概要
5つに分かれた次元、アラーラを舞台としたエキスパンション:アラーラの断片ブロックで初登場
断片の一つバントに所属するヴァレロン国の女騎士。神送りと呼ばれる名剣を手に圧倒的な戦闘技術と謙虚さを持ち、それに加え、白のマナによる強力な集団と防衛の魔法を操ることも可能。
反面、幼少時のトラウマに苦しむ精神的脆さを持つ。
彼女もまたプレインズウォーカーであり、元々はファイレクシアに支配された次元(2020年現在、名称不明)から旅立ち様々な次元を渡り歩いた末にバントにたどり着いたという過去を持つ。(神送りもその際に訪れたテーロス次元で手に入れたもの)
旧世代ほどではないといえ、様々な超人的力をもつものの、それを隠して「普通の人間」であろうとするのだが、生真面目さが災いして負い目を作ってしまうことも多い。
ニコル・ボーラスの策でバント含むアラーラの断片5つが融合され大戦乱が起こるものの、アジャニの活躍でボーラスは撤退を余儀なくされる。
しかし、穢れ無きバントで無くなった悲しみから一人アラーラ次元を去ることになる。
ミラディンの傷跡ブロックでの活躍
その後はドミナリア次元で剣闘士として戦いを続ける中、対戦相手の腕に忌まわしきファイレクシアのシンボルを見つける。その人物の名はコス、金属世界ミラディン次元からやってきたプレインズウォーカーであり、彼の故郷が復活したファイレクシアの侵攻を受けており対抗するための協力者を探しているのだった。エルズペスとコス・そして 次元航行船の研究者ヴェンセールの3人はミラディンへプレインズウォークする。
ファイレクシアに対抗するため、ミラディン次元を作り出した銀のゴーレム カーンを探し出す。しかしカーンはファイレクシアの油に汚染され、新たなるファイレクシアの機械の父として「完成」する寸前であった。そのことを見抜いたヴェンセールは自らの命とプレインズウォーカーの灯を捧げカーンをプレインズウォーカーとして再生させる。しかしカーンの力をもってしてもファイレクシアの侵攻を止めることが出来ずカーンは対抗策を探しに一人ミラディンを去る。ミラディン人たちの抵抗軍も直に四散状態、コスは法務官達が集結している玉座の間の真下の部屋で呪文爆弾を起爆させて行方不明。危ないところをプレインズウォークして脱出する。
エルズペスにとってミラディンでの日々は消したりたい程に辛い物であり、自身の理解者であるアジャニに宛てた手紙を渡すことなく瓶に入れて沼へと沈めるほどであった。
テーロスブロックでの活躍
あるときテーロス次元の都市国家メレティスに住む太陽の神ヘリオッドに仕える神託者ダクソスはお告げを受けた。鍛冶の神パーフォロスが造った剣を持つ娘が現れた。お前は我が勇者となるその娘の助けとなれと。
その少女こそダクソスが幼いころ出会った謎の少女でありエルズペス。彼女は神々の守るこの次元で平穏に暮らす為、再びこの地に再訪したのだった。だがダクソスと再開したそのときに遭遇したハイドラを二人で協力して討伐したことで英雄を求める神ヘリオッドの注意を引くこととなり、彼女の剣はヘリオッドの手によって“神送り”と呼ばれる槍へと作り変えられ太陽の勇者に任命されてしまう。
エルズペスはメレティスで数ヶ月を過ごし、ダクソスとの仲を深めていた。だがその幸せな日々は、都市国家アクロスがミノタウルスの軍勢に包囲されているという知らせによって突如破られた。ダクソスとエルズペス、そしてメレティス軍とセテッサ軍はアクロスへ向かった。謎の助言者の作戦もあって魔法で川を氾濫させてミノタウルスを押し流すべく、アクロス王妃サイミーディと行動を共にした。最終的にサイミーディがその身を嵐の神ケラノスに捧げることで、彼らは勝利を収めた。
だがそれらはすべて謎の助言者の正体であるゼナゴスの計画のうちだった。彼らによる神に感謝を捧げ勝利を祝う宴は、ゼナゴスを神の座に昇らせる儀式となった。エルズペスの武器と英雄の地位に嫉妬したゼナゴスは、魔法で彼女に 怪物の幻覚を見せる。必死に戦い、心臓を突き刺し、そして――正気を取り戻したエルズペスが見たのは、喉を貫かれて動かなくなったダクソスと、血塗れの自分の手だった。
