概要
この名称の物体は、各々の物語において重要な役割をもっていた。ここでは、2作品に分割し年代順に解説する。
南の島にそびえる封印の石像
旧・大映の永田ラッパ期に作られた、昭和『ガメラ』シリーズ末期の『ガメラ対大魔獣ジャイガー』に出た石像の名。
南方の某国にあるウェスター島にある厳めしい顔を持つ石槍型の石像であり、ジャイガーを封じるために立てられていた。しかし、日本人が1970年の大阪万博に出展するために抜き取りと輸送を決定する。しかし、某国の政府は許可したものの地元自治体は「祟りが起こる」と出展に反対していた。
当初は「ジャイガーを静めるための石像」と思われていた。
しかし、実際には、石像には空洞(生贄の生き血を入れる管)が通っており、島の潮風によって笛のように音と共に「低周波」が発生する仕掛けになっており、それによってジャイガーの動きを封じていた。その音は俗に言う「ガラスのひっかき音」のような不協和音で、聴力アレルギーを持つ人間には下記の「悪魔の笛」同様に苦痛以上の効力があった。
ジャイガーはどこぞの宇宙人の様にこの不協和音が苦手で、悪魔の笛を恐れ、執拗に悪魔の笛を狙った。石像を追って海を渡り大阪へ追撃し、上陸の末に石像を大阪湾に投棄してしまう。だが人間とガメラに弱点を見破られ、人間はコンピューターによる強力な合成音でガメラは石像…悪魔の笛を回収し不協和音を鳴らして飛び回りジャイガーを翻弄した末に…!
なお、悪魔の笛の低周波は俗に言う「ガラスのひっかき音」同様に、聴力アレルギーを持つ人間にも悪影響を及ぼしており、輸送した船の船員・荷役作業員・研究員らもまた、次々と体調を崩していった。
最後に、ガメラはこの悪魔の笛そのものを握り、飛び回って共鳴音を響かせて低周波を浴びせた後、ジャイガーの脳天に笛そのものを杭のように打ち込む「サタン殺しの技」で止めを差した。
狂気の科学者が作った増幅装置
「ダークに生まれし者は、ダークに還れ!」
『人造人間キカイダー』に登場するプロフェッサー・ギルの持つ笛。別名ギルの笛。
笛と言っても普段はギルが杖代わりに使っているほど長く、ダーク破壊部隊の紋章を模した飾りが先端についている。後に続編『キカイダー01』でギルの脳を移植したギルハカイダーも使用している。
この笛はダークロボットの命令系統に対し一定のリズムで干渉することが可能であり、無論ダーク製のジロー/キカイダーも本来ならばギルの言葉通り操られてしまう。良心回路を組み込んであれば抵抗可能だが、ジローの回路は不完全であるため、激しい苦痛を受けることとなる。試作品であるイチロー/キカイダー01は良心回路が完成している、あるいはダーク製ではないためまったく効果がない。
(第13話に登場したロボット甚兵衛や01の敵である世界大犯罪組織シャドウのロボット達相手には使用していない)
第3話にてサイクル(周波数)が10倍に上がり、この音からジローがいかにして逃げるかが物語のクライマックスになった(後述)。しまいにはジローはこの笛の音を聞きすぎて完全に暴走してしまうこととなる。
しかしこの笛、ジローが鳥取や九州に居ようが平気でヒーヒコ鳴っており、その辺の通行人にすら聞き取れていた。本来音は全方向に広がるため、仮に滅茶苦茶でかい笛の音を東京からかき鳴らしていたらどこにダークの基地があるか一発でバレるだろうし、第一ギル本人も失神するだろうから、「アンドロイドマンかダークロボットにスピーカーでも載せているのか?」と放送当時からしょっちゅう突っ込まれていた。実際、ダークロボットが暗躍する際に(BGM扱いで?)笛の音が鳴っている場面もあるので、何らかの形で音を飛ばしているのかも知れない。
小説版では「音を電波に乗せて光速で送る」と語られている。
キリギリスグレイは増幅装置を内蔵しているため、笛の音を増幅してキカイダーにチェンジした後も苦しめた。
最終回では、奪ったアンドロイドマンの長刀を投げ命中し、壊された。
萬画版にも登場しており、ハカイダー/サブローは口笛で悪魔の笛の旋律を奏でジローを狂わせる機能を有していた。萬画版では遊園地の恐竜型ロボットを扇動しているため、ダーク製でなくても有効の模様。
しめた! 今だ!
