概要
『仮面ライダー鎧武』の舞台となる架空の地方都市。
雰囲気こそどこにでもある活気に満ちた地方都市という印象を受けるが、クラックというファスナーのようなヘルヘイムの森へのゲートが頻繁に発生し、そこからヘルヘイムの植物が流入するほどの危険地帯である(ユグドラシル・コーポレーションの研究によれば、発生率は前年度の12倍に膨れ上がっているらしい)。
地名や建造物の名前は植物に関連したものが多く、市名も「木々が騒めく」に由来する(例えば「鳳梨病院」はパイナップルの和名に由来する)。
なお、劇中で登場した沢芽市の地図は、バットマンの舞台であるゴッサムシティの地図を流用したものになっていたが、ソフト版や配信版では半島型の地形になっている。
元は寂れた田舎町であったが、クラックの発生頻度に目を付けたユグドラシル・コーポレーションがヘルヘイムの森を研究するべく、再開発という形で街を掌握し、結果として大幅な経済発展を遂げるまでに至った。
これにより、ほぼユグドラシル一強の企業の城下町となり、光実の通う「私立天樹高等学校」や「ユグドラシル警備保障」、「ユグドラシル総合病院」などユグドラシル直系の企業や施設があちこちに確認でき、ユグドラシル傘下となった企業も少なくない。
ユグドラシル直系の施設の中には「沢芽児童保育院」など児童福祉施設を装い、構成員の育成や人体実験に利用していたものも…。
無論、ドルーパーズやシャルモンといったユグドラシル傘下でない個人経営の店もある他、ユグドラシルの支配を快く思わない企業や人々も少なくなく、戒斗の両親はユグドラシルの再開発で職を失ったり(一応、正当な手続きを踏んではいたようだが)、舞は実家の高司神社を再開発で失う目に遭ったり、インベスがユグドラシル傘下でない企業の現金輸送車を襲うなどの企業城下町故の闇が見え隠れしている。
無論、街の発展の恩恵にあずかった人間も少なくはないので市民全員が反ユグドラシルというわけではない。
そうした不満から若者たちが集まって出来上がったダンスチームの総称をビートライダーズと呼ぶが、細かい説明はこの項目はしない。
彼らがいわゆるインベスゲームで抗争を行うカラーギャングのようなものであったが、ユグドラシルが壊滅し、ヘルヘイムの脅威が去って以降はビートライダーズは本当の意味で元のダンスチームへ戻っていった。コレはユグドラシルがプレイヤーズパス(フリーステージでのダンス権獲得に必要なICカードでコレを使わなければ音響器具が起動しないようになっている)を配布したり、ロックシードを販売するなどして、抗争を煽っていたという背景がある為である。
しかし、ユグドラシルの技術(ロックシードなど)が残存していた事やカルト教団黒の菩提樹の台頭の影響もあって、ブラックホーク・ストリートをはじめとする裏路地では『ネオバロン』や『ナイト・ウォーロックス』といったストリートギャングがその枠に収まってしまった(『鎧武外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル』と『小説仮面ライダー鎧武』より)。
現在、鎧武が去った沢芽市は徐々に変身する力を取り戻したアーマードライダーによって守られている。
『仮面ライダー大戦』ではかつて仮面ライダーZXと戦った地下帝国バダン、『MOVIE大戦MEGAMAX』ではメガへクスの侵略を受けるなどどこぞの都市よろしく、災難に見舞われる傾向にある。しかし、市外から駆けつけたレジェンドライダーや仮面ライダードライブの協力もあって、いずれの事件も解決している(尤も、前者に関してはとある理由で沢芽市がライダー同士の戦場になってしまったわけだが…)。
劇場版『サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』における「夢の世界」でもユグドラシルは健在であるが、そちらでは市民たちはサッカーに興じており、ビートライダーズやシャルモン、ユグドラシルの面々もサッカーチームとしてあらゆる願いを叶えるという「黄金の果実」を求めて試合を繰り広げている。
試合ではアーマードライダーへの変身が認められており、住人たちもライダーの力をサッカーのための物だと認識ている。
地理
四方を海と山に囲まれており、市外への出口は南東部、西部、南西部の3つぐらいしかなく(南部にも道路が伸びているようだが)、いざとなれば封鎖もしやすい地形となっている。
市の防衛はユグドラシルの管轄である為、自衛隊が出来る事は封鎖のみであり、終盤で取り残された人々はインベスやオーバーロードの侵攻に怯える他なかったが、ユグドラシル壊滅後は第45話にて自衛隊によって救出される。
そこから3ヶ月後には人々が帰還し、かつての活気を取り戻した。
地図を見るに市内を鉄道が走っている模様だが、『仮面ライダー大戦』を見るに、『新沢芽線』という地下鉄が開業する予定だったようだ。
レインボーラインの駅もこの街に点在しており、原作の『烈車戦隊トッキュウジャー』同様にパスさえ持っていればトッキュウレッシャーへの乗り降りが可能(劇中で確認できたのは千樹駅、沢芽シティ、東沢芽、まちはずれの4つ)。
各劇場作品での描写を見る限り、久留間市や風都ととも近いようである。
特産物/土産物
特産物は沢芽ねぎで市内で販売されているカップ麺の原料となっている(出典:『愛蔵版 仮面ライダー鎧武 超全集』(小学館)2014、P14より)。
『春休み合体スペシャル』によれば、「沢芽フルーツ羊羹」、「沢芽まんじゅう」、「ユグドラ汁」といったお土産があるらしい。
施設/地名
