概要
『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの登場人物、ムウ・ラ・フラガとマリュー・ラミアスのカップリング。
当初は信頼できる仲間、といった程度だったが回を追うごとに親密になり恋人同士となった。
様々な事情(後述)によりいろいろ話題になったカップリングである。
SEED
共に地球連合軍の大尉だったが、ムウは前線で戦うMAパイロット、マリューは技術士官であり、元々の接点はなかった。
そんな2人が出会ったのはザフトによるコロニー・ヘリオポリス襲撃事件。
マリューは5機のXナンバーを拝領するため、ムウはMSパイロットとして着任予定の新兵護衛のためコロニーを訪れたが、ザフトの襲撃により双方の所属部隊はほぼ壊滅、特にムウは乗ってきた艦を撃墜されてしまい、なし崩し的にアークエンジェル(以下「AA」と省略)に相乗りすることになった。
「自分以上の階級の軍人が不在」というやむを得ない事情から艦長職を任されたマリューの心労は相当なものであり、特にヘリオポリスで保護した学生たちを指揮下に置くことで発生するトラブル、副長であるナタル・バジルールとの意見衝突など、気苦労が絶えなかった。
ムウはそんな彼女に寄り添い、同じ階級で年の近い異性として、個人的に相談役を引き受ける形で支えていた。
もっとも、単にマリューが好みのタイプの美人だったというのも理由だったのだろうが...。
その後もどっちつかずの関係性が続く中、オーブ連合首長国からアラスカ基地に向かう途中の戦闘でキラ・ヤマトとトール・ケーニヒがMIA(事実上の戦死扱い)に。
2人の捜索に向かおうとするムウに対し、マリューは隠していた感情を漏らす。
「あなたまで失ったら…、私は…っ!」
この時点で、マリューにとってムウはかけがえのない存在になっていたのである。
そしてアラスカ基地JOSH-Aに到着早々、ムウは突然の転属命令でAAを離れることになる。別れを惜しむ2人だが、その直後にザフトによるアラスカ制圧作戦「オペレーション・スピットブレイク」が発動。
その裏で暗躍するラウ・ル・クルーゼを追う途中で「サイクロプスによる自爆作戦」のことを知り、マリュー達AAに残された者達は捨て駒にされたことに気づいたムウは、転属名目の潜水艇での脱出そっちのけで、基地防衛に駆り出されていたAAへ向かい、マリューを含めたクルーたちを救うべく奔走した。
フリーダムを携えて来たキラの救援もあってAAは生還し、再びオーブへ。
囮にされたとはいえ、結果的に軍を脱走してしまった自分たちがどうすべきか悩むマリューは、アラスカ戦で艦に戻ってきた理由をふとムウに問う。
「少佐は…なんで戻ってらしたんですか?JOSH-Aで…。」
これに対するムウの答えは…
「今さら…」(さりげなくマリューに近づき)
「訊かれるとは…」(彼女を抱き寄せ)
「思わなかったぜ…」(そのまま唇にキス)
マリューは顔を赤らめ、
「わ、私は!モビルアーマー乗りは嫌いです!」
と言ったが、ムウはいけしゃあしゃあと
「あ、俺、今モビルスーツのパイロット。」
と答えた。
偶然ブリッジに入ってきたアーノルド・ノイマン達に見られてもなお二人は唇を重ねていた。
結局、AAはオーブに助太刀し、そのまま歌姫の騎士団として連合・ザフトと三つ巴の闘いを繰り広げるが、終盤のドミニオンとの撃ち合いにてローエングリンを放たれてしまう。
回避が間に合わない中、プロヴィデンスとの戦闘で中破し着艦準備をしていたムウのストライクが盾となってブリッジを守り抜く。
「へへ…やっぱ、俺って不可能を可能に…」
直後にストライクは爆散し、ムウとの交信は途絶。
マリューは悲しみを堪えながら、ドミニオンにローエングリンを撃ち返し撃墜した。
(小説版では、ムウは陽電子の奔流に細胞を焼かれながらも、愛するマリューの腕に抱かれる幻を見ており、愛を知らないクルーゼを憐れみ、キラに希望を託していた。)
SEED DESTINY
戦後、マリューはAAクルーらと共にオーブへ亡命。同じくオーブに移ったアンドリュー・バルトフェルドと共にキラやラクス・クラインを見守るため共同生活をしていたが、「ブレイク・ザ・ワールド」に端を発する再びの開戦、そしてラクス暗殺やオーブの連合への肩入れなど、混迷する現状を正しく見定めるため、無所属の艦となったAAで戦場へと赴く。
