概要
星型正多角形の三次元版であり、正多面体の条件から「凸である事」を省く事で現れる図形である。
「ケプラー・ポアンソの立体」あるいは「ケプラー・ポアンソの多面体」とも呼ばれ、星型多面体の一種であると同時に一様多面体の一種でもあり、更に「一様多面体の双対」の一種でもある。
以下4種が存在。
名称 | 頂数 | 辺数 | 面数 | 面形 | 頂形 | シュレ記 | 双対 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
小星型十二面体 | 12 | 30 | 12 | 5/2(星型五角形) | 5 | {5/2, 5} | 大十二面体 | 別名:星型小十二面体 |
大十二面体 | 12 | 30 | 12 | 5(正五角形) | 5/2 | {5, 5/2} | 小星型十二面体 | |
大星型十二面体 | 20 | 30 | 12 | 5/2(星型五角形) | 3 | {5/2, 3} | 大二十面体 | 別名:星型大十二面体 |
大二十面体 | 12 | 30 | 20 | 3(正三角形) | 5/2 | {3, 5/2} | 大星型十二面体 |
見た目は4種とも三角形で構成された凹多面体だが、数学的には別物。
例えば、小星型十二面体と大星型十二面体なら、60枚の三角形ではなく12枚の星型五角形(五芒星)で構成されているという所が重要。
大十二面体と大二十面体は普通の正多角形で構成されているが、頂点の形が星型となっている。
正多面体が紀元前から知られていたのに対し、これらは近代になってようやく知られる事となったらしく、まず小星型十二面体と大星型十二面体が1619年にヨハネス・ケプラーによって発見され、残りが1809年にルイ・ポアンソによって発見されたとされる。
そのため、前者を「ケプラーの多面体」、後者を「ポアンソの多面体」と呼び分ける事もある。
前者は面形状が星型で頂点形状は凸なもの同士、後者は面形状は凸で頂点形状は星型なもの同士でもある。
大二十面体は正二十面体の面を伸ばして行く事で現れるが、他の3つは正十二面体の面を伸ばして行く事で現れる。
一方、頂点を飛ばして結ぶ方法で作る場合は、大星型十二面体のみ正十二面体から作られ、他の3つは正二十面体から作られる。
前者の操作(星型化)の元の図形は「芯」と呼ばれ、後者の操作(ファセッティング)の元の図形は「枠」と呼ばれ、まとめると以下の通り。
図形 | 芯 | 枠 |
---|---|---|
小星型十二面体 | 正十二面体 | 正二十面体 |
大十二面体 | 正十二面体 | 正二十面体 |
大星型十二面体 | 正十二面体 | 正十二面体 |
大二十面体 | 正二十面体 | 正二十面体 |
このように全て正十二面体と正二十面体からできるため、「星型正多角形の三次元版」というよりは「星型五角形の三次元版」となっている。
また、星型化で出来たものは特に「(元の図形)の星型」と呼ばれているが、正十二面体の星型は上記の3つで全て(正十二面体自身を含めて4つとする事も)であるのに対し、正二十面体の星型は、星型正多面体の中では1つのみが該当しているものの、星型正多面体ではないものが多数存在している。
他次元版については「ポリトープ」を参照。
似た見た目を持つ多面体
星型の立体として最もよく見かけるのは、二つの正四面体を複合した、六芒星の三次元版のような形であるが、あれは星型八面体と呼ばれる。
星型多面体の一種ではあるが、複合多面体であるため星型正多面体には含まれない。
小星型十二面体と大二十面体、大十二面体と正二十面体は、辺だけを見ると同じに見えるが、面も考慮する事で見分けが付く。
小星型十二面体と大星型十二面体の見た目は、正多面体の各面に角錐を張り付けたような形であるが、同様の外観を持つものには主に以下が存在(角錐の高さが異なっている。もちろん数学的には別物)。
種別 | 外観が小星型十二面体に類似 | 外観が大星型十二面体に類似 | 特徴 |
---|---|---|---|
カタランの立体 | 五方十二面体 | 三方二十面体 | 二面角が等しくなるような二等辺三角形で構成されている。 |
ダ・ヴィンチの星 | 正十二面体版 | 正二十面体版 | 正三角形で構成されている。 |
半正多面体の凸でない版の双対 | 小三角六辺形二十面体 | 特定の六角形で構成されている。 |
ダ・ヴィンチの星とは特に酷似しており、しばしば混同されるが、ダ・ヴィンチの星は全ての面が正三角形であり、星型五角形の部分が折れ曲がってる。
絵の歪みのせいという事にしてしまえばどちらとも見なせるかもしれない。
関連タグ
星型多面体…星型っぽい立体のまとめ有り。