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レオナール(悪魔)

れおなーる

レオナール(Léonard、Leonard)とは西洋においてサバトを主宰するとされる牡山羊の悪魔である。
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概要編集

レオナールフランス語読みであり、イタリア語ポルトガル語読みのレオナルドと呼ばれることもある。

どちらも西洋では一般的な人名であり、レオナールは人間の名前を持つ悪魔、という珍しい存在である。

現在辿る事ができるより古い出典がフランス語資料であるため、以下、表記はレオナールと統一して記載する。


文献での記述編集

『地獄の辞典』編集

ジャック・コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』によると第一階級のデーモンで、サバトのグランドマスター。下級の悪魔達を束ねる長でもある。妖術(ソーサリー)、黒魔術、妖術師(ソーサラー)たちの監察官。しばしば「グラン・ネーグル(Grand Nègre、大いなる黒き者)」と呼ばれる。背の高い三本角の牡山羊の姿でサバトを主宰する。二つの狐の耳があり、目は見開かれており丸い。

山羊の頭には髭があり、尻にも顔がある。顎は尖っていて妖術師は緑色のロウソクを手に持ちながら、そこにキスすることで彼を崇拝する。

第六版で追加された挿絵ではフランス風の服を着た三本角の山羊頭の人型の姿で描写される。Nègreはフランス語において人種区分としての黒人を意味する語でもあったが、この挿絵では濃い色の肌という描写はとくにされていない。

なお、この語はラテン語で「黒」を意味するニゲル(niger)に起源を持つが、英語における黒人への蔑称にも影響を与え、この語もまた侮蔑的ニュアンスをもって用いられてきた為取り扱いに注意が必要な語である。現代ではNègre用例が「アフリカ」に置き換えられている。現代フランス語では侮蔑・差別的含意を避けるために別の黒を意味する「ノワール」の呼称を黒人を指す言葉として用いている。


この挿絵において手は若干大きめで指は長く先端が尖っている。左手には短い笏のようなものを持つ。

本書では他の姿としてグレイハウンド、牛、大きな黒い鳥、樹木の幹に現われる顔といった例をあげている。

サバトの時にはガチョウの足をしているというが、木の幹の姿をしている状態では足が無いという。

レオナールは寡黙でメランコリックであるが、自身が参加する悪魔や妖術師の集会においては場を扇動し、自分が有利になるように振る舞う(リンク)。レオナールの項目は少なくとも1844年刊行の第三版の時点で確認出来る(リンク)。

『高等魔術の教理と祭儀』編集

エリファス・レヴィ著『高等魔術の教理と祭儀』祭儀篇(1856年)第15章「妖術師の魔宴」において「レオナール親方(Master Leonard)」についての言及がある。直接的には「壺から出てきて『魔宴(サバト)』の席に連なり、魔宴がはねたあとまた壺の中へ戻っていく牡山羊、『レオナール親方』と呼ばれるこの牡山羊の糞から製する地獄の粉末」というくだりである。

このくだりでは蛇やヒキガエルと一緒に塩抜きで胎児を茹でるだの、怪物めいた獣やありえない姿をした男女の舞踏会だの、インキュバスが冷たい精液を放つ淫らな乱痴気騒ぎといったものが語られる。

このくだりの前で阿片大麻チョウセンアサガオの成分を含む薬剤について語られ、こうした麻酔剤に黒魔術だのを加えた事で増強された想像力が産み出した「悪夢」という書き方である。

『語句と寓話の辞典』編集

エベニーザー・コーバム・ブルワー(Ebenezer Cobham Brewer)著『語句と寓話の辞典(Dictionary of Phrase and Fable)』(初版は1870年刊)の再版1898年版によると、「悪魔達の夜の乱痴気騒ぎ(the nocturnal orgies of the demons)」の主人。黒い人間の顔を持つ三本角の山羊の姿で現われるとされる。レオナルドは彼の修道者たち(novitiates)に対し、その角の一本でもって印をつけた(marked)という。項目の終わりに( )で挟んで中世の悪魔学(Middle Age demonology)と記している(リンク)。この出典は英語であるが、日本でこの悪魔が英語読みの「レナード」の表記で呼ばれる例はまず見られない。


バフォメットとの関連編集

『高等魔術の教理と祭儀』で「メンデスの山羊」の絵を載せたエリファス・レヴィはサバトにまつわる伝承の一つとして「レオナール親方」を紹介しているが、彼はバフォメットと同一視する記述を残していない。

本書で肯定的に記述されるバフォメットと異なり、前述のように一連の猥雑なサバト伝承を夢、悪夢が産み出した物語であると位置づけている。

また、レヴィにとってバフォメットの姿は象徴に過ぎず、霊的な実体とはみなしていないようである。


創作での参照編集

ドラッグオンドラグーン:様々な幻想生物と契約したキャラクター達の名は西洋悪魔学のデーモンたちからとられており、レオナールの名の由来もこちらと思われる。

魔界王子 devils and realist:本作では羊頭で登場。シトリーの執事で、ダンタリオンに仕える山羊頭の悪魔バフォメットとはライバル関係にある。

女神転生シリーズ:「レオナルド」表記で登場。種族は『女神転生Ⅱ』では夜魔、『真・女神転生』『魔神転生』『魔神転生Ⅱ』では堕天使。『女神転生Ⅱ』ではディーヴァ教のカルトリーダーとして登場。


関連タグ編集

インキュバス 悪魔


ナアマ:人名でもある名を持つ悪魔


イポス ウァレフォル:ガチョウの足を持つ姿で現われるとされる悪魔

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