そんな中、ベルリンを蹂躙するデストロイを止めるべく出撃したところ、キラに撃墜されたウィンダムから投げ出された黒服の連合軍兵士を見つける。
それこそがネオ・ロアノーク、生きながらえたもののブルーコスモスによって偽りの記憶を植え付けられていたムウ本人だった。
ひとまず彼をAAに収容、医務室で軟禁するが、マリューをはじめとしたAAクルーと顔を合わせても失った記憶は戻らなかった。
この時点で肉体的にはムウ本人であることが判明していたことに加え、自分の容姿を褒めるなど軽口を叩くといった素の性格がそのままだっただけに、「ムウ」がかつて恋人同士であった自分の事を覚えていないことにマリューは悲しみ、部屋を飛び出して泣き崩れてしまった。(この辺りの二人の関係については、ネオマリュを参照。)
オーブへの帰還後、「オペレーション・フューリー」におけるザフトとの戦闘を前にマリューはネオを解放。「もう自分の知るムウは戻ってこない」と諦めていたが、ベルリン以降「自分の過去」に懐疑的になっていたネオはミネルバと交戦中のAAのもとに舞い戻り、共に戦うことを宣言した。
記憶が戻らないまでも、ネオは「あんたを知ってる…様な気がする。」と、その身体が覚えている感覚からマリューを抱きしめたり、共にギルバート・デュランダルのデスティニープランに反対したりとマリューと距離を詰めていく。
そして宇宙でのミネルバとの決戦。回避不能のタンホイザー(陽電子砲)が迫るAAを守るべく、ネオは乗機のアカツキを射線上に割り込ませ盾になる。
「アークエンジェルはやらせん!」
奇しくも、かつてムウがストライクでローエングリンからAAを守ろうとしたときと同じように。
アカツキの対ビームコーティング「ヤタノカガミ」のおかげで陽電子砲は弾かれ、閃光が生まれる。
これを直視したネオは記憶のフラッシュバックを体感し、かつて失った記憶…自分がムウ・ラ・フラガであることを思い出した。
即座にミネルバに反撃すると、マリューに呼びかける。
「大丈夫だ!もう、俺はどこにも行かない!終わらせて帰ろう、マリュー!」
その言葉通り、レクイエムを破壊し戦闘を終えたムウは、長らく待たせたマリューのもとに戻っていった。
関連イラスト
関連タグ
ネオマリュ:ムウが「ネオ」であった頃の二人のカップリングはこちら。
以下、劇場版ネタバレ注意。
SEED FREEDOM
前大戦後に設立された「世界平和監視機構コンパス」に共に籍を移し、引き続きAAに乗艦している。
小説版のマリューの人物紹介に「ムウとはパートナー」とある通り、2人の関係は組織内でもオープンにしている模様。
ユーラシアでの戦闘ではファウンデーション王国の罠にかかり、AAは峡谷にて轟沈させられる。ムウはブルーコスモス機を片付けてAAのもとに向かおうとするが、ムラサメ改ではスペックで大きな差があるブラックナイトスコード ルドラには敵わず、機体のダメージを最小限に抑えてかろうじて離脱。
クルーたちを先に退艦させた後、独り這う這うの体でデッキまで逃れたマリューの前に、中破したムラサメ改で救出に来たムウが声をかける。
「すまん、待たせた!」
それに対し、マリューは安堵と呆れ交じりに応える。
「…遅いわよ!」
宇宙での最終決戦では、お互いの仕事(ムウはアカツキ+ゼウスシルエットでレクイエムがオーブを撃たないよう時間稼ぎ、マリューはミレニアムの指揮)をこなし、無事戦闘は終了。
ミレニアムに着艦し即座にブリッジに向かったムウは、マリューと抱き合い熱いキスを交わすのであった。
機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024にて
2024年3月24日に発表された「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024」キャラクター部門最終結果ではムウ11位、マリュー12位と連番でランクインした。
ちなみに中間発表ではムウが8位でクルーゼが11位だったため、ムウが順位を落としてでもマリューと並んでランクインしたなどとネタにされた。
SEEDFREEDOMZERO
シリーズ最新作にて劇場版の前日譚である『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOMZERO』でも二人は登場予定。
特報では二人してイザーク・ジュールとディアッカ・エルスマンに挨拶をしている。