概要
『ゴッドファーザー』をベースに、『アンタッチャブル』などのその他の映画や史実の出来事を加えたパロディ作品。資本主義経済が発展し、格差が広がった幻想郷が舞台。大恐慌が発生しており、それを原因とした犯罪や種族差別が急増してギャングたちが幅を利かせている。他にも禁酒法が施行されたり、大戦争の直後だったりと20年代〜50年代のアメリカを混ぜたような世界になっている。
群像劇に近く、特定の主人公はいない。アウトローとなった幻想郷住人たちの容赦のなさや、たとえ主役級の活躍をしたキャラであってもあっさり死亡したりするのが特徴。また、原作における名無しのキャラクターや旧作のキャラクター、雑魚キャラクターなどが(人型でない者は擬人化され)数多く登場している。
主な登場人物
スカーレットファミリー
フランドール・スカーレット
スカーレットファミリーのドン、レミリアの妹。戦争で活躍した帰還兵で、英雄と呼ばれている。真っ当な人生を歩んでいたが、姉が撃たれたことによりギャングへの道を進むこととなる。元ネタは『ゴッドファーザー』の主人公の一人マイケル・マイク・コルレオーネだと思われる。
十六夜咲夜
スカーレットファミリーの幹部。ファミリーへの忠誠心は高く、レミリアからも信頼されている。レミリアが撃たれた際は内通者を始末した。元ネタは『ゴッドファーザー』に登場するコルレオーネファミリー幹部ピーター・クレメンザだと思われる。
レミリア・スカーレット
「ゴッドシスター」と呼ばれるスカーレットファミリーのボス。社会に絶大な影響力を持つが、部下の裏切りによって凶弾に倒れる。元ネタは『ゴッドファーザー』の主人公の一人ドン・ヴィト・コルレオーネだと思われる。
八雲アウトフィット
八雲紫
八雲アウトフィットのトップ。狡智に長け、違法行為を堂々とやってのけるギャングたちのスター。一見すると優雅な物腰だが、残虐な側面も持ち、密かに「ゴッドシスター」の座を狙っている。元ネタは実在の人物で、禁酒法時代にその勢力を伸ばし、『アンタッチャブル』にも登場する悪役、アル・カポネだと思われる。
リリー・B
八雲アウトフィットの幹部。鋭い頭脳と慈悲も容赦もない冷酷な性格の持ち主。自身の属する組織には一応忠実だが、それ以外への裏切りや二枚舌は平気でやる。周囲から恐れられる一方、紫からは戦術家として重宝されている。本作の重要人物の一人。
橙
八雲アウトフィットの幹部で、アンダーボスと呼ばれている喧嘩の達人。組織の酒の買い取りを拒否したバーを一般客ごと爆破するなど、かなり残忍な性格。リリー・Bと良くコンビを組む。コンシリエーレ(顧問)の八雲藍から溺愛されているが、本人はうっとうしい様子。 本作の重要人物の一人。
妖蓮花
八雲アウトフィットの最古参幹部。長く権力の座に座っていることから、「昔の中ボス」という渾名がある。殺人も躊躇わない武闘派で、多くの「ビジネス」に手を染めてきた。お茶目で気さくな側面があるが、やはりかなり残忍な部分を持っている。下級種族への偏見が強く、特に妖精を嫌っているが、リリーBだけは気に入っている様子。
八雲藍
八雲アウトフィットのコンシリエーレ。組織の公の権力の代表とも言える人物で、合法的に犯罪行為を行うことに長ける。冷静な性格をしており、ボスの紫を適当にあしらうことができる唯一の人物。しかし、橙の事を溺愛しているため、彼女のこととなると冷静さを失うこともある。
永遠亭
蓬莱山輝夜
