誘導
こちらは実在の競走馬について記述する。アプリゲーム『ウマ娘プリティーダービー』に登場するキャラクターはこちらの項目を参照→アグネスタキオン(ウマ娘)
2001年、皐月賞。
その馬は、わずか四度の戦いで神話になった。
異次元から現れ、瞬く間に駆け抜けていった。
ライバル達を絶望させ、見る者の目を眩ませる、”超光速の粒子”。
その馬の名は…
― JRAプロモーションCM 「The WINNER 皐月賞編」 より
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ヒーロー列伝No.51
衝撃の伝説。
デビューした瞬間から、計り知れない強さを見せつけた。
誰もが三冠馬の誕生に思いを馳せ、その衝撃の走りに夢を重ねた。
アグネスタキオン、君の凄さに魅了された者たちが、
名馬の歴史を超越した勇姿を永遠に語り継ぐだろう。
名馬の肖像
光を超えて
容赦などしない
突き放してやる
置き去りにしてやる
それで終わりか
吠えかかってこい
意地を示せ
追いついてみろ
できないのなら下がれ
光を超えていく私の背中を
そこで見ているがいい
≪2019年ホープフルステークス≫
概要
現役時代
北海道、社台ファームの生産馬。1998年4月に生を受けた。
父は言わずと知れた大種牡馬サンデーサイレンス、母は桜花賞馬アグネスフローラ、母の父がロイヤルスキーという良血馬だった。
また全兄にはダービー馬のアグネスフライトが居たため、関係者からの期待も大きい馬だった。
その後順調に成長し、栗東の長浜博之厩舎に入厩。
冠名のアグネスと超光速で動くと言われる粒子「タキオン」の名からとって「アグネスタキオン」と名付けられた。
12月、阪神競馬場の新馬戦でデビュー。
調教タイムが平凡だったため3番人気に甘んじたが、レースでは見事に勝利。2着に3馬身半の差をつけての快勝であった。
見事デビュー勝ちを飾ったタキオンは、2戦目にして重賞競走のGⅢラジオたんぱ杯3歳ステークス(現GⅠホープフルステークス)に出走。
このレースには、後に「白いセクレタリアト」とまで呼ばれたダートの鬼クロフネと、日本ダービーとジャパンカップを制するジャングルポケットなど、そうそうたる面子が集まった。
しかし、タキオンはそんな強敵相手にも引けを取らない走りを見せ、2馬身半差で快勝。
それまでのタイムを1.9秒も更新するレコードタイムで勝利した。
早くも重賞を制したタキオンは、翌年のクラシック有力候補として話題になった。
そして年が明け、タキオンは皐月賞トライアルのGⅡ弥生賞に出走した。
このレースには、後に菊花賞、有馬記念、天皇賞(春)を制するマンハッタンカフェも参戦していた。
不良馬場の中行われたこのレースだったが、タキオンはここでも凄まじい走りを見せ、2着のボーンキングに5馬身もの差をつけて圧勝した。
重賞2勝目を飾り、タキオンはいよいよクラシック競走、GⅠ皐月賞に出走する。
2001年4月15日、第61回皐月賞。
タキオンは単勝オッズ1.3倍という驚異的な人気を誇っていた。
以前に下したジャングルポケット、後にグランプリ宝塚記念を制し、3つのGⅠで2着に入る実力馬ダンツフレームなど、GⅠらしい強力なメンバーが揃った。
そして、レースがスタート。タキオンは4、5番手辺りの好位につけた。
そして先頭に立つと、そのまま後続を押し切ってゴールイン。2着のダンツフレームに1馬身半差をつけての勝利だった。
見事、クラシック1冠目を制したタキオン。ダービーどころか、3冠まで獲れるかもしれないスターホースの登場に、競馬界は沸き立った。
ところが、順風満帆だったタキオンに予想外の事態が発生した。
左前脚に浅屈腱炎を発症してしまったのだ。
この故障により、タキオンは日本ダービーへの出走を断念。長浜調教師の「骨折してしまったアグネスゴールドの様にならないか」という不安は、現実のものとなってしまった。
結局、タキオンはこの怪我により現役引退が決定。
4戦4勝、重賞3勝という結果で、競走馬生活に幕を下ろした。
その後、タキオンが下したクロフネ、ダンツフレーム、ジャングルポケット、マンハッタンカフェ等は、競走馬として輝かしい成績を挙げた。
「最強世代」とまで言われたこの年のクラシック、その頂点に立っていたのがタキオンだった。
「もし故障が無ければ…」その思いは根強く競馬ファンの心に残り、タキオンは「幻の三冠馬」と呼ばれる事がある。
引退後
引退したタキオンは、社台スタリオンステーションで種牡馬となり、繁殖生活に入る。
初年度からGⅠウィナーのロジックを誕生させるという、好調な滑り出しを見せた。
最終的にダービーとNHKマイルカップの変則2冠馬ディープスカイや、GⅠを4勝した名牝ダイワスカーレットなど、多くの活躍馬を輩出した。
また、彼の産駒は「ハズレが少ない」と言われていた。どの馬も、安定して良い走りを見せていたのである。
サンデーサイレンスの死後、後継種牡馬として最も期待されていたのが彼であった。
反面自身の虚弱体質も受け継ぎ気味で、怪我や病気との戦いも多く、息の長い活躍をした産駒は多くなかった。
しかし2008年には、実に51年ぶりに内国産馬のリーディングサイアーに輝いており、更なる活躍に向けて大きな期待が持たれていた。
しかし、そこでまたも悲劇が訪れてしまった。
2009年6月22日、アグネスタキオンは心不全により、11歳で急死した。種牡馬として、あまりにも早すぎる死であった。
デビュー時から凄まじい強さを見せつけ、生涯無敗のまま引退。そして、多くの活躍馬を残しての急死。
まさに「タキオン」の名に相応しい、超光速で駆け抜けた一生だった。
幸か不幸か、引退が早かったため産駒は8世代と短い生涯の割にはそれなりに残されており、その数少ない世代から代表産駒のディープスカイが父系を繋げており、またダイワスカーレットは牝馬を大量に産んでいることから系統の生き残りとしては今後は母系でも見る名前になるかもしれない。その他2007年生まれの不出走馬デヴィルズドリンク(母シルクプリマドンナ)がデンマークで種牡馬入りし、スウェーデンのクラシックホースを送り出しており、北欧で血が繋がっていく可能性もある。
競走成績
3歳新馬 1着
ラジオたんぱ杯3歳ステークス(GⅢ) 1着
弥生賞(GⅡ) 1着
皐月賞(GⅠ) 1着
生涯成績・4戦4勝
主な産駒
太字はGⅠorJpnⅠ競走
ロジック(NHKマイルカップ)
ダイワスカーレット(桜花賞・秋華賞・エリザベス女王杯・有馬記念・ローズステークス・大阪杯)
ディープスカイ(NHKマイルカップ・日本ダービー・神戸新聞杯・毎日杯)
キャプテントゥーレ(皐月賞・朝日チャレンジカップ・デイリー杯2歳ステークス)
リトルアマポーラ(エリザベス女王杯・愛知杯・クイーンカップ)
レーヴディソール(阪神ジュベナイルフィリーズ・デイリー杯2歳ステークス・チューリップ賞)
関連タグ
音速の貴公子…アグネスタキオンに付けられたもう一つのあだ名。サイレンススズカにも使われる。