概要
多角形の辺を伸ばしてできる図形が星型多角形なのに対し、多面体の面を伸ばしてできるのがこれである。
星型正多面体の他、星型八面体のように複合多面体となっているものや、小三角六辺形二十面体のように構成面が正多角形になっていないものも含まれている。
定義について曖昧な部分が多いが、多くの問題は星型多角形と共通している(「星型多角形」を参照)。
ここでは「多面体を星型化してできたもの(元の多面体を除く)」「Star polyhedronとは別物」と解釈して記述する。
「星形多面体」と表記される事もあるが、殆どの場合は「星型~」となっており、構成面が星型とは限らない点が菱形多面体とは大きく異なる。
星状多面体とも呼ばれる。
三次元の星型化
多角形から星型多角形を作る操作や、多面体から星型多面体を作る操作を星型化(Stellation、星状化)と言い、この表現は次元を問わず用いられる。
星型化によってできた図形は「(元の図形)の星型」のように表現される。
そして星型化の元となる図形は「芯」と呼ばれ、できた図形の頂点を結んでできる凸な図形は「枠」と呼ばれる。
例えば、星型八面体ならば「正八面体の星型」であり、芯は正八面体、枠は立方体である。
二次元においては、正多角形以外についての星型はあまり語られないが、三次元においては、正多面体以外についての星型も語られている。
ただ、面を伸ばしてできるものなら何でも良いというわけでもない。
J.C.P.ミラーによる定義が比較的一般的のようであるが、完璧な定義というわけでも無い様子である?
星型多角形の場合、芯となる多角形の辺を包含するような形となっていたが、星型多面体においてはそのようになっていない例も見られ、「それを星型多面体に加えてしまうと☆も星型多角形になってしまうのではないか?」という事例もある。
小星型十二面体のように、面を伸ばすというよりは辺を伸ばして作ってると見た方が整合するものもある。
半正多面体のような、面の形が合同でない図形に対する同様の操作の場合、やや特殊な所が出て来るが、これも星型化と呼ばれている。
例えば、立方八面体の面を伸ばしてできる「Compound of cube and octahedron(立方体と正八面体の複合)」なども、「立方八面体の星型」という扱いをされている。
星型化とファセッティング
正多角形の場合、頂点を結び直す事で作った場合と、星型化によって作った場合とで同じ結果を出す事ができたが、三次元ではそうはならない。
例えば、星型八面体は正八面体を星型化する事で作る事ができるが、頂点を結び直す事では作る事ができない。
一方、立方体を星型化しても何もできないが(無限遠点を含むものを除く)、頂点を結び直す事では星型八面体を作る事ができる。
二次元でも、正多角形以外の場合について考えると同様の現象が起こる。
この「頂点を結び直して別の図形を作る操作」の過程はファセッティング(Faceting、Facetting)と呼ばれている。
ファセットとは、ここでは多面体における面、多角形における辺を意味する。
また、できた図形は「頂点配置(Vertex arrangement)が共通している図形」という形で紹介される。
星型化とファセッティングの間には双対に通じる関係が存在し、それは後述の星型半正多面体とその双対との関係からも窺える。
類似の図形
一様多面体にある「半正多面体の凸でない版」もそれっぽい形をしており、「正多面体の凸型でない版」が星型正多面体(Regular star polyhedron)であるのに対し、これは星型半正多面体(Semiregular star polyhedron)と呼べそうである(以下、便宜のためそう呼称)。
ただし、芯となる多面体を定義する事ができなさそうなものが殆どであり、ここで言う星型多面体には含まれがたい点には注意が要る。
そのため、星型半正多面体とも呼び難そうな所であるが、Star polyhedronという扱いはされており、星型正多面体と併せてUniform star polyhedron(星型一様多面体)と呼ばれていたりもする。
つまり、Stellated semiregular polyhedronとは呼べなくても、Semiregular star polyhedronとは呼ぶ事は可能なのである。
この辺、StarとStellatedを共に「星型」と訳しているための混乱が見られる。
星型半正多面体は全て、何かしらの凸多面体をファセッティングして行く事によって作る事ができる。
一方その双対は全て、星型化によって作られるタイプとなっており、逆に凸多面体からのファセッティングによっては作る事ができないタイプが殆どとなっている。
ダ・ヴィンチの星については、基本的には別物と認識した方が無難だが、少なくとも正多面体版については、解釈によっては星型多面体と見ることもできそうである。
代表的な星型多面体
- 星型正多面体…星型正多角形の三次元版。全4種の内、3種は正十二面体の星型、1種は正二十面体の星型となっている。一様多面体の一種でもあり、一様多面体の双対の一種でもあり、広義の正多面体の一種でもある。
- 星型半正多面体の双対…「カタランの立体の凸でない版」とも言える。正二十面体の最初の星型でもある小三角六辺形二十面体が代表的。無限遠点を含んでいるタイプもある。
- 星型八面体…六芒星の三次元版のようなあの形。正八面体の唯一の星型であり、枠は立方体。正四面体2個による複合多面体となっている。
- 完全二十面体…正二十面体の最後の星型であり、枠は切頂二十面体の不正確バージョン。特殊な九芒星で構成される。
- 菱形六十面体…詳細は不明な所があるが、菱形三十面体の星型とされている様子がある。