「永遠亭」のボス。違法ドラッグビジネスが原因で月政府から追放されており、「麻薬王」と呼ばれている。麻薬ビジネスに積極的で、否定的なスカーレットファミリーを目の敵にしている。性格は例によって冷酷だが、やや抜けている描写も多い。
藤原妹紅
仁義や人情を重んじる古いタイプのギャング。かつて『伝説のストリートキング』と呼ばれていた。刑務所に入っていたが出所し、旧知の輝夜に請われて永遠亭に協力する。輝夜に対して強気に出れる数少ない人物。友人に弁護士のキモがいる。
守矢一家
守矢諏訪子
守矢一家の組長。広島弁で喋る。目先の利益を重視がちな傾向があり、調子の良い方に合わせるため「カエルと言うよりコウモリ」と評されている。五大ファミリーの会合では、リーダーシップをとるよりも、都合の良い方に合わせて利益を得ようとする。登場人物の中ではかなりギャグ色が強い。
東風谷早苗
守矢一家の若頭。組長と同じく口調は広島弁。非常に仁義に篤い侠客で、追われてきた文と椛を匿い、秋姉妹や魂魄妖夢と共に二人の調査を手助けする。組織内で取りざたされる麻薬ビジネスには懐疑的。
秋姉妹
守矢一家で用心棒を務める姉妹。姉は冷静な剣の達人で、妹は陽気なお調子者。双方共に仁義や人情を重んじる性格をしており、請われればマフィアから人助けもしていた。文と椛に協力することになる。
風見ファミリー
風見幽香
風見ファミリーのドン。農業組合への影響力の強さから、『収穫の王』と呼ばれる。陽気で感情はあまり隠さない性格だが、やはりキレると容赦がない。高所から様子を窺っていたスナイパーに気付いて中指を突き立ててみせたり、自身の寝込みを襲ったヒットマンたちを一人で皆殺しにしたりと規格外の強さを持つ。一部からは「神のヨメ」と評されるほどの実力と強運の持ち主。
比那名居一家
比那名居天子
落ちぶれたギャング、比那名居一家のボス。スカーレットファミリーとのゴタゴタで親友の衣玖やシマを失う。その後禁酒法で職を無くした元酒屋の萃香と、不況でクビになったエンジニアのにとりを仲間に密造酒の販売で再起を図る。通りすがった成り行きで、文たちに協力することになる。
人間至上主義団体
稗田阿求
表向きは民俗学者だが、実は人間至上主義団体を率いる妖女。神降ろしや占術、魔術などに精通しており、鬼をも軽くあしらうほどの人外じみた戦闘力を持っている。
連邦捜査局
霧雨魔理沙
正義に燃える捜査官。ギャングや警察の腐敗と戦う。後にアリスを相棒に、通称「アンタッチャブル」と呼ばれる捜査チームを率いることとなる。元ネタはアメリカに実在した捜査官で、『アンタッチャブル』の主人公エリオット・ネスだと思われる。
博麗霊夢
共産主義者の摘発に執心している保安官。ギャングたちから金を受け取っているため、ギャングを取り締まるどころか影で協力している。元ネタは『ゴッドファーザー』のマクラスキー警部と思われる。
その他
射命丸文
新聞記者。正義感の強い性格で、人類至上主義者の犯罪を調べていたが、そのせいで命を狙われることになる。
犬走椛
文の友人。剣の達人で、ぶっきらぼうだが頼りになる性格。文の逃走に手を貸すことになる。
登場勢力
スカーレットファミリー
幻想郷を影から治める五大ファミリーの筆頭。ドンはレミリア・スカーレット。コンシリエーレはパチュリー・ノーレッジ(元ネタは恐らくジェンコ・アッバンダンド)。十六夜咲夜、紅美鈴、小悪魔、チルノ、ルーミアといった面々が所属している。古典的なギャング組織で、幻想郷最大の影響力を持っていたが、ドンが撃たれたため混乱をもたらすこととなる。元ネタは『ゴットファーザー』のコルレオーネファミリー。
