データ
生年月日 | 2016年3月22日(現役) |
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英字表記 | Silver Sonic |
性別 | 牡 |
毛色 | 芦毛 |
父 | オルフェーヴル |
母 | エアトゥーレ |
母父 | トニービン |
生産 | 社台ファーム(北海道千歳市) |
馬主 | 有限会社 社台レースホース |
調教師 | 池江泰寿(栗東) |
2016年3月22日生まれの芦毛の牡馬(19世代)。父オルフェーヴル、母エアトゥーレ、母父トニービンという血統の持ち主。
馬名は英語で「音速の銀」の意味。恐らく父の名から連想したものと思われるが、公式には明かされてない。
後述する通りGIレースでの騒動でネタ的に有名になる彼だが、父・オルフェーヴルは気性難持ちではあるが、クラシック三冠を含むGI6勝・凱旋門賞2年連続2着などの優れた実績を残し、日本競馬史上最強馬の一頭に挙げられる優駿。種牡馬としては結構当たり外れが大きい実績を残しているが、ラッキーライラック、エポカドーロ、マルシュロレーヌなど芝ダート双方でGIホースを輩出している。
母・エアトゥーレは自身も阪神牝馬Sを勝った重賞馬で、シルヴァーソニックの兄・姉としてアルティマトゥーレ(2004年生、父フジキセキ、セントウルSなど重賞2勝)、キャプテントゥーレ(2005年生、父アグネスタキオン、皐月賞など重賞4勝)、クランモンタナ(2009年生、父ディープインパクト、小倉記念)と3頭の重賞馬を産んでいる。
また、母父・トニービンは1988年凱旋門賞優勝馬で、日本で種牡馬入り後はウイニングチケット、エアグルーヴなど数々のGI馬を輩出した大種牡馬。祖母・スキーパラダイスはフランスのマイルGIムーラン・ド・ロンシャン賞を制し、日本でも京王杯SCに勝利した。
このように正真正銘、良血良績の血統を持つ馬なのである。
競走馬時代
デビュー-6歳
父と同じ栗東の名門・池江泰寿厩舎に入厩。3歳となった2019年1月20日の新馬戦(京都・芝1600m)でデビュー。しかし、「音速の銀」にこだわってしまったのか、新馬戦から3戦連続で2着。4戦目で初勝利を挙げるとその後連勝し、一気に準オープンまで上り詰める。陣営は2勝クラスの頃からステイヤー気質と見て、ほぼ2200m以上の長い距離を使っている。
しかしここから1年半に渡り勝ちきれないレースが続き、8戦かけてようやくジューンステークス(3勝クラス)を勝利しOP入りを果たす。重賞初挑戦となったステイヤーズステークス(GII、中山・芝3600m)では内田博幸騎手を背に5番人気で出走、勝ち馬ディバインフォースに1.1/2馬身差の3着と健闘し5歳シーズンを終える。
迎えた6歳シーズンは、鞍上に川田将雅騎手を迎え万葉ステークス(OP)、阪神大賞典(GII)をともに3着。この結果を受けた陣営はGI挑戦を決め、天皇賞(春)へ向かうことに。
…そして彼は大舞台でとんでもない事をしでかす事になる。
天皇賞(春)2022
2022年5月1日、天皇賞(春)。シルヴァーソニックは8枠17番、単勝35.8倍の8番人気だった。
このレース、彼はなんとスタート直後に大きく躓き、いきなり鞍上の川田騎手を落馬させてしまう。
シルヴァーソニックはレース早々にカラ馬となり競走中止扱いになってしまった。
…だが、彼は猛然と走り続けた。彼は騎手がいないにもかかわらず、まるで騎手が乗っているかのように、コーナーでインに潜り込み、逃げる菊花賞馬タイトルホルダーの真後ろという位置取りで彼を追い続けたのである。
競馬場内が騒然とする中、それでもタイトルホルダーはシルヴァーソニックを突き放しゴールを決めた。シルヴァーソニックが2番目に入線していたが、カラ馬であるため当然失格。タイトルホルダーと2位のディープボンドとの着差は7馬身差だった。
- 天皇賞(春)2022のタイトルホルダーの圧勝劇は「カラ馬」シルヴァーソニックの影響が少なくないと指摘する記事もある。Twitter等SNSでは騎手がいないにも関わらずタイトルホルダーを追走し2着入線はすごい、と評する者も少なからずいたが、実際のところ「斤量1キロにつき1馬身」とも言われる負担重量(天皇賞春は定量戦で58キロ)が1頭だけ0キロとなれば至極当たり前の結果ではある。とはいえカラ馬は騎手の制御がない以上、突然斜行したり、コーナーで外に逸走したり、興奮してラチに衝突したりといったことがいつ発生するかわからない。結果、後続の騎手はシルヴァーソニックが不規則な動きをしないか警戒しつつタイトルホルダーを追わざるを得なかった。どんなアクシデントが起こるかわからないのも競馬というギャンブルの怖いところである。
そしてゴール後、外ラチに向かって走っていったシルヴァーソニックは、そのまま外ラチを跳び越えようとして失敗、向こう側に転倒した。
同父同期のメロディーレーンが心配そうに見守る中、横になって動かないシルヴァーソニックに競馬場スタッフが駆け寄っていったが、ほどなく彼は自力で立ち上がった。跳び越しに失敗しふて寝していた、とも言われているが定かではない。
阪神競馬場で外ラチに向かって逸走…どこかで聞いたような話である。血は争えないのか…。
幸い負傷は擦り傷だけで済み、トレセンでの獣医の触診でも異常なしと診断されシルヴァーソニックは翌日には元気に運動していた。落馬した川田騎手も怪我はなく、人馬とも無事であった。
…こうして、シルヴァーソニックが大波乱を引き起こした2022年天皇賞(春)は無事(?)終わったのである。
休養へ
シルヴァーソニックは5月25日に栗東・CWコースでホープインザダーク(3歳未勝利)との併せ馬を行い、6ハロン83秒0-11秒3の好時計で首差先着する追い切りを消化したが、その後、午後になって歩様のスムーズさを欠いた。
春天の時の物かは不明だが、脚に異常が見つかり、次走に出走を表明していた5月29日の目黒記念の出走を回避、後の検査で左前脚副管骨に骨膜が見つかり、全治3か月以上という長期の休養を余儀なくされた。
復帰戦
復帰戦にアルゼンチン共和国杯(11月6日、東京・芝2500m)を予定していたが抽選除外となってしまい、変わってステイヤーズステークス(12月3日)に向かうと発表された。
そのステイヤーズステークスにはメロディーレーンも出走を表明し、奇しくもあの時の2頭が再び出走することとなった。新星のディアスティマを除く上位人気は昨年の実績馬であり、昨年3着のシルヴァーソニックは3番人気に推された。
新たにダミアン・レーン騎手を鞍上へ迎えて挑んだレースでは、好位から直線で脚を伸ばし先頭に立つと、プリュムドールの猛追も退き、1年半ぶりの祝杯を重賞初制覇で飾った。
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ポルトフィーノ:2008年の第33回エリザベス女王杯で、スタート直後に武豊騎手を落として競走中止になったが、そのまま走り続けて1着で入線するも当然失格。実際の勝馬はリトルアマポーラ。