「Dr.ヒネラー、私(わたくし)の力存分にご利用ください」(第19話より)
登場話数:第19話「打ちこめ!不屈の必殺パンチ」~第32話「終わりか!?絶体絶命ギャラクシーメガ」
概要
物語中盤より登場する、邪電王国ネジレジアの幹部の一人。一人称は「私」。ネーミングは「ちぎれる」から。
ジャビウス1世直属の行動隊長で、一向に進まぬ地球侵略作戦へのテコ入れとして、ジャビウスの命によりネジレジア本国からDr.ヒネラーの元へ派遣された。
それまで作中に登場していた、他のネジレジアの幹部がいずれもヒネラーが生み出した人工生命体であるのに対し、ギレールは生粋の、そして作中では数少ないネジレ次元出身の生命体である。
理知的にして物腰柔らかな振る舞いとは対照的に、その性格は残忍かつ狡猾そのもので、円盤による市街地への無差別攻撃に及ぶのみならず、初登場時に実行した作戦(※)からも窺えるように、作戦遂行のためならばいかなる卑劣な手段を取ることも厭わない思考の持ち主でもある。その一方で自身の戦闘能力も高く、目からの光線と細身の剣を武器に自ら戦うこともある。
上記した性格や立場ゆえに、ヒネラーを始め他の幹部達とは折り合いが悪く、特にユガンデとは馬が合わず衝突することも少なくない。また、時にはヒネラーさえも軽んじるような素振りを見せることもあり、第30話でヒネラー達がメガレンジャーによる数々の作戦失敗をジャビウスに叱責された際、他人事のように彼等を煽るような物言いに及んでいるが、流石に増長が過ぎたのかギレールにも叱責の矛先が向けられてしまい、彼も含めた全員が命懸けの覚悟で作戦に臨むよう厳命されるという事態にまで発展してしまう。
このことがきっかけでギレールが抱いた、ジャビウスからの信頼喪失に対する恐れと焦りは、さらになりふり構わぬ行動へと彼を駆り立てることとなるのである・・・。
(※ 市街地の破壊に伴う混乱に乗じ、パラシュートで降下させた兵士クネクネに街の子供達を拉致させ、攻撃してきたメガレッドに対しても子供を盾に取り、彼の手で負傷させるよう仕向けたというもの。これにより親友のタケシを傷つける格好となった健太は、一時メガレンジャーを辞めることを考えるまでに追い詰められるに至った)
ギガギレール
登場話数:第30話「サク裂!友情のコンビネーション」
ギレールとユガンデが融合・合体を遂げた姿。
その出で立ちはギレールの身体をベースに、右腕や左側頭部など身体の各部にユガンデの要素が現れたものとなっている。見た目だけでなく、能力的にも持ち前の優秀な頭脳とユガンデのパワーとを兼ね備え、武器も自身のサーベルに加えてユガンデの「ダークサンダー」を使用できるようになっている。また、この2振りの剣を合わせて先端から放つ光線は、相手を凍結させて身動きを封じる効果を持つ。
もっとも、前述の通り折り合いの悪い両者がすんなりと手を組むはずもなく、この形態に変化したのも「ヒネラーの命運がかかっている」という名目でユガンデに共闘を持ちかけ、メガレンジャーとの戦闘の最中に背後から騙し討ちにして強引に我が身に取り込んだ、というギレールらしい卑劣な手段によるものである。
ともあれ、パワーアップを果たしたギレールは冷凍光線でメガブラック、メガイエロー、メガピンクの3人を氷漬けにし、さらにメガブルーにも大ダメージを与え記憶喪失に追い込む等猛威を振るった。
しかし、一人になってもなお果敢に立ち向かうメガレッドの姿を目の当たりにし、メガブルーが記憶を取り戻すと形勢は逆転、2人の息の合った連携攻撃によって融合を解除されるほどの大ダメージを負ってしまう。
その後、再びユガンデを取り込み自力で巨大化し、スーパーギャラクシーメガと相まみえるも敵わず、必殺のスーパーギャラクシーナックルの前に敗れ去るのだが・・・あろうことか直撃の寸前に自ら融合を解除し、ユガンデを盾にして自分一人だけ生還。「組む相手を間違えた」と虫の息のユガンデを嘲り、まんまとその場から逃げおおせたのであった。
