概要
「ペルシャ神話」「ペルシア神話」とも表記される。ゾロアスター教と大きく関わりを持ちゾロアスター教神話と言われることも。
インド神話と多数の類似性・共通性を持ち、一部のヨーロッパの神話(ギリシャ神話、ローマ神話、北欧神話など)のルーツともされている。
成立年代によって3つに大別されている。
- 古代アーリア人の神話
関連書物:ゾロアスター教の聖典「アヴェスター」
- ゾロアスター教神話
関連書物:「デーンカルド」「ブンダヒシュン」
- イスラーム成立時代の文学・英雄物語
関連書物:「シャー・ナーメ」
シャー・ナーメにおける差異
叙事詩シャー・ナーメは従来のゾロアスター教的世界観を一神教的世界観に組み立て直したものであるため、一部の人物の名称や伝説の内容が変化しているものがある。
たとえば原初の人間だったガヨーマルトがピーシュダーディー朝の初代の王カユーマルスとなっていたり、邪竜アジ・ダハーカを退治するスラエータオナが、暴君ザッハークを打倒するフェリドゥーンへと変化している。
イラン神話に関連するタグ
※シャー・ナーメでの名称/アヴェスター等での名称の順
神
原初の人間
救世主(サオシュヤント)
- ウクシュヤト・ウルタ(フシェーダル、アウシェダール、ウシェーダル):最初の救世主
- ウクシュヤト・ヌマフ(フシェーダル・マー、アウシェダール・マーフ、ウシェーダル・マーフ):二人目の救世主
- アストワト・ウルタ(ソーシュヤンス、ソーシャーンス、ソーシャンス):最後の救世主
イランの王
ピーシュダーディー朝(ピーシュダード朝)
- カユーマルス(ジャユーマート):シャー・ナーメにおける初代の王
- フーシャング/ハオシュヤンハ※:冶金術の発明、灌漑の整備などを行った王
- タフムーラス/タクマ・ウルパ※:悪魔を従え、複数の文字や言語を習得した王
- ジャムシード/イマ※:光輪の所持者である聖王。イランではソロモン王と同一視されるほどの存在
- フェリドゥーン/スラエータオナ※:竜または暴君を倒し王となった英雄(ペルシャ二大英雄の1人)
- マヌーチェフル:祖父の敵討ちを行った王
カヤーニー朝(カヤーン朝)
- カイ・クバード/カウィ・カワータ※:初代の王
- カイ・カーウース/カウィ・ウサン※:カヤーン朝二代目の王
- カイ・ホスロー/カウィ・ハオスラワフ※:カヤーン朝三代目の王
- カイ・グシュタースプ(ゴシュタースプ)/カウィ・ウィーシュタースパ※:ゾロアスター教に改宗した王
異国の王
英雄・戦士
- ガルシャースプ/クルサースパ※:怪物退治の英雄
- ウルワークシャヤ:クルサースパの兄
- イスファンディヤール:ロスタム同様七つの冒険の伝説を持つイランの王子
- スィヤーウシュ:カイ・カーウースの息子、カイ・ホスローの父である悲劇の英雄
- カーヴェ:フェリドゥーンに協力した鍛冶屋
- グルド・アーフリード(ゴルダーファリード、ゴルドアーファリード):女勇士
- ザレール/ザリール:ゴシュタースプの弟、勇敢な将軍
- バストワル:ザレールの息子
ナリーマン家(ナリーマーン家)
グーダルズ家
3人存在するイランの高名な射手
- アーラシュ:矢の一射によって国境を定めた英雄
- バフラーム・チュービナー:矢でサーワ王を殺害した英雄
- スーファラル:復讐相手の乗る馬の頭を射抜いて捕らえるが殺さずに返したことで、感銘を受けた敵国から和平を呼びかけられた英雄
文官・神官
妃・姫
動物・幻獣・妖精
- グシュ・ウルヴァン(ゲウシュ・ウルヴァン、ゴーシュ・ウルーン):原初の牛
- ビルマーヤ:聖なる牛
- シームルグ:聖なる鳥
- アショー・ズシュタ(アショーズシュタ、アショーズシュト):聖なるフクロウ
- カルシプタル:天国に住まう聖なる鷹
- フマ:聖なる鳥
- ラクシュ:ロスタムが乗る竜馬
- シャブラング・ベヘザード:様々な英雄が乗る黒い馬
- ペリ:妖精
- カルカダン:サイあるいは一角獣
怪物・悪魔・悪鬼
「ダエーワ」も参照。
- アジ・ダハーカ:三つ首の竜
- アジ・スルワラ(アジ・ザイリタ):角を持つ巨大な竜
- カマク(カマグ):巨大な怪鳥
- ガンダルワ(ガンダルヴァ):海の怪物
- ペフン:青い狼
- ヒタースパ:クルサースパの敵対者
- パサナ:クルサースパの敵対者
- アルザング:ロスタムの第六道程で戦った悪鬼
- ディヴェ・セフィド(白鬼):ロスタムの第七道程で戦った悪鬼
- アクワーン:ロスタムに退治された悪鬼
- アスディーヴ(アスディーグ):白い竜
- ゴーチフル(ジャウザハル):月食や日食を引き起こす竜
- アルスナ:メクラクモとされる怪物
- ワルナワ・ウィーシャ:クモまたはサソリとされる怪物
- ワヴィザカ(ワウザカ):スズメバチとされる怪物
- ワルナワ:クモとされる怪物
その他
- フワルナフ(クワルナフ、ファッラフ):カウィの光輪とも呼ばれる王権の象徴である光輪
- ハオマ:薬草およびそれを元に作られる神酒、それを神格化した神
- ガオケレナ:ハオマの巨木
- ヴォウルカシャ(ウォルカシャ):中心にガオケレナがある天海
- フラフストラ(クラフストラ、フラフスタル、クラフスタル):不浄な生き物の総称
- マグ:ゾロアスター教の聖職者
- ウィースパ・タルワリー:アストワト・ウルタの母