ブーステッドマン
ぶーすてっどまん
『機動戦士ガンダムSEED』の世界における、強化人間の通称。初登場はPHASE‐38。
地球連合軍(厳密には大西洋連邦)がザフトのコーディネイターとの戦争遂行にあたり、実験的に投薬、特殊訓練、心理操作により兵士としてコーディネイター以上の身体能力を持たせたナチュラルであり、好戦的で一般的なナチュラルのモビルスーツパイロットをはるかに上回る身体能力から搭乗機の高機能性を制御可能である。その操縦能力はザフトのエースパイロットにも匹敵し、当代最強のパイロットと称されるキラ・ヤマトは4度の交戦を経て「ナチュラル(=普通の人間)ではない」と評した。
外科手術で脳内や分泌腺内にマイクロ・インプラントを埋め込んだ上、人工的に調剤された物質である「γ-グリフェプタン」を投与されている。これにより、身体の耐久力や反射速度が極限まで向上されており、ナチュラルでありながらコーディネイターのモビルスーツを凌駕する性能を持つ専用モビルスーツの操縦に必要な能力を獲得している。耐久力については至近距離からコックピットめがけて高威力レールガンを撃ち込まれても以降の戦闘に支障が無いほどである。また、訓練中の心理コントロールにより、モビルスーツに搭乗した際には戦闘に対して恐怖心を持たず、敵に対して凶暴性を増すような条件づけもされている。
また、その強化具合を「Stage(ステージ)」と称してクラス分けしている。これが高いほど能力も上がるが精神的に不安定になっていく。
一方、γ-グリフェプタンは凄まじい禁断症状を引き起こすため、定期的な投与ができる環境がなければ戦力として扱えず、作戦中に突発的な発作を起こして作戦継続が困難になる場合があるなど、兵士として運用する上では致命的な問題点も抱えている。 ただし、この点は地球連合軍にとってブーステッドマンの脱走や裏切りなどを防ぐ効果が期待でき、実際に薬物投与を受けられず禁断症状に苦しむことを恐れ、嫌々ながらも命令に従う姿が劇中で描かれている。尤も、乗機のバッテリーが切れるとほぼ同時に禁断症状も起こるように投与量が調整されていたため、実運用上は特に問題にならなかった。
また、凶暴性が友軍へ向くこともあり、チームとしての連携などが必要になるなどの繊細な任務への導入が難しいという面もある。その滅茶苦茶さはモビルスーツを介して相対したアスラン・ザラ(とキラ)から「ちょっと正規軍とは思えない」と評されている。なお、禁断症状の放置という罰を何度か受けたことにより、モビルスーツ戦闘におけるチームワークやエネルギー残量管理についてはある程度改善した。
γ-グリフェプタン
カテコールアミンをベースとした物質で、人体に投与されるとドーパミンやノルアドレナリンに類似する脳内伝達物質を生成する。この物質はストレスホルモンの一種であり、脳内麻薬として作用することで、人間に「火事場の馬鹿力」を出し続けさせる(作中のSEED理論に近似している)とともに多幸感を発生させ、屈折した破壊衝動をもたらす。
一方、その物質構成故に高い依存性を持つことに加えて人体で生成できないため、同物質が投与されなくなった人間は他者との接触を拒み自分の世界に引き籠るようになり、消耗すると思考力が低下していき、最終的には廃人となって絶命する。
地球連合軍の上層部からは、後発のエクステンデッドを含めて「生体CPU」と総称され、ドミニオンへの乗艦の際はパイロットではなく装備としての乗艦、いわばモビルスーツのパーツとして扱われている。それに伴い、過去の経歴はすべて抹消されている。彼ら自身も与えられた立場をよく理解していたようで、時折皮肉めいた発言をすることがあった。
一方、上司に対するタメ口が黙認されていたり、要望した小説やゲーム機が与えられていたりと、パーツ扱いとはいえ丁寧に扱われていた。また、制服が厳格な連合内において制服を改造した上で着崩すことが許されており、オルガは襟を立てて袖を詰め、クロトは着丈を詰め、シャニはズボンにダメージジーンズを着用している。
続編にて、幼少期から専用の施設で訓練されていたことが明らかになる。
全員が経歴を抹消されているため素性は一切不明であり、公開されている名前も本名ではない。
また、前述の通り生体CPUの扱いを受けているものの立場的には職業軍人でもあり、士官以上が前提となるモビルスーツパイロットであることから3人とも階級は少尉である(劇中、ポッド回収命令を受けたオルガが「サブナック少尉」と呼ばれたことで判明した)。
Stage毎の変化