そのことによってゼナゴスの儀式は完成し神となった。この儀式の副作用によって定命の者の世界とニクスの境界は揺らぎ、テーロス全土は大きな混乱に陥るという事態になる。勇者であったはずのエルズペスはヘリオッドよりその責任を問われて荒野に追放されることになる。
その彼女に手を差し伸べたのはブリマーズ王率いる猫科の亜人種レオニンたち、彼らと共に現れたのは友であり同じくプレインズウォーカーであるアジャニであった。彼はエルズペスの力になろうと親交のあるブリマーズ王の協力のもとエルズペスを捜索していたのだった。
ダクソスの死の仇を討ち、ゼナゴスを破壊する決意を固めたエルズペスはアジャニと共に神々の住まう世界“ニクス”へ向かうため、神々の怒りで世界が荒れる中、海を渡って世界の果ての瀑布にある神殿を目指した。途中、神話に登場する船乗りカラフィを名乗る謎のマーフォークに船を案内され、海の神、タッサの波で神殿に押し流されついにニクスへの門であり最も古い神クルフィックスの元にたどり着く。
しかしニクスに到達するにはエルズペスは神々の一柱を選んで試練を受け、それを達成しなくてはならなかった。事前にタッサからは彼女を選ぶように助言されていた、がエルズペスはエレボスの試練を選ぶ。
すると世界が変わり平和な故郷と愛する家庭を持ち平和な世界で暮らす自分がいた。彼女は永遠の平穏を得ることができる・・・しかしそれは死者の神が見せる幻視だった。エルズペスはそれを振り払ったことですると世界が引き裂かれるように、彼女はニクスへと戻ってきた。
ニクスに入るやいなや彼女らは、ゼナゴスが天界の生物達を燃え立つ苦痛の中に捕えている様子を見た。アジャニとエルズペスはそれらを解き放とうとし、歓楽の神はその攻撃を放った。エルズペスはゼナゴスを殺そうと奮闘し、定命の物であった最後の名残・脈打つ心臓へと狙いを定め、神が鋳造した武器を突き刺した。歓楽の神はもはやなく、ゼナゴスは地上へと転落した。
そして、エルズペスがタッサではなくエレボスの名を呼び、試練を求めたのは、死の神への願いがあるためであった。“自身の命と引き換えにダクソスをよみがえらせてほしい”という願いの為・・・
満身創痍のエルズペスとアジャニは、ニクスを脱出しようとしていたが、そこに主神ヘリオッドが現れる。彼女は剣を返したが、神は彼女にその剣を突き立てた。・・・ヘリオッドはアジャニに言った。彼女を定命の世界へ還せ。彼女が死者の神、エレボスのものとなれるように。ニクスで死すれば、魂すらも消え去り死の国に行くことは叶わぬ、と。アジャニはブリマーズ王のレオニン達に保護されたが、傷ついたエルズペスは神々の神殿の傍に一人きりで、最期の時を迎えた。
テーロス世界への愛に、自分自身を守る力を持たない無辜の人々への愛にその身を捧げ神々の怒りを鎮めた彼女は最愛の人ダクソスと共に過ごした幸せだった日々を思い描きながら・・・
公式動画
[Trailer]『テーロス』ブロック(完全版)
その後、ダクソスは戻ってきた。
しかし体は灰色で金の仮面をかぶり、生前の記憶を死の国へと置いてきた存在:蘇りし者として。
せめて死の国に向かったエルズペスがその事実を知らないのを願うのみ・・・
テーロス還魂記での活躍
エルズペスは、死の国でも斃れし英雄が住まう安息の地、イリーシアにて永遠の安らぎを得るはずだった。だがそうではなく、悪夢の魔道士、アショクの見せる悪夢に絶えず苛まれた。その中で彼女はヘリオッドの槍クルソーを振るっていた。悪夢が過ぎ去っても、その槍は歪んだ姿で、闇と力を滴らせてそこにあった。
一方、ヘリオッドは自らの不死性の脆さを熟考していた。万神殿におけるこの地位は、誰にも手に入れさせはしない――他の神々にも。そのために、彼は神託者ダクソスの魂を引き抜き、定命の世界における自身の勇者へと作り変えた。今や亜神となったダクソスは、大都市メレティスにおける他の神々の痕跡を完全に消し去るよう命じられた。
