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カルタゴ滅ぶべし
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カルタゴ滅ぶべし

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かるたごほろぶべし

ラテン語の成句で、現在ではネットミームとしても使われる。ともあれ、カルタゴは滅ぼされるべきである。

" cēterum autem cēnseō Carthāginem esse dēlendam "

ともあれ、カルタゴは滅ぼされるべきと考える。

概要

カルタゴ滅ぶべし」( Carthāgō dēlenda est :カルターゴー・デーレンダ・エスト)はラテン語の成句。

古代ローマの栄えた紀元前の時代、アフリカ大陸北岸、現在のチュニジアの地に本拠地を構えた国家カルタゴは商業に長け、地中海沿岸に広く商圏を延ばして対岸のローマ共和国とライバル関係にあった。

また軍事面においても「カルタゴの雷光」と讃えられた名将ハンニバル・バルカの活躍など、ローマにとって多大な脅威であった。

紀元前2世紀のローマの政治家マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(通称「大カトー」)は、カルタゴの脅威を完全に取り除く必要があると考え、元老院の演説にて「カルタゴ滅ぶべし」と主張したと伝わる。

また議題がカルタゴとは無関係の時ですら、発言の〆として「ともあれ、カルタゴは滅ぼされるべきと考える。」と付け加え、議員の間にカルタゴの脅威の認識を広めようと努めたのだという。

ただし大カトーの発言だとはされているが、信憑性の高い同時代史料には見られず、プリニウス『博物誌』など後世の編纂物に記録されて、そこから広まった成句である。

発言の経緯

第一・二次ポエニ戦争

古代ローマカルタゴは歴史上3度にわたり大きな戦争を繰り広げている(ポエニ戦争)。

第一次ポエニ戦争は、ローマとカルタゴの中間、地中海上に浮かぶシチリア島の領有をめぐる海戦を中心とした戦争で、ローマが勝利しシチリア島の大部分を掌握することに成功した。

続く第二次ポエニ戦争では、カルタゴの将軍ハンニバル・バルカイベリア半島からガリア(現フランス)南部へと大きく回り込んで陸路で軍を進め、さらには兵力に大きな損害を出しつつもアルプス山脈越えを果たす。

「我らローマは、背後をアルプスという天然の城壁に守られている。少数ならいざ知らず、アルプスを越えて大軍をローマへ送り込むことなど、どんな軍勢にも不可能だ」と、高をくくっていたローマの背後を突くことに成功し、カンナエの戦い(「カンネー」とも表記)ではローマ軍を包囲戦術で打ち破り大損害を与えた

この状況でローマ軍は、海路ハンニバル不在のカルタゴ本国へ攻め込む。

ハンニバルは帰国を余儀なくされ、カルタゴ近郊のザマの戦いにて両軍の決戦となったが、ローマの将軍スキピオ・アフリカヌスがカンナエの意趣返しとばかりに包囲戦術でカルタゴ軍を大敗させ、ここに第二次ポエニ戦争はローマ勝利に終わった。

終戦条約とカルタゴ復興

第二次ポエニ戦争でカルタゴが承諾させられた終戦条約は「50年賦の莫大な賠償金」「ヨーロッパ大陸側の全カルタゴ領の放棄」「軍船を10隻に制限し戦象の所持も認めない」「以後カルタゴはローマの許可なく戦争を行わない」等の厳しい内容だった。

だが、カルタゴが長年にわたり蓄積した商業力は未だ健在である。

戦後、政治家に転身したハンニバルはカルタゴの復興と国内改革を推し進め、カルタゴは賠償金の支払いを前倒しで完済する勢いであった

大カトーの「滅ぶべし」主張

大カトーの発言は、このような時期におけるものだと伝えられる。ローマの元老院にて、大カトーは演壇にカルタゴ特産のイチジクの実を持ち込み、主張したという。

このみずみずしいイチジクをご覧いただきたい。我らローマからたった海路3日の距離に、このような見事な特産品を生産する国があるのだ。彼らはその経済力をもって、再び我らの脅威となるであろう。そのような事態となる前に、カルタゴ滅ぶべし

この演説が直接のきっかけで第三次ポエニ戦争が始まるわけではない。しかし、大カトーはその後もカルタゴに無関係の議題の時でさえ、自身の発言の最後には「それにつけてもカルタゴは滅ぼされるべきである」と付け加え、議員たちにカルタゴへの警戒感を示し続けたという。

一方、大カトーの政敵スキピオ・ナシカ・コルクルム(将軍スキピオ・アフリカヌスの娘婿)は、カルタゴは確かに脅威だが、そのような存在をローマが失えば、緊張感を失い腐敗の一途を辿るだろうと考え、「それにつけてもカルタゴは存続させるべきである」と言い返していたという。

カルタゴ滅亡

一方、商業的には繁栄を取り戻していたものの既に軍事力では小国に過ぎなくなっていたカルタゴは、隣国のヌミディア王国(現在のアルジェリア付近)の侵入と略奪に悩まされていた。