マッドギレール
登場話数:第31話「止めるぜ!ギレールの暴走」、第32話「終わりか!?絶体絶命ギャラクシーメガ」
ギレールが、ヒネラーより与えられた「ネジレゲンカプセル」の副作用により暴走・変貌を遂げた姿。
頭部や背中を始め、全身からは鋭くも禍々しい棘状の突起が生え、包帯状の体組織に覆われていた筋肉もところどころが隆起し露わになっている。この姿になるのと引き換えに自我や理性、それに言語能力すらも失われており、見境なく破壊を繰り広げるだけの存在に成り果てている。
武器は変貌以前からの目からのビームやサーベルに加え、長い棘や身体に巻きついた鎖も使用するようになった。
(前話で)ユガンデを騙し討ちにして利用し、挙句使い捨てにしたことでシボレナ達の怒りを買いながらも、なお涼しい顔をしていたギレールであったが、意外にもヒネラーはこれを不問にしたばかりか、自身がユガンデ用に開発していたネジレゲンカプセルによる強化を提案。これを服用したギレールは高速移動や強化された剣技でメガレンジャーを翻弄し、ドリルスナイパーカスタムとマルチアタックライフルの同時攻撃すら弾き返す等、手がつけられないほどの強さを得ることとなる。
しかしメガレンジャーに止めを刺す寸前、ギレールは突然身体の変調に襲われ、全身から粘液を撒き散らしながら苦しみ出した末に撤退を余儀なくされてしまう。実はこれこそがヒネラーの狙いであり、異変に苦しむギレールの前に現れたヒネラーは、強さを得る代償として「使用者自身の感情や意識が消滅する」という、ネジレゲンカプセルの副作用をここで初めて彼に明かしたのである。
自分がヒネラーに謀られたことを、ここでようやく察したギレールであったが時すでに遅し。「作戦遂行のためいかなる卑劣な手段を取ることも厭わない」という自身の信条を逆手に取られて反論も叶わず、今度は自らが捨て駒にされるという憂き目に遭ってしまったのであった。
かくしてマッドギレールへと変貌を遂げたギレールは、そのまま巨大化して無差別に市街地を破壊し、これを止めようと出撃したスーパーギャラクシーメガさえも圧倒。スーパーギャラクシーナックルさえも跳ね返されるという危機的状況の中、メガレンジャーは一発逆転を賭けて捨て身の新必殺技「ビッグバンアタック」を繰り出し、さしものギレールもこれには耐えきれず敗れ去った。
・・・かに見えたが、この新必殺技をもってしてもギレールを倒すには至らず、そればかりか後述の分身体・ギギレの出現という最悪の事態まで発生。ギレールとギギレは満身創痍のスーパーギャラクシーメガをさらに攻め立て、大破寸前にまで追い込んだ。
この事態を打開すべくメガレンジャーがデルタメガでI.N.E.T.月面基地に向かうと、これをギギレに追わせてギレール自身は残ったギャラクシーメガにさらなる猛攻を加え、遂には機能停止にまで至らしめた。
そして止めを刺そうとしたその時、間一髪で月面より新ロボ・メガボイジャーを駆ってメガレンジャーが帰還。散々にギャラクシーメガを痛めつけた「お礼」を嫌というほどに味わわされた末、必殺のボイジャースパルタンの直撃により今度こそ完全に撃破された。
ギギレ
登場話数:第31、32話
マッドギレールの分身体。
前出のビッグバンアタックの直撃により、増殖したギレールのエネルギーが暴走した末に、その身体の一部分をはぎ取る形で変化・誕生したもので、その様子をモニターしていたヒネラーの反応からも、これが想定外の事態であったことが窺える。
各部から生えている棘や、体組織などにギレールとの共通項を見出だせるものの、イカのように扁平かつ巨大な頭部を始め、その姿は元となったギレールに輪をかけて怪物然としたものとなっており、目からの光線や鎌状の両腕を武器に、本能のままに相手を攻撃する。
