概説
『ハーメルンのバイオリン弾き』のヒロインで、スタカット村に住んでいた村娘。年齢は15歳。座右の銘は「若いうちの苦労は買い」。赤ん坊の頃スタカット村の長老らに拾われた捨て子のため肉親はおらず、その時から身に着けていた十字架を大切にしている。名前の由来は木管楽器のフルート。ちなみに読み切り版では「キャロット」という名前。
正義感が強く心優しい少女で、魔王軍の先鋒であるチューバの部下から村の子供を庇って襲われていた所をハーメルに助けられ、生来の強い感受性からハーメルの奏でる魔曲のマリオネットバージョンに操られてチューバを撃退した。
以後ハーメルに気に入られ、北の都への旅に同行することに。(正確には村を救った報酬の肩代わりという、なんとも言えない理由がきっかけではあるが…)
当初はハーメルに夢を見ていたものの、ハーメルにマリオネットをガンガン使われ戦わされた上に数十年単位で寿命を減らされた挙句「太くて短いぞ、お前の人生」と言われるわ、金儲けのために動物の着ぐるみで芸をさせられるわ(特に「ギャル投ゲー」と呼ばれるゲーム版では投げられて敵を倒す武器にされたり、特殊な着ぐるみで乗り物や武器代わりにされ、劇場版では爆弾にされた)、読者から「ライエルの方がかわいい」という葉書が来るわ、ハーメルに「ヒロイン失格のAカップ」とこき下ろされるわと扱いの酷さに定評がある。
しかしながら、ハーメルに巨大化した十字架を落とす必殺技・「天罰の十字架」をお見舞いしたり、丸太を振り回して殴るなどの怪力を持ち、死んでいてもおかしくない状況で生きているほど頑丈だったりとかなり逞しい。
どんな事があっても健気にハーメルについて行っており、ハーメルとは喧嘩するほど仲が良いというか、もはや夫婦漫才の域?
問題児だらけのパーティのツッコミ兼保母さんのような苦労人だが、その根性と母性的な性質により一行をメンタル面で支え続ける。
特に中盤から魔王軍の策略で暴走に追い込まれがちになったハーメルの精神を支え、精鋭による猛攻と抉るような容赦ない精神攻撃に摩耗する仲間の痛みを受け止め鼓舞するなど、パーティーを精神面でカバーすることが増え、ヒロイン力が強化されるとともに勇者一行の重要な位置を占めていく。
初期は芋臭い風貌だが、髪を下ろすと美少女になり、背中に湯をかけると十字架のアザが浮かぶ。
正体
スフォンツェンド編で、15年前行方不明になった人類の守護国・スフォンツェンド公国の王女であることが判明。アザは王家の血統によるものであり、十字架はパンドラの箱の鍵だった。
突然現れた実母・ホルン女王を受け入れられず、ショックで一時期部屋に引きこもっていた。
しかし、第二次スフォルツェンドが勃発した際、大神官クラーリィから渡された「真実の鏡」を見て、15年前にホルン女王の苦渋の判断で第一次スフォルツェンド大戦の戦禍から逃がされたと知る。
そして魔界軍王の一人・ドラムから自分を庇うホルン女王に対し、一切の意地を捨てて「お母さん」と呼び和解。しかしながら、彼女の親バカっぷりには恥ずかしがっている。
王女としてスフォルツェンドに残ろうとするが、他ならぬ母親の後押しでハーメル達について行くことに。
ちなみにその後、母親とはぐれたかわいそうなオランウータン国の王女としてハーメルに見世物にされた。そしてコスプレもグレードアップしていく。(なお、お色気要素はサイザーが担当)
また、コルネットの特訓という名のイビリに耐える中で寿命を削って使う治癒魔法に目覚め、「大いなる五つの希望」の1人・「スフォルツェンドの聖女」と呼ばれるように。
後にホルン女王から貰った魔法使いの王女服に着替え、ヒロイン力が上がった。
続編
続編である『ハーメルンのバイオリン弾き ~シェルクンチク~』ではハーメルと共にスタカット村に隠棲しており、子だくさん一家の肝っ玉母さんになっている。(これ自体は前作のエピローグでも触れられている)同作の主人公のひとりであるグレートの母親。
自身が隠棲した事で空位となったスフォルツェンドの政治頂点を信頼できる執政官(クラーリィ)に任せ、自身は重要な部分のみ執政官の報告を(裏から)受けて決裁を行う程度の権限のみを持つようにしている。(しかし、クラーリィ以下、事情を知るスフォルツェンドの重臣たちは表立ってではないもののフルートを女王として扱っている)母譲りの星見の力も強くなっている……が、根っからのボケ体質からあまり役に立たない。
ハーメルとはガチの夫婦になったためか、夫婦(ド突き)漫才のレベルが上がった。いい歳こいて往年の「着ぐるみフルート」「フルートミサイル」も惜しげもなく披露して(ハーメルに披露させられて)しまうが、逆にボケツッコミ逆転を用いた見事な体術で「ハーメルミサイル」すらも披露した。
昨今の悩みの種はクラーリィから「国民の血税でパチンコしまくりやがって」とまで言われるダンナ(ハーメル)のパチンコ癖と、ハーメル側の祖父の血を色濃く受け継いでしまった我が子グレートの行く末。
アニメ版
13年前に記憶喪失の状態でスタカット村に流れ着いたハーメルと幼馴染で、あれこれ世話を焼いていた。
ギャグ要素が排されているためか、比較的大人しい性格。ちなみに髪を下ろしていない状態でも美少女である。あと、スタイルが良く出るとこ出ている。
スフォルツェンドの王女なのは共通しているが、実は生まれ育ったスタカット村の村人は全てホルン女王の密命を帯びたスフォルツェンドの人間であり、村全体が彼女を隠すために作られた「箱庭」だった。
自分の正体を受け入れる暇もなく村人らを魔族の襲撃で失い、突然降りかかった周囲からのプレッシャーに戸惑う。
また、自分だけが無力で守られているのをコンプレックスに感じており、魔族を倒してハーメルと共に元の平和な暮らしに戻れるよう願うのだが…。
ちなみに第一期OPの歌詞はフルート視点。最終回の彼女を踏まえてみると、背筋が凍るものがある。