曖昧さ回避
高河ゆんの漫画作品 → アーシアン(高河ゆん)
概要
『機動戦士ガンダム水星の魔女』の舞台となる時代アド・ステラにおける地球に住んでいる人々の事を指す。「地球居住民」とも呼称される。本作では宇宙で暮らす人間・スペーシアンとの関係は対等ではなく、経済格差に起因する差別感情に晒されている。
解説
スペーシアンの企業行政法による一方的な工場設備接収に反対するデモでは、「地球居住民は宇宙事業の為に税金と労働を1世紀半捧げてきた」と訴えており、搾取される側である事が窺える。スペーシアン側はデモ隊の鎮圧にベネリットグループ御三家に連なるモビルスーツを投入したり、老朽化したインフラや建造物を管理するような事などをせず、アーシアンの生命・人権に頓着しておらず地球で暮らす人々は非常に苦しい状況に置かれている。
上記のデモは小説版ではデモ隊リーダーの主張の続きが確認でき、要約すると「スペーシアンから経済的対価はなにひとつ供与されておらず、残されたのは貧困と食糧危機。更にはスペーシアン企業体はアーシアンの土地所有すら強引に奪い取ろうとしている」と訴えている。
北アフリカに存在する「クイン・ハーバー」でも反スペーシアンデモが行われ、難民キャンプでは、左上から解読可能な貼り紙を挙げると「Down with Spacian oppression(打倒スペーシアン)」「STOP ××CKING ××RLIVES FOR YOUROWN WEALTH(私たちの命で私腹を肥やすな? 、×は紙が重なっているため解読不能)」「Benerit ignores Earthian lives(ベネリットはアーシアンの生命を軽視している)」「Spacian GO BACK to SPACE(スペーシアンは宇宙へ帰れ)」「NOMORE MS VIOLENT(MS暴力反対)」「ENOUGH! END MS VIOLENCE NOW!(MS暴力はもうたくさん! 直ちにやめろ!)」といったものが掲げられていた。
地球では採掘業が盛んらしく、これが「パーメット」資源を指すのであればA.S.122現在では水星を含めた産出星の一つとなるが、事故も珍しくなく四肢を失ったりする事例もあるにもかかわらず、先述の通り満足な保険や治療を受ける事が出来ない待遇でありスペーシアンとは現代(?)に蘇った奴隷と植民地の関係であるといえるだろう。経済搾取の度合いは宇宙世紀のスペースノイドを遥かに上回る過酷な状況が続いている。
平均的なアーシアンは「戦争シェアリング」なる代理戦争構造によるビジネスの舞台や駒扱いを受けており、経済としても単なる戦争と兵器の売買では立ち行かない現状があり、(以下は経済として成立させるための推測であるが……)戦地の復興事業に始まりプラントなどの開発が行われ、低賃金で労働させた現地民のガス抜きに民族問題といったアド・ステラ以前からの問題や単純に隣り合った土地の発展の羨望などを餌にして戦争を意図的に引き起こし、再び荒廃した土地を復興するサイクルとみられる。
旧来の国家の一部は衰退もしくは消滅しており、その一例として日本が描写されていた。先のデモが行われていた地域は不明であるが英語圏である事は確かであり、企業判断による武力行使がまかり通っている点を見るに、残存する国家も弱体化して相当に権限が低下しているのは間違いない。
また、地球では戦争孤児は珍しくなくかつての市街地だったらしい場所が荒れている様相があり、地球上での紛争や情勢不安な状況が続いている模様。
ベネリットグループ等が出資する土地は「特定復興支援地区」と呼ばれ、先のクイン・ハーバーを例に挙げると軌道エレベーター直下の都市部はそれなりに発展しているものの、そこから一歩踏み出すと一転して廃墟やスラムが目立つようになる。
インキュベーション・パーティーにてシャディク・ゼネリがミオリネ・レンブランとの会話で「フォーカード17地区」なる区域の契約を彼が取り付けたとされ、この地区が地球上に存在するのであればより資本力に優れたスペーシアンが新たな統治者として入れ替わっていく状況である事が予想される。
反スペーシアン強硬派は武装組織で反抗する者も存在するが、安価もしくは旧式となった低い技術レベルのモビルスーツであっても最上位の戦力でありもっぱらモビルクラフトや旧世紀の車両を改造したテクニカルが主となっている。総じてビームや電磁兵器を運用・製造する能力に乏しく実弾を運用している。
地球の環境は芳しくない状況らしく、地球圏外から来訪した場合は「地球圏生物保護条約」に基づいたバイオセキュリティチェックと保護リストに該当する生物持ち込みの申請が必要とされる。
アスティカシア高等専門学園に在籍するごく少数のアーシアンは共に地球寮で生活している。スレッタとリリッケの会話から、単に地球生まれの人間を指すのではなく、地球圏の企業がスポンサーとなっている学生を弱者として軽んじる差別感情も含まれた呼称である様子。
その反面、地球寮内のアーシアン達の関係は良好そのもので、辺境の水星からの転入生であるスレッタ・マーキュリーに対しても偏見は少ない。スペーシアン嫌いのチュアチュリーとは一悶着あったが、すぐに和解している。
アーシアンであっても貧富の格差はかなり大きいようで、地球寮のメンバーは学園内では予算的に厳しいものの育ちの良さを窺わせるマルタンや、孤児であっても就学の機会に恵まれたヌーノなど地球内でも上澄みの方であることが窺える。
一方で難民キャンプや武装組織に身を寄せるアーシアンは満足な食事すらない状況に置かれた者達もおり、スペーシアンへの恨みを募らせて暴力や殺人すら厭わないほど精神が荒んでしまった者や学園在籍のアーシアンをスペーシアンに尻尾を振った裏切り者と見做す者もいる。
主なアーシアン一覧
- ?????????(リンク先重大ネタバレ注意!)
