概要
大映によって1965年に放映された「大怪獣ガメラ」に端を発した怪獣映画のシリーズ。
ゴジラのヒットによって各映画会社が便乗して怪獣モノを打ち出す中、唯一息の長い人気を得ることに成功した怪獣映画であり、シリーズの合計作品数は『ゴジラ』シリーズに次ぐ12作と、人気のシリーズとなった。
作品が製作された時期によってガメラの設定に大幅な相違があり、昭和時代の作品(倒産以前の大映によって製作された作品群)のガメラを「昭和ガメラ」、平成時代の作品(徳間グループ傘下の大映によって製作された、所謂『平成3部作』)のガメラを「平成ガメラ」、角川映画時代に製作されたものを「角川ガメラ」と呼称する。
どの会社でもその製作体制があまり良くなかったというのは有名な話で、大映時代ではすでに会社自体が経営難だったこともあって作品を重ねるごとに予算も期間も減らされての無茶な製作を強いられたと言われている(これは一時期のゴジラシリーズもそうだったが)。
後の徳間時代の平成3部作も、予想していたほどの予算が貰えずにやっぱりその製作には苦労したとされ、しかも評価の割に成績は振るわずそれほど長続きしない結果に終わった。そして角川時代においては、最初の一作こそ予算は潤沢だったものの先の3部作ほどの評価は得られなかったばかりかその収益に関しても無視できないほどの赤字を出している。
このように、いつの時代においてもいまいち制作環境および映画としての業績に恵まれないというジンクスがあり、知名度の割にゴジラシリーズやウルトラシリーズに比べて少し“不遇”なシリーズと捉える人達も少なくはない。
作品リスト
昭和シリーズ
- 1965年 第1作『大怪獣ガメラ』
- 1966年 第2作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』
- 1967年 第3作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』
- 1968年 第4作『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』
- 1969年 第5作『ガメラ対大悪獣ギロン』
- 1970年 第6作『ガメラ対大魔獣ジャイガー』
- 1971年 第7作『ガメラ対深海怪獣ジグラ』
- 1980年 第8作『宇宙怪獣ガメラ』
平成シリーズ
徳間グループ時代(平成ガメラ3部作)
- 1995年 第9作『ガメラ 大怪獣空中決戦』
- 1996年 第10作『ガメラ2 レギオン襲来』
- 1999年 第11作『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』
※このほか自主制作作品として『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の続編『ガメラ4 真実』が、落語家の林家しん平師匠によって製作されている。公式作品ではないものの、徳間書店からの公認を得ている。
角川映画時代
- 2006年 第12作『小さき勇者たち~ガメラ~』
番外
- 2015年 ショートムービー『GAMERA』
- ??? 『GAMERA-Rebirth-』
漫画
- 1994年 『大怪獣ガメラ』
- 2003年 『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン』
- 2018年 『ガメラ 宇宙の守護者』
他にも劇場版ガメラシリーズの展開時には子供向け漫画雑誌にて当時公開されていた映画作品のコミカライズの掲載が行われていた。
小説
- 1995年 『ガメラ対不死鳥(フェニックス)』
平成ガメラ第一作の公開時に、小学館スーパークエスト文庫より発売された小説で、著者は高橋二三。
昭和ガメラのテイストを多分に含む内容で、世界観も(明確ではないが)昭和ガメラと続いているような描写が為されている。
ナスカ平原から出現したガメラが、同じく新小岩のマグマ帯から出現した、炎で構成された巨鳥・フェニックスと対決するという物語で、劇中のガメラは昭和ガメラに近い。回転ジェット時に甲羅の縁を丸鋸状に変形させ、体当たりして相手を切断するという能力を劇中で披露した。
怪獣ものというジャンルではあっても、その根底には「国家や政府、社会といった巨大な力に翻弄された、個人の悲劇」があり、ガメラおよびフェニックスも含めた登場人物たちは、皆がそういった複雑な事情や問題に翻弄されている。
小説におけるガメラは数が少なく、貴重な一作である。
- 1995年 『ガメラ‐大怪獣空中決戦』
脚本を務めた伊藤和典による、平成ガメラ第一作のノベライズ。上記の「~vs不死鳥(フェニックス)」と同じく、小学館スーパークエスト文庫から発売された。
怪獣イラストの名手として知られる開田裕治が表紙を手掛けているほか、特技監督を担当した樋口真嗣によるコンセプトイメージや絵コンテが挿絵として何枚か挿入されている。
出現したギャオスの数が5羽に増えている、ギャオスが東京を襲撃するシーンでF-15が撃墜されるなど、映画製作の都合で削られた要素がこちらでは維持されており、より本来の構想に近い内容となっている。
※その他、『小さき勇者たち』のノベライズも2作刊行されている。