カルタゴがヌミディアに対して反撃を行ったことが、第2次ポエニ戦争の終戦条約における「カルタゴはローマの許可なく戦争を行わない」への違反とみなされ、ローマの大軍が派兵された。

第三次ポエニ戦争の始まりである。

ハンニバルもとうに亡く、当時のカルタゴにもはやローマに抵抗するだけの軍事力は残っていなかった。紀元前146年、カルタゴ陥落・滅亡

市街は幾日も燃え続け、建物はローマ兵により徹底的に破壊され、50000人もの敗残兵や市民が奴隷として売り飛ばされたといわれる。また、二度とカルタゴの地が農地としてすら蘇らぬよう、ローマ軍によりが撒かれたという伝説もあるが、考古学的調査でそのような痕跡は見つかっておらず、この部分は後世の創作らしい。

ネットミーム化

以上が「カルタゴ滅ぶべし」についての歴史的経緯と伝承である。

が、現代では大カトーの故事にちなんでか、取りあえず話の間をおいたり場を和ませたりする程度の感覚で「とりあえずカルタゴは滅べ」的に言及され、カルタゴの命運は花京院の魂並に軽く扱われている。

A「なんだと!」B「やんのか?」

C「…まあとりあえずカルタゴは滅ぶべきである」 A&B「「それは完全に同意」」

カルタゴは2000年以上昔に滅びた国家かつ、現在のチュニジアと民族的繋がりもほぼなく(カルタゴはフェニキア人の築いた国である一方、現チュニジアはアラブ人中心の国家)、カルタゴの遺跡は今や文化遺産・観光名所にすぎない。滅べ滅べと言ったところでヘイトスピーチ云々等を考慮しなくていいのも、使い勝手のよさの一端だろう。

カルタゴに限らず、ヤード・ポンド法だったり、ニンジャだったり、跡形も残さず消滅させるべきであると主張されるいろんなものが「◯◯滅ぶべし」とネット上では言及されている。

また2020年稲作をテーマとしたゲームソフト『天穂のサクナヒメ』がヒットした際、殺虫や病害対策を狙って水田に塩を過剰に撒いた結果、塩害を引き起こして稲をまとめてダメにしてしまうプレイヤーが続出し、その失敗農法はカルタゴ農法と通称された。

関連項目

カルタゴ 古代ローマ チュニジア 滅亡

ハンニバル・バルカ スキピオ・アフリカヌス イチジク

カルタゴ農法:上記の通り、ゲーム『天穂のサクナヒメ』における失敗農法の通称。

SCP-2513:「カルタゴ滅ぶべし」をモチーフにしたSCPオブジェクト

THE_PINBALLS:日本のロックバンド。そのまま「カルタゴ滅ぶべし」という楽曲がある。

" cēterum autem cēnseō Carthāginem esse dēlendam "

ともあれ、カルタゴは滅ぼされるべきと考える。

概要

カルタゴ滅ぶべし」( Carthāgō dēlenda est :カルターゴー・デーレンダ・エスト)はラテン語の成句。

古代ローマの栄えた紀元前の時代、アフリカ大陸北岸、現在のチュニジアの地に本拠地を構えた国家カルタゴは商業に長け、地中海沿岸に広く商圏を延ばして対岸のローマ共和国とライバル関係にあった。

また軍事面においても「カルタゴの雷光」と讃えられた名将ハンニバル・バルカの活躍など、ローマにとって多大な脅威であった。

紀元前2世紀のローマの政治家マルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(通称「大カトー」)は、カルタゴの脅威を完全に取り除く必要があると考え、元老院の演説にて「カルタゴ滅ぶべし」と主張したと伝わる。

また議題がカルタゴとは無関係の時ですら、発言の〆として「ともあれ、カルタゴは滅ぼされるべきと考える。」と付け加え、議員の間にカルタゴの脅威の認識を広めようと努めたのだという。

ただし大カトーの発言だとはされているが、信憑性の高い同時代史料には見られず、プリニウス『博物誌』など後世の編纂物に記録されて、そこから広まった成句である。

発言の経緯

第一・二次ポエニ戦争

古代ローマカルタゴは歴史上3度にわたり大きな戦争を繰り広げている(ポエニ戦争)。

第一次ポエニ戦争は、ローマとカルタゴの中間、地中海上に浮かぶシチリア島の領有をめぐる海戦を中心とした戦争で、ローマが勝利しシチリア島の大部分を掌握することに成功した。

続く第二次ポエニ戦争では、カルタゴの将軍ハンニバル・バルカイベリア半島からガリア(現フランス)南部へと大きく回り込んで陸路で軍を進め、さらには兵力に大きな損害を出しつつもアルプス山脈越えを果たす。

「我らローマは、背後をアルプスという天然の城壁に守られている。少数ならいざ知らず、アルプスを越えて大軍をローマへ送り込むことなど、どんな軍勢にも不可能だ」と、高をくくっていたローマの背後を突くことに成功し、カンナエの戦い(「カンネー」とも表記)ではローマ軍を包囲戦術で打ち破り大損害を与えた

