせないアイテムで、イベントをクリアするごとにエンディングが変化する。
クロックタウンの宿屋「ナベかま亭」の看板娘。
幼馴染のカーフェイと結婚を控えているが、ひと月前からカーフェイが行方不明となっている。
ロマニー牧場の当主とその妹。
ロマニーは冒頭でリンクと離れ離れになってしまったエポナを保護しており、リンクのことを服の色から「バッタ君」と呼ぶ。姉のクリミアはアンジュと友人関係であり、カーフェイに密かに想いを寄せているらしい。
初見で3日目のロマニー牧場を訪れると、色々ショッキングな状態になっているのを目撃するのは、プレイすれば誰もが一度は通る道。
ゼルダの伝説シリーズ初登場。
赤い風船で空を飛ぶ自称妖精35歳で、撃ち落すと付近の地図を売ってくれるが、見た目も言動も変人そのもの。しかし売ってくれる地図は至って手堅く実直なつくりのため、地図作成においてはなかなか有能であり、沼地に彼の父親がいるが、息子のこの強烈な個性に悩んでいる模様。
デク王、デク姫、猿
沼地に城を構えるデクナッツの王族で、娘がウッドホールの神殿に攫われた事から、猿を姫の誘拐犯だと早合点してお仕置きしようとする。
デク姫と猿達は友達であり、デク王に捕まった仲間の猿やデク姫を救おうとリンクに助けを求める。猿がデク王によって熱湯責めに遭うシーンはかなりえげつない。
コウメ、コタケ
前作のボスツインローバと同姿同名の別人。
なおこちらの世界の彼女たちは善良かつ親切な性格であり、沼地の観光ガイドでボートクルーズを開き、他にも薬を売ったりしている。
ゴロン族の英雄で、ゴロンリンクのモデル。
ゾーラ族の音楽バンド「ダル・ブルー」のギタリストで、ゾーラリンクのモデル。
イカーナ王(イゴース・ド・イカーナ)
かつて栄えたイカーナ王国を治めていた王の幽霊。国が滅亡しゴーストタウンと化した後も、ロックビルの呪いによりこの世に留まり続けている。日の光に弱く、ある事をするとコミカルな一面も見られる。
常に不気味な笑顔を絶やさない人物で、スタルキッドにムジュラの仮面を盗まれており、ある意味今回の事件の発端。前作の「幸せのお面屋」と同一人物かどうかは不明で、お面を被って話しかけると、被っているお面に対して簡単なコメントをしてくれる。
リメイク版発売前に公開されたニンテンドーダイレクトではフルボイスで登場し、ゲームの紹介をする傍ら、かなり腹黒い一面をのぞかせている。
クロックタウンの町長の息子で、アンジュの婚約者。クリミアからも好意を抱かれている。リンクがタルミナに来る一ヶ月前から行方不明になっている。
沼・山・海・谷の各所の神殿に捕らえられている巨人で、条件を満たし、ある場所で聞くことができる絵本の中にも登場する精霊。
仮面
デクナッツの仮面
デクナッツリンクになれる仮面で、体重が軽く、他の姿では乗れないハスの葉などに乗ることができる。
序盤でスタルキッドの呪いにより強制装備させられ、特定条件を満たすまで外すことができず、3種類の仮面の中で元になった人物が唯一不明だが、本編やEDから行方不明中のデクナッツ城の執事の息子であることが示唆されている。
ゴロンの仮面
ゴロンリンクになれる仮面で、パワーが強いがジャンプ力は低く、全ての形態で体重が重い者の、転がるとエポナ以上のスピードを持ち、溶岩の上をダメージなしで歩く事ができる。
元になった人物はダルマーニ3世。
ゾーラの仮面
ゾーラリンクになれる仮面で、体格は前作の大人リンクとほぼ同じで、水中移動に長けている。
元になった人物はミカウ。
鬼神の仮面
ボス部屋でのみ使用可能。
