解説
齢300歳の『九頭獣(ナインテール)』という超希少種族。茶褐色の陰影をもつ黒髪と、金色の目をした狐の亜人の美少女。
廓言葉を話すはんなりとした雰囲気を漂わせる一方で、狐らしい狡猾さとプライドの高い一面を持っている。
実直な性格である同僚のアピトとは性格的に反りが合わず、度々衝突している。しかしアピトと相性が悪い事も内心で感じており、気に食わないなりにお互いを認め合う仲でもある。
Web版では『帝国侵攻編』より登場。書籍版ではかなり前倒しに『魔王誕生編』より登場。
Web版では帝国編になって急遽登場したため、前歴については曖昧な所が多かった。
その後、書籍版になるにつけ、魔国連邦に来た経緯を大きく変更する形で登場した。
プロフィール
EP | 189万9944 |
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種族 | 九頭獣→天星九獣(ナインヘッド) |
所属 | 妖魔郷→傀儡国ジスターヴ→魔国連邦 |
固有能力 | 『尾獣』→『八部衆』、『重力支配』(※後に『幻獣之王』に統合) |
究極贈与 | 『幻獣之王』【思考加速,万能感知,魔王覇気,重力支配,空間支配,多重結界】 |
称号 | 里長の娘→五本指『母指のクマラ』→『迷宮十傑』90層担当、聖魔十二守護王『幻獣王(キメラロード)』 |
CV | 鈴代紗弓 |
経歴
元は『東の帝国』の周辺に存在した『妖魔郷』という、人ならざる者達の隠れ里に生まれた。
しかし妖魔郷に集まる魔物達は実力者が多く、その存在を危惧した東の帝国から侵攻を受ける。
戦いは、両者に多くの被害を出しながらも帝国側が勝利し、里は帝国によって壊滅。幼い彼女は超希少種とされた『九頭獣』だったため帝国に捕らえられ、その情報を得たクレイマンによって引き取られて、彼の配下となった。
クレイマンに故郷が帝国の都合で滅ぼされた事を知ると、その憎悪を糧に力をつけ、クレイマンの幹部『五本指』の『母指』に拝命されるまでになった。同時に裏切らないよう『支配の呪法(デモン・ドミネイト)』をその身に刻まれ、自分の意思に関係なく使役されてしまう。
この頃は、まだ力も格も足りずに人間へは変化できず、「尻尾の多い狐の幻獣」そのままの姿だった。
大きさも普段は飼い猫ほどで、クレイマンの腕の中に収まる程度。戦闘時には巨大化して三尾の妖狐となる。
その後、クレイマンが『魔王達の宴(ワルプルギス)』でリムル=テンペストを破滅させようとした折に、従者の一人として『魔王達の宴』に参列する。
しかし、リムルの徹底したクレイマン対策に加え、論戦で拉致の明かなくなった様子を見た魔王ギィ・クリムゾンの『力こそ正義』の方針で、従者を含めての対決に持ち込まれた。
彼女は呪法でランガと対戦させられるが、覚醒魔王の加護を得ているランガには全く歯が立たず、クレイマンの呪法に対する抵抗も相まって、弱り果ててダウンしてしまう。
それを見たランガがリムルに彼女を診せ、クレイマンの呪法がかかっていると知ると、それを解いてやった。
クレイマンが破滅した後は、リムルに引き取られてしばらくはランガの世話になりつつ、里の人々との触れ合いから、生来の明るい性格を取り戻していく。
その恩義からクマラはリムルに従臣することを決意し、彼から『クマラ(九魔羅)』と命名され、尾の数を9本まで増やす。
それからは地下迷宮の運営に当たって、ランガから迷宮の階層主(フロアボス)への就任を推薦されてそれを快諾。アピトと反目しながらも、切磋琢磨する日々を送る。
しばらくして、めきめきと頭角を現すが、今度は尾が独立した意思を持つようになり分裂し、クマラ本人は幼女の姿になって魔素量まで激減してしまう。
だが、リムルはそれを逆手にとってイングラシア王国の学園に通わせ、彼女をクロエ・オベールを始め自身が担任する学園の子供と一緒に、再教育する事を決めた。
ここからしばらくは、迷宮の階層主をこなしつつイングラシア学園に通う日々を送る事で、幼女から少女へと成長しながら、更なる実力を培っていく事になる。
この幸福な日々がクマラにより強い力を授けた事で、遂に『迷宮十傑』の一人として名を連ねるまでに成長し、容姿も「傾国の美女」と評される程の妖艶な姿へと変化した。
それから、『帝国侵攻編』にて東の帝国との決戦に当たり、迷宮の攻防でかつて自分の故郷を滅ぼした怨敵カンザスを発見し、宿命の対決へと発展。
カンザスは固有能力『略奪者』によって、クラマの母と彼女の尾の分身を召喚して攻撃を仕掛けてくる。この卑劣な手段に一時は苦戦を強いられるものの、魔王種に匹敵する母の5本の尾を既に凌駕したクマラは、8本の尾を全て呼び戻し、『九尾連斬』を繰り出してカンザスとの因縁に決着をつけた。
『竜魔激突編』にて、天界との戦争に備えてシエルがギィからネコババした120万の魂の内、10万の魂をリムルから授けられ、覚醒魔王化の栄誉と『幻獣王(キメラロード)』の称号を与えられ、聖魔十二守護王の一人となる。