そのような侮辱を被ることは我慢ならず、他の神々も自らの勇者を死の国より召喚し、そして神々の戦が勃発。その結果、死の国に裂け目が形成され、無数の怪物が溢れ出た。死の国の神エレボスはこの争いによって疲弊していた。彼はヘリオッドを憎み、自らの手中にある魂を確固として留めておく義務を放棄した。
その知らせはエルズペスにも伝わり、彼女は影の槍を握り締め、エレボスの宮殿の秘密の出口を目指した
その頃、ゼナゴスにのっとられた万神殿の本当の主であり運命の神クローティスは無数の魂があろうことか運命に逆らって死からの逆行を試みると知り激怒した。そのため運命の工作員を夥しい数で送り出し、新たな生を求める魂を止めようとした。そのうちの一人ケイリクスはプレインズウォーカーを捕えるために最高傑作として創造された。
彼女はまた何度となくケイリクスと激突し、必ず勝利した。どうあろうと彼女は熟練の戦士であり、一方彼は創造されたばかりだった。だが戦いを経るごとに、ケイリクスは少しずつ上達していった――自らと、敵を学んでいったのだ。それでも、出口に到達するとエルズペスは今一度ケイリクスを打ち倒した。そこでは、ヘリオッドが彼女を待ち構えていた。
理性を捨ててヘリオッドはエルズペスの前に立ちふさがり、死の国からの脱出をはねつけた。彼はその槍クルソーを手にエルズペスへと突撃し……それは即座に、神の手の内にて砕けた。
この影の槍こそ真のクルソー、そうエルズペスが繰り返す毎に、それを見た魂は彼女を信じた。その信念の力は、信心の力は、彼女の嘘を率直に真実へと変えたのだった。
そして定命の世界へ帰還したエルズベスはダクソスと束の間の再会を果たすと、エルズペスはプレインズウォークにて去った。多元宇宙における自らの役割は終わっていないとして・・・
ゲームでの性能
トークン生成能力を備えた優秀なものが多く、様々なデッキで結果を出している。
遍歴の騎士、エルズペス
マナコスト | (2)(白)(白) |
---|---|
カードタイプ | プレインズウォーカー — エルズペス |
初期忠誠度 | 4 |
能力 | [+1]:白の1/1の兵士クリーチャー・トークンを1体生成する。 |
[+1]:クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+3/+3の修整を受けるとともに飛行を得る。 | |
[-8]:あなたは「あなたがコントロールするアーティファクトとクリーチャーとエンチャントと土地は破壊不能を持つ。」を持つ紋章を得る。 |
アラーラ・ブロックでの初カード化したもの。一つ目の能力で小さいながらも守りにも攻めにも使えるトークンを生み出し、二つ目の能力で大幅なクリーチャー強化が可能。プレインズウォーカーの能力はどれか一つを自分のターンにのみしか使えないもの、先の2つとも忠誠度を増やしながら行うことが可能。そのため遍歴の騎士、エルズペスをコントロールするプレーヤの守りは堅く、使っていると地味だが使われると嫌なカードとして様々な局面で活躍した。
エルズペス・ティレル
マナコスト | (3)(白)(白) |
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カードタイプ | プレインズウォーカー — エルズペス |
初期忠誠度 | 4 |
能力 | [+2]:あなたはあなたがコントロールするクリーチャー1体につき1点のライフを得る。 |
[-2]:白の1/1の兵士クリーチャー・トークンを3体生成する。 | |
[-5]:土地とトークンを除く他のすべてのパーマネントを破壊する。 |
ミラディンの傷跡で再登場したエルズペス。