八雲アウトフィット
五大ファミリーの一つでスカーレットファミリーに次ぐ規模を持つ。ボスは八雲紫。コンシリエーレは八雲藍。スカーレットファミリーに比べて冷酷で、手広く違法行為に手を染めている組織。構成員は西行寺幽々子、橙、リリー・B、ひまわり妖精、幻想郷一面中ボス、魂魄妖夢、プリズムリバー三姉妹など。元ネタはアメリカに実在するマフィア組織、シカゴ・アウトフィットだと思われる。
永遠亭
五大ファミリーの一つで月から追放された組織。ボスはかつて『麻薬王』と呼ばれた蓬莱山輝夜。コンシリエーレは八意永琳。他に因幡てゐや鈴仙・優曇華院・イナバなどが所属している。後に出所した藤原妹紅が加わった。違法ドラッグの売買で財を成しており、薬の扱いに長ける。また、退役軍人を多く囲っている。レミリアを撃ち、スカーレットファミリーと抗争を開始する。
守矢一家
五大ファミリーの一つで日本風のヤクザ。代表は洩矢諏訪子。若頭は東風谷早苗。舎弟頭は現在服役中の八坂神奈子。全体としては仁義を重んじる気風だが、組織内で薬物の売買を巡った反目がある。他に秋静葉や秋穣子などが所属。
風見ファミリー
五大ファミリーの一つで、農業組合などに強い影響力を持つ。ドンは風見幽香。構成員はエリーなど。殺人株式会社と呼ばれる殺人組織を配下に持つ武闘派。また、構成員ではないがリグル・ナイトバグや幻想郷一面中ボスなどとも親しく交流している。
比那名居一家
比那名居天子が率いる弱小ギャング。先代の放蕩と散在のせいで、今では違法酒場一件しか維持できないほど衰退している。幹部は永江衣玖。
人間至上主義団体
その名の通り人間以外は差別する過激派団体。代表は稗田阿求。NUZシンジゲートとして違法行為を働く裏の顔も持つ。妖怪に恨みや差別意識を持つ人間の他、エレンや明羅などが所属している。組織のモデルは実在する白人至上主義団体、クー・クラックス・クラン(KKK)だと思われる。
人形解放戦線
人形の権利を訴える武闘派左翼団体。指導者はメディスン・メランコリー。人間至上主義者たちと抗争している。モデルは不明であるが、類似した名称にスリランカに実在する極左テロ集団の人民解放戦線がある。
地霊組
地底に拠点を置く非合法組織。代表は古明地さとり。主なメンバーは古明地こいし、霊烏路空、火焔猫燐など。スカーレットファミリーや風見ファミリーなどによるカジノ建設に協力する。
大江山ファミリー
旧地獄に拠点を置く勢力。星熊勇儀を中心に、鬼で構成される。組織としては比較的小規模。自身たちより新参のさとりたちとは反目し合っている。他に水橋パルスィが所属している。
東方連邦捜査局
幻想郷を管轄にする警察組織。長官は四季映姫・ヤマザナドゥ、副長官兼書記兼長官の恋人が小野塚小町。他に博麗霊夢や魔理沙たち「アンタッチャブル」が所属している。長官以下赤嫌いが多い。ギャングの買収による腐敗がかなり進んでおり、治安強化には消極的。また、差別意識も強く、上級と呼ばれる種族からしか採用しない。なお、組織のモデルはアメリカ連邦捜査局(FBI)、長官のモデルはその初代長官ジョン・エドガー・フーヴァー。
アンタッチャブル
連邦捜査局に所属する捜査チーム。ギャングの摘発に心血を注ぎ、賄賂は決して受け取らないため、ギャングが触れるには危険な存在としてこのあだ名が付けられた。メンバーはリーダーの霧雨魔理沙にアリス、魅魔、旧作魔理沙。元ネタは映画「アンタッチャブル」内の主人公が所属するチーム名だと思われる。