※ここでは店舗ブランドとしての「イオン」について説明する。グループ全体の詳細はイオングループを参照。
概要
日本有数の流通グループ「イオングループ」の事業の主軸となる総合スーパー(GMS)とスーパーマーケットのブランド名である。グループ名としては1989年、会社名としては2001年より使用していたが、本格的に店舗名として使用されるようになったのは2011年からである。
沿革
店舗ブランドとしての「イオン」のそもそもの始まりは、2007年にダイエー新潟店の店舗跡に開業したLoveLa万代内に出店した「イオン ラブラ万代店」(現:イオンスタイルラブラ万代)である。食品主体のスーパーとしての出店を打診されたためこの様な形になったが、この時点で(イオン株式会社が資本参画に関わっていたとはいえ)ダイエーがイオンの傘下になると予想できた者がどれだけいたかは定かではない。その後も暫くは食品スーパーとしての出店が続いていた。
GMSとしての「イオン」が誕生したのは2010年であり、カルフール店舗がネーミングライツの期限切れにより屋号を変更したものである。
そして、2011年3月1日、イオングループのGMSブランドであったジャスコ・サティ・ポスフールが一斉に屋号を変更・統一したことにより、「イオン」名義のGMSを主力事業にする現在の状況が出来上がった。海外のジャスコ店舗も2013年3月までにイオンへの転換を完了した。
2015年頃からは苦境が続く総合スーパー事業の現況を打破するため、新形態の「イオンスタイル」が登場。「脱・総合スーパー」を掲げており、特定の品目に特化した形態(食品売場を拡充したり、衣料品売場を大幅カットする等)が多いのが特徴。
さらにダイエーが2015年1月にイオンの完全子会社になった事に伴い、ダイエーの店舗網を整理する事となり、ダイエーの店舗のうち、地方(北海道・仙台・山梨県・名古屋・九州)および首都圏・近畿の大型GMS型店舗が相次いで「イオン」へと転換されたことに伴い、ますます店舗数が増加する事になった。
ちなみにダイエーはイオンの子会社になって以降、食品関連の品揃えに特化した新形態「イオンフードスタイル」をメインに展開しているが、「イオンフードスタイル」はダイエー運営なので厳密には店舗としての「イオン」ブランドには入らない。
総合スーパーのブランドを統一した2011年以降も食品スーパーマーケット形態の「イオン」の出店は並行して行っている。
特徴
上記のように、イオングループの複数の店舗ブランドを統合して出来上がった経緯から、同じ「イオン」でも店舗によってそのルーツは様々である。代表的な出自は以下の通り。
- イオングループ本来のGMSブランドである旧「ジャスコ」店舗。現在のイオン店舗の約半数はコレ。
- 経営再建の過程でイオングループ入りしたマイカルが展開していた旧「サティ」店舗。
- 北海道限定の旧「ポスフール」店舗。元々は北海道のサティがマイカル本体から独立したものだが、結局イオングループ入りしており、殆どの店舗がサティ時代から営業している。
- 旧「カルフール」店舗。フランス資本のスーパーの日本版だったが経営不振によりイオングループに運営が引き継がれていた。
- 統合してから新規開業した店舗。かつて存在したイオングループの店舗を建て替えての出店も含まれる。
- ダイエーの店舗網再編により、「イオン」を運営する各地域法人に運営が移管された旧「ダイエー」店舗。
一応店舗名は被らないように配慮されている(例:高松市の「ジャスコ高松店」が「イオン高松店」になり、「高松サティ」は「イオン高松東店」になる)が、地域によっては複数のイオン店舗があるため、区別のために旧屋号で呼ぶ地元民は数多い。
店舗形態も様々であり、GMSタイプであっても従来型の単独店舗だったりすればショッピングセンター(イオンモール・イオンタウン等、当然ながらイオングループ外の商業施設にも出店)の核店舗としての出店もあるし、取り扱い商品もほぼ食品のみだったりすれば自前の食品売り場を持たない店舗もある。
中には複数回屋号が変更された店舗もあるため、看板・内装・備品などにかつての屋号が見え隠れする事もある。
展開地域
全ての都道府県に出店している。地域密着の方針により、地域によって運営法人は異なっており、地域によってサービスの差異も散見される。
- イオン北海道:北海道の店舗。
- イオン東北:東北の店舗。元々はイオンリテールが運営していたが、2020年3月1日に東北のマックスバリュ店舗を運営していた「マックスバリュ東北」に運営移管され、社名変更。
- イオンリテール:東北以外の本州と四国の店舗。2008年にイオン株式会社の持ち株会社化に伴い事業を継承。2021年に開業したイオンスタイル新利府だけはイオン東北と共同で運営。
- イオン九州:九州の店舗。
- イオン琉球:沖縄県の店舗。店舗ブランド変更後、「琉球ジャスコ」から社名変更。
山梨県にジャスコが出店したことはない(ブランド統一直後に開業した甲府昭和店はジャスコになる予定だった)が、新規開業やサティ・ダイエーからの転換店舗が加わっている。
徳島県には当初店舗が無かった(ジャスコ・サティ・ダイエーはすべて撤退していた)が、徳島市のジャスコの跡地に建設されたイオンモール徳島にイオンスタイル徳島として初出店を果たす。
福井県については2003年のジャスコピア店閉店の時の軋轢からイオングループの商業施設が殆ど無い状態が続いたが、2024年7月13日に福井市にイオンスタイル福井開発を出店。これにより、統合から13年で全都道府県の出店を果たした。福井県についてはサティ・ダイエーも既に撤退している上に元々店舗に乏しく、サティは食品館などの小型店舗のみの出店で、ダイエーも直営店舗を出店したことは無かった(地元企業のヤスサキとのフランチャイズ店舗のみ)。