概要
動物が虫を食べることは野生動物では普通であり、人間が虫を食べるという文化も古くから普通であった。(ちなみに、そもそもサルから進化したヒトの唾液には不十分とはいえ昆虫の殻を消化する成分が含まれており、意外にも昆虫食に向いている。)
日本の長野県周辺のほか、中国、ベトナム、タイの各一部地域、中南米各国、アフリカなど世界各地で昆虫食文化が発達したが、畜産の発達で食肉が安く豊富に手に入るようになったこと、キリスト教とイスラム教の文化圏であまり食べられなかったこと(イスラムではバッタのみ可)などにより、昆虫食は廃れる傾向にある。
この結果、世界の大半で昆虫食はなじみがなく、心理的に忌み嫌われるようになっている。ディストピアものでも昆虫が主食の世界が描かれる。
昆虫食が廃れたのは家畜、魚に比べて生産効率が悪いことが一因なのだが、家畜や魚と違って大規模な飼養設備が必要ないので食糧問題の解決策になると注目もされ、宇宙食にもなると見られている。
国際連合食糧農業機関(FAO)が推奨を行った事でも注目を集めた(ただし、かねてより指摘されている「昆虫カタストロフィ」の問題を考えると「遅きに失した」観が無くもない)。
ただし、肉食性ないし腐植食性の昆虫に対しては、あらかじめ絶食させたり内臓を取り去るなどしておかなくてはならない。
野生の昆虫を捕獲する場合は虫の体内に農薬が蓄積されていたり、毒や病原菌、寄生虫が存在する危険もあるため注意も必要。また甲殻類アレルギーを持つ人が食べるとアレルギー反応を起こす可能性もあるので注意。
代表例
タガメ カメムシ セミ ゲンゴロウ カミキリムシ(テッポウムシ) コガネムシ ゾウムシ ガ(蚕) ハチ アリ イナゴ バッタ コオロギ ハエ ゴキブリ イモムシ
イナゴの佃煮/ハチノコ(成虫のクロスズメバチ含む※)/ざざむし(カワゲラ/トビケラの幼虫)/カイコのさなぎ…日本の伝統料理。
※長野県及び岐阜県南東部で食用の習慣があり、わざわざ養殖したり、愛好家集団が休日に採集したりしているが、このハチは長野県に隣接する静岡県では茶の害虫駆除の役割をもつ益虫なので、越境して採集に来る愛好家に対し茶農家が警戒している。
飛蝗…移動能力が発達したバッタが異常発生する現象で、農作物に多大な被害を与えるが、被害にあった地元民に緊急避難として捕らえられて食料とされる。
日本のメディアでの取り扱い
日本のテレビ番組では罰ゲームとして取り上げられる事が多かった。
しかし近年はSDGsの目標のひとつ「飢餓をなくす」の一環として昆虫食はクローズアップされており、質の改良も相まって普通に食することができるまでになっている。
芸能人でも井上咲楽や川栄李奈らが昆虫食が好きである事を公言している。
そのため、最近のバラエティ番組やYouTuberの動画では普通に食べてみて「美味しい」や味の詳細をしっかり伝える食レポが多くなっている。
本当は違うけど一緒にされがちな例
サソリ クモ ムカデ :「昆虫」でなく節足動物。エビやカニは高級食材の一方で陸生種は不評。
関連タグ
ジャイアンシチュー…セミの抜け殻が材料の一つ。
高橋名人…漫画『ファミコンランナー高橋名人物語』に登場する珍味ブリバーグの材料に含まれる。
無印良品…「コオロギせんべい」を商品化した。