アダム・ヴァイスハウプト(シンフォギア)
あだむゔぁいすはうぷと
「ビタイチかッ!安いものだな、命の価値はッ!」
CV:三木眞一郎
概要
パヴァリア光明結社の統制局長。
並外れた魔力を有する超高位の錬金術師。
唯我独尊を地で行く傲慢な性格。会話の際には倒置法を多用する。
錬金術のセンスや人望などは皆無に等しく、おおよそ組織のトップに立てるような器ではないが、それを上回って余りある膨大な魔力によってあらゆる錬金術を無理矢理行使するという力業で組織を従えている。
ティキからは尋常ならざる愛情を向けられており、彼もまたその愛に応えるかのような素振りを見せているものの、その無邪気過ぎる言動もあって内心では鬱陶しがっており、計画を成就させるための道具としか見ていない。
自力で核融合を起こして黄金を錬成し、その過程で発生するツングースカ大爆発に匹敵する火球を攻撃手段として用いるなど、出鱈目な力を持つ(ただし魔力が十分ならではの威力であり、作戦を妨害されたことのカバーをするため別作業をしていた再戦時には消耗により使用できてなかった。それだけの魔力を用いても作れた金はガラス玉二つ程度の量であり、センスの無さも相まって相当効率が悪いと言っていい。)。また、被っている白い帽子は投擲武器としても使用できる強度を有する。
サンジェルマンとの連絡の際には何処からともなく現れる固定電話を使っているが、これはアダムの持つ念話能力(テレパス)を物質的に具現化させたものであり、念話能力を持たないティキも通話が可能になる。
また、最終決戦ではこの能力で戦場に突然電話を出現させ、装者が困惑している隙に攻撃するというセコい戦法も取っている。
余談
始めて本格登場した第4話にて、前述の黄金錬成の熱によって服が消し飛んで全裸になるという衝撃の演出で視聴者の度肝を抜き、その後も意味もなく半裸や全裸のシーンが挿入されたことから「裸の錬金術師」「ZENRA」などという渾名を付けられた。
しかも第4話のDVD・BDCMにて「あっちも抜剣したデスよ!?」という露骨な下ネタもブッこまれている。
正体と目的
「『ひとでなし』ーー」
「サンジェルマンはそう呼び続けていたね、何度も僕を」
「そうとも『ひとでなし』さ、僕は」「何しろヒトですらないのだから」
その正体は、先史文明以前に「造物主」と呼ばれる存在によってヒトのプロトタイプとしてつくられた人形。すなわち原初のアダムである。
造物主の求めた完全な性能を有していたものの、完全すぎるがゆえにそれ以上の発展性が望めないことから廃棄処分が決定していた。
指導者としての能を持たないのも、完璧な力を持つが故に、不完全を補うための作戦・技術の類を必要とせず、想像することすら至らないことに起因する。
余談だが裸体への抵抗の様子が見られないのも最初の人類が服というものを持たなかったことに関係するのかもしれない。
完全なる存在である自分が打ち捨てられ、不完全であるヒトの存在が認められたという事実を認められなかったアダムは造物主の元から逃亡し、「神の力」を得て造物主と対等の存在になる事で復讐することを決意し、その野望を実現するためにパヴァリア光明結社を結成した。
錬金術師たちには結社の目的を「神の力を以てヒトの相互理解を阻むバラルの呪詛を消し去り、完全へと至ること」としていたが、アダムの目的は自分こそが支配者となるために、神の力を独占することであった。いわば創造主の創り出した人形という側面を持つが、その屈辱的な経緯からそう捉えられるのを激しく嫌っている。
目的の遂行は全て他人任せにし、その過程で発生した犠牲を気にも留めず、更に神の力を得る目途が立った途端にサンジェルマンをも切り捨てる。
遂にはティキを媒体として神の力「ディバインウェポン」を発現させるも、「神殺し」の概念を持つ哲学兵装として力を持つガングニールの装者立花響によって打ち砕かれてしまった。
そこで今度は自分の腕に神の力を宿そうとするが、切り離された神の力は何故か響に宿ってしまい、それによって発生した騒動の隙に姿をくらます。
