『ダイよ…ドラゴンの子よ』
『見事だ。お前の今の強さこの世の者とは思えん』
『悟ったぞ。お前に勝つには余も魔獣と化さねばならん とな』
『たとえ二度とは元に戻れなくとも…!!』
『勝利!! その二文字の為なら…!!』
概要
勇者ダイに追い詰められた真・大魔王バーンが、自らの魔力の源である第三の目『鬼眼』の力を開放し、自身の肉体に重ね魔獣化した最強の姿にして最終形態。単純な戦闘力では竜魔人をも凌駕する、紛れもなく最強にして最凶の敵。
荒々しい岩山の様な頭部と肩装甲を持つ異星人の如き巨人で、腹部に巨大な眼を持つ異形の容姿。額部分にバーンの下半身が髪や両腕ごと埋まる。
鬼眼を額から抉り出すことで、溢れ出た血が岩のような物質と化して肉体を取り込み高エネルギー波を放ちつつ膨張。その中心から巨大化した鬼眼が内部から外殻を突き破るように現れ、そこを起点に外殻を弾き飛ばすような形で出現した。
本人も最強の姿と自負しているが、他者に魔力を与え干渉するのとは違い、魔力の源である自身の肉体を変質させるので二度と元の姿に戻れない最後の手段でもある。
老人の姿の時点で圧倒的な強さを誇り、奥の手である全盛期姿も温存していたため、自身はこの姿になるほど追い詰められる事態になることは露ほどにも考えておらず、戻れなくなる故試す機会も無いと考え、せめて最強の姿を想像の中でも実現させようと作成させたのが『鬼岩城』である。
故に変貌すること自体が屈辱的だったが、全てを捨てて戦いに挑むダイに対しての勝利には、かつてのハドラーと同様不退転の覚悟が必要だと悟り鬼眼の力を開放。自らも全てを捨てて最後の戦いへと赴く。
『だが敗北よりは良い…敗北よりは!大魔王バーンの名だけは守り通すことができる!』
ダイ「そのために使ったのか…!自ら封じた力を、勝利のためだけに!」(俺と…同じことを…!)
『フハハハハハ!それもまた良し!三界を支配する恐怖の魔獣となって畏れられ続けるのもまた一興よ!!』
『ダイ!竜(ドラゴン)の騎士!お前にさえ勝てれば!お前に勝つ事が!今の余の全てなのだァァァ!!』
この戦いの一部始終を傍観していた冥竜王ヴェルザーも、最終手段を取らせた勇者の力に「(竜の騎士の息子は)それ程の相手か…」と驚嘆し、鬼眼の解放がどれだけ異常事態なのかを裏付けた。
能力
強力無比な極大呪文や秘奥義の体術を駆使していた頃と違い、原始的な殴る蹴るの打撃が中心だが、巨大な質量を高速で振り回す攻撃の威力は単純にして圧倒的で、巨体故に小回りは利かないものの機動力と速度は高い。
加えてドルオーラの直撃にも耐え、唯一の弱点である腹部の鬼眼も硬質の瞬膜(瞼)で覆い保護するなど、驚異的な防御力を誇る。
これといった名称はないが、拳打や突き等技らしいものを披露する。腹部の鬼眼から破壊光線を発射することも可能で、武具に亀裂を入れるなどかなりの威力を持つ(劇中ではダイのダメージが無かったため閃光を発したように見えるが、後のファンブックにて光線であることが判明した。メディアミックスでの技名は『鬼眼砲』)。この他、腹部の鬼眼から魔力を拳に収束させて放つ拳打も披露。
アニメ版では肩当から無数の光弾を放っている(鬼岩城が無数の砲台を備えていたのがモデルだろうか)。
本編中の活躍
二度と元の姿には戻れぬ覚悟で第三の眼を抉り、激しい痛みを伴いながらも解放。血は物質と変わり肉体を覆い巨大化。大魔宮の瓦礫と宇宙空間に闘いの場を移し、ダイと同じ覚悟を持って挑み掛かる。
その力は絶大で、原始的な攻撃手段ばかりながら、全盛期を凌駕した竜魔人ですら一蹴。更にはドルオーラを受けても微動だにせず反撃、爪を用いて重傷を与える。動かなくなったダイを見て勝利の美酒に酔い痴れる。
「………どうだッ……!!!」
「………勝った…!」
だが、一時戦闘不能になったダイに対しても「いかんいかん、奇蹟は起きる。何度でも…!!」と、即油断を振り払い、屍を粉々にして完全な勝利を得ようとする。
さらば!! 大魔王
直後、ダイの下へ最後の味方が駆けつけ、行く手を阻む。更に太陽の輝きと亡き母の幻がその意識を目覚めさせ、武器に宿った父の魂がダイを立ち上がらせ、両者は再び激突。ダイは全てを込めた真魔剛竜剣の一撃を放つが、それを以てしても鬼眼に致命傷を与えられず(鬼眼からの光線と鬼眼を覆う瞼という予想だにしない二重の迎撃で防がれた)、逆に刀身が折れる。