この状況でローマ軍は、海路ハンニバル不在のカルタゴ本国へ攻め込む。

ハンニバルは帰国を余儀なくされ、カルタゴ近郊のザマの戦いにて両軍の決戦となったが、ローマの将軍スキピオ・アフリカヌスがカンナエの意趣返しとばかりに包囲戦術でカルタゴ軍を大敗させ、ここに第二次ポエニ戦争はローマ勝利に終わった。

終戦条約とカルタゴ復興

第二次ポエニ戦争でカルタゴが承諾させられた終戦条約は「50年賦の莫大な賠償金」「ヨーロッパ大陸側の全カルタゴ領の放棄」「軍船を10隻に制限し戦象の所持も認めない」「以後カルタゴはローマの許可なく戦争を行わない」等の厳しい内容だった。

だが、カルタゴが長年にわたり蓄積した商業力は未だ健在である。

戦後、政治家に転身したハンニバルはカルタゴの復興と国内改革を推し進め、カルタゴは賠償金の支払いを前倒しで完済する勢いであった

大カトーの「滅ぶべし」主張

大カトーの発言は、このような時期におけるものだと伝えられる。ローマの元老院にて、大カトーは演壇にカルタゴ特産のイチジクの実を持ち込み、主張したという。

このみずみずしいイチジクをご覧いただきたい。我らローマからたった海路3日の距離に、このような見事な特産品を生産する国があるのだ。彼らはその経済力をもって、再び我らの脅威となるであろう。そのような事態となる前に、カルタゴ滅ぶべし

この演説が直接のきっかけで第三次ポエニ戦争が始まるわけではない。しかし、大カトーはその後もカルタゴに無関係の議題の時でさえ、自身の発言の最後には「それにつけてもカルタゴは滅ぼされるべきである」と付け加え、議員たちにカルタゴへの警戒感を示し続けたという。

一方、大カトーの政敵スキピオ・ナシカ・コルクルム(将軍スキピオ・アフリカヌスの娘婿)は、カルタゴは確かに脅威だが、そのような存在をローマが失えば、緊張感を失い腐敗の一途を辿るだろうと考え、「それにつけてもカルタゴは存続させるべきである」と言い返していたという。

カルタゴ滅亡

一方、商業的には繁栄を取り戻していたものの既に軍事力では小国に過ぎなくなっていたカルタゴは、隣国のヌミディア王国(現在のアルジェリア付近)の侵入と略奪に悩まされていた。

カルタゴがヌミディアに対して反撃を行ったことが、第2次ポエニ戦争の終戦条約における「カルタゴはローマの許可なく戦争を行わない」への違反とみなされ、ローマの大軍が派兵された。

第三次ポエニ戦争の始まりである。

ハンニバルもとうに亡く、当時のカルタゴにもはやローマに抵抗するだけの軍事力は残っていなかった。紀元前146年、カルタゴ陥落・滅亡

市街は幾日も燃え続け、建物はローマ兵により徹底的に破壊され、50000人もの敗残兵や市民が奴隷として売り飛ばされたといわれる。また、二度とカルタゴの地が農地としてすら蘇らぬよう、ローマ軍によりが撒かれたという伝説もあるが、考古学的調査でそのような痕跡は見つかっておらず、この部分は後世の創作らしい。

ネットミーム化

以上が「カルタゴ滅ぶべし」についての歴史的経緯と伝承である。

が、現代では大カトーの故事にちなんでか、取りあえず話の間をおいたり場を和ませたりする程度の感覚で「とりあえずカルタゴは滅べ」的に言及され、カルタゴの命運は花京院の魂並に軽く扱われている。

A「なんだと!」B「やんのか?」

C「…まあとりあえずカルタゴは滅ぶべきである」 A&B「「それは完全に同意」」

カルタゴは2000年以上昔に滅びた国家かつ、現在のチュニジアと民族的繋がりもほぼなく(カルタゴはフェニキア人の築いた国である一方、現チュニジアはアラブ人中心の国家)、カルタゴの遺跡は今や文化遺産・観光名所にすぎない。滅べ滅べと言ったところでヘイトスピーチ云々等を考慮しなくていいのも、使い勝手のよさの一端だろう。

カルタゴに限らず、ヤード・ポンド法だったり、ニンジャだったり、跡形も残さず消滅させるべきであると主張されるいろんなものが「◯◯滅ぶべし」とネット上では言及されている。

また2020年稲作をテーマとしたゲームソフト『天穂のサクナヒメ』がヒットした際、殺虫や病害対策を狙って水田に塩を過剰に撒いた結果、塩害を引き起こして稲をまとめてダメにしてしまうプレイヤーが続出し、その失敗農法はカルタゴ農法と通称された。

関連項目

カルタゴ 古代ローマ チュニジア 滅亡

ハンニバル・バルカ スキピオ・アフリカヌス イチジク

カルタゴ農法:上記の通り、ゲーム『天穂のサクナヒメ』における失敗農法の通称。

SCP-2513:「カルタゴ滅ぶべし」をモチーフにしたSCPオブジェクト

THE_PINBALLS:日本のロックバンド。そのまま「カルタゴ滅ぶべし」という楽曲がある。

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