- ???????????(リンク先重大ネタバレ注意!)
- ??????(リンク先重大ネタバレ注意!)
- ?????????(リンク先重大ネタバレ注意!)
- ???????(リンク先重大ネタバレ注意!)
- ???????(リンク先重大ネタバレ注意!)
アーシアンの企業・団体・組織
アースノイドとアーシアン
アースノイドとは宇宙世紀における地球に住む権利を持った人間たちで、こちらでは宇宙移民政策を執り行う地球連邦の議会が地球側に存在するため、実質的政治権力をエリート官僚などが独占したため後に様々な軋轢と摩擦を生み出すことになった。
もちろん例外的な事例や生活にあえぐ地球市民の描写も存在するのだが、アースノイドという言葉が出てきたときは上記のような意味で語られる。
しかし地球連邦政府は長年に渡り環境保全を名目に資産家や有力者などへ特権的な居住権を与え続けたため過度なエリート主義が台頭し、その実態は腐りつくし、地球生まれじゃないと見れば徹底的に見下すティターンズのような組織を生み出す温床ともなったため、相容れない思想や風土の者たちに絶えず不満を与え続けた(この傾向はアド・ステラにおいてはスペーシアンの描写に近しい)。そして彼らによって半ば強制的に排斥され、「宇宙に捨てられた棄民者」として長年過酷な開発事業を強いられてきたのがスペースノイドである(安直にいえば宇宙世紀では、逆に地球生まれが宇宙生まれを「自分らより下の存在」と見下す事が多い)。
一年戦争ぐらいまでのしばらくは豊富な資源や絶対的な利権などで有利な立場であったが、食料生産やエネルギーライフラインの確保などは主に宇宙側の開発によって賄われており、年代が進むにつれて立場は逆転していき、その過程でアースノイドとスペースノイドの対立関係はより一層強くなる。
スペースノイド側が地球に住む者の知識に乏しいために『重力に魂をひかれた者たち』と過激派スペースノイド組織から敵視されて攻撃を受け、被害者のアースノイドがスペースノイド全体を憎むようになるという悪循環に陥っている。
- ティターンズ、ブルーコスモス:他作品に登場する地球至上主義者の組織(ブルーコスモスは作中描写から反コーディネイター組織と思われがちでしかも支持母体に軍産複合体がついているものの、本質は自然保護団体である)。共に反動的な宇宙移民者やコーディネーターを目の敵にして弾圧や虐殺などの過激な行動を取る。
スパロボなどで共演した場合は結託し合い、地球側市民から圧倒的な支持を集めると思われる。なお彼らと一括りにされて語られがちだが、OZ、アロウズ、ギャラルホルンは反動勢力狩りこそすれど宇宙移民者に対する露骨な差別はしておらず、構成員の出自には特に拘らない(そもそもアロウズに至っては元々は地球内で勢力争いをしていたメンツが集結してベースとなった組織である)。
- 未来世紀:上述宇宙世紀に反してこちらは地球側の住民が劣勢。何せ地球全土をガンダムファイト(ガンダム版オリンピック)会場にするため殆どの国が宇宙に移住した世界観なので、どこもかしこも荒廃して荒れ放題。ただし一部ネオ・ホンコンのような自治体が国家として承認されるような事例も存在するが、肝心の国家元首がマフィアだったりキナ臭い風習が拭いきれない。現状、アド・ステラ世界に最も近い構造がこちらと言われている。
関連タグ
- スペーシアン:彼らに虐げられており、上述のフォルドの夜明けのように武力行使を厭わない者も多い。