真魔剛竜剣によって片腕を失うが、すかさず反撃に転じ哄笑。残った腕でダイを捕らえ、そのまま握り潰そうとするが、ポップの言葉を思い返したダイの渾身の力で手首を破壊され両手を喪失し脱出される。
決着を付けるべくダイを追撃するも、紋章閃の目眩ましで怯んだ隙に、変身前から胸に刺さったままの『ダイの剣』を握られ(アニメ版では再び鬼眼の光線を放つもダイに弾かれる。両手を既に破壊されていた為、懐に飛び込まれてなす術を失った)、そこを起点の斬撃(公式ファンブックでアバンストラッシュであったことが明記)で鬼眼ごと一刀両断にされて力尽き事切れる。
ダイ「さよなら。大魔王バーン・・・!」
鬼眼王の全身は自ら施した呪いにより、死と同時に石化。大半は崩壊した瓦礫と化して地上に降り注ぎ、砕けずに残った本体の上半身は、求め続けた太陽に向かって飛んでいき消えていった。
皮肉な事に、その様はかつて両断された鬼岩城の陥落と瓜二つだった。
肉体的な強さならば三界の神が作り出した『竜の騎士』すらも上回り、個の力では最後まで最強だった鬼眼王だが、誰もが弱く己と対等でない故に、自分と異なる者達との出会いと別れを通して、学び・教え・成長していく「絆の力」に敗れ去ったのである。
コラボ
ドラゴンクエストモンスターズジョーカー3プロフェッショナル
老バーン+ミストバーン+キルバーン+魔界神マデュラーシャの4体配合で「鬼眼王バーン」が仲間になる。
鬼眼王バーンはまさかの「超ギガサイズ」。これはモンスターズオリジナルモンスター以外はあのブオーンしかデフォで持たないサイズで、J3Pの裏ボスであるマデュラーシャを押しのけ配合の終着点にされたことも合わせてかなりの特別待遇であると言える。
さらに専用特技「鬼眼砲」を覚え、合体特性はHPを1000上げる専用の「鬼眼王」とこれまた特別待遇。
能力値はHPが最高値、攻撃も最高近く、守備もかなり高い重戦車タイプだが、賢さが恐ろしく低い。あまりに低すぎてAIが「アタックカンタ」や部下の「ファントムレイザー」などを半別できないため、ある程度の補強が必要となるだろう。
余談
基本的に三形態の中での人気は老人形態が一番の人気と見て良いようである。
これについては光魔の杖のような固有武器を持つ、相対した当初の圧倒的な強さ、後の二形態にはない力に限らぬ狡猾さなどの点が大きいと思われる。
後の形態へと変化するほどにパワーアップすることで、手刀や握りつぶしなどシンプルな攻撃の一つ一つが必殺級の威力となり、下手な小細工は無用となったためか短慮浅慮が多くなり慢心も増えた。
その結果、ギミック面では老人形態こそが一番多彩なものとなり、「暗殺、大いに結構」など少年漫画的な熱い戦いを繰り広げる主人公サイドとは逆に、行動面でも手段を選ばぬ冷酷な魔王らしさがより際立っていたとも言えるだろう。
関連タグ
ガノン(未将崎雄):初代ゼルダの伝説とリンクの冒険のコミカライズのラスボス。「魔族の王で、自分たちを魔界に封印した一族に憎悪を燃やす」「封印術が掛けられた肉体から意思を持った本体(心臓)が分離して活動している」「最後の戦いでは一つの存在になり、凄まじい超巨体の怪物になる(巨大な瞳が主人公を睨んだ後、見開きで最終形態が出現と流れまで同じ)」「主人公にトドメを刺そうとしたが姫に邪魔をされたので額にある水晶に幽閉する」「魔力を供給してパワーアップした武器を使っていたが、姫からエネルギーを渡された主人公の光線で破壊される」など共通点が非常に多い。ちなみに主人公の設定は「異種族の父と王女の母の間に生まれたが、国王(祖父)に認められなかったので捨て子として気難しい老人の下で育てられた」である。一応付け加えると未将崎の方が初出。元々ゼルダの伝説とダイの大冒険はオマージュし合っているような間柄で、上記のはその先達と言える(代表的なのはフレイザードとツインローバ)。
黒龍(ティアーズオブザキングダム):ティアーズオブザキングダムのラスボスの最終形態。勇者リンクに追い詰められた結果、額にある秘石を取り込んだことで二度と戻れぬ漆黒の巨龍となった。リンクをあと一歩のところで追い詰めるも駆け付けた白き龍が与えた退魔の剣によって、弱点である秘石を貫かれたことで爆発四散した。