ジローはキカイダーに変身した後は悪魔の笛の音が効かない。そのため、ギルは「戦闘が始まりそうになるとすぐさま笛を吹き、ダークロボットの士気を上げると同時にジローを笛の音で苦しめようとする」というのが毎週のお約束であった。
こうしたピンチに襲われた際、果たしてジローはどう切り抜けていったかというと…。
話数 | 脱出方法 |
---|---|
1 | 何とか持ちこたえた |
2 | 同上 |
3 | 気絶したフリをして笛の音が止まった瞬間に変身 |
4 | 近くで服部半平の車のクラクションが偶然誤作動し、その音で笛の音がかき消された |
5 | 水中に飛び込んだ |
6 | ジローを轢こうとしたダンプカーの排気音がうるさすぎて勝手にかき消された |
7 | ブルスコングの投げた爆弾の爆発音で勝手にかき消された |
8 | カーマインスパイダーの糸を逆利用し耳を塞いだ |
9 | サイドマシーンの排気音を目いっぱい大きくしてかき消した |
10 | 偶然雷が落ち、勝手にかき消された |
11 | ゴールドウルフのパンチを利用して音をかき消した |
12 | ダークの仕掛けた時限爆弾に驚いた警備員が勝手に鳴らした警報音でかき消された |
13 | ジェットコースターの音がやかましすぎて勝手にかき消された |
14 | オレンジアントがわざわざご丁寧に土の中に埋めてくれた |
15a | アンドロイドマンに崖から突き落とされて転がり落ちる音で勝手にかき消された |
15b | キンイロコウモリに捕まれ、空中で振り回されて勝手にかき消された |
16 | ちびっ子の投げた小型生物兵器(ダークが作った)が偶然耳にぶつかりかき消された |
17 | 光明寺ミツコの協力で回避 |
18 | クロカメレオンの放ったミサイルで崖が崩れて土の中に埋もれ勝手にかき消された |
19 | 近くにあった鏡を利用してカブトガニエンジの死神光線銃を破壊し爆発音でかき消した |
20 | わざとアンドロイドマン同士をゴッツンコさせて破壊しその爆発音でかき消した |
21 | ムラサキネズミを挑発し、わざと爆弾を投げさせ爆発音でかき消した |
22 | シロノコギリザメの鋸の音がやかましすぎて勝手にかき消された |
23 | 服部半平の取り出した扇風機でキイロアリジゴクの放った酸が耳にかかって遮蔽された |
24 | ダークの仕掛けた爆弾で勝手にかき消された |
25 | 完敗したふり |
26 | ミドリマンモスのガスの噴出音を逆利用してかき消した |
27 | 笛の音で苦しみすぎて崖から転落し、たまたま近くにあった滝の音でかき消された |
28 | アカオニオコゼが攫った赤子が泣き出して勝手にかき消された |
29 | カイメングリーンの放った焼夷弾で勝手にかき消された |
30 | アカネイカが勝手に耳を塞いだ |
31 | タコヤマブキにぶん投げられてたまたま停留してあった廃船に衝突した音で勝手にかき消された |
32 | カブトガニエンジの吐いた泡で勝手に耳がふさがれた |
33 | ジローの仕掛けた時限爆弾が運悪く作動しその爆発音でかき消された |
34 | またもブラックハリモグラが勝手に土に埋めてくれた |
35 | 光明寺マサルが廃車のクラクションを鳴らしかき消した |
36 | 完敗 |
37 | 殴り倒したアンドロイドマンが偶然バスに突っ込んでクラクションが鳴って勝手にかき消された |
38 | ぶん殴ったアンドロイドマンが偶然配電盤に突っ込んで爆発した音で勝手にかき消された |
40 | キリギリスグレイのスピーカーで3000倍に強化された音波によりキカイダーの状態でも苦しむが、偶然こいつがレールの上に載っていたため、ミツコにトロッコをぶつけられて音が途切れた |
41 | 自分からアカ地雷ガマの炎に頭を突っ込んで強引にかき消した |
とまあこのように、大概が偶然と自滅に支えられたシーンであることは疑いもなく、ダークロボットやアンドロイドマンが余計な事をしなけりゃキカイダーはとっくに鉄屑にされていたことだろう。ギルもギルで笛吹きながら「ダークに還れ」と言って(念じて)いるかと思えば、「裏切り者には死を」などと宣う時もあるので、苦悶するジローへの対応が現場で定まっていない可能性がある。
これを主人公補正と断罪するのは簡単だが、裏を返せばこんなマヌケな事にも気づかないくらいアンドロイドたちの戦意を高揚させることには成功したということである。
……何の事前対策も打たないジロー陣営も大概だが。
キカイダー01
今作ギルハカイダーが使用していた。使用際ギルと同じ用にマントを付けて安全な場所で吹いていた。6話でキカイダーと戦っている時で再び壊された。
話数 | 脱出方法 |
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5 | イチローが倒したアンドロボットの爆発音 |
6 | アジト内でイチローもピンチに訪れたがクロスボディで帯電し、地上に出てダブルチェンジで逆転した |