- ブーステッドマンの3人にはそれぞれ異なる趣味が存在しており、作中でも趣味に没頭する3人が描かれているが、これに対して『強化が進むにつれて趣味が頭を使わなくなっている』という恐ろしい考察がある。実際に各々が没頭していた趣味に注目してみると
- オルガ(Stage2)→読書(登場人物の心理描写を読み解き、理解する)
- クロト(Stage3)→ゲーム(反射神経を使い、目先の事象に集中する)
- シャニ(Stage4)→音楽(頭を使わず、聞くだけで楽しめる)
といったように強化の具合によって趣味が異なっていると同時にStageが上へ上がるにつれて頭を使わなくなってきているとの意見がある。
- また、Stageが進むにつれて起こる変化は薬が切れた際の禁断症状にも現れており、初めて薬切れで禁断症状を起こした際にはStage2のオルガやStage3のクロトは時間切れを判断、悪態を吐く事ができる程度の余裕はあったのに対してStage4のシャニはまともな原語を発せずもがき苦しむのみとStageが上がるにつれて精神汚染が進み、それと並行して症状が重篤化しているとの意見もある。
ナチュラルとして
- 技術的な違いがあるとはいえ、先天的に遺伝子調整を受けたコーディネイターに対抗すべく開発されたブーステッドマンが、手術・投薬などによる後天的な改造人間だという本質はある種の本末転倒とも言える。
- 実際、彼らを指揮するアズラエルが盟主を務めるブルーコスモスは元々自然保護団体であり、遺伝子操作が自然倫理に反するとして反コーディネイター思想を掲げている訳だが、そんな彼らが自然な進化ではなく外部からの干渉で能力を底上げしてる事実はある意味自らの行動理念と矛盾しているとも取れる。
- 加えてコーディネイターは生まれる前の子供の遺伝子を調整し戦闘の道へと進まない限りはナチュラル同様に各々の人生を自由に過ごせるのに対して、ブーステッドマンは幼少期より専用の施設で強制的に訓練を受けさせられ高い能力と引き換えに投薬なしでは長く生きられず同胞からはMSのパーツ扱いされるなど過酷な運命を強いられる事から寧ろコーディネイター以上に非人道的との意見もある(実際にDESTINYでもシンが言及している)。
- 尤も自らの出生を呪い、ブルーコスモスに賛同するコーディネイターもごく僅かにいるため関係ないのかもしれないが…
- 個性的な性格や設定、ストーリー後半の強敵として主人公勢を幾度も苦しめる活躍、そして大人たちの身勝手に翻弄され、人間として生きることを許されなかった物哀しい立場からか、単なる悪役に留まらない人気を誇り、未だにファンが多い。2021年に発売されたガンプラの新シリーズ「FULL MECHANICS」の第一弾がカラミティ(オルガの乗機)で、最終的には三機全てが同ブランドで立体化された点からも、潜在需要の強さが窺える。
- 1/100スケールのカラミティはオルガの担当声優が放送当時から待ち焦がれていた。
- (単なる偶然ではあるだろうが)出演後に担当声優が全員芸名を変更しているという妙な共通点もある。
- γ-グリフェプタンは改良を重ねており、老齢となったカズイ・バスカークが「グリフェプタンD」を常飲して散歩の億劫さを低減している。(機動戦士ガンダムSEED RGB)
- ファンの間では、「三馬鹿」、キャラデザ・制作会社繋がりの作品になぞらえて「常夏三兄弟」と呼ばれて親しまれており、SEEDキャラで単に三馬鹿とだけいう場合は大抵彼らを指している。
- 2024年に公開された機動戦士ガンダムSEED FREEDOMにて登場した悪役ブラックナイトスコードの7名が6機もの格上機体でキラ・アスラン等に立ち向かい悲惨な末路を迎えたことに比べて三馬鹿がたった3機の格下機体で碌なチームワークもなしにかなり善戦したことから相対的に評価が上がってきている。
- 特にオルガは鈍重な砲撃戦機体にもかかわらずキラとアスランがミーティアを使用した上で2人がかりでようやく落としているためかなり評価されている
機動戦士ガンダムSEED 生体CPU エクステンデッド ナチュラル(ガンダムSEED)
ヒューマンデブリ:他のガンダム作品に登場した強化人間。こちらは非合法な組織に属している少年兵達であり、使い捨ての兵士として利用されるばかりか暴力のはけ口として日頃から大人達に虐待される等、ブーステッドマンと比べると奴隷同然の身分と言える。しかし、一方では薬物等の定期的な処置が不要だったおかげで一部のヒューマンデブリは最終的に自由の身となっていた。
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