かぶると強力な力を得られる鬼神リンクに変身でき、64・VC版ではチート級の力があるが、リメイク版ではボスの倒し方が大幅に変更されたため、一方的なワンパターン戦法は通用しなくなっている。
本作のサブタイトルにもなっている、太古のとある部族が呪いの儀式に用いていたという不気味な仮面。
リンクが被ることはできないが、『神々のトライフォース2』や『どうぶつの森』シリーズにもアイテムや装飾品で登場しており、『ブレスオブザワイルド』にもDLCで追加され、こちらは被ると一部の魔物と敵対しなくなるという、石ころのお面と似たような効果を発揮する。
お面
本作ではお面の存在が重要であり数も多いため、一部のみを記載する。
かぶると石ころ同然の存在となり、敵に気付かれにくくなる、有用性の高いお面。
巨人の仮面
魔力を消費して巨大になることができ、とあるボス部屋でのみ使用可能な特殊なお面。
リメイク版だと剣が使えず、代わりにプロレス技を決められるようになる。
バクレツのお面
ドクロマークが描かれた奇妙な仮面。
使用すると自爆が可能になりハートを使用して爆弾の効果を発動できる、上手く使えば爆弾を切らした場合の緊急手段としても応用が利く。
ギブドのお面
ミイラ男のような敵「ギブド」を模したお面で、かなり精巧な作りらしくかぶると本物のギブドも仲間と間違えるため、会話が可能になる。
うさぎずきん
かぶると足が速くなり、直感力も冴える他、移動速度が上がりジャンプの飛距離も伸びる。
ポストハット
かぶると配達員とみなされ、街のポストの中にある手紙以外のアイテムをもらうことができる。
夜更かしのお面
かつて拷問にも使われていたらしいお面。かぶると眠りたくても眠れなくなる。
地方・ダンジョン
クロックタウン
冒険の拠点となる街。
ミルクロード
ロマニ牧場への道があり、途中は巨大な岩が通行止めをしているため、大バクダンがない場合は3日目に来ることになる。
ウッドフォール地方(沼)
スタルキッドによって毒水が流れ出た、密林に囲まれた沼の地域で、奥地にはデクナッツの王国である「デクナッツの城」がある。
「ウッドフォールの神殿」のボス「密林仮面戦士オドルワ」を倒すと湖が浄化され、水に入ってもダメージを受けなくなる。
スノーヘッド地方(山)
雪と氷で埋もれていており、ふもとには剣を鍛える「鍛冶屋」、奥地にはゴロン族の里がある。
氷雪の原因だった「スノーヘッドの神殿」のボス「仮面機械獣ゴート」を倒してクリアすると、雪が溶けて隠し通路が通行可能になり、ある場所ではレースをすることができるようになる。
グレートベイ地方(海)
ゾーラ族の住処がある海岸地帯で、種族の垣根を越えた人気バンド「ダルブルー」の拠点。
沖合には研究所があり、向かって右手に進むと「海賊の砦」、左手の崖の上に登るとビーバーと長い渓流をレースをすることができる。
シリーズでも珍しい近代的な内観を持つ「グレートベイの神殿」のボス「巨大仮面魚グヨーグ」を倒すと、原因となっていた濃霧を晴らすことが可能。
なお研究所はかの乱闘ゲームのステージにも抜擢されている。
イカーナ地方(谷)
かつて渓谷に築かれ、大昔に栄えた王国の跡地で、現在は荒れ果てており、「井戸の下」「イカーナ古城」「オルゴールハウス」はホラーとショッキング要素だらけのみんなのトラウマ。
スタルキッドの手によって常に厚い雲に覆われ、町中に幽霊やモンスターが徘徊しているため住んでいる人は極僅かだが、元凶となっている「ロックビルの神殿」のボス「大型仮面虫ツインモルド」を倒し、クリアすると解放が可能。
関連動画
関連イラスト
