概要
多面体の一種であり、双角錐における片方の角錐をねじったような形である。
説明だけでは解り辛いかもしれないが、一般的な10面ダイスの形はこの一種である。
偶数枚の四角形で構成され、「ねじれ双n角錐」ならば2n+2個の頂点と2n枚の面、4n本の辺を持つ。
双対は反角柱。
「ねじれ」と付いてはいるが、「ねじれ角柱」(=反角柱)や「ねじれ立方体」(=変形立方八面体)の場合は面をねじっているのに対し、こちらは頂点をねじっている点に注意が要る。
同様の法則では、五角二十四面体は「ねじれ凧形二十四面体」に相当する。
ねじれ双二角錐には(通常の幾何学においては)三角錐が相当する。
構成面が三角形となるが、これは四角形の一つの角が180°となった結果である。
「ねじれ重角錐」「ねじれ両角錐」「反重角錐」という呼称も見られる。
後述のように、「反角柱」という呼称に対応する呼称は「反双角錐」となるが、公的な文書上での使用例が存在するかどうか不明であるため、ここではメジャーな呼称である「ねじれ双角錐」を用いている。
種類
正ねじれ双角錐
底面が正多角形のものは特に「正ねじれ双角錐」と呼ばれるが、そもそも正多角形以外が底面の場合の定義は不明。
斜錐のように傾いていてよいかどうかは不明だが、ここでは傾いてないものとして記述する。
構成面はこの場合凧形となる。
特に正ねじれ双三角錐の場合は菱形となり、「菱形六面体」あるいは「菱面体」と呼ばれる。
立方体は実はこの菱形六面体の一種でもあり、引いてはねじれ双角錐の一種でもある。
正十二面体は「正ねじれ双五角錐」の両方の頭頂点を切ったものの一種である。
正四面体は「正ねじれ双二角錐」に相当するものの一種となっている。
10面ダイスの場合は正ねじれ双五角錐となっており、他にも目の類が偶数のサイコロに用いる事ができる。
ただ、双角錐とは逆に、目の数が単偶数(4で割り切れない偶数)の時は振った際に面が上を向くが、複偶数の時は辺が上を向いてしまい、少々不便となる。
つまり、単偶数の時はねじれ双角錐が、複偶数の時は双角錐が適任。
カタランのねじれ双角錐?
半正多面体の性質を満たす反角柱(アルキメデスの反角柱)が無数に存在するのに対し、カタランの立体の性質を満たすねじれ双角錐も無数に存在する。
呼び名は不明だが、「アルキメデスの立体の性質を持った角柱だからアルキメデスの反角柱」という解釈をすれば、こちらは「カタランのねじれ双角錐」と呼べる。
ただ、角数が増えると大分長細くなるため、サイコロとしては普通の正ねじれ双角錐の方が向く。
一様多面体にアルキメデスの反角柱を含める場合、一様多面体の双対にはこれも含まれる事となる。
交差ねじれ双角錐?
反角柱には、側面が中心軸をまたぐバージョンである「交差反角柱」というものも存在しているが、これに対して「交差ねじれ双角錐」と呼べるものも存在しており、こちらは面の形が凹型の凧形(矢尻のような形)となっている。
交差反角柱の場合と同様、「交差ねじれ双n/m角錐」は「ねじれ双n/(n-m)角錐」に相当している。
名称について
日本語名について
「ねじれ双角錐」という呼び方は、双対である反角柱の別名「ねじれ角柱」に対応したものとなっている。
対して、英語名の一つであるAntidipyramid(Antibipyramid)を機械的に直訳すれば「反双角錐」となり、「反角柱」という呼称に対応した呼称となる。
ズバリそう呼ぶ例が存在するかは不明だが、ニアミスなもので「反重角錐」という表現は見られる(重角錐は双角錐の別名)。
中国語では、双と反が逆の「双反角錐」(双反角锥/雙反角錐)という呼称がそれなりに使われている様子があるが、反角錐という図形も存在しているため、反角錐を双角錐と同様に底面同士で組み合わせた図形と混同しないよう注意が必要となる(ただ、見方によっては反角錐を組み合わせたものという解釈もできる)。
英語名について
英語では主にTrapezohedronと呼ばれている様子であるが、この語は凧形二十四面体の事を指す場合もあるようで注意が要る。
Trapezohedronの字義は「Trapezium+Hedron」であり、直訳すれば「不等辺四角形による多面体」となり、これでは凧形六十面体なども該当してしまうため、混乱も生まれるわけである。
凧形には等辺が存在するため、「不等辺四角形」という和訳にも難がある。
更にTrapeziumは台形を意味する事もある。
Deltohedronとも呼ばれ、こちらは直訳すると「凧形多面体」となる。
こちらも漠然とした名前であるが、凧形二十四面体等は含まれない様子。
ただ、デルタ多面体の英語名であるDeltahedronと酷似してしまう点には要注意である。
関連タグ
菱形六面体 立方体 正十二面体 反角柱 双角錐 角錐 カタランの立体