概要
非公式扱いである漫画作品『機動戦士ゼータガンダム1/2』において、ティターンズのガンダム開発計画で製造されたガンダムMk-Ⅱのチェイサーとしてグリプスでガンダムの残存部品と現用機の部品を組み合わせて複製された機体。
オリジナルの部品含有率が52%で在った為「ハーフ」ガンダムと呼称される。
「マグネットコーティング改修時のデータを基に、ほぼ同程度に調整してある」と言う触れ込みで、カタログスペックもRX-78のそれに合わせてある。
しかしガンダム自体が旧式化していた上に、複数の機体の部品を継ぎ足して製作されている為か総合性能、及び信頼性はMk-IIに比べて大幅に劣る。
その為作中では「(当時の)最新型のジムの方が遥かにマシ(エドガー談)」、「張り子の虎(バスク談)」と酷評の嵐だがそこは腐っても「ガンダム」。
パイロットの技量次第で現行機をも凌ぐ、運動性能と機動性を発揮出来るポテンシャルを秘めている。
コアブロックシステムは未搭載である。
外観
原型機であるRX-78の容姿を踏襲しているが陸戦型ガンダムの腕、プロトタイプガンダムの足、そしてジムⅡの(コックピットハッチを除く)胴体と、複数のMSの外見的特徴を備えている。
センサー類には現行の物を使用しているのか、黄色では無く緑の瞳と為っている。
ビームライフルは、ガンダムMk-Ⅱと同じものを使用している。
活躍
エドガー・エドモンド・スミスがテストパイロットを務めるガンダムMk-Ⅱのチェイサーとして登場。
明らかに旧式機で在るにもかかわらず模擬戦闘にて幾度もMk-Ⅱを打ち負かすが、それはエドガーの「初代ガンダム」に対する恐れや先入観に加え、体への負担を無視してまで性能以上の機動をさせていたアグレッサーパイロット、カン・ウー大尉の技量の賜物によるものだった。
妻子を奪った戦争を憎む彼はコロニー制圧用MSとして開発の進むMk-Ⅱに勝ち続ける事でその開発を遅延させ、戦争の再開自体を遅らせようとしていたのだ。
その後Mk-Ⅱの度重なる敗北とバスクからの圧力に焦るフランクリン・ビダンが提案した実弾演習においてエドガーの駆るMk-Ⅱと命懸けの戦いを繰り広げるも、彼に婚約者がいる事を思い出したウーが勝ちを譲り撃墜、機体は失われた。
なおバスクは事前にフランクリンのみならずエドガーにも次の模擬戦で勝つよう家族の存在を盾に圧力をかけており、この時の出来事がキッカケになったのかエドガーは後にティターンズを離反。
カラバに所属しハーフゼータと共にグリプス戦役を戦い抜いた……とされている。
本当に完全な複製機?
「一年戦争時のガンダムと同性能に仕上げられた機体」という触れ込みで登場した本機だが、実はそれがどの時点のガンダムかがはっきりしない。
一応「マグネットコーティング時のデータを基に」製作された事にはなっているが、それがブラウ・ブロ戦までの状態なのか、それ以降の改修後の状態なのか一切説明が無い。仮に前者だった場合は当時の新型機にスペックで負けていても違和感はない。
また形式番号が「RX-78-2」のままである点も不自然である(マグネットコーティング後は「RX-78-3」となる)。
ガンダムへのマグネットコーティング後のモスク・ハン博士の発言から、改修時に直接データは取っていないと推測される。一応実験機のデータ流用も可能であろうが、何故か敢えてアムロ機のデータで調整されている。
またアムロ機のコアファイターが回収された時期が不明瞭であり、最終的な機体データを反映どころか入手出来ていたかどうかすら疑わしい。
そもそも本機の「52%のガンダムの部品」の中にはRX-78-2とは仕様の異なる機種や規格落ち部品を含む機種の部品まで含まれている可能性が高い。
また残り48%は現行機のパーツである為、材質が統一されているかも不明である(ジムの部材を流用した部分は必然的にランクの低い素材になる)。
つまりハーフガンダムとは、寄せ集めのパーツを無理矢理「アムロのガンダム」に仕立て上げた連邦製MSのキメラなのである。
そのため本機はRX-78-2とは根本から異なる機体で在り、その「完全な複製品」になど最初からなり得ない存在だったのかもしれない。
なおバスクの発言からその事はティターンズ側も了承済みで「『ガンダム』を超えたガンダム」と言う箔をMk-Ⅱに付ける為だけの機体としか考えていなかったとも取れるので、再現度、並びに性能は二の次にされた可能性も決して低くない。
尤も、おかげでティターンズの象徴として箔がついたガンダムMk-Ⅱは、結局エゥーゴの戦力として活躍する事になるのだが…。
またガンダムNT-1の性能描写から、最終的な仕様のガンダムは常人には到底操れないモンスターマシンと化していたためカン・ウーのスキルに合わせてデチューンが施されていた可能性もあるが、真相は闇の中である。
実は…
同じく非公式扱いになるが「ギレンの野望」シリーズにはRX-78T ガンダム(ティターンズ仕様)が登場する。
此方は複製品では無く再生産機で在る上、世界線が違うので一様に比べる事は出来ない。
後付けで1年戦争中・後にガンダムが(商売上の都合で)多数登場し過ぎた為、実態が却って分かりづらく為っている点がある。
また、「ティターンズのガンダム」としては他にもジム・クゥエルの改造機であるヘイズルという試験機もある。
「RX-78-2の複製品」としては、他にYOKOHAMAに残存していたRX-78タイプのパーツを元に再構成されたRX-78F00が存在する。
此方は地球連邦軍が研究目的で建造したもので、発見に至らなかった一部パーツは新たに作り直されている。
関連項目
機動戦士ゼータガンダム1/2(表記ゆれ:機動戦士Zガンダム1/2) 長谷川裕一ガンダムMS&MA
機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST:同作者の漫画作品。ハーフガンダム同様のキメラMSが主流となるが、本機と異なり歪な外観のものがほとんど。
近江鉄道220形:嘗て近江鉄道に在籍していた鉄道車両で、旧型国電のモーターや様々な車両の鉄道部品を組み合わせて完成した、実在したキメラ機械繋がり