概要
読んで字のごとく「決して老いず、老いによって死なない」こと。
不老長寿との違いは「死」の概念の消滅である。なので永遠に近い時間を生きられたとしても、最終的に死んでしまえば、厳密には不老不死とは言えない。
また、混同されるが老いという内的要因を克服した存在であるため、病魔外傷等の外的要因による死の克服は不死身であり似て非なる概念である。
本来は神や仙人といった、一般人からは羨ましい身分の存在がなるもの。
だがその欠点を描いた仮説なども存在する。
仮説
不死の牢獄
このタイプにおいて、不老不死は孤独の牢獄として描かれている。
つまり周囲の人間は自分を置いて他界してしまうのに、自分はいつまでもこの世に残って多くの知り合いを看取らなくてはいけないというもの。(他者と同じ時を生きられない)
これには「生き続ける孤独」が描かれており、不老不死となったものは人間ではなくなるという説。
生死損失
死なないということは、生きてもいないということ。
つまり不老不死になったものは生きながらに死んだことになり、生の喜びを味わえなくなるというもの。
上記の牢獄説に似た解釈で、死ななくても生きる苦行しか残らないという説。
不死の罰
これは些細だが重要な問題であり、死なず老いなくても、欠損した肉体は再生できない場合の悲劇である。
その場合、不老不死の者は完全なゾンビとなり、崩れてゆく自身の体を見ながら生きなくてはならないというもの。
つまり、不老不死には自己再生などの副次的効果は欠かせないという説。
伝説
古くはメソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』に登場し、ギリシャ神話や北欧神話、インド神話でも神々が不老不死であったり、それを求める人が描かれている。
中世ヨーロッパでは魔女や魔法使い、錬金術師が錬金術で不老不死になれる究極の物質「賢者の石」を発見しようと研究が続き、「化学」の源流となった。
古代中国では道教の道士や仙人が錬丹術で霊薬の精製を研究し、偶然で火薬が発明された。秦の始皇帝は方士の徐福に命じて、蓬莱山へ霊薬を取りに行かせたという。
アジアでは人魚の肉を食べると不老不死になると言われ、日本でそれを食べた八百比丘尼の伝説が各地に残っている。
日本では『古事記』に常世の国へ不老不死になれる木の実を取りに行く男の話が載っている。『竹取物語』ではかぐや姫が月へ帰る時に霊薬を置いていったが、お爺さんは天皇と相談して、日本一高い山の頂上で燃やすことにし、その山が「不死の山」(「富士山」)と呼ばれるようになったという。
ツクヨミが持つと言われる若返りのできる変若水が『万葉集』や昔話、琉球の伝説、ゲーム「薄桜鬼」に登場する。
雅楽においては、不老不死を求める老人をテーマとした舞い「採桑老」が存在し、それを舞うと死ぬと言われている。
pixivでメジャーな不老不死者と言えば、東方Project作品で「蓬莱の薬」を
不老不死とされるキャラクター
(不死身の頁で色々まとめられている)
関連タグ
異能生存体:無意識にあらゆる死因を排除する能力。肉体自体は不死身ではないが、どんな危機的状況だろうが絶対に死なない。平たく言えば「運命が生かす」ようなもの。
メギド72:特に力を持ったものが転生時に寿命を持たない「不死者」や、常人と比べて圧倒的に長い寿命を持つ「長命者」になるという設定があるが、その多く(特に不死者)がそれに関して何らかの闇や悩みを抱えている描写がある。
十二国記:国王やそれに使える官たちは所謂「仙人」となり、その資格を剥奪される、或いは返上しない限り寿命が無くなり(ある一定の年齢で肉体成長が止まる)、また特殊な武具を用いなければ死ぬことも無くなるが、それでも人間の本来の寿命を超えることは精神面でかなりの難題らしく、それを乗り越えられるか否かが国が長続きするか否かの最初の関門となるという描写が所々に散見される。
火の鳥:不老不死を取り扱った極めて有名な作品。不老不死を求める人間が何人か登場するが、その多くが碌な目に遭っていない。
吸血鬼:不老不死である生物として、知名度が高い。