S.O.N.Gの尽力で響と神の力の分離に成功・神の力を葬り去ろうと米国が放った反応兵器をサンジェルマン達が命と引き換えに相殺させたどさくさに再び姿を現す。
三度神の力を得ようとするが、ティキに(二重の意味で)足を引っ張られたことで響の「神殺し」の直撃を受けて神の力を粉砕され、彼の野望は完全に潰えた。
最終話では醜悪な真の姿、最終決戦形態としての姿を現し、シンフォギア装者と激突する。
真の姿はバフォメットやリザードマンを掛け合わせ指がチューブ状で10個の目、口が頭足類の足を思わせる形をした異形の姿をしている。本人はこの姿を快く思っておらず力の使い過ぎで人間の姿を保てなくなる事に激怒していた(これも碌に前線に出なかった理由の一つ)。前述の錬成を応用した爆発の他に手や指を伸ばしたり(斬られても数十秒で再生する)肉片で小型の分身を作り出したり口から光線を放つこともできる。
しかしサンジェルマン達の遺した賢者の石の残滓がシンフォギアに流れ込み、そこからさらに機能を限界まで底上げしたイグナイトで圧倒され皆のギアの力を手と手を束ねる力により借り受けた響に追い詰められ胴体を貫通されて敗北。最期の瞬間、アダムは造物主――すなわちカストディアンの脅威を仄めかし、対抗手段としての自身を滅ぼした人類を嘲笑いながら逝ったのだが……
「砕かれたのさ、希望は今日に」
「絶望しろ。明日に…未来にッ!!」
終盤のアダムの失策は、カリオストロやティキなど、これまで彼が蹴落としてきたものに足を引っ張られてきたことに起因している。
手を振り払ったために破滅した彼は、ある意味で、手を繋ぐことの尊さを訴えた本作の仇役に相応しいキャラクターであったと言えるだろう。
また、珍しく主人公の響によって、「人でなしには分からない」と、相互理解を拒絶されたキャラクターでもある。
平行世界でのアダム
「やれやれ。よほどの悪人だったのかな?
ーーそちらの世界の僕は」
アプリゲーム戦姫絶唱シンフォギアXDでのイベントアルケミックオーダーにて、サンジェルマンら3幹部と共に登場しプレイアブルキャラクター化した。
この奏のいる世界におけるアダムはティキを伴っておらず、本編のような人類を道具としてしか見ていない描写はなく、むしろこの一件で3幹部を失うことを懸念し事件解決後に3幹部をそのことで叱責していたりと錬金術師協会の長として側面が強く押し出されており、世界を識るための歌ではキャロルの父イザークとの関係も描写されており、彼の後見人としてキャロルを心配していた。
ただ相変わらず根っこのいい加減な部分はそのままの模様で、アルケミックオーダーの事件の発端となったのは紛れもなく彼で、彼の膨大な魔力を内包した物体であるアダムスフィアを裏切者の錬金術師に強奪されるところから始まり、3幹部に奪還任務を与えて東奔西走させ、その間自分は風呂に入り、舞台裏で事件を起こしたはぐれ者の錬金術師を粛清し、事件解決後にお気に入りの服を盗まれたので3幹部に奪還させてきて、挙句3幹部の目の前で全裸になって着替えだすなどしている。
他にもプロヴィデンスパークを設計し建造したのも彼なのだが、またしてもアダムスフィアの使い方を間違えており、その影響でパークのマスコットたちが暴走するという大ポカをやらかしている。(そして例の如く、アダム本人は急用にて現場に不在。いつもの如く3幹部と装者たちが事件を解決する流れとなった。)
「世界を識るための歌」でも、この世界では完全聖遺物であった魔剣ダインスレイフの保管を適当にしていたことが騒動の発端だったが、前述のキャロルやイザークとの関係から、珍しく自ら事態の解決に乗り出した。
END-of編では、奏達二課と響達S.O.N.Gといっただけでなく錬金術師教会等別の世界に行く手段を持たない組織にデュプリゲイターを譲渡したAppleといった協力者達と公式に同盟を結んで人と手を取り合うために全身をしている。
本編と比べるとヒトデナシではなく別次元の善人となっているが、イベントクエスト「黄金に輝く想い出」によると出自は本編と変わらない模様(なお同クエストでイザークがアダムの正体を知っていた可能性が出てきた)。