概要
1991年にM&Mから発売されたファミコン用ロールプレイングゲーム。正式名称は『おたくの星座 AN ADVENTURE IN THE OTAKU GALAXY』で開発はパック・イン・ビデオ。
製作されたバブル期という時代、物質的に豊かになった代わりにおたくと呼ばれる男性が増えており、女性が社会的にも強くなってきたといわれる世相を反映したギャグRPGである。
シナリオ原案は当時ゲームに目を向けていた漫画家の本宮ひろ志、キャラクターデザインは江口寿史が担当。
街の住人(顔グラフィック有)や敵モンスター(漫画のコマより転用されたものも)は、江口のギャグ漫画に登場する今では発売できないようなパロディ要素がきつめなナンセンスな姿にデザインされ、それぞれの地域を支配するボスでもあるオーロラ五人娘は、やはり江口が得意とするスタイリッシュな美女たちとしてデザインされた。
1993年には開発元のパック・イン・ビデオからSuperCD-ROM²用としてシナリオを大々的に追加・修正し、ビジュアルシーンや音声も追加した『オーロラクエスト おたくの星座 IN ANOTHER WORLD』が、
1994年にはケイエスエスによって全2巻で、アイドルグループオーロラ娘が「おたく病」を蔓延させているという設定に変更になった全編ナンセンスギャグなOVAが発売された。
また1993年に、オーロラ五人娘とタイアップしたSANKYOによるパチンコ『フィーバーガールズI』がリリースされ、イメージキャラクターとしてアイドルグループも結成された。
あらすじ
遙か遠い未来。
女が世の中を席巻し、世の情けない男は「おたくちゃん」と蔑まれる時代となっていた。
社会は荒廃し、大地には凶暴な野獣が暴れる状況となった地球。
この惨状を見かねた女神マーヤは、女神の親衛隊「オーロラ五人娘」を地球に遣わすが、彼女らは野獣を操りおたくちゃんをいじめるようになり、おたくちゃんは一層卑屈となっていく。
こうした状況に熱く燃え上がる一人の男がいた。
世の女に「本物の男」という物をみせるために、彼は旅立つのである。
登場人物
※CVはCD-ROM²/OVA
- 主人公/男(CV:-/山寺宏一)
※メイン画像後方
江口寿史の自画像に酷似した、帽子を被った記憶喪失のサングラス男。
※メイン画像前方
ファッションセンスに優れるマカオと呼ばれる女性の心を持つ一族たちのリーダー(今で言う男の娘)。
※メイン画像下部
魔術の研究をしている眼鏡に学生服の真面目そうな男だが、ジョンジョンに「キミのためなら死ねる!」といえるほど惚れている。
OPにも登場するフードを被った謎の男で、主人公たちの前にたびたび現れ助言をする。
- ラカン
先代勇者ユイマと共に戦った魔術師で、子孫たちがその名を継いで、次代勇者に協力するため真の漢たちが集うという国を興して待っていた。
オーロラ五人娘
優しさを証明するため、花やダイヤを主人公に貢ぐように命令してくる。最後は赤ちゃんを持ってこいと言ってくるのだが…
美的センスがあることを証明するため、格闘ファッションショーで優勝することが条件となるのだが…
知性があることを証明するために、キングスの街で起きているバラバラ殺人事件の謎を解くことになるのだが…
力を証明するために、町長選では不正をはねのけて当選し権力を、カジノで長時間かけて手にした大金を元手に財力を手に入れ、最後には戦いでも力を見せつける必要があるのだが…
忍耐を証明するために、彼女の操る幻術で最も愛する者を失う恐怖を与えられてしまうのだが…
女神
- マーヤ(CV:-/井上喜久子)
オーロラ五人娘を地上に遣わした愛の女神 インドラの行動に心を痛めている。
敵
- シュラ
FC版のモンスター。おたくちゃんをいじめる狂暴な野獣の総称で、最弱モンスターはスライヌ。円谷ネタやユウジやサトシゲはヤバすぎる!
- パラノイア
CD-ROM²版のモンスター。世界大戦で用いられた合成生物の技術で趣味の赴くまま自己改造したおたくちゃんの成れの果て。非常に排他的で住処に近づいた人々に襲いかかってくる。
- ドムール三兄弟(CV:-/玄田哲章)
ルンに従う非常に屈強な三兄弟。
ライブハウスで男の心のこもったサウンドを演奏し、本当の男の力を手に入れないと倒せない。
インドラ四天王
CD-ROM²版のみ登場 地上世界の人々を苦しめインドラ復活の障害となる聖剣を回収しようとしている。兜を脱いだ素顔はまるで某三国志漫画の登場人物!?
暗黒神
天満の大予言によると7000年に一度蘇り、インドラの矢で全ての男を消し去り、全ての女性を独占してしまうといわれている暗黒神。
勇者ユイマの聖剣に宿った龍神の力をもってしても異次元に封印することしかできず、今回の復活では世界を消滅させようとしているという。
OVAでは作風故に一転してコミカルなキャラである。
- ナレーター(CV:-塩屋浩三/田中信夫)
余談
スタッフやプログラム技術については恵まれているが、ゲームとしてはお使いイベントの多さや、戦闘バランスの拙さ、淡々と進むシナリオのためクソゲー扱いされることが多い。
江口寿史氏によるキャラクターのドット絵は凝っているが、色彩が単調で地味な印象が強く、敵モンスターデザインもインパクトはあるものの、ゲームをプレイするメイン層に嫌悪感を感じさせる姿の者が多かった。
『オーロラクエスト』にリメイクされたことで、発売機種の規制が異なるため江口氏デザインのモンスターはバリエーションがさらに増え、ヤバめなものも多くなった。
『オーロラクエスト』では後半になると敵キャラデザインが本宮ひろ志氏のものとなった。
そのため普通のRPG的な雰囲気となり、ギャグ目的で買ったものが多かったために、普通すぎると評価が下がってしまったといわれる。
発売当時の感覚や本宮氏・江口氏両名の持論において、おたくやLGBTに対する意識が現在とは異なるため、笑いものにしているように感じる部分もあるが、そのような時代もあったということを理解してもらいたい。