ドルーパーズ
詳しくはそちらの項目にて。
シャルモン洋菓子店
凰蓮・ピエール・アルフォンゾが経営する洋菓子店で、雑誌やガイドブックにも掲載されるほど人気が高い。
テイクアウト・イートインの両方に対応しており、客に最上級のおもてなしをする事を至上としている。
従業員に対してもそれが求められるが、採用の基準に凰蓮との占星術上での相性が求められるなど歪な所がある。
葛葉晶を人質として拘束した際も、そのポリシーは貫かれており、あくまでも晶は福引で食べ放題の権利を獲得したという体裁で連れてこられた為、凰蓮は彼女に危害を加える事を許さなかった。
曽野村のような迷惑客に対しても食事を最後までさせるが、弁償料がわりに戦極ドライバーを没収するなど誠実な対応を心掛けている。
ただ、洋菓子店の書き入れ時であるクリスマスの時期であるにもかかわらず、凰蓮が店をほっぽり出してクリスマスゲームに参加した事があり、戒人に「仕事しろ」と突っ込まれている(小林豊氏がパティシエをやっていたのでその繋がりもあるのだろうか)。
最終回では『新シャルモン洋菓子店 南通り店』が開店しており、凰蓮の弟子として才能を開花させた城之内が従業員として働いている。
高司神社
かつて鎮守の森を管理していた神社で、舞の実家。
当該神社はヘルヘイムから流れ着いた神木を信仰対象としていたが、ユグドラシルによって神社は失われ、ご神木はクラック発生装置の触媒として奪われてしまった。
ユグドラシルタワー
ユグドラシル・コーポレーションの沢芽支社となる街のシンボル。
所在地は沢芽市天聳町1-1-1で(天聳とは"天"高く"聳"える様をいう)、戒人の実家である町工場があった場所である。
上層部には砲台や空間偽装装置が据えられており、インベスが上空で大量発生した際に威力を発揮、空中戦の様子は地上の一般市民には雷と認識される模様。
また、通信インフラはタワー内部のマスターインテリジェントシステムによって掌握されており(作戦指揮にも利用される)、非常時にはユグドラシルタワーのスカラー電磁波兵器で無辜の市民ごと証拠隠滅を視野に入れている事が中盤で明らかとなった(なお、スカラー電磁波兵器はカチドキアームズの砲撃で全て破壊された)。
この他にも脱出用のカプセルや地下通路、独房、戦闘シミュレーション用のテストルームといった様々なギミックが施されており、地下通路には無人スイカアームズやチューリップホッパーといった侵入者迎撃用の防衛システムも存在する。
その割に劇中で何度かアーマードライダーや光実の侵入を許してしまっているのはご愛嬌。
タワー地下には鎮守の森の御神木を触媒に、人工クラックを発生させるクラックルームがあるが、シドの裏切りにより制御装置が破損。一度はゲートが断たれるが、レデュエがタワーを占拠するにあたってクラックが再び開かれて、インベスやヘルヘイムの森の植物が大量発生してしまった。
植物に覆われたその様はさながら北欧神話に伝わる世界樹のようでもある。
最終回時点では解体作業が行われている。
私立天樹高等学校
呉島光実の通うユグドラシル傘下だと思われる高校で、生徒の制服は上半身が白、下半身は黒で構成される。
ここでの光実は周囲に大人ぶった態度を取っており、ライバル視する生徒に対しても相手にしていない。
チーム鎧武のガレージ
チーム鎧武が拠点にしている赤レンガ倉庫で、チーム鎧武は2回を利用している。
ミュージックパーラーやポップコーンの製造機、かき氷機などが設置されており、白いクラシックカーが展示されているのが最大の特徴。
終盤ではアーマードライダーたちの拠点となった。
ハイパーバトルDVDにて大掃除が行われ、フレッシュオレンジアームズの誕生の一因となった他、『仮面ライダージオウ』、ゲーム『仮面ライダーシティウォーズ』にも登場した。
チームバロンの拠点
ショールーム然とした建物の中にあり、白いバイクやシルバーのスポーツカーが展示された清潔感溢れるオシャレな部屋。
床にはチームバロンのロゴが描かれている。
治安
治安はガイアメモリ犯罪が頻繁に起こる風都ほどではないが、やはり悪いと言わざるを得ない。
物語の序盤ではインベスを操るロックシードをインベスゲーム用のアイテムとして出回っており、市民もその様を生あるいは海賊ラジオ『ビートライダーズ・ホットライン』で観戦していた。
しかし、次第にロックシードが強盗目的にビートライダーズやチンピラに悪用されるようになった事が重なり、ビートライダーズとは無関係のインベス襲撃事件も(ユグドラシルの情報操作もあって)ビートライダーズのせいにされてしまっている。
抗争の道具としてロックシードを使っていたビートライダーズに非があると言えど、それを娯楽のように楽しんでいながら掌を返すような反応を見せた市民の側も無責任な面がある。
とはいえ、どちらもユグドラシルによって踊らされた結果であり、(アーマードライダーの力を得て真相に近づいたビートライダーズとは違って)一般市民はユグドラシルやインベスの実態を知らない以上、恐怖であのような行動を取ってしまうのは仕方がなく、一概に『悪』と断ずることはできない。
尤も、ロックシードの危険性を知りながら悪用していた曽野村やギャングの連中は論外なのだが。
沢芽市を守る戦士たち
2022年現在の戦力を記述する。
参考資料
- 『愛蔵版 仮面ライダー鎧武 超全集』(2014年・小学館)
- 『小説 仮面ライダー鎧武』(2016年・講談社キャラクター文庫)
関連タグ
キカイダーREBOOT:第30話にてコラボし、記憶を失ったキカイダーことジローがこの街に辿り着いている。