概要
和名 | トゲナナフシ |
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学名 | Neohirasea japonica |
分類 | 竹節虫目 ナナフシ亜目 ナナフシムシ上科 トビナナフシ科 エダナナフシ亜科 トゲナナフシ族 トゲナナフシ属 |
体長 | 5.7~7.5cm |
分布域 | 日本(関東以南の本州、四国、九州、南西諸島)、中国(広東省、江西省、浙江省、湖南省)、台湾 |
成虫の発生期 | 6~翌1月 |
トゲトゲしくがっしりとした体が特徴のナナフシ。
いかにも強そうだが、トゲは触っても痛くなく毒もない。
捕まえると体を反らして死んだフリをする。
日本国内でトゲを持つナナフシは本種のみなので多種との識別は容易。
中胸の前縁に2本の長いトゲがあるものは別種トゲナナフシモドキとされていたが、現在はトゲナナフシの同物異名(シノニム)とされている。
千葉と埼玉では県の絶滅危惧種に指定されている。
形態
普通のナナフシより少し小型で太く短い体に多数の棘状突起を持ち、中脚と後ろ脚の付け根には白い三角形の模様がある。
触角は体の1/3~1/2程の長さ。
褐色型が大半を占めるが、緑色型や黄色型も存在する。
生態
主に山地の広葉樹林の湿った暗い林床に生息するが、平地や沿岸部にも生息し、市街地でも見られることがある。
擬態能力により見つけることは難しいが、秋には道路上や林縁の手すり、建物の外壁などの目立つ場所に現れる為見かける機会が多くなる。
基本的に樹上性であるナナフシ類では珍しく、あまり木には登らずに地上で活動する。
昼間は岩や石垣の隙間、草木の根元付近などで触角と脚を伸ばしてトゲのある木の枝に擬態して身を隠し、夜間に活動する。
天敵に擬態が見破られ、どうしようもなくなると自切した脚を囮にして逃げるが、動きは鈍くあまり遠くには逃げられない。
自切した脚は幼虫なら脱皮で再生する。
翅はないが灯火に誘引され、ライトトラップや街灯の灯りに歩いて近寄ってくる。
食性は他のナナフシと同じく植物食。
広食性で双子葉類・単子葉類・シダ植物問わずありとあらゆる植物を食べる。
八丈島では国内外来種として大量発生したことがあり、様々な植物を食い荒らす害虫として忌み嫌われていた。
蛾を採集する糖蜜トラップに誘引される為、花の蜜や樹液を舐める可能性もある。
飼育下では昆虫ゼリーも食べる。
秋になると沢沿いや河川敷、側溝、海岸などの水辺に集まる姿がよく目撃されるが、なんの為に集まるのかは不明。
水を飲む姿が観察されている為、ただ単に水を飲みに来ただけなのかもしれないが、繁殖行動などの可能性もあり、飼育下でもよく水を飲む姿が観察される。
基本的にメスだけで単為生殖し、オスはほとんどいない。
卵は地上にばら撒かれ、植物の種子に似る。
卵で越冬し、翌年2月頃に孵化する。
卵は鳥に食べられても一部は消化されずに排出される為、これにより分布域を広げていると考えられている。
主な食草・食樹植物の例
ポトス、モンステラ、ヤシ、アナナス、ゲットウ、ドラセナ、コルジリネ、ヤマイモ、グラジオラス、ガジュマル、ヤツデ、ハイビスカス、キク、レタス、アザミ、ツワブキ、アキノノゲシ、バラ、ノイバラ、キイチゴ、サクラ、ヤナギ、ブナ、ガクアジサイ、ミヤギノハギ、イロハモミジ、シラカシ、オシロイバナ、ヤブツバキ、ユズ、サザンカ、トベラ、レモンリーフ、アズマネザサ、クチナシ、マンゴー、エノキグサ、ヤブカラシ、アシタバ、キヅタ、ミズヒキ、センニンソウ、クサギ、スイカズラなど