関連タグ
外部リンク
ネタバレ
「確かに、力を使うには…荷が大きすぎたようだ…」
「使えない道具は…タダのゴミでしかない…」
「この者の役目は、もう終わった…」
【ムジュラの仮面】
本作のラスボスで、月を落とそうとする張本人。仮面をかぶったスタルキッドに「力を使わせて」タルミナに不気味な月を作りだした。スタルキッドの友人であった巨人たちに仮面を被せて封印し、各地方に異変をもたらしていた。
リンクが呼び出した4人の巨人たちに月を止められた際、スタルキッドを「ゴミ」呼ばわりして本性を露わにし、月に入り込んで全てを飲み込もうとする。
ムジュラの仮面との直接対決では、「ムジュラの仮面」「ムジュラの化身」「ムジュラの魔人」の3形態と戦うことになる。
月の中
恐ろしい外見とは打って変わって、内部は青空と平原、一本の樹が佇む平和的な空間。
木の周りを走り回るボス達の亡骸を被った子供たちに話しかけるとお面を要求され、決まった数渡すと“かくれんぼ”が始まり、樹の根元に座ったムジュラの仮面をつけた子供に話しかけると“鬼ごっこ”と称し、ラスボス戦が始まる。ただし逃げるのは鬼の方で、追い詰めるのはムジュラの仮面である。だが実際の結果は逆になり、リンクによってムジュラは倒され、その仮面はお面屋によって回収された。
漫画版
姫川版では、スタルキッドは寂しさから暴走していたという設定となっている。自分の望みを叶えてくれるムジュラの仮面を「オイラの一番の友達」と呼んでいたが、月の落下を阻止されるとムジュラの仮面は本性を現し、「バーカめ! クク…、一番の友達だって!? 笑わせるな、誰が、お前みたいな、ゴミと!!」と罵倒してから地面に叩きつけ、光線を放って殺そうとした。このことがリンクの怒りに触れ、倒されることになる。ムジュラの仮面は「鬼ごっこ」のつもりでリンクに鬼神の仮面を渡して戦うが、鬼神となったリンクの前には手も足も出ず終始圧倒されていた。最後はリンクの「遊びは終わりだ」の言葉と共に剣の一閃により倒された。どこからともなく現れたお面屋に回収されるが、直後リンクによってムジュラの仮面は真っ二つに斬断された。そしてリンクは、お面屋に向けて「消えろ! 小悪党」と言い放つ。お面屋が去った後、ようやくリンクは怒りを解き鬼神の仮面を取り外したのだった。
なお、月の内部は「ムジュラの仮面の精神世界」であると語られている。ムジュラの仮面にとってすべてが遊びの世界であり、月もムジュラの欲望の表れという解釈がされている。
また巻末のオマケ漫画には、ムジュラの仮面が誕生するまでを描いたオリジナルストーリーが掲載されている。
ハイラル百科で明かされた衝撃の真実
実はタルミナの世界は、スタルキッドの記憶や妄想をムジュラの仮面の魔力によって生み出された幻の世界であり、そもそもタルミナという異世界は存在しないのである。
チャットの回想シーンで、スタルキッドやトレイルと共に遊んだり、平原の樹に落書きをしたシーンも、元の世界であった出来事や場所をそのままコピーして反映した可能性が高い。
しかしながら、スタルキッドと古くからの友であった巨人達との関係、そしてその巨人に裏切られたと思いムジュラの仮面を手にしたという事実はどこへやら…
もしかしたら古くからの友だという巨人の存在そのものも、すでにムジュラの仮面が彼に見せる幻だったのかもしれない…
そのため、リンクが去った後のタルミナは消滅しており、本作は「月の落下によって滅びる世界を救う」のではなく、「邪悪な仮面を付けてしまったスタルキッドを、心の闇から救い出す」物語であるとも言える。