概要
インドホシガメ(Geochelone elegans)は、爬虫綱カメ目リクガメ科リクガメ属のカメである。
原産国の規制にもかかわらず密猟・密輸が減らず、大規模なCB化も進んでいないことから、
サイテスⅡからサイテスⅠへ昇格することが決定した。
分布
インド(南東部・西部)・スリランカ・パキスタン(南東部)など。
形態
メスで最大甲長38センチメートル、7キロ。
オスは最大でも20センチメートルに達しない。ホウシャガメやビルマホシガメほど大きくならないのでペットとして飼いやすい。
黒い背甲に星のように見える黄色い縞模様がある。これがホシガメの名前の由来である。手足は大きめのとげのようなうろこがある。大変きれいな亀でバリ島の工芸品や漆器のような美しさがある。
目は切れ長でややつり目、一見怖い顔をしているが愛嬌がありリクガメの中では美形である。頭部には不規則な黒い斑点がある。
背甲が高く丸みを帯びたフォルムが美しい。
皮膚の体色は黄色・黄土色・オレンジ色とかなり個体差がある。複数飼う場合は色の違いや顔の違いを楽しむことができる。
成長とともにオスは腹甲の中央が大きく凹む。これは交尾の時メスの上に上手に覆いかぶさるためで多くのリクガメで共通の特徴である。オスはしっぽが太く長く成長する。総排泄口から尾先端にかけて縦に割れたような溝ができる。時折、桃・イチジクの果実のような形状でピンク色の大きなヘミペニスを露出させるようになる。
メスの尻尾はとても短く細い。付け根の部分だけ少し丸く膨らむ程度である。形状は「梅干しの先っぽに細い三角の尻尾がちょろっとついている」ような形態になる。
メスの腹甲もまたぐらなど少しだけくぼむがオスほどではなく特に中央はへこまない。
メスも少し腹甲がへこむため腹甲の凹みはじめでオスメスを判別するのはむずかしい。
オスは下あごが大型化し正面から見ると顔が台形に見える。これも他のリクガメと共通である。
まれに頭がオレンジ色の個体が見受けられ「オレンジトップあるいはオレンジヘッド」と呼ばれる。
また性成熟に伴いオスの甲羅は縦長に成長する。メスのほうは横腹に膨らみができ丸い形に成長する。
個体差はあるもののオスは活動的・メスはひかえめでおとなしい。
オスメス判別が難しいサイズの時は日光浴させるとわかることがある。
オスはお尻のにおいをかぎながら追いかけメスはひたすら逃げる。
幼体時は甲羅の黄色い縞模様は少ないが成長とともに甲羅の接合面から新たな縞模様が引き出されるように現れる。最初は個々の縞模様はちぐはぐになってかみ合っていないが成長とともに縞模様同士がうまくつながり見事な星の模様となる。
繁殖はビルマホシガメと比較すると やや難しいとされる。
しかし毎年のように繁殖を成功させているブリーダーも存在する。
飼育者の愛情次第である。
生態
雨季に一斉に幼体が孵化する。
性格は臆病でやや神経質・おとなしく同種同士の協調性もあり従順である。飼い主にもよく慣れ飼いやすいリクガメである。
ただし繁殖期のオスは激しく喧嘩する。
人間社会とのかかわり
食用・ペットとして飼育される。
生息数の減少に伴いワシントン条約批准国からの正規輸入はほぼ無いが日本では比較的流通していた。
価格は甲長10センチ程度の「安心サイズ」で3万円~4万円程度で流通していた。しかしヨルダンから輸出されなくなり日本にベビーがはいってこなくなり6~10万にまで値上がりしている。
注)安心サイズとは:温度湿度の管理がシビアでない、飼いやすいサイズ。500円玉サイズ、いわゆる「ピンポン」サイズは低温低湿度に弱くすぐに体調を崩して死んでしまう。そのため8・5センチ~11センチ程度のある程度育っていて尚且つ可愛い大きさが飼育を始めるのに適しているとされる。
飼育について
高温多湿を心掛ける。湿度が低いと甲羅が乾燥して凹つきの原因となるとされる。
インドホシガメは難易度が高いとされるがそれは「ピンポンサイズ」のことであり、「安心サイズ」の個体は比較的丈夫で飼いやすい。
高温多湿を好むので温度が高すぎて脱水症状をひき起こして死ぬこともなくコツさえつかめば他のリクガメと同様むしろそれより簡単である。
食性
自然下ではカタツムリやミミズ・動物の死骸などの動物質も食べているようであるが飼育下では運動量も少なく葉野菜・果物などの植物質を与えることになる。個体によっては人工飼料にも餌付くが栄養価が高すぎるため甲羅が凹つき不自然な形になるため量や頻度に留意が必要である。
主にサラダ菜・小松菜・サンチュ・サニーレタス・チンゲン菜のようなくせの少ない葉野菜・ニンジンなどの根菜・ミカン・イチゴなどの果物を好む。
紫外線要求量は高くないが紫外線ライト、バスキングライトや保温球は必須となる。底面ヒーターは強めにしておく。夏場は屋外で飼うのも良い。
水浴びを好むため全身が浸かれる水浴び場を用意する。これは飲み水にもなるため常に清潔な水を用意してやる。
推奨される飼育環境
60~90センチの水槽で単独飼育(複数同居させる場合はそれ以上のサイズの水槽が必要。)
紫外線ライト・バスキングライトや保温球を併用してホットスポットは30~40度
クールゾーンでも最低25~28度は維持したい。
多湿を好むためまめに霧吹きをしてやる。加湿器が用意してやれるならそれも良い。
底面ヒーターは必須。
床材は保湿性の高いものを選ぶ。誤飲しないように粗目のヤシガラに ミズゴケを併用してやっても良い。
バスキングストーン、隠れ家のシェルターを用意する。シェルターは園芸用のヤシガラポットなどでもよい。
ただしシェルターがあると引きこもりになりライトを浴びなかったりエサを全く食べなくなったりして弱る個体もいる。その場合はシェルターは撤去する。
導入当初立ち上げの際は少し高めの温度湿度で対応し活性をあげるとよい。