概要
トンボの一種。名前にオニヤンマと付くが、オニヤンマ科やヤンマ科ではなく、サナエトンボ科に分類される。
日本最大のサナエトンボで、オニヤンマより少し小さい事から小鬼の名が付いた。
和名 | コオニヤンマ |
---|---|
学名 | Sieboldius albardae |
英名 | Small Dragonhunter |
分類 | 蜻蛉目 不均翅亜目 ヤンマ上科 サナエトンボ科 コオニヤンマ亜科 コオニヤンマ属 |
体長 | 8~9cm |
後翅長 | 4.6~6.2cm |
分布域 | 日本(北海道~屋久島)、朝鮮半島、中国、極道ロシア |
オニヤンマとの違い
オニヤンマに似た緑色の複眼と、黄色と黒の縞模様をもつが、左右の複眼が中央で繋がらず、小顔で後脚が長い事で見分けられる。
また、休息時の体勢も異なり、オニヤンマはぶらさがって止まるが、コオニヤンマは腹を水平にして止まる。
生態
成虫は5月~9月頃に見られ、河原の石や枝先に止まった姿がよく見られる。
主に山地から平地の森林内やその周辺を流れる河川で見られるが、行動範囲は広く、時には羽化した水辺から数十km離れた場所まで移動し、湖沼や住宅地に現れる事もある。
メスは単独で水面に腹部を打ち付けて産卵する。
幼虫(ヤゴ)は、比較的水質が良い河川の上流~下流域、用水路などの流れのある環境で水生昆虫や甲殻類、小魚などを捕食して育つ。茶色く平べったい枯葉のような姿をしていて、触角がうちわ状になっていることから、他の種のヤゴとの識別は用意。
幼虫期間は2~4年。
真の日本最強種?
本種は非常に気性が荒く、動くものなら何にでも襲いかかる。
大型の獲物を好んで狩る習性があり、獲物を見つけると音もなく忍び寄り、背後から飛び掛かかって長い後脚で羽交い締めにして拘束、木の枝や石などに降りて捕食する。
- 例:クロアゲハやミヤマカラスアゲハ、ツマグロヒョウモン、アカボシゴマダラなどの蝶、ヤママユやウメエダシャクなどの蛾、アシナガバチ、ジガバチなどの蜂、カミキリムシ、コガネムシなどの甲虫、ヒグラシ、ショウリョウバッタなど。
日本昆虫界最強種の一角であるスズメバチをも狩り、蜘蛛の巣に掛かった虫を蜘蛛から奪い取り、蜘蛛自体を狩る事もある。
コオニヤンマの仲間の英名はDragonhunter(トンボを狩る者)であり、他のトンボも積極的に狩る。
赤とんぼやシオカラトンボ、イトトンボなどがよく狩られているが、時にはギンヤンマやネアカヨシヤンマ、コヤマトンボ、ミヤマカワトンボなどの大型トンボも捕食し、共食いも行う。
なんと、日本最大にして最強のトンボとされるオニヤンマですら餌食になることがある。
また、釣り人のルアーや釣り上げた魚に飛び掛かる様子が確認されており、水面を飛び跳ねた小魚を捕食している可能性すらある。
これらの事例から、オニヤンマではなく、コオニヤンマこそが真の日本最強のトンボとされる事もある。
本種も無敵ではなく、他の大型トンボに返り討ちにされる事もあり、カマキリや鳥にも捕食される。
余談だが、アメリカに分布する近縁種はハチドリを捕食した事例がある。