概要
藤子・F・不二雄原作の漫画・アニメ作品『ドラえもん』のエピソードの一つ。TC6巻収録。
原作版において、のび太としずかが結婚していることが初めて明言されたエピソードである。
あらすじ
ドラえもんや両親に誕生日を祝ってもらうのび太。その際、のび太の将来のお嫁さんはどんな人だろうという話題になる。のび太は自分にお嫁さんが出来るか不安になり、その様子を見たドラえもんはのび太を連れて「タイムマシン」で25年後の未来へ向かう。
ドラえもん達が未来に到着すると、何故かタイムマシンの出入り口がトイレに繋がる。外に出てみると、野比家は既に取り壊され、公衆トイレになってしまっていた。
町並みもすっかり変わっている為、ドラえもん達は交番に向かう。そこで話を聞いたところ、野比家は10年前にマンションに引っ越したことを教えてもらい、ドラえもん達はそのマンションへ向かう。
12階の68号室。ドラえもんはひみつ道具「透視めがね」を取り出し、部屋の中を覗く。するとそこにいたのは怖い顔をした見知らぬ女性だった。
あまりの衝撃に動揺するドラえもんとのび太だったが、そこに別の女性が現れる。その女性こそがのび太の妻であり、25年後のしずかだった。
しずかは現代ののび太を息子のノビスケだと勘違いしており、先程の怖い顔の女性の前に連れて行き、謝らせる。
怖い顔の女性の正体は、ノビスケの友達のスネ太郎の母親であり、スネ太郎がノビスケに虐められて泣かされたことから、ノビスケ及びしずかに謝罪を要求する為に野比家を訪れていたのだ。
スネ太郎の母親が帰った後、しずかはお仕置きとしてのび太の尻を叩くのだが、そこにノビスケが帰宅。のび太は父親としてノビスケに説教を始めるものの、ノビスケは目の前にいるのび太が子供の頃の自分の父親であることは当然知る由も無い。ノビスケはのび太が自分に化けた宇宙人だと思い、退治すべく襲い掛かって来る。
ドラえもんとのび太は急いでタイムマシンに乗り込もうとするが、タイムマシンの出入り口がある公衆トイレの個室が使用中だった為、2人共ノビスケにボコボコにされてしまう。
傷だらけになりながらも現代に戻ってきた2人。そこにしずかが誕生日を祝いに来てくれたことを知ったのび太は、しずかが自分の将来の妻であることを知ったことで、恥ずかしがるのだった。
余談
上記のエピソードは『小学四年生』1972年2月号に掲載されており、翌月の3月号にはドラえもんがのび太と別れて未来に帰る内容の最終回(「ドラえもんがいなくなっちゃう!?」)が掲載されている。TCでも本作の次には「さようなら、ドラえもん」が掲載された。
ちなみに、2月号に掲載された作品でありながら、家族がのび太の誕生日を祝っているという内容は、のび太の誕生日が8月7日という公式設定とは矛盾しているが、この公式設定は「小学四年生」1972年8月号に掲載された「ぼくの生まれた日」(TC2巻)で確立したものである。
また、TC収録のエンドカードでは、のび太としずかが手を繋ぎながら歩いて行き、そんな2人をドラえもんが見守るシーンが描かれている。このシーンは大山のぶ代版アニメにて再現された。
上記のエピソードは大山版及び水田わさび版アニメで映像化されている。後者は2005年版と2014年版が存在し、2005年版は基本的に原作版通りの展開だが、2014年版では様々なアレンジが施されている。以下、2014年版にて大きくアレンジされた部分を記述する。
- 原作版ではドラえもんは中盤から一時的に離脱して終盤まで登場せず物語の蚊帳の外だったのだが、主人公である為か出番を増やすアレンジがなされており、終始「透明マント」を被った状態でのび太としずかの交流を温かく見守っていた。
- 出木杉は登場しないものの、彼の妻は後ろ姿のみ登場している。また出木杉の息子のヒデヨも名前のみだが登場しており、ノビスケとは仲が良い模様。
- スネ太郎の父親は原作版では不明だったが、2014年版ではスネ夫になっている。どうやら恐妻家らしく、また息子のことはかなり甘やかしているようで、スネ夫はバラ一輪を片手に妻のご機嫌を取るも、妻に「あなたが甘やかすから息子が虐められた」と叱られ、そのまま引きずられて行ってしまう。
- 25年後ののび太の誕生日パーティの準備をする為、しずかは料理を作り始め、現代ののび太もそれを手伝う。その際、のび太がしずかに「パパのどこが好き?」と質問すると、しずかは赤面しながら「少しおっちょこちょいだけど思いやりがあって優しくて全部大好き」と告げた。
- 25年後のジャイアンも登場し、ドラえもんとのび太を追うノビスケにジュースを差し入れていた。
- ドラえもんとのび太が現代に戻って来た後、しずかはもちろん、ジャイアンとスネ夫も誕生日パーティに参加し、皆で記念撮影をした。