トークン生成できる数は増えたが忠誠度は下がるようになってしまった。それにより前ほどの汎用性は無い。登場時の活躍こそパッとしなかったものの、スタンダードがローテーションし[ゼンディカー・ブロック+ミラディンの傷跡ブロック]から[ミラディンの傷跡ブロック+ イニストラードブロック]に移り変わりクリーチャー・トークン限定の全体強化エンチャントカード『無形の美徳』といったトークン戦術向きカードが多数登場。そのため、複数トークン生成できるPWとしてそれらのデッキを支えることになる。
太陽の勇者、エルズペス
マナコスト | (4)(白)(白) |
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カードタイプ | プレインズウォーカー — エルズペス |
初期忠誠度 | 4 |
能力 | [+1]:白の1/1の兵士クリーチャー・トークンを3体生成する。 |
[-3]:パワーが4以上のクリーチャーをすべて破壊する。 | |
[-7]:あなたは「あなたがコントロールするクリーチャーは+2/+2の修整を受けるとともに飛行を持つ。」を持つ紋章を得る。 |
テーロス・ブロックにて勇者となった姿で登場。6マナと歴代で一番コストが重いものの、2枚目とは逆に忠誠度を貯めながらトークンを3体生成可能。また[-3]能力は生成したトークンを巻き込まずに邪魔な大型クリーチャーを根こそぎ蹴散らせる。マナコストこそ高いためデッキは選ぶものの、それに見合った高い盤面制圧力を持つ強力なプレインズウォーカーである。
不屈の英雄、エルズペス
マナコスト | (2)(白)(白)(白) |
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カードタイプ | 伝説のプレインズウォーカー — エルズペス |
初期忠誠度 | 5 |
能力 | [+2]:クリーチャー最大2体を対象とし、それらに+1/+1カウンターをそれぞれ1個置く。 |
[-2]:あなたのライブラリーや墓地から、《栄光の重装歩兵》という名前のカードを1枚探し、それを戦場に出す。これによりあなたがあなたのライブラリーを探したなら、あなたのライブラリーを切り直す。 | |
[-8]:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは飛行を得て+X/+Xの修整を受ける。Xは、あなたの白への信心に等しい。 |
プレインズウォーカーデッキ版のエルズペス。
後述する通常エキスパンションのものと比べると地味だが
5マナとやや重いものの、[-8]能力解決時に自身の忠誠度が残っていれば最低でも全体+3/+3で飛行付与と、エンドカードとして十分な素質を持つのでワンチャンはある。
太陽の宿敵、エルズペス
マナコスト | (2)(白)(白) |
---|---|
カードタイプ | 伝説のプレインズウォーカー — エルズペス |
初期忠誠度 | 5 |
能力 | [-1]:あなたがコントロールしているクリーチャー最大2体を対象とする。ターン終了時まで、それらはそれぞれ+2/+1の修整を受ける。 |
[-2]:白の1/1の人間・兵士クリーチャー・トークンを2体生成する。 | |
[-3]:あなたは5点のライフを得る。 | |
脱出 ― (4)(白)(白),あなたの墓地から他のカード4枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。) |
テーロス還魂記にて神話レアで収録されたエルズベスのカード。
忠誠度能力は全てが-能力であり忠誠度の上げ下げで戦場に存在し続けることが不可能だが、条件付きで墓地から唱えられる変則的なPWカード。とはいえ、トークンで自身を守れ、脱出で更なるアドバンテージを生産できる。もちろん、脱出は息切れ防止にも有効。
相性の良いデッキはクリーチャー強化能力を活かしやすい軽量ビートダウンや系統のデッキか、もしくは全体除去→トークン生成→強化して6点ダメージを産み出せることを活かしたコントロール系、いずれにしても白が得意とする戦略に合致している。
関連タグ
アジャニ(友人)