ギレールと共同でスーパーギャラクシーメガを追い詰め、さらに月面へ向かったデルタメガを執拗に追撃。これを振り切られた後も、ボイジャーマシンで地球へ急行するメガレンジャーを待ち伏せするも、そのボイジャーマシンが繰り出す波状攻撃に翻弄された末に、ロボイジャー1とロケットボイジャー3の合体攻撃「ボイジャーダブルアタック」を喰らって宇宙の藻屑と消えた。
備考
ギレールの一連の所業とそれに対するヒネラーの報復は、ギレールを送り込んできたジャビウスとの間に不協和音を生じさせることとなった。マッドギレールが敗れ去った直後、ジャビウスから事の次第を問い質されたヒネラーは、「この顛末があくまでギレール自身が望んだものである」と嘯き、そしてジャビウスの直属でありながらも力不足であったことを理由として、今後の地球侵略作戦への口出しは無用と突っぱねている。
この一件はその後も尾を引き、物語後半でヒネラーはジャビウスの細胞より邪電戦隊ネジレンジャーを生み出し、彼等の活動と連動してジャビウスの生命エネルギーを削らせることでこれを消滅に至らしめているが、そのヒネラーもまたジャビウス謀殺のための捨て石とされたネジレンジャーに手痛い逆襲を食らう等、利用と報復の連鎖とも言うべきこの流れはやがてネジレジアという組織そのものを崩壊へと導くこととなる。
デザインは各形態とも下条美治が担当。ギレールについては全身に巻き付くような包帯状のモールドで、ネジレジアの共通項である「ネジレ」を表現。また包帯を巻いたキャラクターというところから、アメリカのホラー映画『エルム街の悪夢』に登場するフレディのようにしようとしたものの、結局そうはならなかったことを後に述懐している。顔面を含め素肌が露出した部分は、デザイン画では緑色とされているが、造形段階で赤へと改められている。
その他の形態については、ギガギレールは「ユガンデとギレールを合体させたものを」という制作サイドからの注文に応じてシンプルに両者をくっつけたものであるといい、またマッドギレールは「お好きにどうぞ」ということから、暴走してムキムキになった姿がストレートに表現されている。
ギギレについてはそれとは対照的に、手を鎌状としたりイカをモチーフに指定するなど、プロデューサーの髙寺成紀から細かな指示が来ていたようで、またギギレに触手状のディテールを入れたのに合わせて、マッドギレールにも後から同様のディテールが追加された。
演者の仁内は、スーパー戦隊シリーズには前年リリースのOV『オーレVSカクレンジャー』のバラハグルマに続けての出演であると同時に、このギレールがスーパー戦隊も含めた東映特撮で演じた最後の役柄ともなった。
関連タグ
女将軍ゼノビア:『科学戦隊ダイナマン』の登場人物の一人。物語後半から登場した敵組織の女幹部で、性格はギレールと似たり寄ったりの悪女で末路も彼によく似ている。
リッチハイカー教授:『激走戦隊カーレンジャー』の登場人物の一人。物語中盤より登場した頭脳派の幹部で、組織のリーダー格を蔑ろにした末に後半から新たに登場した戦隊ロボによって倒される、等といった共通項を有する。
闇商人ビズネラ:『星獣戦隊ギンガマン』の登場人物の一人。同様に物語中盤より登場した頭脳派の幹部で、組織に捨て駒にされるという末路も共通している一方、彼自身は終始組織の長や直属の上司に対して忠実であり続けた、という差異もある。
ヒラメキメデス:『炎神戦隊ゴーオンジャー』の登場人物の一人。上二名と同じく物語中盤からの追加幹部で、頭脳派を自認しながらも最後の戦いで暴走状態に変貌したという共通項を持つが、一方で他の幹部に対するスタンスや彼等からの反応はギレールとは好対照である。
フリーザー邪面:『魔進戦隊キラメイジャー』に登場する敵怪人の一体。兄との反目から、これを見返すべく幹部より強化アイテム渡されて服用、戦隊側をピンチに追い込むも、そのアイテムの副作用で身体に変調をきたし、捨て駒要員として扱われた末に戦隊側の新戦力で倒される、といった具合にギレールに近似した顛末を辿っている。