更に、リムルにおねだりして8つの尾の分身全員に名前を呼んでもらう事で、分身達全員を強化するというとんでもない裏技を敢行して力を増強させた。
人物
明るく人当たりの好いムードメーカー。
魔国連邦(テンペスト)に来た当初は、故郷を滅ぼされた憎しみとクレイマンに虐げられてきた疲弊から、心身共に弱っていたものの、ランガの世話によって徐々に元の明るい性質を取り戻していく。
魔国連邦の善き人々との触れ合いと、イングラシアでの子供たちとの学びの日々から、彼女自身も人間的に成長を遂げていく。
一方で狐らしくずる賢い一面もあり、特にリムルにおねだりをする時は、わざわざ幼女の姿に戻って上目遣いをするという、あざとい手段を間髪入れず実行している。
同時に嫉妬深くかなりの負けず嫌いで、戦闘・性格共に相性の悪いアピトとは反目し合いながらも、実力を認め合っている。
リムルに対する忠誠心も、ややもとすれば独占欲に近い一面がある。
魔国連邦での穏やかな日々を得てはいるが、その深層で『東の帝国』への憎悪の火種は炯々と灯り、燃え盛る時を待ち望んでいた。
能力
自らの尻尾を本体の1本を遺して分離させ、独立した従魔として戦わせる『尾獣』の能力を持つ。
最終的に白猿、月兎、黒鼠、雷虎、翼蛇、眠羊、炎鳥、犬鏡の8体まで増え、彼らを『八部衆』と命名する。
登場時点で白猿と月兎を既に従えており、クレイマン配下でも、強制覚醒前のクレイマンに匹敵する魔素量を保有する程の実力を秘めていた。これでも妖狐としてはまだまだ半人前で、彼女の母親は魔王種に相当する実力者だったというから末恐ろしい。
ただの仔狐の姿ながら、既にクレイマンに匹敵する時点で相当な逸材だった事が判る。
その気になればクレイマンと刺し違える事も出来たが、先の通りクレイマンに呪法を仕込まれて反逆できない状態になっていたため、ランガとの戦いでは隙を見てランガに思念を送って、救難信号を発した。
リムルの配下となってから、尾獣の操作を更に積み重ね、8体全員が独立した意思で戦えるまでに成長。だがそれが災いし、今度は従魔全員に均等に魔素が分割されて弱体化。
最終的にイングラシアでの再学習を通じて、力のコントロールを身に着け、ようやく能力を完成させた。
更に終盤でリムルに尾獣の名を呼んでもらう事で、尾獣のパワーアップにまで成功。これはガビルがリムルの名付けで、主従を上書きされた現象の応用である。
尾獣を従えた集団戦を得意とするが、九尾状態こそ彼女にとって最大出力を出せる条件であり、この形態で放つ『九尾連斬』を最大の必殺技とする。
リムルに名付けられてからは、強力な重力操作を得意としている。
その力は大地の持つ万有引力にすら逆らえるほど強く、覚醒化された際には『幻獣之王(バハムート)』に統括された。
弱点は戦闘経験の不足。
クレイマン配下の頃は、尾獣にオートで戦闘を任せて自分は重力操作に専念するのがパターンだった。
迷宮入りしてもしばらくはこの手で凌いでいたが、やはりすぐに限界を迎えてしまい、そこからは迷宮の同僚たちにシゴかれ、自主練として尾獣を相手にシミュレーションを重ねるなど、経験値の補完が最大の課題となった。
尾獣や重力支配を用いた搦手を得意とするため、他人を出し抜く事は得意だが、アピトやゼギオンの様にそれを正面突破のゴリ押しで封じてくる手合いは苦手。
特に、迷宮で番人を始めた当初は圧倒的に経験不足だったため、テスターとして地下迷宮に挑戦した坂口日向の相手はクマラではなく、ベレッタが代打を務めた。
最終的には弱点の克服に成功し、Web版の終盤では天使を相手に大立ち回りを演じてみせる。
関連人物
忠誠を誓う現在の主人。クレイマンの呪縛から解き放ってくれたばかりか、あれこれと自分の世話を焼いてくれた大恩人。
そのため彼への忠誠心には、「私が一番可愛がってもらえている」という自負と独占欲が混じっている。
自分を買い取った最初の主。
彼から故郷の顛末を聞かされ、その憎悪で3本の尾を獲得するも、強すぎる力を警戒されて呪術で縛られ、手駒として働かさせる事になる。
『魔王達の宴』で戦った相手であり、リムルと同じく救ってくれた恩人。弱った自分の世話を焼いてくれた事もあり、しばらくは彼の頭の上がお気に入りの場所となった。
迷宮の階層主に推薦してくれたのも彼で、今も善き友人であり続けている。
魔蟲『軍団蜂』の魔人で、同じ地下迷宮の階層主。
実直で好戦的な性格をしており、性格的に反りが合わない。
しかし互いにいがみ合っている訳ではなく、良きライバルとして切磋琢磨している。
アピトの旧知で、迷宮十傑最強の存在。
90層という深部を任されているクマラだが、流石にゼギオンには敵わず、素直に「最強」だと認めている模様。
- 母
クマラ同様に妖狐の魔人で、今は無き妖魔郷の里長。
魔王種に相当する実力者だったが、穏やかな人格者でもあり、妖魔郷を平和な楽園として運営していた。
クマラの尾獣の能力は彼女の血統によるもので、カンザズに支配されて敵対した時には、4体の尾獣による波状攻撃でクマラを追い詰めた。