前後のストーリー
予告
奴はバッカスフンドを憎み、狙う。
処分されたスクラップの怨みが、怒りが奴を動かす。だが…
超力戦隊オーレンジャー 第15話『友よ熱く眠れ!!』オーレッ!
放送日
1995年6月9日
物語
スクラップとされたマシン達の怨念によって生み出された後、その怨念に突き動かされるようにバッカスフンドの前に現れたマシン獣は、復讐を遂げるべく彼に挑みかかるが、対するバッカスフンドも侮蔑の念も露わにこれを叩きのめし、遂には地球へと放逐されてしまう。
しかし、彼の怨念や憎しみがその程度で潰えるはずもなく、地上へと降り立つやバッカスフンドに対抗できるだけのエネルギーを求め、中央エネルギーセンターへと侵入し電気エネルギーをその身に蓄えようとする。そこに急報を受けたオーレンジャーも駆け付け、両者との間で激戦が展開・・・されるかに思われたが、そのマシン獣はあくまで自らをバッカスフンドを狙う者であると強調し、その場から立ち去っていくのみであった。
マシン獣としては不可解なこの行動に、オーレンジャーも当初は疑いの目を向けていたものの、程なくしてその考えを改めたのが三田裕司であった。 折しもその直前、裕司は捨てられていた仔犬を拾っており、彼が「ジロー」と名付けていたその仔犬をそうとも知らず助けたこと、そしてそのマシン獣の身の上とバッカスフンドへの憎しみに接したことで、当初は「思いっきり汚ねぇ野郎」とまで口にしていた裕司の心境にも変化が現れることとなる。 結果、マシン獣は別のエネルギーセンターに侵入しようとして、警備員達からの集中攻撃を受けていたところを、裕司の手によって救い出されたばかりか、傷付きエネルギー切れに陥りかけたその身に超力エネルギーを注がれることで、どうにか一命を取り留めるに至った。
マシン獣「助けたのか? 俺を…」
裕司「お前だって、ジローを助けてくれた。それにさっきだって、人間を傷付けなかったじゃないか」
マシン獣「俺の敵はバッカスフンド一人、他の者は傷付けぬ。それが俺の誇りだ。」
裕司「戦おうぜ、一緒に! 俺達とお前、敵は一緒だ!」
マシン獣が自らの誇りに理解を示し、共闘をもちかける裕司に対し手を組む姿勢を見せたのもつかの間、バーロ兵の一団と共にアチャが2人を急襲。バッカスフンドの命と称して「バラリベンジャー」なる不名誉な名を与えると共に、バラノイアのために働くよう促すアチャに対し、彼はバラノイアにつくくらいなら死を選ぶとこれを拒絶。
結果、バラリベンジャーはバーロ兵達を相手にオーブルー、そして後から駆け付けた4人と共に激戦を繰り広げるも、今度はバッカスフンドが自ら前線に現れ、激しい攻撃を見舞って全員を一蹴すると、その隙を突かれる形でアチャによって左目にコントローラーを取り付けられ、自我を失った殺人マシンとしてオーレンジャーに刃を向ける羽目に陥ってしまう。
ブルーも必死に説得に及ぶが最早バラリベンジャーには通じる状態になく、結果として自らの手で引導を渡すという、苦渋の選択を強いられることとなる。 「お前の誇り、俺が…この俺が守ってやる!!」 かくして、決意を固めたブルーの激突ローリングボンバーと稲妻・超力トンファの連続攻撃が炸裂、さらにレッドへの懇願で自ら乗り込んだジャイアントローラーの突撃により、致命的なダメージを負うに至った。
「何を悲しむ? お前達は、正しいことをしたのだ。俺の誇りを、守ってくれた」
「俺の魂は、お前達と共に…いつか、お前達がバッカスフンドを倒すまで…」
ダメージと引き換えに自我を取り戻したバラリベンジャーは、自らの誇りを守ってくれた裕司の行動への感謝の言葉と、打倒バッカスフンドの意志とを残し、独りその場から去っていった。
「俺は、スクラップから生まれた…そして今、スクラップに還る…」
バラリベンジャーはやがて辿り着いたスクラップ置き場で、自らの元へ駆け寄ってきたジローを優しく撫でてみせるも、そこで身体が限界を迎えバラバラに崩壊。残されたジローを見守るように、周囲の廃棄物と共に永遠の眠りについたのであった。
備考
本話の監督を務めた佛田洋は、自身が特撮監督であるがゆえに巨大戦や特撮を多く駆使した話を得意としていたこと、また個人的にギャグのような軽いエピソードが好きであったことなどから、それとは真逆とも言えるシリアスなストーリーが来たことに当初困惑したと後に語っている。
一方で、井上敏樹の筆による脚本には、「はぐれ一匹オオカミみたいな怪人が登場し、戦隊メンバーと友情を結びながらも哀しい結末を迎える」という、如何にも彼が得意とするストーリーが綴られながらも、当初は戦隊のフォーマットを守る形で巨大戦のパートも盛り込まれていたというが、撮影用のコンテを割り始める段になって「この話には巨大化は逆にしらけるんじゃないか」「ブルーが止めを刺すべきでは?」と思えたという。
巨大戦という、佛田にとって得意分野とも言えるシーンを削る分、他のシーンを余程面白くしないと物言いが付きかねないものの、それでも思案の末に巨大戦は必要ないとの結論に至った佛田はプロデューサーを必死に説得し、結果として改訂稿で巨大戦を敢えて排除した、本作としては異色なエピソードが誕生するに至った。 ジャイアントローラーにブルーが乗り込む件についても、玩具の設定の根幹に関わるためスポンサーとの間でかなり話がこじれたらしく、最終的に「オーブルーが耐えられない」という妥協点を演出したことで何とか納得させたという。(参考リンク)